多大な原作ユウキの自己解釈が混じりまくっていますので、彼女のファンの方は読むのを控えた方が宜しいかと。
つくづく原作で深すぎるキャラに転生させると手に余ることが多すぎるなと思った回でした。
「女神様、ボクも考えてたことがあります。自分はどうして生きているんだろう、こんな自分が世界に存在している意味はなんなんだろうって。
周りの人たちを困らせて、たくさんのお金や機械を無駄遣いして、自分も悩み苦しんで、その果てに待っているのが避けられない終わりしかないのだから、今この瞬間に消えてしまった方がいい。その方がきっと、みんなにとっても厄介払いが出来て助けになるはずだ・・・。何度も何度もそう思ってました。そう思って生きてきました。
なんでボクは生きているんだろう、まだ死んでないんだろうって、ずっとずっとそう思い続けて生き続けてきたんです。
でも、その考え方はーー」
前世のボクと、今のボク。
今野悠樹と、紺野木綿季。
二度の人生で二度とも味わい、思い続けた想いと絶望。
もうこんなのは嫌だと何度思ったかしれない。こんなに苦しいなら死んだ方がマシだって、何万回心の中で叫び続けてきたか数えてたのは最初の百回までだった。
何億回もボクは心の中でボクを殺してきた。何億人もの今野悠樹の死体の上に、今のボクは紺野木綿季となって此処に立ってる。立っていられてる。
だからこそ言える。価値のない自分を無価値だと自覚したボクだからこそ言える。
その想いはーー願いはーー
「ーーただの逃げだ。自分以外の誰も救えないし、救われない。
ただ悲しみと嘆きを振りまきまくって、自分だけは気持ちよくあの世へ逃げる敵前逃亡。傲慢な生の末に選んだ自己犠牲を装った自己満足の極地。糞食らえだね」
吐き捨てた。気持ち悪い想いを、胸の底からすべて欠片も残さないよう全力で。
「他人に自分が生きてる理由を求めるのは逃げだ。他人のために生み出されたと言いながら、誰の役にも立ってないから誰にも知られない内に死を選ぶのは逃げだ。ボクたちは一人で悩んで苦しみ抜いて、誰かに助けを求めても応えてもらえないまま生きていくしかない。生きて行かなくちゃ行けない。
いつかきっと“答えは手に入る”。それを信じて生きていく事しかできないのが人間なんだよ。
それは誰かに与えてもらえる物なんかじゃない。誰かに教えてもらうものでもいけない。自分自身で誰かと一緒に生きて行って生き抜きながら、痛くて辛くて苦しんで最後の瞬間にやっと手に入る“かもしれない”もの。それが生まれてきた意味と、生きてきた目的なんだと思う。それで良いんだとボクは思ってる」
苦しくて辛い、無意味だと感じ続けた前世の人生最期の瞬間。
ボクは心の底から生まれてきたことを、生んでくれた家族のことを、苦しさだけを味あわせやがってコノヤローと長い間ずっと恨み続けていた看護婦さんや主治医さんのことを“今までありがとう”って感謝しながら死んでいけた。それは多分、幸せなことなんだと思う。少なくとも、誰かのことを恨みながら死んでいくよりかはずっと。
「もしかしたら答えを一緒に見つけられる人と出会えるのは、人生最期の一瞬だけかもしれない。ほんの一時のためにそれまでの全てと、それからも送れるはずだった長い時間とを捧げないと手に入らないのは、出会いの切っ掛けに過ぎないかもしれない。
そうまでして手に入れたのに、最後の答えを与えてくれるかどうかは相手次第の運任せみたいな博打になるかもしれない」
「それでもボクは、一人で苦しむだけの長い人生よりかはマシだと思う。ずっとずっとマシな短い一瞬だけの素敵な人生なんだと思ってる」
「意味は入らない。あの世に持って行くのは自己満足だけで良い。他には何も持って行きたくないし、友達が悲しんで付いてこようとするのは迷惑としか言いようがない。
たとえ、“ボクがいなくなって悲しいよ”って言われてもボクはこう言う。“今すぐついて来たら怒るよ”って」
「ボクは人が死ぬのは嫌だ。キリトが死んだら悲しいし、アスナが死んだらもっと悲しい。アルゴさんもエギルさんもキバオウさんだって死んでほしくない、生きててほしいって心の底から思ってる。その為ならボク一人の命ぐらい、いつでも掛けられるだけの覚悟はとっくに出来てる」
「でも、それはボクの命で誰かの命が救えるときにだけ選ぶ価値のある選択肢だ。誰の命も救えないのに、救えないことを悲しんで死んだんじゃ無駄死にもいいところだよ。
ボクたちは生きているから、誰かのために死ねるんだ。
誰かを命がけで救えるかもしれないのは、死んだ最強剣士の亡霊じゃない。生きてる人の“この人のために何かをしてあげたい”っていう、想いだけなんだよ。
それがなくちゃ最強の聖剣もナマクラ以下の切れ味すら出せなくなるから。救う力を振るう意志がなくなってしまうから」
「もしかしたら、何も出来ないかもしれない。役立たないかもしれない。自分になら出来る、勝てるって信じながら挑んでも抗えないかもしれないし、絶望するだけかもしれない。圧倒的な現実の前に膝を屈して立ち上がる力すら沸いてこなくなる時がくるかもしれない。・・・なぜだか分かるかい?
それはね・・・“勝ちたい倒したい、自分は何かをしなくちゃいけない”って言う想いは、自分一人の物でしかないからなんだよ。誰のことも考えてない、あの世に持ってく時だけ重要になる自己満足じゃ自分以外の人を救う戦いには決して勝てないし倒せないんだよ。
“誰かのために行う行為”を自分の意志でも何でもない、義務として行ってるだけなのに“相手の役に立ててない”って思いこもうとするのは逃げだ。都合のいい幻想だよ」
「人のために何かをするのは、“自分がしてあげたいから”。ただそれだけでいい。エゴでも全然かまわないんだよ。どうせ人助けなんか親切の押し売りでしかないんだから、相手の都合なんか聞く耳持たずに“わたしがしてあげたいんです!”とでも言ってグイグイ押しまくっちゃえばいいんだよ。そうすれば相手がキミを必要としてるかしていないのか嫌でも分かる時が来ちゃうから」
「・・・もしも今、苦しくて死にたくなっちゃってるなら、自分にいたい想いをさせてきた人たちのことを思いだしてごらん。自分がどうして彼らのことを考えて痛がってたのか自分のことを見る鏡に使ってみるといい。きっと嫌なことがいっぱい思い出せてくるから。
痛い想いをさせてくる奴、憎たらしいと思った奴、殺してやりたい死んでほしい、そんな嫌で嫌で仕方がない大嫌いな人たちを思い出せば思い出すほど、自分が救いたい助けたいこの人だけは大好きだ!って思える人たちが光り輝いて尊い物に見えてくるから。
この人の元にいきたい、この人と一緒に過ごしたい、死ぬまでの短い時間だけでも一緒にいたい、この人の胸の中に抱かれて死んでいけるんだったら、長い長い苦しかっただけの旅路の終わりを笑顔で迎えられるかもしれないって思える人が絶対一人は見つけられるはずだから」
だからーー、ボクは言う。残酷で残忍な言葉を、言う。
辛くて苦しんで泣いてる子供にかける言葉じゃないんだろうけど、救いとは真逆の痛みしか与えられない虐待のような言葉と知った上でボクはこう言う。
ーー生きてっ、て。
ーー“そこ”はキミの死ぬ場所じゃないんだよっ、て。
ーー人にはきっと、生きるべき場所と死ぬべき場所があるから。それを見つけるためには安全な揺りかごから、危険きわまるフィールド地帯に出て行かなくちゃいけなくなる時も必ずあるから。
死者たちに置いて行かれた子供たち(生者たち)は、自分のためにも死者たちの分まで生きなくちゃいけない義務があるんだとボクは思ってる。
だって彼らの死で苦しみ抜いた末に死んだりしたら、その人たちの死はボクを苦しませるためだったって事になってしまうから。
その人たちが生きてきた人生は、それまで歩んできた旅路のすべてがボク一人の自分勝手なわがままが原因で無意味になるなんて絶対に嫌だと思うから。
「ボクはきっと、キミの感じてる痛みから救ってあげることは出来ないと思う。苦しむ気持ちを和らげてあげることすら出来ないかもしれないって事になさけない自信をもってもいる。
きっとボクはキミと一緒に過ごしてあげることしかできない。一緒に笑ってバカやって、飲んで食べて歌って騒いで後には何も残らない。残してあげることが出来ないと思う。キミの大事に思ってる物を何も守ってあげられない・・・そんな気がしてる。
ーーううん。それどころかボクは多分、君を泣かせることになると思う。悲しい気持ちになって「ごめんなさい」って言わせちゃう・・・理由は分からないけど、そんな気がする。
だからボクはキミを救うことも守ってあげることも出来ないんだ。これは絶対の約束だよ」
けどねーーと、ボクは後に続ける。
あの時彼女と交わした約束が、胸の奥から叫び声をあげてる気がしたから全力で言う。
ここまでは僕の思いだ。今野悠樹の想いでしかない。
だからここからはキミの番だ、木綿季ちゃん。
僕の一生は、僕の旅の続きだけど、キミの歩めるはずだった旅路のひとつでもあるんだよ? だから、選んでいいんだ。わがままを言っちゃって良いんだよ。キミの命だ、好きに使って構わない。責任はボクが取ってあげるから。キミがもし“この場にいたら叫びたいと願った想いと願い”を口にしちゃって構わない。
我慢は入らない、必要ない。そんなことする時間はもったいない。
僕たちの命は有限だ。時間はずっと流れ続けてて、苦しんでても我慢してても死にたいと思い続けてるときだって生きてる時間は続いてる。減り続けてる。無駄に我慢をする贅沢なんか、貧乏暮らしのボクたちに許されるほど余裕ないんだよ!
だから言っちゃえ、木綿季ちゃん! 君の思ってた我が侭をぜんぶ目の前の女神様に八つ当たりでぶつけちゃえ! この身体の現所有者であるボクが許可する! やれ!
「・・・・・・家に住んでた頃、ママはよくお祈りの後にボクと姉ちゃんにこう言ってくれてたんだ。『神様は私たちに耐えることの出来ない苦しみはお与えにならない』って。
それがボクには不満だったんだ。本当は聖女じゃなくて、ママ自身の言葉で話して欲しいってずっと思ってた。
でもね、最期にもう一度あの家を見たときに分かったんだ。
“言葉じゃない”、“ママは気持ちで包んでくれてたって”。ボクが最期までまっすぐ前を向いて歩いていけるように、ずっと祈ってくれてた。あの時になってようやくそれが分かったんだよ・・・」
でも、旅を終えて振り返れるようになった今ならわかる。今だからわかる。
今なら言ってもいいんだよって、自分を許せるようになったから。
「ママの気持ちは嬉しかったし、感謝もしてる。不満なんて少しもない。
でも・・・それでもボクはママの口からママの言葉で聞かせてもらいたかったかな。
“負けるな、木綿季。がんばりなさい”って・・・」
ボクの声は“久しぶりにこの身体でしゃべるせいで”うまく呂律が回らなかったのか、アスナが不思議そうな顔してボクを見つめてくる。
「・・・ユウキ?」
ーーああ、久しぶりにあう世界で一番大切な人と言葉を交わしていられる余裕もないなんて、神様は本当にダメな神様だなぁ。そんなだから今にも崩れ落ちそうなオンボロ教会から出ていけないんですよ?
でも、今このときだけは神様の貧乏に感謝しなくちゃいけないかな。あの場所じゃなかったら、ここへの縁が結べない。ボクが此処に来ることは出来なかっただろうから。
「ボクは好きな人から言われたことがあるんだ。『どうしたらボクみたいに強くなれるの』って。
聞きたい人の声が聞こえない、向かい合って話しても心が聞こえない。自分の言葉も届かない。どうしたらボクみたいに『ぶつかり合ってでも気持ちを伝える勇気がもてるのか』って。
全然強くなんかないボクのことを、パパとママを悲しませないように元気なフリしてるだけだったボクのことを。
鳥籠から出られない、出る勇気もなければ力もない、羽ばたきたいと願い続けてたのに、いざ外に行こうって誘われたら凄く嬉しかったのに、本当は心の中では怖くて怖くて仕方がなかったボクなんかのことを『強い、うらやましい、ボクみたいになりたい』って心から思って言ってくれたんだよ」
あの時のことは今でも思い出す。
嬉しくて嬉しくて、楽しくて楽しくて・・・泣き出したくなって必死に堪えてたんだ。
だって、学校に行って楽しいと感じるなんて本当に久しぶりのことだったから・・・。
本当のボクの身体にとって学校で過ごした最後の記憶は、周りのクラスメイトたちからぶつけられる露骨な悪意だけだったから。頑張っても頑張っても、分かって欲しいって精一杯伝えようとしても、返ってくるのは悪意と嘲笑と無理解だけだったから。
「ボクはきっと、他の誰より弱くて臆病な泣き虫なんだよ。自分が笑顔でいられるために、周りにも笑顔でいて欲しかっただけなんだよ。
だって、人の泣き顔なんか見たら悲しくなるから。好きな人が泣いてる顔なんか見たら悲しくて悲しくて泣き出しちゃって、短い時間をさらに縮めちゃうかもしれなかったから。ただそれだけの理由で、ぶつかってでも人に自分の気持ちを伝えてただけなんだよ」
最初からドッカーッンってぶつかって嫌われちゃったら、二度とその人に近寄らないで傷つけられることがなくなるから。二度と時間を縮められなくて済むから。そんな浅ましくて不純な気持ちで相手に本気でぶつかってただけなのに。
相手の気持ちに近づいく時間と手間が惜しくって、演技でもいいからボクと周りが笑顔でいられる時間を増やすために、相手の気持ちのすぐ近くまで行って想いを伝えてただけなのに。
そんな浅ましい願望で生きてただけのボクを、キミは『強い』って言ってくれた。
『この世界に降り立った最強の剣士』って褒めてくれた。『ボクほどの剣士は二度と現れない』って称えてくれまでしたんだ。
だからボクは『この世界でだけは』ただの紺野木綿季でいられない。いちゃいけないんだ。演技でもいい、偽物の嘘でできた金メッキの英雄でだっても構わない。
ボクは、この人の前でだけは『最強の英雄、絶剣のユウキ』でいなくちゃいけない。
これは義務なんかじゃない。ボクが絶対守らなくちゃいけない『恩返しの形』なんだから。
「・・・ずっとずっと考えてた。死ぬために生まれたボクが、この世界に存在する意味はなんだろうって。
何も生み出すことも、与えることもせず、たくさんの薬や機械を無駄遣いして、周りの人たちを困らせて、自分も悩み、苦しんで、その果てにただ消えるだけなら、今この瞬間にいなくなった方がいい。何度も何度もそう思った。
なんでボクは生きてるんだろうって、ずっとずっと考え続けて生きてきてたんだ・・・」
ーーでもね?
「ようやく行き着いた答えはーーたくさんの妖精たちがボクの新しい旅が幸せなものであって欲しいと願ってくれる、最高に幸せな『存在していた意味』だったんだよ」
生きてる意味はあった。ただ、自分が知らなかっただけだった。気付いてなかっただけだった。
何も与えられてないと嘆いていたボクは、本当はたくさんの人たちにたくさんの物を与えていたんだと知ることが出来た。それまでの無意味だった人生のすべてにたくさんの意味が付け足されたんだよ。
「生きてる意味なんか見つけようとしなくて良いんだよ。だって、それはきっと自分一人じゃ見つけられないものだから。
生きて生きて生き抜いて、最後の瞬間に目の前に広がってる光景を見た瞬間にわかるものだと思うから。生きてる間は見つけられないのが『生きてきた意味』だと思うから」
だからーー
「きっと、生きてる間は『生きてる意味』なんかなくてもいいんだよ。今はまだ生きていたいと思える理由があるなら、それが最後の瞬間に『生きてきた意味』になってくれるから。何もない、空っぽだった今までの人生を満たしてくれる物に変わってくれるから。
辛くても苦しくても頑張って此処で生きていくことが、大好きな人の腕の中で旅を終える瞬間に続く道になってるはずだから」
だから。
だからこそ今はただ――
「意味なんか気にしなくていいから、ボクたちの所に来て一緒に遊ぼう。そして、いっぱいいっぱいわがままを言おう。
自分の言いたいことを口に出して、今まで言えなかった言葉を言いまくって、一緒の布団で一緒に眠ろう。生きている意味なんか考えないで、生きてる今を思う存分楽しみまくろう。生きてる今この時を一緒に過ごしてくれる人たちとの時間を、思う存分楽しんで楽しんで楽しみまくって・・・満足してから眠りに付こう。
だって、それをしないで旅を終えても、答えは見つけられないままだと思うから・・・」
「・・・・・・木綿季?」
・・・この世界のアスナが知らないはずのボクのリアルでの本名を呼んだ気がする。
でも、残念。確認している暇はないみたい。もう時間みたいだからね。そろそろ帰らないと神様が破産しちゃうかも。
「・・・アスナ」
それでもボクは一言だけでも伝えたいことがある。守らなくちゃいけない約束がある。たとえそれが彼女とは違うアスナと交わした約束だったとしても、彼女がアスナである以上は守らなくちゃいけないボクにとっての大事な大事な二つの約束のひとつ。
「アスナ。ボク、見つけられたよ。大事な大事な宝物を。生きてきた意味と、生きてる意味と、生きていきたいと思える理由のすべてを。それはねーー」
ーーそこまでが限界だった。ボクの視界は急速に暗くなっていって、見たい物が見えなくなって、感じたい物が感じられなくなっていく。
ああ、くそぅ、またこのパターンかよって嘆いて悲しくなるけれど、今のボクにはもう絶望はない。
たとえ今このときがボクに与えられた本当に最後のチャンスだったのだとしても、ボクの心に後悔なんて一欠片も残ってたりなんかしない。
だって。ボクの心には今も響き続けてる、アスナがくれた思い出と言葉の数々が残り続けてるんだもん。頭悪いボクの記憶容量じゃアスナのことだけで一杯一杯だよ。他のよけいな物なんて入れてる余裕は全然ない。
だからボクの心に、想いを伝えきれなかった後悔はない。
アスナの心には聞き取れなかった残念さが残っているのかもしれないけど、それは多分、この世界のアスナと一緒に生きられる誰かにしか満足させてあげられないものだ。
だからアスナ。ボクはもう逝くよ。向こうの教会で神様がーーボクの新しい家族が待っててくれてるからさ。
あ! でももしアスナがこっちに来ることがあったら紹介するよ! きっと喜ぶと思うし、アスナなら歓迎してくれること間違いなしだし!
だからさ、アスナ。その時にはキミの見つけた答えも聞かせてね?
キミが生き抜いた人生の果てで見つけた答えを、旅路の終わりで手に入れた大切な想いを。
此処とは違う、どこか違う場所で。違う世界で。絶対にまた巡り会えるってボク、信じ続けて待ってるからさ。
でもーー
「でもそれは、ずっとずっと先の事じゃないとボク怒るからね? 今すぐ来たら殴るからね? ボコリって。ーーはい、だからキミもボコリ。反省したなら今きた道を戻りなさい。命を粗末にしたらいけません。いいですね?」
「はいです・・・ユウキママ・・・」
「ん、よろしい。こっちのボクのことをよろしくね? 悠樹クンって変なところでボクよりもバカすぎること多いから」
ーー人の旅路はいつか終わる。それがどんなに長くて辛い旅だったとしても、楽しくて楽しくて仕方がなくて永遠に終わって欲しくないと願い続けた旅だったとしても、終わりだけは必ずやってくる。
それがどんな形で終われるかは分からないし、自分じゃ決められない場合だってたくさんあるんだと思う。
でも、だから、それでもボクは願わずにいられないんだ。
「この世界に生きる君たちにも、ありったけの幸せな未来が待っててくれますように!」
ーーって。
いつか終わる旅のために、長く続ける準備をしよう。
終わることが確定している旅路のために、終わらせないための悪足掻きをしよう。
人生とは戦いだって、昔の人は言ったらしいしボクもそう思ってる。
人生とは戦いだ。人生との戦いだ。苦あり楽あり、山あれば谷あり。それら全てを踏破して、終わりの時を幸せ一杯で迎えられるようにする戦いだ。
今この時、この世界で起きてる戦いは辛いだろうけど、長い旅路のほんの僅かな旅程に過ぎない。終わった後にはそう思えるようになっている。それが人生という長い長い戦いの旅路なんだから。
だからさ、みんな。今は辛いかもしれないけど頑張って! 今を生き抜けば、死なずにいれば、今の苦しみを笑い話に出来る未来がきっと待ってるはずだから!
今の苦しみを、過去の笑い話に出来るその時まで、ボクもキミたちも頑張ろー! おーっ!
それじゃあアスナ! もう二度とあえないだろうと思うけど、『また会う日まで』元気でね!
「・・・・・・はっ!? 私、いつからこんな場所に・・・あれ? なんか記憶が曖昧に・・・なんかユウキがユウキじゃなくなって、ものすごく格好良くてかわいらしいユウキじゃないユウキになってたような気が・・・・・・ま、まさか幽霊!?
い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!! ユウキ! ユウキはどこにいるの!? お願いだからこう言うときには側にいてよぉーっ!(>o<)」
「ん~・・・むにゃむにゃ・・・ボクもう、おなか一杯で食べられないよぉ~」
「こんな時にテンプレなボケはしなくていい! 起きろ!起きなさい!起きろ起きろ起きろーーーっ!!!!(べしべしべしべしべしっ!)」
圏内なのでダメージ無効。
こんな時だけ正常に機能するカーディナルは、やっぱり悪意に満ちている。
つづく