東方桃玉魔 〜ピンクの悪魔が跳ねる時、幻想郷は恐怖に慄く〜   作:糖分99%

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舞台紅魔館でイラストも描くけど、面倒だから紅魔館描きたくないなー。









あ、そうだ(唐突)





Xmas特別幕間・幻想郷に遍く紅を ☆

「今年も“私の日”がやって来たわ!」

「恐れながら、お嬢様の生誕記念日はまだまだ先では?」

 

 起きて開口一番、そのような妄言を吐く幼女。

 ボブカットの髪は青く、身に纏うのは淡いピンクのドレス。

 あどけないながらも美しさを持つ顔は将来を約束されたようなものだが、しかしその将来は来ることはないだろう。

 それを何よりも表すのは、背中。

 生えた蝙蝠の翼は幼女が成長し老いて死ぬ人間ではないことを示していた。

 そう、彼女は五百の時を生きた吸血鬼、レミリア・スカーレット。人の血を啜る悪鬼である。

 

 それに仕えるのはもみあげの辺りを三つ編みにした短めの銀髪、その上に乗ったホワイトブリム、純白の前掛けと、典型的なメイドの姿をした女性、十六夜咲夜。

 レミリアが隣に居るために大人びて見えるが、彼女は二十歳にも達していない若者である。

 

 500歳児吸血鬼に仕える未成年人間メイドという、なんともミスマッチな組み合わせだが、この幻想郷ではよくよく見られる光景である。

 そもそも、この幻想郷では常識にとらわれてはいけない。どこぞの緑の巫女のように振り切った方が幸せである。

 

「違う違う。誕生日じゃなくて、今日はクリスマスでしょう?」

「はい。正確には前夜ですが」

「つまりは私の日、ってことじゃない」

「……申し訳ありません。説明をお願いします」

「だって今日はどこもかしこも紅いものを飾る日でしょう? なら私の日と言って差し支えないでしょう?」

 

 何言ってんだこの500歳児。

 

 なんて感情が湧いたのか否か、咲夜は若干呆れが混じった声でクリスマスとは何かを説明する。

 

「お嬢様、クリスマスはイエスキリストの生誕祭のことでございます。そしてどの家も赤いものを飾るのは聖者ニコラスをモデルとしたサンタクロースが赤い服装をしているからで、決してお嬢様を示し表したものではありません」

「知ってるわよ、それくらい。でも世の中は赤に染まる。つまりは私の色に染まるのよ? ならやっぱり私の日じゃない」

「そんなことを言うと、キリシタンに滅せられますよ」

「怖くなんかないわよ、キリシタンなんか」

「一部の者は怖いですよ? 両手にバヨネットを持って十字を組んで『Amen!!』と叫んで人外や異教徒を狂ったように切ってまわる神父のおっさんがいるとか」

「なんでバヨネットなのよ。ていうか、なんで吸血鬼は十字架とか恐れることになってるの? 私はキリシタンなんか怖くないし、クリスマスは私の日で確定よ?」

 

 もう何も言うまい。

 レミリアがそう思っているなら妄想しておこう。これ以上はどうこう言っても無駄だろう。

 咲夜は目を閉じて力なくゆっくり首を横に振る。

 しかしそんなの御構い無しにレミリアのマシンガントークは止まらない。弾無限のコスモガンか何かだろうか?

 

「で、せっかくだから私も一発大きいのやってやろうと思ってね」

「また紅い霧でも出されるので?」

「確かにそれは幻想郷中に広まるけど……一回やったことだし、インパクトに欠けるのよねー」

「では、何を?」

 

 その言葉を待っていた、と言わんばかりに、レミリアの口角は上がり鋭い犬歯が覗く。

 

「花火よ。紅い紅い花火を打ち上げるの」

「花火は夏のものでは? 季節外れではありませんか?」

「そんなことないでしょう? 大陸では新年に爆竹で煙くなるし、西洋の大陸では新年に花火が打ち上がるんでしょ? 同じ冬のクリスマスに花火を打ち上げてもいいでしょ」

「そう言うものでしょうか……?」

 

 なんだかうまいこと屁理屈を並べられて丸め込まれた気がする。

 しかしレミリアは思案する咲夜を強引に引っ張り、ある場所へ向かう。

 

「さ、そうと決まったら作ってもらいましょ」

「誰に、ですか?」

「決まってるでしょ? パチェよ」

「まぁ、そんな気はしておりました」

 

 

●○●○●

 

 

「あら、奇遇ね。既に同じ考えに至った愉快な子達が来ているわよ」

 

 紅魔館地下の図書館の主の魔女であるパチュリー・ノーレッジは、咲夜とレミリアからの説明を受けてこう返事を返した。

 

 少し特異な形をしたモブキャップに紫のネグリジェを着込み、紫色の長髪で隠れた顔はいつも不健康そうに見える。

 しかし今回はなにか心労が溜まっているのか、更に不健康に見える。

 

「どう言うこと?」

「先に花火を作って打ち上げようと考えたバカがここに来てるのよ」

「あら、お嬢様か一番乗りではないのですね。残念でしたね」

「そんなことで諦めると思って? ならそいつより良いものを作るのみよ。……あと、遠回しに貶してない?」

「気のせいです」

 

 レミリアが睨めば、咲夜は澄ました顔でこちらを見つめる。

 埒があかないと感じたレミリアはとっとと話を進めることにする。

 

「で、誰なの先客は」

「あそこよ」

「よっ、レミリア。久しぶりだな!」

「ぽよ!」

 

 パチュリーに呼ばれた先客は本と器具の山の間から容器に返事をする。

 そこにいるのは黒い三角帽子の魔法使い、霧雨魔理沙と桃色玉のカービィのコンビだった。

 既に花火玉らしき物が机にいくつか置かれており後は打ち上げるだけとなっている。

 

「魔理沙? それにカービィ? なんでいるのよ」

「なんだって今日は聖夜だからな! 夜空にデカい星型花火でも打ち上げてやろうと思ってな!」

「ぷよ!」

 

 こちらに至ってはもはや動機と行動が支離滅裂である。魔理沙の中では『聖夜』と『星』と『花火』の間に何か整合性の取れた繋がりがあるのだろうが、他の者にはさっぱりわからない。

 

 なんかまた厄介なことになってきた。

 

 そう咲夜が思った時。

 

「あら、面白そうね。その星は紅いのかしら?」

 

 500歳児が食いついた。

 

「いや、黄色だぜ?」

「あら、それじゃあダメね。紅に変えなさい。じゃないと打ち上げは認めないわ」

「えー! なんでだよ。星は黄色が普通だろ!」

「うぃ!」

 

 しかもどうでも良い議論が巻き起こり始めた。

 

 もうダメだ。ここまで軌道が狂ってしまった以上、私にはこの狂った軌道に乗る以外の道はない。

 

 咲夜は全てを諦め、レミリアと魔理沙(とカービィ)の花火の色議論に加わった。

 

 

●○●○●

 

 

「ふふふ、ついに、ついに完成したわ!」

「うっわ……なんか変なことしてる」

「あらフラン、来てたの?」

 

 レミリアの『紅い星の赤はクリスマスカラーでもあるから何ら不自然ではない』という意見が勝ち、紅い星を打ち上げる花火玉が完成したその時、ふらりと珍しい客、フランドールが現れた。

 

「ねぇお姉様、それなに?」

「なにって、分からないの? 花火よ花火」

「うげ、火薬……また紅魔館爆発するよ?」

「なんでよ。ここで打ち上げるわけないでしょ? 見晴らしのいい妖怪の山から打ち上げるの」

「いや、そういうことじゃないでしょ……」

 

 爆発物という危険物を前に、フランは若干身動ぎする。爆発して四肢が吹き飛んでも再生する吸血鬼が何故こうも花火如きを恐れるのか?

 

「妹様、大丈夫でございます。パチュリー様が軌道計算をし、確実に紅魔館に落ちないよう打ち上げますので」

「何度かシミュレーションしたけど、離れた妖怪の山から打ち上げてここに落ちる確率は万に一つもないわ」

「だからそういうのがマズイんだって!」

「なにを神経質になってるんだ? 大丈夫って言ってるんだから大丈夫だろ?」

「うぃうぃ」

「しまった、味方がいない」

 

 一体フランはなにを怯えているのか?

 

 そんな感情が皆の中で渦巻く。

 しかしそんな事気にせずレミリアは天啓の如きアイデアを思いつく。

 

「あ、そういえばカービィって確か、食べたりしたものの性質を自分に昇華して取り入れたりするわよね?」

「そんな感じだったな」

「うぃ」

「ならこの花火玉を食べたら更に派手になりそうじゃない?」

 

 まさに天啓である。

 

「なにが天啓だコラ」

「妹様、一体どこに向かって話されているので?」

「いや、ちょっと無性に第四の壁を破壊したくなって」

 

 そしてなにやら騒ぎ始めたフランを見た魔理沙が更にアイデアを思いつく。

 

「それならフランと一緒にコピーしたらどうだ? あいつの弾幕も派手だし、相当派手になりそうだぜ?」

「オイコラ白黒」

「なるほど、良いわね。たまには妹も有効活用しないと」

「オイコラ馬鹿姉」

「あら、魔理沙もただ無駄に魔導書を盗ってたわけじゃないのね」

「オイコラ紫もやし。ていうか魔導書と関係ないでしょ」

「では早速準備をしましょうか。確か風呂敷を飲むと食べずとも性質の複製ができるのでしょう? これをどうぞ」

「お、助かるぜ」

「ぽよ!」

「オイコラ冥土。なんでこういう時に限って準備がいいのよ。カービィ、あなたが、あなたが協力さえしなければ……!」

「ぽよ?」

「……ダメだ、分かってない」

 

 フランの抵抗虚しく、二尺玉を超える大きさの花火玉を持たされたフランは、風呂敷を飲み込んで金属製のバイザーを被った姿になったカービィの前に立たされる。

 

「ねぇ、マズイって。絶対ロクな結果にならないって」

「大丈夫大丈夫。さ、カービィお願い」

「ぽよ!」

 

 レミリアの号令下、カービィはバイザーから光を発する。

 フランと花火玉をスキャンしたカービィはその身に光を纏い……姿を変える。

 現れたのは眩く光を放つ王冠を被った姿のカービィ。その光は消して光の反射などではなく、王冠そのものが輝いているようだった。

 

「お、中々ゴージャスだな」

「ふふふ、いいものを見せてくれそうだわ」

「うっわ……もうダメだこれ。最悪の展開しか見えない」

 

 コピーの結果に満足そうなレミリアと魔理沙。

 

 と、ここでカービィが何かを感じ取った。

 そう、それは思念のようなもの。

 遥か彼方……時空と次元を超えた、ディスプレイから送られる『今だ! やれ!』『やっちゃえ!』『爆発! 爆発!』という心の声。

 

「ちょ、ちょっと待ってって!?」

 

 その思念は『運命の神』のものなのだろうか。

 それとも、もっとありふれた者達の、我々を見つめる者達の、総意なのか。

 

「ん、なんだ? カービィの姿が光って……?」

「あら、やっぱり失敗? 残念ね」

「大丈夫ですよお嬢様。元の花火玉はちゃんと残ってますので」

「なんであんたらはそんなに能天気なの!?」

 

 その思念に突き動かされるように、カービィは力を込めた。

 

 

●○●○●

 

 

 誰もが幸福を祈る聖夜。

 

 その聖夜に運命の唄が響いた。

 

 運命とはとかく平等であり……いや、もうよそう。

 

 最早、誰しもが分かりきったことである。

 

 この運命だけは変えられないと。

 

 そして変えられないからこそ、運命であると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館は爆発した。

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 




でしょうね(笑)


とりあえず、イラスト中のレミリアの御言葉を胸に生きていきましょうかね(笑)


何はともあれ、紅魔館爆ぜるべし。
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