旅路の終わりは、夢の始まり   作:ひきがやもとまち

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更新です。前半でふざけすぎてしまったことを意識しすぎて、後半は逆にシリアスすぎてしまった極端すぎる構成の話ですが、良ければどうぞ


原作1巻版4話「白と黒と黒とみんなの舞台」

 ゾンビナイト・クラディールさんと戦った後、ボクとアスナは大した目的もなしに同じ階層にある迷宮区へと向かった。

 攻略組でもパーティー組まないと危なくなってきてる最前線の迷宮区に二人だけで行くのに、目的は特になしって言うのはおかしな気もするんだけど、アスナが気にしてないみたいだから別にいいやと思い直すことにした。

 

 基本的にアスナとキリトは別格過ぎるから攻略組の常識が通じないことが結構あるし、この程度で気にしてたら普通の攻略組はつとまらないからねー。

 

「今日はよろしくね? ユウキ。ひとまずは私が楽するためにもフォワードよろしく」

 

 街から出るとき、悪戯っぽい笑顔で言ってきたアスナにボクも気楽な調子で答えを返したんだけど。

 

 

「ツアアアァ!!」

「ふるるるぐるるるう!」

 

 カン! キン! ズパンッ!!

 

 

 ・・・一人で無双できてるじゃん、アスナ。刺突武器が利きにくいスケルトンを敵に回して、しかも最前線に出てくる現在最上位クラスの骸骨剣士《デモニッシュ・サーバント》相手に。

 これ、ボクに限らず護衛が必要な弱さだったのかな?

 

「ユウキ、スイッチ行くわよ!!」

「はいはーい。りょうかーい」

 

 アスナからの指示が飛んできたから、すぐに剣を構え直してアスナの攻撃をサポート。

 ――なるほど。護衛役って言うのは『お姫様を守る騎士』・・・つまりは、引き立て役のサポート担当って意味なんだね。よく分かったよ、団長さん。

 あと、クラディールさんゴメンなさい。やっぱり代わって欲しくなってきたかも知れない・・・。

 

「ふう、勝ったわね。ナイスアシストだったわよ、ユウキ」

「いやいや、ボクはアスナの役に立てるだけでも嬉しいからスッゴく満足だよ♪」

「ふふ、ありがとう。お世辞でも言ってくれるのは嬉しいわ」

 

 軽い雑談を交えながら迷宮区を奥へ奥へと進んでいくボクとアスナの二人パーティー。

 一人だと危なくなってきたから攻略組でもパーティー組んで以下略。

 

「でもさー、アスナ。さっきからほとんど一人で敵倒しちゃってるけどさー」

「?? なに? ユウキも倒したかった?」

「いや、そうじゃないんだけど・・・・・・これってパワーレベリングって言わないのかなと思ったんだよね。

 あの、ステータスだけ上昇して、数値ほど自分自身に経験が蓄積されないから危ないかも知れない奴。ボクはソロだからまだいいけど、アスナって攻略組最強ギルドのサブリーダーだから平気なのかなって気になったんだよね」

 

 

 ギシリ。

 

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・平気よ、ユウキ。今日はまだ1のレベルも上がってないから、大した違いは出てないはずだから」

「うん、わかったよ。詭弁じみた言い訳に聞こえたけど、アスナが言うんだったら信じるよボク」

 

 結局この後、怒られました。

 

 

 

 そして―――

 

「・・・・・・ねえ、ユウキ。ここって、やっぱり・・・」

「多分そうなんじゃないかな? ボスの部屋だと思うよ、ここ」

 

 適当にPOPしてくる敵を倒しながら、適当に道を選んで奥へ奥へと進めていく内に気がついたら、ものスッゴい怪しいオーラが漂ってきそうな大っきな扉の前まで到着しちゃってた。

 

 ・・・高値で売れる、未踏破ダンジョンのボス部屋までを描いた地図の制作費~・・・・・・。

 

「どうする・・・? 覗くだけ覗いてみる?」

 

 アスナが強気さを装いながら、震える声でボクに確認を取ってくる。

 普段は勝ち気で、即断即決即行動のアスナが他人に決定権を委ねてくるのは怖がってる時が多いことを、ボクは今までの実体験から学んでいたけど、だからと言って簡単にOK出しちゃダメな人だってことも分かってはいた。

 意外と突撃癖ある上に、強い口調で反対すると意固地になって強攻策に走っちゃう暴走癖もちでもあるのがアスナという女の子で・・・まぁ、早い話が取り扱いには厳重注意な定番中の定番王道ヒロインタイプの美少女剣士さまと言うことで。

 

「う~ん・・・無傷で引き返せるなら引き返しといた方が良いとボクは思うけど、アスナがどうしてもって言うなら少しだけ・・・」

「そ、そう? そうよね・・・ボスモンスターはその守護する部屋から絶対に出ない。ドアを開けるだけなら多分・・・だ、大丈夫・・・大丈夫・・・」

 

 さっきよりも怖々した声の調子で、おっかなびっくりドアノブに手を近づけていくアスナ。

 ・・・そんなに恐いなら辞めれば良いと思うんだけど・・・。

 そんなことを考えながら黙って見物していたボクの想いが天まで届いたのか、ボクたちの背後から救世主ヒーローによる救いの声が舞い降りてきた。

 

 

「――ボスを見たいためだけに開ける気なら、やめておいた方が良いと思うぞ?

 さっき見たけど、尻尾巻いて逃げ出すことしかできないくらい恐怖感を煽る見た目をしていたからな」

 

「キリト!」

「キリト君!?」

 

 ご存じボクらの頼れるヒーローにして救世主、《黒の剣士》でビーターなキリトの登場だ! ボクみたいに半端な偽物とは格が違う、真打ちの登場だね!

 

「き、キリト君・・・? 念のためにかか、確認しておきたいんだけど、いついついついつ頃からそこにいたのかな・・・?」

「いつ頃からって・・・アスナたちが来る、三十秒くらい前からかな。

 ユウキからメッセージを飛ばされたときには俺もここへ向かっている最中だったから、途中でかち合うか帰り道で探してやるかぐらいの気持ちでいたら偶然にもボス部屋見つけちまってな。

 少し覗いて驚かされてから逃げようと飛び出してきたところで通路の先に人影見えた気がしたから、そこの岩陰に飛び込んで隠れてたんだ。モンスターかと思って、ヒヤヒヤさせられたよ。

 でも、良かった。お前たちと合流できて・・・。これならボス対策のための意見を聞ける―――」

 

「ハァァァァァァッ!! 《スター・スプラッシュ》!!」

 

「うおわぁぁぁぁっつ!? 危ねぇーーーっ!?」

 

 出てきたばかりのヒーローに、ヒロインがいきなり必殺ソードスキル叩き込もうとしちゃってるーーっ!? さすがはアスナ!

 攻略組最強ギルドでサブリーダーしてる美少女剣士の照れ隠しは、同じ攻略組相手だろうと当たれば余裕でオーバーキルだ!

 つまりは冗談になってないよね!? その強さと照れ隠しの組み合わせだけは!?

 

「お、落ち着けアスナ! 話せば分かる! コンピューターが操作するNPCじゃない人間のプレイヤー同士でなら話せば分かることが必ずあるはずだから!?」

「殺す! あなたを殺して私は生きる! 私の人には言えない過去を知りすぎているあなたの存在は、私がリアルに帰還したときには邪魔になるに決まっているんだからーーっ!!」

「現実感に満ちあふれた怒りの声だなオイ!?

 ちょ、ホントに止め・・・・・・う、うわああああっ!?」

「きゃああああああっ!!!」

「ちょっ!? 二人ともボクだけ置いて絶叫しながら走っていかないでーーーっ!?」

 

 迫り来る死の恐怖に悲鳴を上げながら逃げてくキリトと、恥ずかしさから来る悲鳴にも似た叫び声で顔を真っ赤にしながらレイピアを振り回してキリトを追っかけてくアスナ。

 

 そして、二人の後を慌てて追いかけてくボク!

 ダンジョンの中でヒロインっぽい女騎士に追いかけられながら逃げてく黒騎士と、二人の後を追いかける半端物の少女剣士。なんだこの展開!? 一体誰が得するんだこの状況!?

 

 つづく・・・・・・訳ないからね! このまま普通に走ってった先に話を進めるよ! 絶対に!

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・。し、死ぬかと思った・・・今までで一番殺されそうになる恐怖を味あわされた気分だわ・・・」

「・・・ビーターな黒の剣士に初めて本格的な死の恐怖を味あわせた者として、アスナが《SAO》の歴史に名を刻んじゃったかもしれないんだね・・・」

 

 シュールだ・・・洒落にならないレベルでシュールすぎるゲームの歴史だ・・・。

 

「・・・・・・ぷっ。あはははは! やー、走った走った! こんなに一生懸命走ったのすっごい久しぶりだよ。ああ、スッキリしたー。ここ最近どこかの根暗騎士のせいで溜めさせられてたストレスを全部吐き出せたみたいでスッキリしたー! んー、気分爽快♪」

「「・・・・・・」」

 

 キリトは憮然として、ボクは心の中だけで絶叫しておく。

 クラディーーーーール!!! やっぱ君が犯人かよ―――!ってね。

 

「はぁ~あ、やっとスッキリ出来て気分よくなっちゃったし、ここでお弁当にしましょうか? キリト君もどう? さっきのお詫びもかねてご馳走してあげるけど、食べていく?」

「・・・・・・食わせてもらう」

 

 色々と不満ありまくりそうな表情でドカッと胡座をかいて座り込んだキリトだけど、その程度のイライラはアスナの手料理の前では小さな防衛戦に過ぎなかったね!

 アッサリと懐柔されてアスナの料理の虜になっちゃったキリトとアスナとボクの三人で仲良く楽しくお食事して、最後に一切れだけ残ったサンドイッチをキリトが勿体なさそうにしながら食べ終わったのを見計らっていたかのようなタイミングで。

 

「およ? あれってもしかして・・・・・・クラインさんたちじゃない?」

「え? ・・・ああ、本当だ。そうみたいだな。おーい、クライン。こっち来いよー」

 

 そう言ってキリトも片手を振って呼んで上げたのは、バンダナで無精髭のサムライっぽいお兄さんクラインさんと、彼が率いているギルド《風林火山》の人たち! これでも攻略組では結構知られているスゴい人たちなんだよね!

 

「おお、キリト! それにユウキもか! しばらくぶりだなー」

「クラインさーん! おっ久しぶり―!」

「おう! 相変わらず元気そうだなユウキ! お前のそういう所は嫌いじゃないぜ!」

 

 パーン!と、二人同時にハイタッチ! キリト繋がりで知り合っていて面識の在るボクとクラインさんは仲良し! ハイテンション同士だからかな?

 あるいは今生のママが好きだった古いドラマとかでよくやっていた、男同士の友情っぽい仕草が好きな者同士だからかもしれない。

 

 なんかいいよね! こういうの♪ 今のボクは身体だけ女の子だけどさ!

 

 

「お前の方こそ、まだ生きてたのかクライン」

「かー! こっちは相変わらず愛想のねぇ野郎だねぇ。連れを見習え連れを。・・・っと、今日は珍しく別の連れもい・・・る・・・・・・」

 

 クラインさんの目が点になる。

 不思議に思って視線を追っかけて後ろを振り返ると・・・ああ、なるほど。そういうことね。

 

「ん。これでよしっ、と。・・・あら、どうしたのユウキ? まるで『あ~・・・』とか思わず納得させられちゃった時みたいな顔して」

「うん、まぁ。その通りの意味でしてる顔なんだけどね?」

 

 相変わらず自分のかわいさに、自覚の薄いアスナさん。これじゃあクラディールさんが振り向かせようと躍起になるのも仕方なかった・・・のかな?

 

 そう言えばボクはキリトがビーターとして一人でいたがるのを追っかけ回していたからクラインさんとも面識あるけど、アスナは騎士団あるから直接対話するのは初めてなんだっけ? 今思うと、ボクもよく粘着質なストーカー行為でハラスメント適用されなくて済んでたなー。

 きっとキリトが耐えてくれて通報しなかったんだろうね。嬉しいね! 優しいね! ・・・でも、ゴメンなさい。以後は絶対に自重します。(ぺこり)

 

「あー・・・・・・っと、ボス戦で顔合わせるだろうけど、一応紹介するよ。こいつはギルド《風林火山》のクライン。で、こっちは《血盟騎士団》のアスナ」

 

 紹介されたアスナはちょこんと可愛らしく頭を下げる。

 そして、それを見たクラインさんを目の他にも口まで開けて完全フリーズ状態異常化してしまった。

 

 ・・・アスナ~・・・いい加減、自分の魅力に気づこうよぉ-。それだと逆効果なんだってば-。

 そのうち親しい身内から、クラディールさんⅡ世みたいなのが出てきても知らないよ? いや、出てきたときには絶対にまた助けるけどさ。

 

 

「おい、何とか言え。ラグってんのか? ・・・・・・って、うわぁっ!?」

 

 キリトがネットゲーマーらしい定番台詞でフリーズ中のクラインさんにツッコみ入れたら突然再起動して引っ張り込まれて攻略組ギルド《風林火山》の中心部へとごあんな~い。

 

 

 

『・・・言葉は要らない。話し合いの時は終わった。後は行動あるのみだ・・・・・・。

 リア充は死ネ!!!!』

「ここ、ネットの世界だぞ!?」

 

『これはゲームであっても遊びじゃない! 俺たちは、ここでこうして生きている! もう一つの現実だ!! だからこそ許せない!!

 この世界でS級レアの美少女プレイヤー二人を侍らせといて「自分はソロでやりたいのに」みたいな顔してる男だけは絶対にな!!

 『リア充・即・殺』!!!

 それがゲームやリアルに関係なく、モテない野郎どもが貫く唯一無二の正義だろうがよ!?』

 

「何故だーーーーーーーーーーっ!?」

 

 

 キリト、大ピンチ。本日二度目のダンジョン内プレイヤー同士による命の危機イベント開催中です。・・・ホントになんなんだろうね? この状況って・・・。

 

「おま、ユウキの時は普通に緊張しながら挨拶してたじゃないか!? なんで今さらになってから急に・・・・・・っ!!」

「うるせーっ! 一人なら我慢できた! でも、二人まで見せられてお前は耐えられるのか!?

 むさ苦しい野郎オンリーギルドを率いるギルマスに、ソロの癖してS級レアの美少女剣士二人が自分の方から寄ってきてるんだって顔されて、それで殺意を抱かずに友人づきあい続けられるほど俺たちは人間出来てねぇんだよぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

「そうだ! せめて一発殴らせろ! 攻撃させろ! その儀式をこなさなければお前との友情を維持している自信は、俺たちには無い!!」

「そうだ! そうだ! 殴らせろ! あるいは斬らせろ殺させろ!」

「SAOが女子との会話初体験な、リアルで女の子と話したことない超カッコイイアバターでプレイ始めた男の恨みを思い知れぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「お前ら実はアスナたちを口実に使って、俺を抹殺したいだけなんじゃねぇの!?」

 

 

 ギャースカ、ギャースカ。

 抜き身の剣を向け合って、仲良く喧嘩に勤しむ《風林火山》の六人とキリトが一人。

 

「あはははは・・・・・・・」

 

 そして、それを見ながら引き攣った笑顔を浮かべて見ていることしか出来ないアスナと、ニコニコしながら楽しそうに見物してるボク。

 

 ・・・昔のキリトからは想像できない、楽しく他人と喧嘩してる姿は・・・うん、なんかいいね。こういうの。

 

 

 ――キリトは割かし露悪趣味があって、面倒くさいこととかあると自分の嫌な面を見せつけることで直ぐに問題を解消しようとする傾向が強い性格なんだと、一年間オッカケ続けた今のボクは知っている。

 たぶん、内向きな性格なんだと思う。

 

 自罰的で他人のせいに出来なくて、何でもかんでも自分で抱え込もうとしちゃうヒーロー気質の持ち主なのに、心は結構繊細でナイーブで傷つきやすい。そんな風に感じる場面に何度か遭遇してるから、そう思える。

 

 きっと、お母さんやお父さんにスゴく理解されていて大切に育てられてきたからこその弊害なんだとボクは思ってる。

 

 キリトは優しすぎるし、お人好しの度がすぎる。悪人っぽく振る舞って他人を寄せ付けないのも、巻き込んで傷つけたくないだけなのが理由だと思うし、そもそも根っからのエゴイストなら自分から《ビーター》は名乗らない。

 他人に押し付けてしまった方が楽だし手っ取り早くて安全だ。安全マージン取っての戦い方が得意なキリトに、それが出来ないはずがない。

 と言うよりもホントの利己主義者は、七十四階層に着てまでソロを続けようとは思わない。

 

 だって、ソロでやるより人付き合いした方が楽だから。

 

 人と仲良くなるのは簡単だ。相手が喜ぶ言葉だけ言っていれば良い。

 他人を喜ばせるのは簡単だ。自分が得するためだけに相手を煽てて褒めてあげれば勝手に喜んでくれる。

 

 誰でも他人から、耳障りの良い言葉をいって欲しいと願ってる。

 

 自分の欠点には気づいて欲しくないし、弱点は指摘して欲しくない。

 間違ってると責められるよりも、「あなたは正しい! 正義だ! 格好良い!」と称えてもらった方が気持ちが良いに決まってる。

 

 だから人と仲良くなるのは簡単だ。『現実を見ないで幻想だけ見てればいい』。それだけで人は他人と仲良くなれる生き物なんだから。

 

 相手が自分に抱いている幻想。相手が相手自身に抱いている幻想。

 「コレはこうに違いない」「この人はこういう人に違いない」「コレは絶対に正しくて、こっちは間違っている。悪に違いない!」―――そういう風に自分の中で定義されてる『決めつけ』を肯定してあげるだけで人は人と仲良くなることが出来る。出来てしまう。

 

 

 だから、逆説的な話になっちゃうんだけど。

 キリトがSAOより前にやったゲームで他人と関わって嫌なことがあったって言うのは、キリト自身が相手と真っ正面から向き合って『所詮はゲーム内だけの付き合いだから』とかの言い訳をしないし出来ない性格だったからなんじゃないかとボクは思う。

 

 彼はデスゲームがどうとかが始まるよりずっと前から、『リアルと同じくらい真剣にゲームをプレイしてた人』なんだと思う。

 嫌いな相手の話だろうと本気で聞いて、キチンと向き合い、逃げずに自分の意見を言えた人なんだと思う。対等な立場で相手を見てたから、逆に自分だけが傷ついちゃう結果に終わってきた人なんだとボクは思う。

 

 そう言う人だから半端な人たちからはカモにされて利用されて、それでもゲームが好きなままで続けていくために、嫌いにならないために人と距離を置くようになったんじゃないのかなって、最近ボクは思うようになってきてるんだよねぇ。

 

 

「・・・なんかいいわね、こういう光景って」

 

 ボクの隣でアスナがキリトたちのことをそう言って。

 見上げたら、なんでかボクの方を見下ろしながらニコニコしながら笑ってた。

 

「彼はきっと、アレでいいんだと思うわよ? 一匹狼で最強プレイヤーのビーターなのも格好良いとは思うけど、でもそれはゲームの登場人物として出てきた場合の話なんでしょ?

 リアルで友達づきあいするなら今のキリト君の方がずっと取っ付きやすくて、スゴく気が楽だもの。私は好きよ? 今の彼の方が昔の彼よりずぅっと・・・ね」

「・・・そっか。うん、まぁ、そうだねぇー」

 

 即答で元気よく返事したくて声を出そうとしたボクだけど、やっぱりちょっと声量が沈んじゃうよね。

 気になってる女の子が別の男の人を『好きだ』と言ってるのを聞かされるのは、そう言う意味じゃないって分かっていても気になっちゃうものは気にしちゃう。クラディールさんのことを言う資格がないボクがここにいるんだと言う事実を自覚させられちゃう。

 

 なんだかなぁ~・・・・・・うん?

 

「だから―――」

 

 考えに没頭してたら、知らない内にアスナに抱きしめられちゃってた。・・・なんだか、お母さんに抱きしめられてた時のことを覚えているはずなのに思い出す心地だなぁー・・・。

 

 

「この光景を作れたのはユウキの頑張りがあったから。だから貴女はもっと自分に自信を持っていい。

 ユウキがやってきたことが、言ってきた言葉があるから今のキリト君と私たちがある。誰一人欠けてても、きっと今この時は作れていない。

 だから《絶剣》、勇気を持って前に出なさい。貴女は自分が思っているよりずっと出来る子なんだから・・・」

 

 

 ・・・・・・ふにゃぁ~~~~・・・・・・

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・はっ!? ぎ、ギルマスぅっ!! 俺たちが野郎と戯れてる間に、あっちで物スッゲェ可愛らしい一枚絵のイベントが展開されてますぜ!?」

「キリト、てンめぇ・・・・・・俺たちを嵌めやがったなこの野郎!?」

「誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!! ―――はっ!?

 ちょっと待てクライン! 見ろ! 《軍》だ!!」

「誤魔化そうたって、そうは問屋が卸さ――――なに?」

 

 

 お互い悪ふざけしているだけだと自覚しながらの戦闘もどきで、ダメージは無くとも精神的には大きく消耗していた俺とクライン達は入り口の方からやってくる重装備の一団を見つけた瞬間に空気を一変。

 ユウキ達は遭遇しなかったらしいのだが、先行していた俺が森の中を進む途中で見かけた二列縦隊で行進してくる黒いフルプレート姿の男達。

 《はじまりの街》を拠点に活動するSAO最大規模のギルド、通称《軍》に所属している連中だった。

 

 相当に疲弊している様子がヘルメットから覗く表情だけで見て取れる。

 

 

 

「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ。君らはもうこの先も攻略しているのか? もしそうならマップデータを提供してもらいたい」

 

 

つづく

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