最新話ではなくて、前回の10話の別バージョンの話となります。シリアスルートと思ってくださいませ。元々どっちにしようか迷った末に両方とも書くつもりが間が空きすぎました。次は今回よりかは早くしないと本気でマズいですね…気をつけます、本当に…。
*尚、『Bルート』とは「ブラック・ルート」【黒の剣士】の一人称視点という意味でのネーミングです。黒い話という意味じゃないですのでお間違いなきようお願いします。
「・・・・・・どういうことだ? これは・・・」
「ウム。君らの間の事情は承知している。だがこれからは同じギルドの仲間、ここらで過去の争いは水に流してはどうかと思ってな! ガッハッハ!!」
俺がユウキと一緒に血盟騎士団に入隊しておこなう初の任務として、実力テストをすると言われてやってきた先で待っていた男、ゴドフリーにそう尋ねると大笑しながらそう答えられ、
「いや、そういう意味じゃなくて・・・・・・」
思わず、ゲーム内では感じるはずのない頭痛を堪えるように頭を振ってゲンナリしながら、俺はもう一度同じ質問を重ねて相手に尋ね続ける。
「誰だよ? この長身の男・・・。俺会ったことないし知らないから、説明とかほしいんだけどって意味での質問だったんだが・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・』
そう聞いたら、なぜだか空気が固まってしまった。
・・・なんでだよ? ギルドに入って最初の実力テストに初対面でキャラ名も知らない赤の他人が同行してきら普通たずねる質問だと思ったんだけどな・・・・・・。
――こうして俺は、相手の男『クラディール』について初めて知ることとなる。
彼は先日に起きた『アスナのストーカー騒ぎ事件』で当事者だった一人らしい。
この事件については俺も概要だけは知っている。逆に言えば概要しか知らない。知りたくないから自分から距離を置こうと意識していたからである。
なにしろ、アスナに対して一方的に好意を寄せてた男が、別の相手と口論になった末に決闘沙汰になったという事件なのだ。本人たちには悪いが他人から見ると、痴情のもつれが刃傷沙汰に発展した痴話ゲンカにしか見えない類いの事案なのである。
・・・要するに、ギルドクラッシャーの最大要因になりそうな案件として噂されていた案件だったのだ。
そういう人間関係のゴタゴタが嫌になったからソロになる道を選んだ俺にとって概要を聞かされた時点で鬼門としか思いようがない。関わりたくも巻き込まれたくもなかったし、詳しい事情を知ろうと思ったこともなかった。
そういう事情で、その一件について知らないまま、今この場でゴドフリーとユウキから聞かせてもらった情報が全ての、二人について浅学すぎる俺の目から見た場合。
目の前に立つソイツ・・・『長髪で長身の落ちくぼんだ目をした装飾過剰な装備をまとった男』“クラディール”について言えることがあるとすれば、たった一つだけだろう。
「先日は・・・・・・ご迷惑をおかけしまして・・・・・・」
のっそりとユウキの前まで進み出てきて突然ぺこりと頭を下げるクラディール。
「二度と無礼な真似はしませんので・・・・・・許していただきたい・・・・・・」
ボソボソした聞き取りにくい声を、垂れ下がった前髪の下から流れさせながら、ひたすらに頭を下げ続けている。
・・・・・・いや、普通に考えて怪しいだろ。腑に落ちどころじゃない、絶対に何か裏があると思って疑ってかかるのが当然のシチェーションなんじゃないのか? この状況って・・・。
SAOでは上手い話は疑ってかかるのが常識だし、それでなくてもネトゲの世界で嘘か本当かを見極めるのは非常に難しい。
相手の顔を見ながら会話できるのが、普通のネトゲと【SAO】が違うところとはいえ、別に相手の顔を見ながら嘘をついてはいけないという決まりは人間関係には存在しない。カーディナルの感情表現も、誇張的な反面微妙なニュアンスを伝えにくい欠点を持っている。
何より人間っていうのはゲームキャラとは違って感情を持っている。心があるんだ。
システムのON・OFFみたいに、コマンドひとつで善悪を切り替えられるほど簡単にはできていない。
悪に染まった黒騎士が、主人公に負けて改心して心を入れ替えて、これからは皆のために戦う正義の騎士になります!は、現実では通用しないのだ。
・・・てゆーか、今時そんなご都合主義展開やったらゲームでもクソゲー認定確実だろうし、普通に考えて信用したらダメな展開なんじゃないだろうかと俺は正直思っていたわけなのだが、しかし。
「うん、わかった。謝ってくれてありがとう。これからよろしくね! クラディールさん!」
「・・・・・・はい。どうぞよろしく・・・・・・」
「よしよし、これで一件落着だな!! ハッハッハ!!」
と、当事者たち二人が謝罪して許して納得してしまった以上、今この場で事情を聞かされた完全なる部外者の俺に何か言えることがあるはずもなく。やむなくこの場は納得したことにしておいて、警戒を切らないよう自分に言い聞かせておくだけに止める。
しばらくして俺たちは迷宮区へ出発することとなり、歩き出そうとした俺たちをゴドフリーが引き留めて『実践形式で訓練をおこなうために』という理由により、転移結晶を含めた全ての結晶アイテムを彼に預けるよう言い渡され、俺はかなり抵抗を感じたのだがユウキは逆に素直な態度でゴドフリーの意見に賛成するとアイテムを全て渡してポーチの中身まで開いて見せて何一つ残っていないことを確認してもらってゴドフリーを喜ばせているのを見せつけられた直後とあっては渋るわけにもいかない。
仕方なく俺もアイテムを全て渡した状態で迷宮区へと出発する。
普段よりも安全マージンが低下して、デスゲームにおける最後の生命線が断たれているようで不安にさいなまれそうだが、こうなっては後の祭りだ。
持ち金が少ないときは全部ベットするいつもの方針で今日もやったと思うことにして割り切りながら警戒心を心持ち強めにするしか道はない。
・・・それにしても、今日のユウキはいつも以上に素直で聞き分けが良すぎるように見えるのは気のせいだろうか?
そんなことを思いながらも俺たちは順調にフィールドを進んでモンスターを倒しながら、迷宮区を目指す。
俺はソロプレイヤーとして、流石にモンスターとの戦闘まではゴドフリーの指揮に従う気になれず全て一刀のもとに先制攻撃で切り倒すことで指揮に従う気がない意思を隠しながら戦って、ユウキは逆に指示に従うのが慣れているのか(逆らうとオカンに百Gパンチで怒られそうだからなぁ・・・)ゴドフリーの言うとおりに敵と戦って彼を喜ばせ続けている。
意外だったのはクラディールの戦いぶりで、率先して味方の盾になるため前に出てきて敵を倒し、ダメージを受けても怯むことなく敵に向かっていき、ユウキとゴドフリーに敵を近づけないよう全力で敵と戦い続けていた(俺は一人で突出してたから守りようがなかったけども)
その戦いぶりは心がこもっていて誠意が感じられて、俺も彼が本当に改心したんじゃないのか?いやまさかそんなと、若干どっちつかずの思考になってきたのだが、複雑化してきた俺の心理になど頓着することなくクラディールは戦い続け、もう少しで灰色の岩造りの迷宮区が偉容を現す、小高い岩山を昇ろうとしていたときのことだ。
「よし、ここで一時停止!!」
ゴドフリーが野太い声で言い、パーティーを立ち止まらせる。
「諸君らの実力は十分に見せてもらった! 満足している! これなら血盟騎士団として古参のメンバーにも後れを取ることは決してないだろう!
キリト君、実力を疑うようなことを言ってしまって悪かったね。後で副団長にも私から謝りに行きたいと伝えておいてくれるとより助かる」
「あ、ああ・・・・・・了解、しました・・・」
ゴドフリーから満面の笑顔で賞賛と共にそう言われ、出発前にギルド本部で交わした会話内容を思い出した俺はじゃっかん引け目を感じてしまって気後れする。
・・・なんだかんだ言いつつも、根はいいヤツだってのだけは間違いないんだろうなぁ、このゴドフリーって男は・・・。単に脳筋タイプの熱血好きで暑苦しいってだけで、陰険さは少しも持ち合わせていない。友人になると気疲れしそうだから絶対イヤだけど、まぁ・・・ギルドの仲間としてみるなら及第点以上には含めていいのかもしれない。
そんな風に彼への評価を上方修正しながら彼の話に先ほどよりかは素直に耳を傾けるようになった俺。
「このまま進めば迷宮区に到着するわけだが・・・このメンツなら今更あんな低層の迷宮で実力テストなどしたところで時間の無駄にしかならないだろう。――そこでだ。
どうだろうか? 私からの提案なのだが、ここからは二組のペアに別れて迷宮区までの到達タイムを競い合うというのは?」
「ペアって・・・・・・タイムアタックをやるってことなのか?」
「ウム。正直、これ以上戦闘を見続けたところでバトル関連の評価は変えようがないと私は見ている。既に上限に達してしまっているからだ。これ以上を測るには、もっと上の階層に行く必要が出てくるだろうが、それはそれで時間が足りない。ならばいっそ、ダンジョン攻略イベントの定番であるタイムアタックで実力審査というのも悪くないと思ってな」
「へぇ・・・」
俺は意外とゴドフリーも分かっているところを見せられて、俄然やる気がわいてくるのを感じさせられざるを得なくなってくる。
なんと言ってもタイムアタックと言えば上級プレイヤーの鉄板イベントの一つである。参加者全員が同時にスタートして、誰が最初に一番下の階層にあるボスの間まで到達するかを競い合うルール方式。敵との戦闘を大回りして避けてもいいし、正面突破で時間を短縮する賭けに出るのもあり。パーティープレイでもソロでも参加はOK。・・・そういうイベントがSAO以外にも何度か開催されていて俺も参加したことがそれなりにある。
もっとも、一度死んだら即リアルでのゲームオーバーに直結してしまうデスゲーム内で、そんな命がけのお祭り騒ぎなんてできるわけないからご無沙汰だった訳なのだが・・・・・・だからこそ逆に久しぶりのチキンレースには闘志が湧いてこようというものでもある。
「細かいルール決めは? さすがに低層とはいえ、迷宮区をアイテムなしで疾走ってのはなしに願いたいんだが?」
「無論だ。ダンジョンの入り口により早く到着した方が勝ちでいいだろう。ここいらにPOPする雑魚程度なら、多少のダメージなど論ずるに足るまい?」
「そういう事ならOKだ。了承したよ、ゴドフリーさん」
俺の二つ返事に「決まりだな」と笑いかける巨漢。
それから、と自分のアイテムボックスからいくつかのアイテムを取り出して俺たちに返すと、こう続ける。
「公平を期すため、少し離れた位置から両チームが同時にゴールを目指して進む。その前にはコイツで、腹ごしらえとHP回復も済ませておいてくれたまえ。念のための予備も渡しておこう」
「ありがたい。気が利くね」
気分良くアイテムの一部を返却してもらってから、そういえばと思いだし。一番重要なことについて俺はゴドフリーに最後の確認取っておく。
「・・・・・・メンバー別けの内訳は? アンタから聞かされた話だと、考慮する必要があると思うけどな・・・。
せっかく仲直りした関係を、アンタ自身の提案でわざわざブチ壊しにしたくもないだろう?」
相手が何か言おうとするのに先んじて俺が先手を取り、相手は「むぅ・・・」と唸りながら顎に手を当てて考え込む仕草をする。
わずかな時間とはいえ一緒にパーティーを組んだ成果なのか、俺は多少ながらゴドフリーの操縦仕方を覚えたらしく、さっきまでよりかは上手く提案をのませることが出来たと思う。
一人で微妙に悦に入りながら、どんな内訳にされてしまうのか少しだけ不安も覚えて返事を待っていると、横合いから「あの・・・」と、ボソボソとした声がかけられて。
「提案があるのですが・・・・・・よろしいでしょうか? ゴドフリーさん・・・・・・」
「おお、クラディールか! なんだ、言ってみるといい。今の君なら喜んで耳を傾けさせてもらおうじゃないか!!」
「ありがとう・・・・・・ございます・・・・・・。できれば俺は・・・・・・キリトさんと同じペアに・・・・・・して欲しいんですが・・・・・・」
「なに? キリト君と? それは何故だ?」
ゴドフリーが怪訝な顔をしてグラディールを見て、わずかに信頼が削がれたような声音で彼に対して確認するように問い直す。
「・・・やはりまだ、ユウキ君に思うところがあるということか?」
「いえ・・・・・・むしろその逆です・・・・・・。俺はまだ彼女に謝罪する意思を・・・・・・十分に示せていないと思うんです・・・・・・。
だからキリトさんに手伝ってもらって・・・・・・彼からも彼女に俺の気持ちと・・・・・・これから一緒にプレイしていくときのサポートをお願いできるようなればいいな・・・・・・と思ったんです。
――同じギルドに所属する仲間として」
「名案だ!!」
一転して満面の笑顔になると、クラディールの方をバシバシ叩きまくるゴドフリー。
ユウキも特に反対しなかったことから、ペア別けは問題なく決められて両者のスタート位置も互いに知らされて距離を置き、よーいドンでレースを始める合図の音と時間まで決められてから互いに拳と拳をぶつけ合ってから距離をおきあい互いに離れ、自分たちのスタート場所へ向かう。
そしてレース前の腹ごしらえを十分に済ませてから、スタート位置へ。・・・・・・着くはずだったのだ。
このまま最後までトントン拍子で進んでくれる、ご都合主義展開のゲーム世界だったら確実に―――。
「・・・ちっくしょう・・・・・・っ。やっぱり、王道展開のお約束はこういう結果になるのかよ・・・・・・っ!!」
「クヒャッハッハ!! 当然の結末だろ~? だーれがあんなお涙ちょうだいの嘘くせぇ三文芝居で感動して改心するってんだよバァーカ!!」
食事に入っていた麻痺毒を飲まされ、気づいたときには時既に遅く体はほとんど動かない。わずかに動かせる部位があるのだって俺が早く気づけたからじゃない。コイツ自身が毒のランクを調整して一番強力なヤツより1ランク下の毒を盛っていたというだけなんだろう。
おまけに、マヒ毒としてのランクを下げる代わりにバッドステータスが付与されてやがる。HPが減ってくのが見えてるし、HP自動回復のサブスキルも一時的にランク半減。
おそらくは・・・俺に無駄な抵抗をさせて苦しめながら悔しそうに死んでいくのを見物しながら殺すために・・・!!
「単にテメェの警戒心が強すぎるみてぇだったから少しの間だけイイコちゃんぶってやっただけだってのに警戒解いて油断しちまって。手段を選ばない《ベーター》って評判の割にはお人好しなバカだったねぇ-、テメェもさァ?」
「・・・犯罪者ギルドも真っ青な手並みだな。KOBよりよっぽど向いてるぜ、アンタ」
「ヒャハハハッ! ありがとうよ、サイコーの褒め言葉だぜ。お礼にアンタのお友達もすぐに同じところ送ってやるから安心し手先にイっときな?
アッチの方に仕込んだ毒はアンタの飲んだヤツより強力な上に、仲間たちも周囲に配置してあるからよォ~。
俺が行くまで残しておいてくれるのはオイシイ獲物の止めだけっていう、最初からの約束だったから信用してくれていいぜェ~。極悪非道な《黒の剣士》ベーターちゃ~ん♪ ヒャハハハハハッ!!!」
「・・・・・・チッ!!」
最後の最期で、らしくもないことしちまいそうになった挙げ句、こんな奴に馬鹿にされながら死ぬのか!? 俺は!?
「最初にあのメスが入団してくる話を聞いたときは、アイツとあの女だけ殺すつもりだった・・・・・・が、気が変わった。
その程度じゃ俺の腹の虫がおさまらねェ。もっともっと苦しめてやって、絶望させてやって、自分のせいで友達が殺されました死にましたって事実を、死ぬ前に教えてやりながら絶望と後悔に染まった顔して悲鳴上げながら殺されてくところを酒飲みながら見物してやらねぇと、俺様の傷つけられたプライドはぜんっぜん傷がふらがらねぇんだって事実にようやく気がついた。
んで、ちょうど少し前まで仲間だった連中が、あのメスに復讐したいとかなんとか言ってきたんでよォ~。ちょっとばかし童心に返ってロールプレイを愉しんでみたっつーわけだ。
どーだ? 面白かっただろゥ? 罪を犯した極悪騎士が改心して正義の剣士たちと共闘するなんてなァ、王道RPGの定番だもんなァ~? ヒャッハハハ! バッカみてぇだ。そんなもん現実に起きうるわけねぇじゃねぇかよ、なァ?」
「・・・・・・くっ!!」
うめき声を上げながら周囲を見る。切り立った谷間で近づいてくるヤツがいれば直ぐに分かる反面、一定距離に近づいてくるヤツがいたら即座に感知されてしまって止めを刺されてしまう。助けが来るとしても俺が動くのが間に合わない。麻痺毒が邪魔だ! 相性も悪い! 残りHPも低すぎる!
しかも敵の獲物である威力重視の大剣と、スピード重視で防御力の低い軽装の俺は最悪の場合、一撃で殺されてしまう可能性を抱えている。
少しでも体が動けば別だが、動けない体は敵によく狙って止めを刺させるのに十分すぎる隙だらけの状態しか作り出せない・・・っ。そうなる部位しか動ける場所に残せてもらってない! コイツやっぱり手慣れてやがる!!
「それじゃあな。あんたには特に恨みはねぇし、言ってやりたいこともねぇから苦しめずに絶望だけさせて殺してやるよぉ・・・・・・下手にオードブルだけで腹一杯になろうとしたら、メインディッシュを先越されちまうからさぁ・・・・・・あ・ば・ヨ☆ ヒャハハハ~♪♪♪」
「くぅ・・・・・・ッッ!!!!」
――これまでなのか!? 俺は本当にこれまでの男なのか!?
俺は・・・・・・こんなところでこの程度の敵にやられちまう程度の弱い剣士だったのか!?
だとしたら俺はいったい、今まで何を――――
「ヘヘヘ!! いいね、いいね、そのお顔!! 往生際が悪いヤツを嬲り殺しにするのは大好きだゼ☆」
色々な思いが渦を巻いて俺の脳裏にかすめては消え、唯一残された無力感だけが胸を限界にまで詰め込まされて絶望しながら死を覚悟した瞬間。
俺の前に・・・・・・・・・・・・・・・黒い風が舞い降りる。
「なっ!? テメェ、なんで…っ!?」
「――ねぇ、クラディールさん。悪いんだけどさ――」
切り立った崖の岩肌を、アニメか漫画の忍者ヒーローみたいに俺と互角の速さで走り抜け、風を巻き起こしながら俺を通り過ぎてから着地して。
相手の邪魔をすると宣言するかのごとく、足下に剣の切っ先を突き立てながら。
その黒衣をまとった少女剣士は、俺からは見えないけれど、それでも相手に向かって不敵な笑顔を浮かべているのがハッキリ分かる声と口調でこう宣言した。
「全力でぶつかかってこないと、僕にキミの想いは伝わらないよ?
たとえば―――『自分がどれだけ悪いと思っているのか』――とかね♪(⌒▽⌒)」
つづく
書き忘れていましたが、今年もありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。
後腐れのない年末と、穏やかに過ごせるお正月をお祈りしております。
よいお年を!