仮面ライダー剣~The earthly World~   作:龍騎鯖威武

2 / 9
第1話「都市伝説」

 

 

 

 

 

子どもの頃から、ヒーローに憧れてた。

 

 

幼いころ、助けてくれた金色の騎士。

 

 

あの憧れは、今も忘れない。

 

 

そして、今。

 

 

おれは騎士となった。

 

 

でもまだ…

 

 

 

 

 

ヒーローにはなりきれない…。

 

 

 

 

 

 

 

夜の街…。

 

ドシャッ…!

 

一人の異形が地面に倒れ伏した。その異形は消えることも爆散することもなく、ただ地面に横たわっている。

ただ、ベルトのバックルが二つに割れた。

傍らに居るのは、青いスーツを纏った戦士。

 

名を「仮面ライダーブレイド」という。

 

彼はゆっくりとカードを翳し、その異形に投げた。カードが刺さった途端、吸い込まれるように異形は消える。

これは「封印」と呼ばれ、死という概念のない存在「アンデッド」が、活動を停止する唯一の方法である。

鎖が描かれていたカードには、動物の絵に変化していた。アンデッドはカードに封印されたのだ。

耳に手を当て、通信する。

「本部へ通達。カテゴリー4のアンデッドの封印に成功。これより帰還します」

そう言って、ブレイドは腰にあるベルト「ブレイバックル」を外し、変身を解除する。

中から現れたのは、険しい表情の青年。

 

「斬崎剣斗」

 

彼が、この物語の主人公となる。

剣斗は近くにとめていたバイク「ブルースペイダー」に跨り、アクセルを回しエンジンを轟かせながら、その場を走り去った。

 

 

 

この世界では、さまざまな都市伝説が噂として流れている。

幽霊、未確認生物、謎の組織、有名な企業の裏。

中には、こんな都市伝説もある。

 

人知れず、怪物を倒すために戦う、青い騎士。

 

ある高校生「浅葱留美奈」も、その都市伝説は耳にしていた。

人々の中で、その噂「青い騎士」はかなり流行しているようだ。

「なぁ、銀之助」

「なに?」

近くに居たグルグル眼鏡をかけた友人に声をかけた。

彼の名は「五十鈴銀之助」。

「青い騎士って…おまえも知ってるか?」

「知ってるよ。とても有名じゃないか。この前、クラスの誰かが見たって話も聞くよ」

青い騎士の噂が持ちきりなのは、目撃例が多いからなのだろうか…。

実際この学校内でも、かなりの目撃例があるようで、学校側から生徒にはあまり関わらないようにと釘をさしているくらいだ。

「まぁ…僕は関わるつもりは無いよ。青い騎士が現れるのは、怪物を退治するとき。危ないし、もしかしたら青い騎士も危険かもしれないから」

「おまえだって、十分強くなっただろ。そんなに危ない危ないっておびえる必要は無いんじゃないのか?」

2人は、半年前に人生で経験できないような戦いに巻き込まれた。

だから、留美奈は銀之助が警戒する理由が分からないのだ。

「一応、僕は文化系だよ…。それに留美奈も危険な目にあって、ルリさんを悲しませたら駄目だからね」

「分かってるよ。もう、あいつには悲しい想いをして欲しくない」

その戦いの果てに取り戻した大切な人。

留美奈は彼女を絶対に守り抜いてみせると決意したのだ。

 

 

 

同時刻。

「BOARD」の一室。

そこでは、一人の初老の男が立派な椅子に座っている。

「天王寺賢次郎」。このBOARDを総括する男である。

彼の目の前には剣斗もいる。

「カテゴリー4・ボアアンデッドの封印、ご苦労だった。仮面ライダーになってまだ2ヶ月なのに、素晴らしい働きぶりだよ」

「お褒めに預かり、光栄です」

軽く会釈する剣斗。机には前夜に封印したカテゴリー4の「ボアタックル」のカードがある。天王寺はそれを確認し剣斗に返す。

「スペードスートのカードは、ブレイドである君が使う事で真価を発揮する。これからもスペードスートのカードは封印の報告だけで渡す必要は無いよ」

そう言って、今まで封印したリザードスラッシュ、ライオンビートのカードも渡された。

これにより、現時点でブレイドの持つスペードスートのカードは5枚となった。

「クラブとハートのカテゴリーAは、未だ発見できていない。すぐさま発見を急ぎたいところだが、カテゴリーAは上級アンデッドと同等。なかなか尻尾は見せない」

「では、他のライダーシステムもまだ…?」

実は、ライダーシステムはブレイドだけではない。まだ見ぬ二人の仮面ライダーのシステムが企画されている。

「ギャレンは資格者がおらず、レンゲルは資格者が居るもののシステムも未完成でカードも無い。新たなライダーの投入は暫し先になる。その時期が早まるかどうかも、君の活躍がかかっている。頼むよ」

「任せてください。クラブとハートのカテゴリーAも必ず」

彼の決意を聞いて、微笑んだ天王寺は次に険しい表情になる。

「早速だが、次の仕事だ」

「新たなアンデッドですか?」

「その可能性がある者だ」

そう言って写真を見せられた。

写真には、剣斗より2歳ほど年下と思われる少年と少女が笑っている。

中心が少女であることから、この少女がターゲットらしい。

「上級アンデッドだ。カテゴリーJQKのアンデッドは人に擬態している。この少女も…おそらくはカテゴリーQ。「ルリ・サラサ」と名乗り人間界に溶け込んでいる。人と関わっているとなると、その少年への危険も考えられる。早々に捕獲してもらいたい」

「捕獲…?」

封印ではなく、捕獲というワードが出てきたのは以外だった。

「上級アンデッドを封印するのは難しい。捕獲に留め、本部内で改めて封印する。困難な仕事だが、やってもらえるか?」

そう言われ、写真を受け取った剣斗。

「…最善を尽くします」

 

その日の夕方。

「ただいまー!」

留美奈は家に帰り着く。そこから出迎えてくれたのは…。

「おかえりなさい、留美奈さん!」

この家に居候している少女「ルリ・サラサ」である。

「チェルシーは?」

「今は、お買い物に出かけてます。わたしも行こうとしたんですけど、危ないから家で留守番していて欲しいって言われて…」

どうやら、彼女の付き人「チェルシー・ローレック」も、青い騎士関連の都市伝説を知り、ルリの身を案じているようだ。

「みんなして危ない危ないって…ルリはおれが守るから、大丈夫だ!」

「でも、わたしも危ない事には関わりたくないですし、留美奈さんも関わらないでくださいね」

ルリは、周りの人々の安全を願い、この都市伝説も危険視しているのだ。

「…それなら、チェルシーのやつを迎えに行くか。一人だけじゃ、心配だしな!」

「そうですね、3人なら大丈夫です!」

そう言って家を出て、チェルシーのいるスーパーまで彼女を迎えに行く事にした。

 

歩いて10分ほどだろうか。

いままで、ときどきすれ違う人々がいたが、壁に寄りかかっている青年。

見た事もない人であり、近隣の住民ではないようだ。

だが、2人は特に気にも留めず、通り過ぎようとした。

 

「ルリ・サラサだな?」

 

ふと、声をかけられた。かなり敵意を持った声である。

「はい、そうですけど…」

「一緒に来てもらう」

そう言って、近づいてくる。

「だれだ、おまえ?ルリに何のようだ!?」

留美奈は警戒心を持って聞く。

「その少年から離れろ!人間界に溶け込ませるつもりはない!」

「きゃっ!?」

突如、青年…剣斗は、ルリから留美奈を引き剥がし、留美奈を守るように立ちふさがる。

「何すんだ!おまえ…公司の回し者か!?」

「公司…?何を言って…!」

留美奈は剣斗の背中を突き飛ばし、持っていた木刀を構える。

彼には「風」の能力がある。木刀に風を纏い、戦闘体勢に移った。

「それは…おまえも上級アンデッドか!?」

「アンデッド…?」

聞きなれない言葉に戸惑う2人をよそに、剣斗はブレイバックルを取り出す。

スペードのカテゴリーAを挿入して腰に当てた途端、赤いベルトが巻きついた。

「正体を現してからにするつもりだったが…この状況ならば止むをえん」

「なんだよ…!?」

「変身!」

<TURN-UP>

ベルトのレバーを引くと、青いエネルギー上の壁「オリハルコンエレメント」が現れ、それを潜り抜ける。

すると、彼の姿は仮面ライダーブレイドへと変化した。

「青い騎士…!」

「おおおおおおおおおおおおおおぉっ!」

ブレイラウザーを振りかざし、留美奈に振り下ろす。

ズバァッ!!

木刀は一瞬にして真っ二つになってしまった。風の力をものともしていない。

「くそ…!」

丸腰状態の留美奈。ルリがとっさに彼の前に立ちふさがる。

「やめてください!」

「黙れ!アンデッドの言葉になど流されない!!」

なおも敵意を持って、ブレイラウザーを向けるブレイド。

そこへ…。

 

「はああああああぁっ!!」

 

ドガアアアアアアアアァッ!!

「ぐううっ!?」

突如、強い衝撃を腹部に感じ、ブレイドは数歩後ずさりをしてしまった。

「ルリ様!お怪我は!?」

「大丈夫です!」

チェルシーが駆けつけたのだ。

「ちぃっ…まだ居るのか!?」

彼女の到着に対して、ブレイドは苛立ちながら立ち上がる。

「上級アンデッドは集合するタイプだというのか…?」

今まで、アンデッド同士が複数いる姿は見受けられなかった。

さすがに疑問が残る。

だが、先の攻撃も風を纏った木刀も、人間の成せる業ではない。

「あんた…噂の青い騎士だな?ルリ様に何の用だ!?」

「その少女はアンデッドだ!人々の危険を取り除くため、捕獲する!」

どうやら、ブレイドはルリをアンデッドと思い込んでいるようだ。

「勘違いだ!ルリ様はアンデッドなどではない!」

「騙されるか!おまえ達も人間とは思えない力を備えている!正体を現せ!」

ブンッ!!

説得にも応じず、ブレイドはブレイラウザーを振り回す。

「話は聞いてくれそうにも無いね…。留美奈!」

「すまん、木刀が無いんだ!」

指差す先には、さきほどブレイドが真っ二つに切り落とした木刀が転がっている。

「役立たず!」

「なんだと!?」

「なにをごちゃごちゃ言っているんだっ!!」

無駄話をしている二人に怒りを感じ、ブレイドは更に力を込めてブレイラウザーを振りかざす。

「やべっ!?」

とっさに避ける2人。

「くそ…何故、怪人態にならないんだ!?」

ブレイド自身、人間を傷つけるという事にはやはり抵抗がある。この3人はまったく灰燼の姿を現さない。それが腹立たしかった。

「だから、おれ達はアンデッドって奴じゃないんだよ!」

「じゃあ、その力は何だ!?人間業じゃないだろう!?」

ブレイドの中では、人間で話しえない異常なものはアンデッドか仮面ライダーのどちらかしかない。つまり、仮面ライダーではない彼らはアンデッドとしか見れないのだ。

だが…。

彼の心に何かが引っかかる。

「アンデッド…」

目の前の3人は人間そのものだ。まるで怪人とは思えないほど再現できている。

そこへ…。

 

「キイイイイイイイィッ!」

 

「っ!?」

突如、鹿のようなアンデッドが現れた。

「ふんっ!!」

ザンッ!!

「ギャアアァッ!!」

とっさに避けつつ、アンデッドに攻撃を加えた。

「なんだよ、こいつ!?」「もしかして、これが…アンデッド…?」

留美奈達は、目の前の怪物を見てうろたえる。

以前の戦いでも、このような怪物を見る事はなかった。

「この種類は…」

一方のブレイドには、この怪物に見覚えがある。

以前、BOARDから逃げ出したアンデッド達の目撃情報や封印前の姿の予想図。

そのなかに、これと全く同じ形のアンデッドが居た。

「スペードスートのカテゴリー6だな…!」

そう、ディアーアンデッドである。

「…おまえらは下がってろ!こいつはおれが封印する!」

ブレイドは留美奈たちを背後に押しやり、ディアーに向かって走り始めた。

 

なぜ、こいつらを庇うような事を…?

 

そんな疑問を心に抱えて。

「うおおおおおおおおおおおおぉっ!!!」

<SLASH>

ラウズカードにあるリザードスラッシュのカードをブレイラウザーにラウズし、切れ味を高め、攻撃を再開した。

「はああああああぁっ!!!」

ズバアアアァッ!!

「ギエエエェッ!」

有効な一撃だったようだ。だが、ディアーも黙っているわけではない。

「ガアアアアアアアァッ!!」

バリイイイィッ!!

「おおおぉっ!?」

角から発せられる雷のエネルギーをブレイドにぶつける。

その威力の前に、ブレイドは地面を転がった。

「くそがぁっ…!」

<TACKLE>

突進の威力を高めるボアタックルのカードをラウズし、反撃に臨む。

「らあああああああああああああああああああぁっ!!!」

ドガアアアアアアアァッ!!

「オゴオオオオォ!?」

双剣で防ごうとするが、ブレイドのタックルの威力が上だった。

武器を失い、地面に這い蹲るディアー。

「トドメだ…!」

<KICK>

続いて、ローカストキックのカードをラウズし、キック力を高める。

「はあああああああああああああぁっ…!!」

ブレイラウザーを地面に突き刺し、準備を整える。

そして土をけり、空中高く飛ぶ。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!」

ドガアアアアアアアアアァッ!!!

「ガアアアアアアァッ!?」

赤く輝く右足が、ディアーの体を貫き、ブレイドは美しい動きで地面に着地し、対するディアーは地面に倒れ付した。

「グ…ガ…ァ…」

ベルトのアンデッドバックルが開く。

「…っ!」

ラウズカードのアンデッドが封印されていない「プロパーブランク」のカードを翳し、ディアーに向けて投げた。

その瞬間、ディアーは前夜のボアと同じように吸い込まれるように消えていった。

戻ってきたラウズカードの絵を確認し、ブレイラウザーにしまうブレイド。

ひと時の沈黙が流れる。

そして、ブレイドは留美奈達を睨んだ。

「…!」

攻撃を予想し、身構える3人。

そこに…。

「グルルルルルルルルゥッ!」

5対ほどの鈍い銀に輝く怪人が現れる。これはBOARDが操る怪人「メカローチ」である。

ドンッ!

「うっ!?」「くっ!」

メカローチは、留美奈とチェルシーを押しのけて、ルリを掴む。

「いやっ!」

必死に抵抗するが、非力な少女の力では、メカローチの怪力には敵わない。

「ルリっ!」「ルリ様っ!!」

彼女を取り戻そうと、メカローチに向かって走るが、目の前にブレイドが立ちふさがる。

「本部の指示により、ルリ・サラサは捕獲する」

そういうと、メカローチたちは夜の闇に消えていった。

ブレイドはブレイバックルを操作して変身を解除する。

「…もし、ルリ・サラサがアンデッドではないという結果が出れば、すぐに解放する事を約束する。だがもし、そうでなければ…彼女もおまえ達もすぐに封印する!」

剣斗は強く言い放ち、ブルースペイダーに跨ってメカローチの後を追った。

「待てっ!」

留美奈とチェルシーは後を追おうとするが、その姿はどこにも見えなくなっていた。

 

 

 

それを遠くから見ていた黒い影。

「…地下世界の人間も関わり始めたか…」

そう呟いて踵を返し、去っていった。

 

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

                        おまえ達は…何なんだ…?

 

じゃあ、お話します。

 

                        そんなことのために、命を賭けたのか…!?

 

ギャレンの資格者が…見つかったぞ

 

                        カテゴリー8…ハートスートか!?

 

そいつはおれの獲物だ

 

                        ハートのライダー…だと!?

 

 

 

第2話「過去と序章」

 

 

今、その力が全開する…。

 

 





キャスト

斬崎剣斗=仮面ライダーブレイド

浅葱留美奈

ルリ・サラサ

チェルシー・ローレック
五十鈴銀之助

天王寺賢次郎

黒い影


あとがき
如何でしょうか?
まずはブレイドを始めてみます!こんかいの物語ですが、ブレイドは地上で、アギトは地下でといった感じで分けていこうと考えてます。
分けた理由も一応は考えてますが、内容はネタバレなので秘密です。
ともあれ、これから応援していただければと思います!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。