第九話 友達できましたbyカロ
Sideカロ
「そうさせて貰うよ・・・じゃあカロ、行ってくるね」
鏡夜がそう言ってから、早数分。私は鏡夜が戻ってくるまで暇なので、とりあえず門番と会話している。
「ね~、門番さん、名前何て言うの~?」
「・・・まず、そういうのは自分から名乗るものよ」
「そうだったね~私はカロだよ~」
「・・・私は紅美鈴よ」
門番こと美鈴さんはそう言うと、人だったものから血を瓶に入れ始めた。
「ね~、何してるの?」
「ん~?主の為の食料到達」
そのまませっせと血を集めること約3分、今美鈴さんは瓶を門の前まで運び、人だったものを、森の方にぶん投げている。
「何してんの~?」
「後処理」
そう言ってまた、淡々と森に人だったもの投げていった。そして、全てを森に投げ終えると、キッと館の方を睨んでいた。
どうしたのだろうと館を見たが、激しい音が鳴っているだけで特に異常は無い。
「・・・ねぇカロ、だったけ?聞いて良い?」
「どうしたの~」
「貴方の相方?・・・確か鏡夜だったけ?あいつって何者?」
私は美鈴さんの疑問を聞いて思わず首を捻ってしまった。
確かに鏡夜は訳がわからないやつだ。素手で私を倒すし、本人から聞いた話では神様にも勝ったって言うし・・・。
「さあ~?」
「さあ~って貴方ねぇ・・・」
「貴方ねぇと言われても~わからないんだよね~。私も戦ったけどやられたし~」
「やられた、当たり前でしょ?だってあなた普通の女性でしょ?」
「あ~そういえば言ってなかったね~」
「どう言う事?」
「こういうこと~」
私はその場で四つん這いになり、あの白銀の狼へと変身した。いや、戻ったって方が正しいかな?
そして狼になると、美鈴さん目を見開いたまま固まっていた。私はすぐにさっきの人型になり美鈴さんに向かってニマッと笑った。
「なるほどね・・・で、あの男はさっきの姿の貴方を倒したの?」
「そうだよ~」
「ますます、何者よ」
美鈴さんはハアッとため息をついていた。
「で、どうして~そんな事を聞いてきたの~」
「・・・あの男、気がありえないほどあったのよ」
「気~?」
「そう気、気っていうのはね一種の生命エネルギーなの。その気が彼には底がなかったの」
「つまり~?」
「つまり、彼の寿命に今の所限界がないのよ」
確かに鏡夜にはおかしな所はあったけど、まさか寿命の限界がないなんてね。
「ま~そんなのどうでもいいけどね~、で美鈴さん」
「何?」
「暇~」
美鈴さんはガクッとそのばに崩れ落ちてしまった。
「貴方ねぇ、少しは彼のことを心配したらどう?」
「心配~なんで~?」
心配?なんで鏡夜のことを心配しなければいけないのだろうか?
「だって、言っては悪いけど相手は私の主、吸血鬼よ」
「それが~どうしたの~?」
「どうしたの~って貴方ねぇ・・・」
「まぁ、鏡夜なら大丈夫だよ~」
私はそう言ってまた館の方を見た。館は相変わらず激しい音が鳴り響いており、ところどころ壁に穴ができている。
「で、美鈴さん」
「何?て、さっきもこんな会話したような」
「暇~」
そして、また美鈴さんは崩れ落ちてしまった。
そこから、数分後。
私は暇過ぎたので、美鈴さんの髪を弄っていた。
美鈴さんと会話してると、気が合ったのか、自然に仲良くなれたので思い切って髪を弄らせてと言ったら意外にも弄らせてくれた。
「美鈴の髪~綺麗だね~」
「そんなことないよ」
「綺麗だよ~いいな~羨まし~」
「そう言うカロだって髪綺麗じゃない」
「そうかな~・・・お!あっち終わったみたいだけどどうする~?」
「とりあえず行く?」
「じゃあ、行こっか~」
ようやく鏡夜の戦いが終わった。とりあえず、私たちは鏡夜が戦っていた場所まで歩きだした。
「俺の命ある限り、君たちを守ろう。そして、俺に惚れさせてあげよう」
私たちは今、さっきまで鏡夜が戦っていたと思われる場所の扉の前に隠れていた。
「ね~美鈴?これどんな状況?」
「私に聞かれても」
私と美鈴がそんな会話をしていると、鏡夜がそっと少女の手の甲にキスした。
「わ~」
「え?え?お嬢様?」
「あれがここのご主人~?」
ここの主の手にキスしてたけど、鏡夜負けちゃったのかな?いやいや、鏡夜に限ってそれはないか。
「とりあえず~部屋に入らない~?」
「・・・入っていいのかしら」
「入っていいから速く入ってきなさい」
私と美鈴がコソコソと会話していると部屋の中から急に声がしてきた。
「は!はい」
「や~鏡夜~」
「やっ、カロ」
美鈴さんが急いで部屋に駆け込み、私はその後をゆっくりと歩いて部屋に入った。
「鏡夜、彼女が紅美鈴。ここの門番よ、この人にフランを渡して頂戴」
「分かりました・・・頼んだよ、多分軽く気絶してるだけだと思うから」
「はっ、はい!分かりました」
美鈴は金髪の子を背負うと、すぐさま部屋を飛び出していった。
とりあえず、私は鏡夜にこの状況を説明してもらわないとね。
「ね~鏡夜~、負けたの~?」
「あぁ、負けたよ、レミリアお嬢様ともう一人のお嬢様に惚れてね」
ハハハと鏡夜が笑いながら言っていた。
惚れると鏡夜でも負けるんだね。私は何かに惚れたことなんてないから、惚れて負けるなんてわかんないな。
「カロ、勝手に決めて悪いけど、俺今日からここで働くから」
「そうなの~?」
「あぁ、でね、もし、ここで働きたくないなら、紫ちゃんを呼ぶけど」
「別にいいよ~美鈴さんとも仲良くなれたし~」
「わかった・・・レミリアお嬢様、スミマセンがこのカロもここで働かせてもらって良いでしょうか?」
「別にいいわ」
「ありがとうございます・・・カロ、自己紹介」
「カロと言います。これからよろしくお願いします」
「カロね、覚えたわ。私はこの館の主レミリア・スカーレットよ」
自己紹介が終わると、鏡夜はレミリアお嬢様をお姫様抱っこした。
私もあれしてもらいたい、今度頼んでみよう。
「何するの!鏡夜!」
「レミリアお嬢様?そんなにボロボロなんですから、少しは私に任せて休んでください」
レミリアお嬢様は全身ボロボロで、さっき立ってた時なんかは足がブルブルと震えていた。
「そうですよ~レミリアお嬢様~」
「な!?カロまで」
「じゃ、行きますよお嬢様」
「お、降ろせええええええええええ」
レミリアお嬢様は顔を真っ赤にしながら叫んでいたが気にせず、歩き始めた。
レミリアお嬢様って顔真っ赤にすると可愛いな~、昔の紫みたい。
「で、レミリアお嬢様、どこに行けばいいんですか?」
「その前に、降ろせ」
「それは、断ります」
レミリアお嬢様は諦めたのか、ハアと息を吐き、渋々と言った感じで道を教えてくれた。
ホント、昔の紫にそっくり。
「ここが私の部屋よ、鏡夜ありがとう、降ろして頂戴」
「分かりました」
三分ほど歩くと、レミリアお嬢様のお部屋についた。そのままレミリアお嬢様は部屋に入り、二分ほどでまた部屋から出てきた。
「鏡夜、カロ、これからフランの元に行くわよ。ついてきなさ」
「分かりました」
「フランって誰~?」
私がそう言うと、二人は、エッ?て顔でこっちを見てくる。
「いや私~さっき来たばかりだから~ここの人の名前言われてもわかんないんだよね~」
「・・・そういえばそうだったわね、フランは私の妹よ」
「つまりここの第二のお嬢様だよ」
「なるほどね~」
「わかったならフランの元に行くわよ」
そう言って歩きだそうとするレミリアお嬢様を、今度は私がお姫様抱っこした。
「ちょっ!今度はカロなの!?」
「いいじゃないですか~レミリアお嬢様~」
「カロ~それは俺がやりたかったのに」
「ちょっ!鏡夜まで!?」
「へへ~早い者勝ちだよ~」
「あ~もう~降ろしなさい」
「だめ~」
そう言うとレミリアお嬢様は諦めたのか、黙ってしまった。ホント、ふてくされ方が昔の紫にそっくり。
「そういえばお嬢様、フランお嬢様はどこに行ったのですか?」
歩いてフランお嬢様?の所に向かって歩いていると、鏡夜がレミリアお嬢様にそんなことを聞いていた。
「多分、館にある、図書館に行ったと思うわ」
「図書館ですか?」
「えぇ、そこに私の親友の魔女がいるの、多分美鈴が魔法か何かで回復できるだろうと思って行ってると思うの」
「なるほど」
そんな会話をしつつ歩いていると、大きな扉の前についた。
「ここよ・・・降ろして頂戴」
「は~い」
レミリアお嬢様はスタッと私の腕から降りると、扉を叩いた。
「パチェ~居る?」
「いるわよ、小悪魔、開けてきて頂戴」
「ハイな」
扉の奥からは気だるげな少女の声と、明るい元気な少女の声が聞こえてきた。
「どうぞ」
扉から出てきたのは、赤い長髪で、背中に吸血鬼のような羽を生やし、黒いベストと白いシャツ(この前紫に教えてもらった)を着て、ベストと同じ色をしたロングスカートをはいた女性だった。
私たちは中に入ると、そこには大量の本があった。私と鏡夜の元居た場所の本もあれば、どこの国の言葉かも分からない本が多数あった。
「大量の本だね~」
「そうだね」
私と鏡夜が、周りにある本を見ながら歩いていると、少し開けた場所に出た。
そこは、大きな机があり、一人の少女が椅子に座っていた。
「レミィ、怪我は大丈夫かしら?」
「えぇ、大丈夫よ。ちょっと服が破けただけよ・・・でフランは?」
少女は椅子から立ち上がりこちらを振り向いた。
少女は紫色の髪で帽子を被り、薄紫色の縦縞が入った、ゆったりした服を着ている。
「今地下室で美鈴が看病しているわ・・・で、そこの人たちは誰かしら?」
レミリアお嬢様は私達に目をやると、鏡夜が一礼前に出た。
「お初にお目にかかります、今日からここで働かせていただきます、時也鏡夜と言います、以後お見知りおきを」
鏡夜はすんなりと自己紹介をしているが一体どこで覚えたのだろうか?とりあえず真似して言ってみればいいかな
私はそう思い、とりあえず鏡夜と同じように前に一歩出る。
「同じく、カロです。以後お見知りおきを」
私が言い終えると、レミリアお嬢様とパチェリー様?が驚いた顔をしている。
一体何が悪かったのだろうかと思い鏡夜をみるが、鏡夜も首をかしげていた。
「いかがいたしましたか?」
「いえ、貴方がそんな言葉使いをできると知っていたけど改めて聞くとね・・・」
「私はもっと野蛮な言葉を使うと思っていたわ」
「なんとまあ、そこまで私は野蛮に見えてしまいますか」
「まぁ~どんまいだよ~」
「・・・貴方はすぐ言葉遣いが変わるわね」
「まぁ~ね~」
パチェリーさんはハアッとため息を吐いていた。私が見た今日三度目のため息である。
「ゴホン!えぇ、私はパチェリー・ノーレッジ、この館の図書館を借りている魔女よ。それと・・・小悪魔~」
「ハイな」
「こっちが小悪魔、この図書館の司書よ」
「小悪魔です、よろしく」
「よろしく、小悪魔さん」
「よろしく~」
私と鏡夜はそれぞれ小悪魔さんと握手した。
「さ、鏡夜、カロ、行くわよ」
そう言ってレミリアお嬢様は階段を降りていった。
私と鏡夜もすぐにレミリアお嬢様の後を追い階段を降りた。階段はジメジメとしており、少し気持ち悪かった。
階段を下りるとそこにはまた扉があった。
「ここは?」
「フランの部屋よ・・・入るわよ」
「あ、お嬢様」
中にはさっき部屋を飛び出した美鈴さんがいた。そして、部屋のベットにはさっき美鈴に運ばれた金髪の子が眠っている。
「で、フランの容態は?」
「はい、フラン様は気を失っているだけです、後数分で目覚めるそうです」
「そう、よかったわ」
「レミリアお嬢様~この子が?」
「そう、妹のフランよ」
レミリアお嬢様はそう言うと、ベットに寝ているフラン様の元に行きそっと頭を撫でていた。
やっぱり、妹が可愛いだろうね。私も昔、沢山仲間がいたんだけどね・・・
「そういえば美鈴さん、まだ自己紹介がまだだったね。私は時也鏡夜、今日からここで働かせてもらいます。これからよろしく」
鏡夜がそう言うと、美鈴は驚いた顔で鏡夜を見ていた。
「どうしたの~美鈴」
「いやね~まさかこんなに丁寧な人だったなんてね」
「・・・そんなに野蛮に見える?」
「えぇ」
すると、鏡夜はガクッと膝をついてしまった。
「ハハ、どうせ俺なんて・・・俺なんて」
そのまま隅っこに行き、膝を抱えていじけてしまった。
そんなに、ショックだったのかな~、今度、本気で慰めてあげよ。
「あ、えっと~鏡夜さん、そんなに落ち込まないでください」
「これでも、女性を一番大事にしているのに・・・」
美鈴が鏡夜を慰めていたが、一行に鏡夜がショックから立ち直る気配がない。
どうしたものかと、考えていると・・・
「う・・・う~ん」
「フラン!目が覚めたの?」
「うん?おねえ様?」
「フラン!」
「お嬢様!!」
レミリアお嬢様と美鈴はフラン様が目覚めると二人で抱きついた。そして、フラン様が目覚めるのと同時に、鏡夜もいつも雰囲気に戻った。
「フランお嬢様、大丈夫ですか?」
「!?・・・お前は!!」
フラン様が鏡夜を見た途端、すぐさまベットから跳び起き、鏡夜を睨んでいた。
「フラン落ち着いて、彼はもう敵じゃないわ」
「・・・どう言う事?」
「鏡夜、説明しなさい」
「はい・・・フランお嬢様、先程はすみませんでした。私、時也鏡夜は今日からここで働かせていただきます」
鏡夜がそう言うと、フラン様はキョトンとしている。
「・・・おねえ様、どう言う事?」
「だから、さっき鏡夜も言った通り、今日からここで働くのよ」
「何で?」
フラン様がそう言うと、レミリアお嬢様は呆れながらも、しかしどこか楽しげに言った。
「私達二人を惚れさせてくれるそうよ」
「あれって、本当だったの?」
「そうみたいよ」
そう言われたフラン様はしばし何かを考え、鏡夜に向かって話始めた。
「・・・貴方、私が怖くないの?」
「いえ、別に怖くはないですけど」
「そう・・・じゃあ、今日からよろしく」
「はい、よろしくお願いします」
「私も忘れないでね~」
「わかってる、カロだっけ?今日からよろしく」
「よろしく~」
私はフラン様と軽く握手した。
「さて、これでこの館の住人全員と会ったわね」
レミリアお嬢様はそう言いって立ち上がり、両手を大きく広げた。
「改めて歓迎するわ、カロ、鏡夜」
そして、ここから私と鏡夜の新しい生活は始まった。
ちなみに咲夜さんが出てきてないのは忘れてるわけではないですからね