仮面ライダー剣~The earthly World~   作:龍騎鯖威武

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第3話「男の本気」

 

 

ルリが留美奈の家に無事帰され、2日が過ぎた。

剣斗は仮面ライダーやアンデッド、BOARDのことを説明した。

「…現時点で残ってるアンデッドは、3分の1くらいだ。うちの上級アンデッドは、詳細不明のハート以外は、スペードとダイヤがそれぞれJとK、クラブがQとKが解放されている。スペードとダイヤのカテゴリーQは、おれが所持している。クラブのカテゴリJは、レンゲルの資格者候補である、おれの先輩が持ってるんだが…」

そう言って見せたのは「アブゾーブカプリコーン」「アブゾーブサーペント」の二枚。そして、机の上にはブレイバックルとギャレンバックルがあった。

「兎も角、ギャレンの資格者を見つけたい。協力してくれ」

「どうやって見つけるんですか?」

銀之助の言葉で、剣斗はギャレンバックルを手に取る。

「仮面ライダーに変身できる人物は、アンデッドとの融合係数が高い者が当てはまる。それを計測するには…変身してもらうしかない」

つまり、やってみなければわからないということだ。BOARDを裏切ってしまったような事をした今、あの組織を利用する事も出来ないだろう。

だが留美奈達にとって、

「もし、変身してみて、融合係数が低かったら…?」

「まぁ…おれの先輩は、ブレイドのオリハルコンエレメントに弾き飛ばされただけだった。基本的には弾き飛ばされるだけだが、酷いときは…」

 

「体の一部を失った人もいる」

 

「「「「!?」」」」

剣斗以外の4人は驚愕した。下手をしたら、体の一部を失うなどとんでもない。これからの戦いや生活に支障が出るし、なにより恐ろしい。

「おまえ達の中で、それでもやれるってヤツはいるか?」

全員、顔を見合わせる。実際、留美奈やチェルシーは戦う事は出来るため、これをしなくとも平気かもしれないが、仮面ライダーの力を得られるならば、貴重な戦力になれる。

しかし、失敗すれば取り返しのつかない事になる。

その覚悟は…。

 

「わたし、やってみます…!」

 

ルリにあった。

「ルリ様!どれだけ危険か、ご理解していますか!?下手をすれば、とんでもない事になるんですよ!?」

「分かってます!でも…いつもわたしは守ってもらってばかり…。だから…!」

剣斗は黙って、それを聞いていた。

「ずっと…助けてもらったり、守ってもらったりしているだけじゃ…。みんなが傷つくのに、いつもわたしだけ黙ってみているだけなんて…!」

「ルリ…」

彼女のために、留美奈たちは傷ついたりした。もう、こんな思いはしたくない。だから彼らと共に戦いたい。

「苦しみを共有すれば良いのか?」

「え…?」

「確かに、自分だけ何も出来ないもどかしさというのは分かる。仮にギャレンになって、こいつらと一緒に傷つけば、それで満足か?」

剣斗には、彼女の決意は傷の舐めあいを求めているように感じられた。共にいるが、それを共有できない事の孤独。そう感じ取れた。

「そんなことはっ!」

「その決意が本当かどうか…自分で確かめろ」

ルリの前にギャレンバックルを置き、彼女の反応を伺う。

ゆっくりとだが右手を伸ばし、ギャレンバックルを握り締める。

 

 

 

外に出て、ルリはギャレンバックルを構える。

隣にいる剣斗がダイヤのカテゴリーA「チェンジスタッグ」を手渡した。

「使い方はブレイドとなんら変わらない。そのカードをギャレンバックルに装着して、腰に当てろ」

「はい…!」

ルリは言われたとおりの動作を行い、腰にベルトを作り出した。

留美奈が、彼女の両肩を持つ。

「ルリ…本当に大丈夫か?」

「…大丈夫です」

僅かながら声は震えていたが、力強さはあった。

留美奈は頷くと、彼女からゆっくりと離れる。

「…変身!!」

<TURN-UP>

バックルが青く光り輝き、オリハルコンエレメントが現れ、ゆっくりとルリに向かっていく。

彼女は両手を上げ、それを待つ。…だが、震えていた。

「…っ!」

「バカが…!」

ドンッ!

ふと、彼女が目を閉じて顔を背けた瞬間、剣斗は彼女を突き飛ばし、オリハルコンエレメントを受け止めた。

バリイイィッ!!

「ぐあああああああぁっ!?」

その衝撃で剣斗は吹き飛び、地面を転がった。

「剣斗さん!?」「おい、剣斗!しっかりしろ!」

全員は不安そうに近寄り、剣斗を揺する。彼の体は失われておらず、安堵はあった。

「う…くぅ…」

腕を庇いながら剣斗は目を覚まして立ち上がり、ルリを睨んだ。

彼女は先ほどのことを思い出し、目を伏せた。

「オリハルコンエレメントを潜らなければ、ギャレンにはなれない。それに怯えてるようじゃ、戦ったとしても負けは確実だ」

剣斗は、ルリが一瞬でもオリハルコンエレメントから目を背けるならば、中断させるつもりだった。それに目を背けるようならば、戦いの覚悟など不十分だ。

「虚勢を張るな。生きて戦う気が無いなら、せめてその身を大事にしろ」

そう言って、剣斗は踵を返す。

彼の視線から解放されたルリは、地面にひざを折って崩れ落ちた。

「ルリ様!」「ルリ!」

留美奈達が彼女を支えると、彼女が泣いていることに気がついた。

「ごめんなさい…やっぱり…怖かったです…」

「怖くて良いんだ!おまえは戦わなくていい!」「わたし達は、貴女が戦わないために戦っているんです」

彼女の罪悪感を取り去るべく、優しく諭すが、彼女はずっと泣き続けていた。

そして、それを少し離れた場所で見ている剣斗と銀之助。

「剣斗さん、やっぱり…言い過ぎたんじゃ…」

「生ぬるい言葉を言って、取り返しのつかない事にしたいか?」

「い、いや…そんなことは…」

銀之助も、剣斗の睨みに怯え口ごもってしまった。

 

 

 

そのころ、町で一体のアンデッドが暴れていた。

「ツウウウゥッ!!」

蜘蛛のような姿、緑の体に紫の瞳。スパイダーアンデッドだ。

彼は口から大量の子蜘蛛を吐き、人間を襲っている。

「ヌオオオオオオオオオォッ!!」

 

「*#$&?#%”…スパイダー」

 

不意に聞こえた謎の声。

振り返ると…カリスが立っている。

「%$”#@>。…カリス¥+^」

「+*”&%*?<△×」

互いに人間の知る由もない言語を喋っている。アンデッド同士で交わされている言語であるのだろう。

「{@!&:/.}[-;※…。$&%<…レンゲル」

「レンゲル…?」

彼らの会話で聞き取れるのは、カリスとレンゲルという言葉だけである。

スパイダーはレンゲルという言葉を聞き、首をかしげる。

その様子を見て、カリスは踵を返して姿を消した。

「レンゲル…」

スパイダーは、カリスの残していていった言葉を復唱し、ある考えが浮かんだ。

 

 

 

ふと、テレビで流れた臨時速報を見て、剣斗はブルースペイダーに乗る。

「アンデッドか!?」

留美奈も彼に近づいてきた。小鳥丸を左手に抱えて。

「来るか?さっきの報道を見たところ、今回のアンデッドは、今までよりも手強いぞ」

「そんなことで怖気づけるかよ!ルリを守らなくちゃいけないんだ…!」

「二人だけで抜け駆けは許さんぞ!」

今までのように戦う際の服装に身をまとったチェルシーも集まる。

「覚悟は良いか?」

剣斗の問いに二人は頷く。

「行くぞ!」

 

 

 

「ちょ~っとまったぁ!」

 

 

 

ふと、快活な男の声が聞こえた。

声の下方向を向くと、留美奈の家の屋根に、多くの荷物を抱えた男が立っていた。

「なに…?」「どうしたんですか…!?」

ルリと銀之助もその声に導かれて、外に出てきた。

「とうっ!」

男は大量の荷物を抱えているとは思えない身軽な動きで屋根を跳び、地面に着地する。

「でぇ~っかくてイカした色男が今…帰ってきたぜぇっ!」

アロハシャツにサングラス、カウボーイハットと常夏の土地を旅したような風貌だ。

「ノゾムさん!?」

「久しいな剣斗!寂しかっただろ?隠すな。お、そこのメガネ君、荷物持ってくれ!」

「あ、はい」

ノゾムと呼ばれた男の雰囲気に流され、銀之助は大量の荷物を受け取るが…。

ドォッ!

「うわあぁ!?」

まるで持ち上がらない。銀之助は逆に地面に叩きつけられてしまった。

「重いぜ?ほぉらよ、お土産だ!まだまだあるぞぉ!」

荷物からいろんな各国の名産品や名物を取り出して、剣斗や留美奈達に押し付ける。倒れている銀之助には、適当に上から乗っける。

「だれ…?」

「BOARDの先輩で、レンゲルの最有力資格者候補だ…!」

剣斗は彼を見て、驚いたような表情になった。おチャラけているようだが、実力は確かのようだ。

「雲間ノゾム、よぉろしく!んでおまえ達、BOARDの新入り?」

ノゾムは留美奈達を見るのは初めてで、剣斗と共にいるところからBOARDの構成メンバーだと勘違いする。なにしろ、剣斗はBOARD以外での人との付き合いがほぼ皆無。彼が人と関わるならば、BOARDの人間だと考えたからだ。

「いや、彼らはBOARDの構成メンバーではありません。実は…」

剣斗は、彼らとであったこと、ルリがBOARDに狙われていること、地下世界の存在などの2日で起こったことを伝えた。

「BOARDがねぇ…。まぁ、胡散臭い組織だとは思ってたが、予想はハズレ無しってとこか」

意外と、落ち着いた雰囲気でその事実を受け止めた。

「ノゾムさんはどうします?BOARDに残らなければ、カテゴリーAを封印したとしてもレンゲルにはなれないと思いますが…」

「確かにな…。とりあえず、おれはBOARDに従ってるフリをする。レンゲルになり次第、抜ける。こんなのはどうだ?」

感づかれる可能性も否めはしないが、たしかにそのやり方が一番懸命かも知れない。ノゾムの判断は妥当なものだ。

「とにかく、おれ達はアンデッドを封印します。ノゾムさんは、BOARDに戻ってください」

「了解。まぁ、頑張れや」

彼はのんきに手を振りながら、BOARDまで帰還する事にした。

一方の剣斗たちは、アンデッドの捜索を改めて始める事にした。

 

 

 

報道のあった場所に向かうと、破壊された町並みの中心にアンデッドがいた。

その姿を見るなり、剣斗は息を呑む。

「ムウウゥ…!」

「カテゴリーA…スパイダーアンデッド!?」

「それって、さっき言ってたレンゲルの変身に必要なやつ…!」

噂をすれば何とやらだ。ノゾムの帰還と同じタイミングでスパイダーが出現した。

これを封印すれば、ノゾムは「仮面ライダーレンゲル」として戦える。

「…こいつを封印すれば!」

ブレイバックルにラウズカードを挿入し、ベルトを作り出し、意気込んで構えた。

「変身っ!!」

<TURN-UP>

オリハルコンエレメントをスパイダーは避ける。剣斗はそれを潜り抜けてブレイドに変身し、スパイダーの後を追いかけ始めた。

「チェルシー!おれ達も剣斗に協力するぞ!」

「そうね…!」

留美奈とチェルシーもブレイドに続く。ルリと銀之助は、じっと待っている事しか出来なかった。

「また…何も出来ないんですね、わたし…」

「ルリさん…」

 

 

 

スパイダーは腕から発射される蜘蛛の糸を自在に操り、建物から建物へと凄まじい速さで動いている。

「こんのやろ!いい加減、降りて来い!」

留美奈はヤケクソに風の力を使って小鳥丸を振り回す。

「あのスピードでは攻撃があたらん…。どうする…?」

自問自答していたところに、チェルシーが歩み出た。

「わたしに任せて。はあああああああぁっ!!」

右手の黒い塊をスパイダーに放つと、直撃もしていないのに、スパイダーは動きを鈍らせる。

ゴオオオオオオォッ!!

「ヌウウゥ!?」

その作用にスパイダーも様子がおかしくなった。

「これは…!?」

「わたしの能力は重力。対象としたモノを重くしたり軽くしたり出来る。攻撃の瞬間に、拳を重くした一撃みたいに工夫もしてるの」

ブレイドはその能力の強力さに驚く。

「仮面ライダーのように多彩な力は使えんが、その一極化した能力は強力だな…!」

感心したところでブレイラウザーを構え、スパイダーに追撃を仕掛けていく。

だが…。

「ツアアアァッ!!」

スパイダーは口から大量の子蜘蛛を吐き出した。

「ううぅっ!?」

ブレイドのスーツは子蜘蛛の影響を受けるわけではない。だが、いきなりなぞの物体が視界いっぱいに広がったために、彼は目をくらませる。

「フウウゥン!」

ドゴオオオオォッ!!

「がはああぁっ!?」

その隙を突かれ、スパイダーの強力な一撃を受けた。

「くそ…強力なうえに頭が良いのか…!?」

ブレイドは今までのアンデッドとの戦いで、目くらましなどの攻撃を受ける事はなかった。なんども単調な攻撃のみばかりを繰り出されていたからだ。

ふと、先ほどの子蜘蛛の攻撃を思い出す。

「…まさか!?留美奈、チェルシー!ルリ達の場所に戻れ!!」

「どうして…!?」

「さっきの子蜘蛛だ!!早くしろ!!」

彼の言葉で、事の重大さを理解し、急いでもとの場所に戻る。

 

 

 

そのころ、すでにルリと銀之助の前には、無数の子蜘蛛が溢れかえっていた。

「銀之助さん…!」

「ど、どうしよう…。練氣銃はもうないし…!」

万事休す。だが、銀之助にあることが浮かんだ。危険かもしれないが、このまま殺されるよりは良い。

「ルリさん、ギャレンバックルを!」

「え…まさか!?」

最後の賭けだ。

ギャレンバックルを腰に装着するが、彼の脳裏に剣斗の言葉が浮かぶ。

 

~体の一部を失った者もいる~

 

怖くないわけが無い。

だが、このままでは…。

「…変身っ!!」

<TURN-UP>

勇気を振り絞ってギャレンバックルを操作し、オリハルコンエレメントを生み出した。

それは一部の子蜘蛛たちを弾き飛ばし、銀之助の前に向かってくる。

「…あああああああああああああああああああああああああああああああぁっ!!!」

青い光の壁が銀之助の視界を奪う。

なにも衝撃は感じなかった。目の前にあったオリハルコンエレメントも無い。

手を見ると、くすんだ赤に染まっていた。

「これが…!?」

「銀之助さんが…変身した!」

そう、銀之助は適合率が合致していた。

 

 

 

彼は「仮面ライダーギャレン」へと至った。

 

 

 

使い方は、右腰にあるギャレンラウザーを見れば一目瞭然だ。

それを握り締めて腰のホルスターから引き抜く。

「うわああああああああああぁっ!!!」

ダンッ!ダンッ!ダンッ!

一発一発が確実に子蜘蛛を消していくが、それだけでは足りない。

カーホルダーを開き、カテゴリー6のカードをラウズした。

<FIRE>

その瞬間、ギャレンラウザーの銃口から灼熱の炎があふれ出し、子蜘蛛達を焼却していく。

時間は3分と掛からず、無数の子蜘蛛を一掃する事に成功した。

「これが…仮面ライダーの力…!!」

ギャレンは両手を見つめて呟く。

ちょうどそのとき、留美奈達もそこに駆けつけた。

「あれって…仮面ライダー…!まさか、銀之助!?」

留美奈達のそれぞれの視界の中心に、ギャレンが映っていた。

 

 

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

 

 

次回!

 

                          カテゴリーAは逃がしたか…!

 

ブレイドにギャレン。BOARDのWライダーだ。

 

                          そろそろ、おれの出番かぁ?

 

今、そのアンデッドを封印すれば…厄介な事になる

 

                          仮面ライダーレンゲル!ここに登場!

 

 

 

 

第4話「邪悪なお調子者」

 

 

今、その力が全開する…!

 

 

 

 

 




キャスト

斬崎剣斗=仮面ライダーブレイド

浅葱留美奈

ルリ・サラサ

チェルシー・ローレック
五十鈴銀之助=仮面ライダーギャレン

雲間ノゾム

???=仮面ライダーカリス


あとがき
いかがでしたか?
ここ最近、更新速度が遅いですね…(汗)。ヤバイです…。
さて、今回から銀之助君がギャレンに変身です!原作とは違い、ブレイドにとっては、ギャレンが後輩で、レンゲルが先輩なんです!
次回はレンゲルが登場!20話完結なので、とにかく急いでアンデッドやライダーを消化しないと…。
次回もお楽しみに!



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