仮面ライダーアギト~The under Ground~   作:龍騎鯖威武

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第1話「3人の物語」

 

 

気がつくと、彼は生活していた。

まるで、それがずっと続いていたように。生活の全てが理解できていた。

だが…過去が分からない。どこで生まれ、どこで育ち、どのように生きてきたのか。

 

 

 

彼の名は「ヒカル」。

 

 

 

この物語の主軸だ。

彼は生活を本能的なものにより、理解できていた。

種を植えると、野菜が育ち、果物が育つ。それらを採り、調理して食す。栄養が体に満ち、生きる活力となる。そうして人は生きていく。

それらは理解できていた。

それだけで充分であった。

 

なのに…。

 

「ヒカル!」

ここ最近、小さな少女がよく現れては、ヒカルに突っかかる。

彼にとって少女「シエル・メサイア」は、静かな空間に鳴り響く雑音だ。

「ほら、こんなところ引きこもってちゃダメよ!」

「…うん」

適当に返す。だが、その後に失敗だった事に気づき後悔した。

「もぉ…また上の空!このアンダーグラウンドも結構、良い所なんだから、外に出てみようよ!」

「あ…!」

野菜の水やりも中途半端であったのに、彼女の言葉には勝てず、手を引かれた。

彼が記憶を失って以来「空」というものを見ていない。

ここは「アンダーグラウンド」と呼ばれる、地下世界だ。以前は「公司」と呼ばれる組織が居たらしいが、今はほぼ壊滅。現状は平穏そのものらしい。

 

 

 

別の場所。

「ここね…地下世界」

二人の黒服の男女が地下に訪問する。傍らには巨大なトレーラーがある。

彼らの名は「歌葺陽太郎」と「八代愛華」。政府の要人である

「…せっかくの休暇だってぇのに、こんな場所で調査するって言うのかよ…」

陽太郎は意気消沈状態。なにせ、彼の役職的に休みは少ない。貴重な休みを奪われた上に、こんな重苦しい世界の調査を任されたからだ。

「はいはい、黙ってなさい!Gトレーラーに乗り込むわよ。外の酸素状態の確認が出来れば、あまり出なくてよろしい!なにせ、あなたはG3の貴重な装着員であり、わたしの唯一無二のパートナーであるの!」

「了解しました…」

早速、トレーラーに乗り込み、進行を再開した。

 

 

 

緑色のバイクをふかし、地下世界を自由気ままに移動している男が居た。

彼の名は「シハ」。

親なし、恋人なし、友なし、知り合いなし、荷物なし。

何も持たない自由人である。

だが…彼の体はそうも行かなかった。

「あぁ…また老化か…」

グローブを外して手を見つめると、まるで老人のようにシワだらけになっている。

これは彼の体に起こった現象による拒絶反応だ。

その形から、本人は「老化」と呼んでいる。

「だがまぁ…こんな楽しい生活は、これが無きゃ得られなかったしなぁ…悩みどころといったところか…」

彼は老化に対して嫌悪感も示しているが、同時に致し方ないと受け入れる様子も見受けられる。

その痛みに変えても、彼にとって得なものが存在するようだ。

 

 

 

そんな世界を傍観している青年が居た。

「…異物というものを隔離すれば、そこに異物が溜まる。浄化を始めるのが遅すぎたようですね」

彼は焦るような言葉を言うが、口調は全く焦っているようには聞こえない。落ち着き払った声だ。

 

彼の名は「トーマ」。

 

この世界における「神」と等しき存在である。

「まずは…貴方から、お願いできますか?」

後ろを見ると、そこに居たのは異形の存在。

アンノウンのジャガーロードが軽く頷いた。

「人とは、始祖の支配者を決める争いで勝ち残った私の子。神の祝福を受けた子を殺すというのは…悲しいものですね」

傍観し続ける青年は、無感情な様子で呟く。

「ですが…責めて愛せるうちに」

 

 

 

ふと、ヒカルは立ち止まる。

「どしたの?」

シエルが気になって尋ねてみると、ヒカルは崩れ落ち、頭を抱え始めた。

「ヒカル!?」

「…!」

頭痛だ。だが、倒れたり気を失うような激痛ではない。なぜか体から力が抜け倒れたのだ。

「…治った」

すぐに頭痛は治まる。

それと同時に…。

 

シィン…!

 

何かがヒカルの脳裏をよぎる。

表現する事は難しい。脳内で映像や音が再生されたわけではない。

ただ、行かなければならないという、強い感情に揺り動かされたといったようなところか。

「行かなくちゃ…!」

「ちょっと、どこに!?」

突如走り始めたヒカル。その速度は信じられないほど速く、シエルはすぐに見失ってしまった。

 

 

 

ジャガーロードは一つの目的を決めて、歩き続けている。

人の域を超えた人の抹殺という目的のため。

そこに…。

「ム…?」

ヒカルがやってきた。あれだけの速度で走ったというのに、息切れも無い。

彼は、頭の中で流れる感覚を頼りに構える。

すると、腰に赤いベルトと金色の石が埋め込まれた「オルタリング」が出現する。

「ハァァァァァァァ…」

ゆっくりと右腕を前に突き出し…。

 

「…変身!!」

 

そう叫んで、両サイドバックルを叩く。

彼の体は見る見る、金色の光に包まれる。

「…アギト…!」

ジャガーロードは忌々しそうに呟く。

光が消えると、ヒカルの体は人のものではなくなっていた。

金色の角と鎧、赤い瞳に黒い肌。

 

 

 

「仮面ライダーアギト」の誕生である。

 

 

 

「…アギトォッ…!」

「フンッ!」

さらに呟くジャガーロードに対し、アギトGFは構えながらゆっくりと動く。

まるで、長い間戦っている歴戦の戦士のような動きだ。

「グオオオオォッ!!」

「タアアァッ!!」

ドゴッ!!

ジャガーロードが襲い掛かるも、アギトGFは全く焦る事も無く避け、避ける際に敵の鳩尾に拳を叩き込んだ。

その威力は豪胆にして強力。ジャガーロードは腹を抑えて倒れこんだ。

「グウゥッ…!」

劣勢を感じてか、ジャガーロードは赤と青のジャガーロードを呼び出した。

3対1。

非常に不利である。

「フンッ…!」

 

少し離れた場所で、それを目撃した者が居た。

陽太郎と愛華である。

「あれは…。陽太郎、さっそくG3の力を見せ付けるときよ!」

「どっちの味方をするんだよ!?」

GトレーラーでG3装着の準備を始めながら、陽太郎は聞く。

「こういうときは、不利でヒーローっぽい方に味方すると道理は決まってるの!あの金色の角の味方をするわよ!」

「…本当に調査は大丈夫か…?」

小さく呟きながら、G3のスーツを着込み、各部位の鎧を装着していく。

そしてメットを装着し、形を整える。

「ちょっとブカブカなんだが…」

「オートフィット機能が付くまで、それで我慢して!GM-01も解除しておくわ!さぁG3!出動!」

 

さらに別の場所で、シハがアギトGFの戦いを見ていた。

「おぉ!お仲間か!」

彼はアギトGFを見るなり、嬉しそうに呟く。

「だが、多勢に無勢…。ここはひとまず、助太刀か?」

立ち上がり、腕をクロスさせて開く。その途端、シハのおちゃらけた様子から一転、鋭い目つきに変わる。

「変身ッ!!」

彼の隣に緑色の異形が現れる。そしてシハがどんどん消えていく。

シハは変身したのだ…「仮面ライダーギルス」へと。

「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」

 

「クッ…!」

防戦に持ち込まれたアギトGF。なんとか反撃のチャンスを試みようとするが、相手は3体。どれかに集中すれば、別の固体から攻撃を受ける。戦法は残されていない。

そこに…。

ダァンッ!

「グウッ!?」

銃声が聞こえ、一体のジャガーロードが後退した。

「…?」

後ろを振り返ると、青い鎧をつけた戦士「仮面ライダーG3」が立っていた。

その右手には「GM-01・スコーピオン」が握られている。

「よぉ!手助けしてやるからよ!ありがたく思えよな!」

「…!」

どうやら、味方らしい。友好的な様子から、力を貸してくれるようだ。軽く頷く。

「グルゥ…!」

忌々しそうにジャガーロードが唸る。

さらに新手が現れた。

「ウオオオオオオオォゥッ!!!」

ドガアアアァッ!!

その者は青いジャガーロードに飛び掛り、地面に叩きつける。土が強く抉られる。

「ウガアアアアアアアアアアアアァッ!!!」

そこからジャンプしながら離れて距離を置き、アギトGFとG3の傍らに立つ。

「…仲間よ、力を貸す!」

彼も味方と判断し、アギトGF、G3、ギルスの3体が、ジャガーロードたちの前に立つ。

まるで雄雄しき戦士だ。

その姿に、ジャガーロード達は恐れおののく。

そして、動き出した。

『陽太郎!GG-02、使用許可!一気に片付けなさい!』

ギルスの踵から突起物が生え、G3はGM-01に追加パーツを組み合わせ「GG-02・サラマンダー」を組み立てて構える。

アギトGFのクロスホーンは2本から6本へと展開され、ゆっくりと構える。すると、彼の足元にアギトの顔を模したような紋章が現れる。

「ハアアアアアアアァッ…!」

「くらえ、この豹がぁ!!」

「ウオオオオォゥ!!」

ドォンッ!!!ガッ!!!

G3はGG-O2のグレネードランチャーを発射し、ジャガーロードの胸に命中する。

「ウゴオオォッ!?」

ギルスは踵をジャガーロードに突きたて、アギトGFは地面を強く蹴る。

「タアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!」

「ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!」

アギトGFのライダーキックと、ギルスのギルスヒールクロウが2体のジャガーロードに突き立てられた。

ドガアアアアアアアアアァッ!!!

ギルスとアギトGFは、敵を蹴った後、距離を置いてゆっくりと佇む。

すると3体のジャガーロードの頭上に、光の輪「エンジェルハイロゥ」が現れる。

アンノウンの死が訪れる瞬間だ。

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオォンッ!!!

大きな爆発が起こり、ジャガーロード達は跡形も無く消え去ってしまった。

 

 

 

爆発の音を聞きつけ、シエルがやってきた。

「あれは…!?」

目の前に居るのは、3人の仮面ライダー。アギト、G3、ギルスだ。

うちのG3は通信機に手を当てる。

「目標は撃破。これよりGトレーラーへ戻る」

通信を終えると、少し離れた場所に止めていた「ガードチェイサー」に跨り、どこかへと走り去っていった。

ギルスはアギトGFの肩に手を置いて言う。

「またどこかで会おうな。おれ達は同種だ」

短くそう伝えると、地面を蹴って飛び去った。

その場所に…。

「なんだよ、あれ…!?」

 

ある一人の少年「テイル・アシュフォード」がいることも知らずに。

 

残されたのは、アギトGFとシエル。

ずっと長い間、沈黙を続けていた2人。

それが1分なのか1時間なのか、分からなくなるほど長く感じられた。

しばらくして、アギトGFは踵を返して歩き去る。

「まちなさいよ!あなたは誰!?」

アギトGFはその質問には答えず、暗がりへと消えていった。

 

 

 

トーマはその様子を遠くから見ていた。

「彼らではダメでしたね…。しかし、これで諦めるわけにはいきません。アギトの誕生をこれ以上、増やさないためにも…」

自分の手下が敗れたというのに、まったく表情も口調も変えず、淡々と喋り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

                          地下世界で、そんな事があったのか!

 

あんた…あの緑のヤツだろ?

 

                          G3に練氣銃の技術を取り込むわよ!

 

これ…アギトっていうのか…

 

                          エル達には…まだ早いですね。

 

 

 

 

第2話「運命の強制」

 

 

目覚めよ、その魂!

 

 

 




キャスト

ヒカル=仮面ライダーアギト

歌葺陽太郎=仮面ライダーG3

シハ=仮面ライダーギルス

シエル・メサイア
テイル・アシュフォード
八代愛華

トーマ=オーヴァーロード



あとがき
始めました!如何でしたか?
アギトといえば、3人のライダーの物語が主軸になってます。今回も、この3人が物語の中心になっていけるようにがんばっていきます!
さて、次回は翆が登場します!物語も早いうちに動かさないといけませんね…。
それでは!
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