旅路の終わりは、夢の始まり   作:ひきがやもとまち

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久しぶりの更新となります。久々なのにギャグ強めにしすぎたと反省中。自戒はもう少しだけでも真面目に書くとしましょう。

*ご指摘を受けて説明の必要を感じましたので記させてもらいます。
 今作ユウキの性格は基になった原作話のテーマに合わせることを重視してきたため今までブレがちでしたが、『原作一巻版』に入ってからは基本ギャグを重視していく方針にしてあります。なので途中にあった重い話とは別物と考えることをお勧めいたします。

 やはり私は皆でバカ話して笑い合ってる方が好きなタイプみたいですのでね…(謝罪)


原作1巻版6話「ボクはきっと、みんなを守るから」

 みんなの全会一致でアインクラッド解放軍の人たちを追いかけると決めたボクたちは、ギルド『風林火山』も加えて来た道をまっすぐ駆け戻っていた。

 そして未だに追いつけてないから、ちょっと焦ってきてる。

 

 地図があるだけで初見のダンジョンだから、慣れてるボクたちの方が早いと思ってたんだけど、どうも彼らを甘く見すぎてたっぽい。途中からは先行する彼らに追いつくため全力疾走して走る走る奔る!

 

 ――そして結局、ボス部屋の前まできちゃったボクらが「まさか、ねぇ・・・?」と半信半疑で開けた先に待っていたのは、ボスに壁際で追い詰められてるコーバッツさんたち解放軍の面々さんたち!

 最悪な状況だ! そして意味が分からない!

 

 

「なんで!? どうして!? なんで部屋の入り口にボスが背中向けて、解放軍の人たちは部屋の反対側で固まってるの!? こうなる展開が予想できないんだけど!?」

「い、いや、俺に聞かれてもな・・・・・・」

 

 ボクが叫んで、キリトが困る! そりゃそうだよね! だってボクにも説明すること不可能だってわかるもん!

 

 ボスモンスターは部下を召喚する奴もいるけど、基本的には単独での強さが桁外れな『一体多数』の戦い方で力を発揮するタイプが多い。

 その理由が、高威力の範囲攻撃だ。一体で大勢を相手しなきゃいけない分、巨体を生かした通常のモンスターよりもリーチが長くて範囲が広い強攻撃が一番注意しないといけない攻撃として警戒されてる。

 まともに食らっちゃったらタンクが防いでてもスタンさせられ、回復が間に合わずに死んじゃうことが多いから、最低限2つの部隊に別れて片方が回復可能な状態を維持しておかなきゃバッドステータス追加の範囲攻撃で一撃全滅させられかねない。

 

 なのに、どういう訳でなのかコーバックさんたちは入り口を正面において、部屋の反対側に背を向けてみんな一緒に固まってボスの攻撃に備えてる不可思議な陣形。これだと次の範囲攻撃で全員が平等にダメージ負いかねないよ!

 

「何をしている! 早く転移アイテムを使え!」

「だめだ・・・! く、クリスタルが使えない!!」

「なんだと!? ――クソッ! この部屋は《結晶無効化空間》だったのか!」

 

 キリトが激しく毒づく。迷宮区でたまに見かけるトラップ、脱出アイテムが使用禁止にされてしまう《結晶無効化空間》。これがボス部屋で使われてるのは初めてだから混乱してるんだと思う・・・・・・ってぇ、ボクもボクでのんびり考えてる場合じゃなかった!!

 

「なんてこと・・・これじゃ迂闊に助けにいけないじゃないの! みんな早く逃げて! 急いでっ!!」

「何を言うか・・・っ!! 我々解放軍に撤退の二文字は有り得ない! 戦え! 進め! 戦うのだぁぁーっ!! 全員、突撃――――っ!!!」

『お、オオオォォォッ!!!』

「だめ――――――――っ!!!!」

「!! 待てアスナ・・・って、ユウキはもっと待てぇぇぇい!? アスナよりも早く突っ込んでいくな! この部屋《結晶無効化空間》で危なくなっても緊急脱出不可能なんだって! 安全マージィィィィッン!?」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょぉぉぉぉぉっ!?」

 

 ボクは後ろから聞こえてくる叫び声に、前を向いたまま怒鳴り返す!

 最初の驚きのせいで十秒近く無駄にしちゃったのが惜しすぎる! あの十秒でコーバックさんたちが助からない確率が十秒分上がって、助かる可能性が十秒減ったって思うと歯軋りしたくなるほど自分の間抜けっぷりが腹立たしい!

 

 この無駄にした十秒で助かったかもしれない命が消されてしまったら、ボクは絶対自分自身を恨んで自責する! 暗い気持ちに支配されて、きっと耐えられなくなってくる!

 そうなったら終わりだ! 気持ちが保っても“体が保たない!” “木綿季ちゃんの身体”は、そんな風に出来てない!

 

 ああ、わかってるさ。こんなのはエゴだ。自分のためだ。他人のための人助けなんかじゃ絶対ない。ただの命惜しさから来る偽善に満ちた人助けもどきでしかない。――だけど!

 

「・・・それがどうした! 偽善でも何でも人助けして何が悪い! どこが悪い! 人が死ななきゃそれでいい! やらない善より、やる偽善だ――――――っ!!!!」

 

 《ヴォーパル・ストライク》

 

 叫んで剣を抜き放ったボクは、初っ端から大技かましてボスに後ろから体当たり。安全マージンとか間合いとか一切考えないまま、ただ突っ込んでいったのが運良くはまったのか相手は姿勢を崩して、コーバックさんたち相手に振るおうとしていた攻撃の手が止まる。――今だ!

 

「みんな走って! こっちへ早く! 急いで!」

「な、何を言うか! 我々解放軍に撤退の二文字などないと言ったはずだ! たとえ、この場で果てようと最後の最後まで戦い抜くことにより、守るべき一般プレイヤー全てに対して解放の志を伝えられるならホンモ――――」

「ホモでも鍋でもいいから、とっとと来いや!? ボスより先にボクが殺すぞこの野郎!!」

「ヒィッ!? は、はい・・・全軍てった―――いや、入り口に向かって全力突撃だ! 急げ!」

『お、応っ!!』

 

 ・・・よし! 邪魔なお荷物は行ったぁっ!

 後はコイツを足止めしておくだけだぁぁぁっ!!!!!

 

 やる気に満ちて剣を振るうボクは、やり遂げた気持ちになって満足しながら死んでいけるかもと思ってたんだけども。

 

 

「・・・ユウキって、たまに怖いときあるよな・・・・・・。アスナもだけど(ぼそっ)」

「キリト君、女の子はね? 普段大人しいほど切れたら怖いものなのよ? ――だから後で100Gパンチでお仕置き確定」

「ひぃっ!?」

「どうでもいいから、ちょっと手伝ってくれないかなぁ!? ボクのHP結構ピンチになってきてるんだけど! いやマジでね!?」

 

 なんか後ろの方で、死んでも死にきれなくなるような会話を交わされてたから生きたくなっちゃったよ! 死にたくなくなっちゃったよ! 死んだら絶対好き放題言われるからね! 文句言えなくなるからね! だから絶対、死んでなんかやらないもん!

 

「クソッ! 行くぞクライン! 付いてきていい奴だけ俺に付いて突入して来い!」

「ちょっと待てキリト! 解放軍の奴らの撤退はもうすぐ終わる! 今さら俺たちが出張る必要なんてないんじゃねぇのか!?

 あと、さり気なく俺だけ道連れ確定してなかったか今!?」

「ダメだ! HPが減りすぎてる! 背中を見せてる今じゃ掠り傷一つで死ぬ奴が出るかもしれない! そうなったらユウキの頑張りが無駄になる! 一人も死なせないためには俺たちも前に出るしか道はない! あと、最初に出来た友達特権だ! 受け入れろ!」

「その特権いらねぇ――っ!? あと、アスナさんがすでに突貫しちゃってる――っ!?」

「イヤァァァァッ!!!!」

「アスナ!? ――くそぅっ! どうして俺の知り合いの女は、かわいいバーサーカーしかいないんだ!?

 もういい行くぞ! みんな俺に付いてこ―――っい!!!!」

『おおおおぉぉぉぉぉっ!!! アインクラッドの超S級レア存在、美少女プレイヤーは死んでも殺させてなるものか――――――っ!!!!!』

「お前ら―――っ!? 欲望に正直すぎて逆に清々しいぞこの野郎! 俺も混ぜろやぁぁっ!!」

 

 背後から次々とやってきてくれる援軍の仲間たち!

 一人来て、二人目が来て、最終的にはみんな一緒にボス戦チャレンジだ! やっぱりこれがRPG! 絆の力でみんなで勝って、みんなで生きて帰ろうね!!

 

 ・・・でも、正直言うともう少しだけ早くみんな一緒に来てほしかったかな! ボス相手に戦力の逐次投入したせいで割かしもうボロボロだよ!? 壊れかけた前線を補修して、壊れたらまた補修してって、一番ダメな会社の経営状態になっちゃってないかなボクたち!?

 

「おい、キリト! このままだとマジでヤベぇぞ!? 全員死なずに生きられんのは、あと十秒ぐらいが限界だ!」

「ぐっ・・・!! ・・・仕方がない・・・、ユウキ! アスナ! クライン! 十秒だけ絶対に持ちこたえてくれ! そうしてくれたら後は俺がなんとかしてみせる!」

『!! 了解! 任せた!!(わ!!)(よ!!)』

 

 キリトの叫びに、ボクたちは一も二もなくキリトに全員分の命を預けて、残る全ての力を時間稼ぎのためだけに使い尽くす決意を固めた。

 伊達に命がけのデスゲームで友達なんてやってない。いざという時、迷わず命を預けられると信じた人じゃなければ一緒に迷宮区なんて潜れない。

 

 ボクたちはこれでもキリトのことを・・・・・・スッゴいビーターだって尊敬してるんでね!!

 

「《ノヴァ・セレクション》!!!」

「《スター・スラッシュ》!!!」

「《羅生門》!!!」

 

 ボクが、アスナが、クラインさんが立て続けにソードスキルを叩き込み、その次を《風林火山》の人たちが引き継ぐ9連続コンボ!

 全部が入れば最後の吹き飛ばし効果で十秒以上稼げるし、たとえ入りきらなくても全部で十秒間敵の動きを拘束し続けられるよう全員一人一人が計算してから使うスキルを選択してる!

 文字通り、十秒だけは絶対に時間を稼げてキリトを守り切れるようになってる! 穴はない! あとは信じたキリトがミスをしないことを祈るだけ―――――

 

「あぁぁっ!? しまったぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ―――って、ちょっとぉぉぉぉぉぉっ!? 《風林火山》の最後の前の人! なんでタイミング外しちゃうの!? そこだと7連コンボ+ソードスキル一発分じゃん! ダメージ量でも拘束時間でも違いが出すぎちゃうじゃん!

 RPGの連続コンボって格ゲーよりも、そこら辺のとこシビアなんだけど――っ!?

 

「すんません! マジごめんなさい! 俺、彼女いない歴29年の来年魔法使いなんです! そんな俺に突撃していくアスナさんのミニスカパンチラは致命傷過ぎました! お詫びに死んで追いかけますんで、許してくださいキリトさん!!!」

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉっい!? ちょっと待てぇぇぇぇぇぇっい!?」

「今一番待ってほしいのは、私だと思うんだけどね!?」

 

 なんかもうメチャクチャだ――――っ!?

 青い目をした悪魔がボクたちを突破してキリトに向かって突進していく最中だって言うのに―――っ!?

 

 

 ・・・ええい、クソ! このままじゃキリトが死んで、ボクも後悔と自責で死んで結果は同じなんだから変化はない!

 だったら“使っても大丈夫”なはずだ! それに“今の状況なら使える”はずだ!!!

 

 なるようになれ! ええぇぇっい!!

 

 

「みんなを守って! 誰も死なせない力を貸して!!

《絶剣》!!!!! 

《マザーズ・ロザリオ》――――――っ!!!!!!!」

 

つづく

 

『オリジナル・ソードスキル紹介』

《絶剣》:特定の状況下でのみ使用可能になる、ユウキのユニークスキル。

 詳細は次回になるが、『守ること』が条件に関連する絶対項目の技であることだけは確か。

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