仮面ライダーアギト~The under Ground~   作:龍騎鯖威武

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第2話「運命の強制」

 

 

まもなくして、ヒカルは自分の家に戻り、菜園を覗くと、意外な出来事があった。

「野菜が…」

野菜や果物が、異常なほど良く成長している。

もともと、彼が野菜と果物を栽培していることは不思議な事である。

なにしろ、ここには「空」も「太陽」もない。植物が生育することは不可能な環境である。

それなのに、彼が植えた植物はまるで普通に日光を浴びたように、生育している。それがさらに増したのだ。

おそらくは、アギトの力の影響なのだろう。

「でも…これだけ大きくなると、いつ収穫すればいいのか分からない…」

しかし、成長が早くなったために、収穫時期が不明になってしまった。ともかく、状態を調べるために、観察を続けてみた。

ふと、重なり合った葉の中に、小さな子犬がいた。

「クゥ…」

「あれ…君は迷子?」

拾い上げてみるが、首輪は無い。野良犬なのだろう。様子から見て、かなり弱っている事が伺える。

「どうしよう…とにかく、食べ物は少しあるから、行こう」

子犬を抱きかかえたまま家の中に入り、自分用の食べ物の一部を分け与える。

「おいしい?」

「ワン…!」

少しだけ、元気そうになった事に安堵して、食事にありついている子犬の背中を撫でる。

「君みたいに、ただ近くに居るだけなら、本当に嬉しいんだけどね…」

動物は言葉を持たない。自分のやることにも何の文句もいわない。ただ、そばで寄り添うだけ。

ヒカルからすれば、こんな存在はとてもありがたく、心から欲するものである。

「そうだ、名前をつけないと…」

子犬を呼ぶ事を考え、その名前を考え始めたとき…。

「ヒカル、もどって来てたのね!」

シエルがやってきた。その途端…。

「きゃあぁっ!?い、犬!?あっちいきなさいよ!」

子犬を見て、飛び上がり追い払おうとした。

「やめて!」

ヒカルは必死に止めようとするが、子犬は怯えきって足早に去っていった。

「あぁ…!」

もう追いつかない。姿も見えなくなってしまった。残念そうに落ち込むヒカル。

シエルは呼吸を整えて、言い始めた。

「まったくもう…。驚かせてごめん、あたし、犬が…」

 

「帰って!!!!!」

 

ヒカルは今まで聞いたことのないような怒声で、シエルの言葉を遮った。

「なんで、余計な事ばっかりするの…!?僕は、君なんか要らない!!」

続いて吐き捨てた言葉。ヒカルの中にある今までの苛立ちを込めた一言だった。

シエルはそれを聞いて、しばらく沈黙し…。

「…ごめん」

小さく呟いて、とぼとぼと歩き去ってしまった。

ヒカルはふと我に返って、その後姿を見つめた途端、僅かな後悔が募ったが引き止める事は出来なかった。

 

 

 

Gトレーラーでは、愛華が報告書を作っていた。

「…あの怪物は…なにか知性的なものを感じたわね。獣のように本能で動くものとは違う…何かの指示に従ってる…」

「被りモノだったりしてな。だってよ、頭悪そうなのか良さそうなのか分からない感じだったし。あぁ~あぢぃ~」

G3のスーツを脱ぎ、うちわで顔を仰いでいる陽太郎。熱くて敵わないらしい。

「あれが人だって言うの?」

「知らねぇよ。憶測だけだ」

確かに怪物の正体を調べるには、情報が少なすぎる。

「ともかくよ、この地下世界を調査してみるぞ。早いとこ終わらせないと…」

「…えぇ。わたしも同行するわ」

Gトレーラーを走らせ、地下世界をめぐる事にした。

程なくして、小さな町のような場所にたどり着く。

「ここにも…人の文化らしきものはあるようね」

「地上と繋がってるからな。人が住んでいてもおかしくないだろ。それも…はるか昔から」

とりあえずGトレーラーから降り、その町に入ってみた。

すると、そこの広場では4人ほどの子供達が遊んでいた…と思っていたが、良く見ると違う。3人の子供が1人の男の子を苛めている。

「ほ~らほら!おまえのこれ、返して欲しいか~?」

「やめろよぉ!」

3人の子供は、ペンダントのようなモノをかわるがわるパスして、男の子に返させまいとしている。

「どんくさいから取り返せないんだよ!もっと早く動け!」

 

「…ゴオォルァ!!!!!」

 

「…!?」

隣に居た愛華もさすがに驚いた。まるで閻魔大王の怒鳴っているような声で3人の子供を叱る陽太郎。

がに股歩きで、ズンズンと近づいてくる。その姿は3人の子供だけでなく、男の子まで表情を歪ませるほどの威圧感だ。

「よってたかって、なぁにしてんだガキどもオオオオオオォ!!!」

「ひいいいいぃ!?」「鬼だあああああああああああぁ!!!」

3人の子供は一目散に逃げる。

「待てガキどもオオオォ!!!こいつのモン、返せエエエェ!!!!」

その声を聞いた3人のうち一人が、ペンダントを投げ捨てる。それを陽太郎は見事にキャッチした。

「まったく。どこでも、こんな事やってるのかよ…!!」

いらだったように呟くと、男の子にペンダントを返した。

「ほらよ。おまえも苛められないようにしとけよ。大切なモノ盗られるぞ」

「うん…」

そう言って、男の子はペンダントを受け取る。その後ろから、一人の青年が歩いてきた。

「あ、すみません!テツ、だいじょうぶだったか?」

「翠兄ちゃん!」

テツと呼ばれた男の子は、その青年に立ち上がらせてもらい、ひざの汚れもはたいてもらっていた。

「あんた、このガキの保護者か?」

「はい。彼を助けてくれたようで…本当に感謝します」

礼儀正しく、頭を下げる翠。愛華もそれを見て、笑顔で言う。

「いえ、当然のことをしたまでです!いじめっ子なんて…」

言葉を続けようとしたそのとき…。

 

ドガァッ!!

 

「ぐっ…!!」

陽太郎が翠を強く殴った。

「ちょっと、陽太郎!?」

「保護者なら、守ってやれよ。こいつも強くならないのは悪いが、あんたが守らなきゃ、誰が守るって言うんだ!?」

彼の脳裏に、両親の最期が回想される。陽太郎の両親は愉快犯によって殺害されている。そんな理不尽に人を殺す者と戦えるようになりたいという気持ちから政府に入った。

この地位に上り詰めるまでの間、誰も助けてくれず、たった一人で生き抜いてきた。そのことと重なったのだ。

「すみません…」

「おれだって、いつでもこいつを守れるわけじゃないんだ。なら、そばに居るあんたが守るべきだろうが」

この間も終始苛立ったように呟いている。そんなとき…。

「ウウウゥ…!!」

トータスロードが現れた。彼はテツを睨み、ゆっくりと近づこうとしている。

「こいつの狙いは、このガキか!?」

「陽太郎!G3、出…」

先ほどのように出動を合図しようとしたとき、翠が前に立ちふさがり、銃のようなものを取り出した。

「下がっていてください。こいつは私が!」

なにかのカートリッジを差し込むと、その銃からは電撃が走った。

バリイイイィッ!!

「ウギィッ!?」

大ダメージとはいかなかったが、その攻撃に驚き、吹き飛ばされたトータスロード。

身の危険を感じて、すぐに身を引いた。

それを見ていた愛華は…。

「すごいわね。一般武器で…!」

 

 

 

そのころ、シハは困り果てていた。

さっきから一人の少年がついてくるのだ。彼は気づかれないように後ろに行ったり、物陰に隠れたりするのだが、シハはギルスへの覚醒のために感覚が鋭くなっている。隠れるなど無駄な話だ。

「あいつ…どう追っ払うか…?」

その方法をバイクを押しながら考えている。

放っておいても、くっついてくる事は間違いない。

ならば…。

「そこのボウズ!!」

敢えて、彼の存在を認識している事を知らせてみた。

「ばれたか…」

「おれに用があるのか?」

振り返ってみると、少年はあきらめたかのように物陰から出てきた。

しかし、その表情は怯えもなく、興味深そうに見る目であった。

「…あの緑の姿、なんて言うんだ?」

「あれか…ギルスって呼ばれた事はあるぞ。珍しいか?」

シハが受け流すように答えると、少年は少し笑う。

「おれはテイル。テイル・アシュフォードだ。元公司の水使い」

右手に水を作り出してみせるテイル。シハはそれをみて少し眉をしかめる。何を隠そう、彼は水が大の苦手なのだ。ある理由からそうなったのだが、それはいずれ話す事としよう。

「…公司か…子供のくせにエリートとは…恐れいったな」

自分の表情を悟られないよう、適当に返すように振舞うシハ。

「で?」

「あんた、おれを守ってくれよ。さっきと似た怪人に狙われてるんだ。そのギルスって力があれば、怖いものなしだろ?」

確かにギルスになって以来、あの怪物に負けた事は一度も無い。ある種、あの怪物たちの天敵といえるのかもしれない。なぜ、この少年を狙っているかは分からないが、彼を守る事により、何か真相はつかめるかもしれない。

ただ、この少年が本当のことを言っているのならの話だが。

「子供の言うことは信じない主義なんだ。じゃあな」

「あ、まってくれよ!」

テイルは、シハを必死に追いかける。とにかく、シハにとって確証が無い事が多い。もう少し、情報を集めてから行動してみる事にした。

 

 

 

シエルは落ち込んだ表情のまま、とぼとぼと歩いている。

ヒカルがあそこまで怒るなど、考えもしなかった。なぜ、彼はそこまで激情したのか、全く分からなかった。それが、彼女を落ちこせる要因となっている。

「はぁ…」

何度目か分からないため息を、またつく。

そこへ…。

「ウウウゥ…!!」

トータスロードが現れた。先ほど、翠によって追い払われたものと同一である。

「…なによあんた?」

半ば、苛立ったように聞く。しかし、トータスロードは答えてくれない。それどころか、シエルに殺意を向けているようだ。

「いま、気分が悪いの。消えてくれる?」

脅すため、右手から電撃を少し放つ。だが、トータスロードはこれにも怯まなかった。

「オオオオォ…!!」

「そっちがその気なら…!!」

トータスロードの動きに痺れを切らし、シエルは攻撃を始めようとした。

その瞬間、シエルの後ろから光があふれた。振り返ったシエルとトータスロードは、まばゆさに目をくらませる。

光の中から、一人の男がやってくる。

それは金色の角を持ち、赤い瞳をしていた。

半日ほど前に見た者と同じ…アギトGFだ。

「アギトォ…!!」

トータスロードは忌々しそうに呟く。シエルはその言葉を聞いて、彼の名を知った。

「あなたは…アギトって言うの…?」

アギトGFは問いには答えず、トータスロードに向かって歩いていった。

 

 

 

そのころ、翠からこの世界の事をいろいろと聞いていた陽太郎と愛華。

以前、この世界を牛耳っていた公司のこと。それに立ち向かった者達のこと。そして、今は穏やかな生活が続いている事。

「地下世界でそんな事があったのか…!」

陽太郎は驚いた。この世界には壮絶な戦いの過去があったのだ。それも半年ほど前というつい最近に。

愛華は、あごに手を当てる。

「気になるのは、浅木留美奈と五十鈴銀之助という二人の高校生ね。彼らがここにきたことがあるということは、一般人や地底人もこの世界と地上に行き来ができる可能性は十分にありえるという事。実際、わたし達も来ている事だし」

この地下と地上を自由に行き来する事は十分に可能。つまりは、そんな凄まじい戦いが起こった世界の人間が、地上に押し寄せれば、大混乱となる。

「ですが、もうこの世界で公司は機能していませんし、能力者たちも身を潜めて静かに生活している者が殆どです。ですから、この世界の危険は以前と比べ、かなり低くなってます」

「いやいや、そうじゃなくてな。そんなヤバい事があったのは事実だろ。そのころに地上に来ていたとなると、まずいんだっての」

陽太郎はあきれ口調で反論する。とはいえ、現時点で地上ではなにも被害が起きていない事から、危険視するほどではないのかもしれない。

「この世界は、謎が多すぎる。まずは…」

「陽太郎、ちょっと…」

ふと、愛華が陽太郎の耳元でささやく。

「たしかに分からない事が多いけど、今は翠さんの言う事を信じたほうが良いわ」

「見た目が優しい人ほど、最初は警戒しろって教えたのはアンタだろうが…!」

「違う違う。わたしの狙いは…あの練氣銃よ」

彼女の言葉は以外だった。陽太郎は更に耳を傾ける。

「あれ、地上の科学では驚きの発明よ。この地下世界がなんなのか分からないからこそ、この技術を取り入れて、G3をどんな状況にも対応できるようにしておかないと。そのためにも、翠さんを信じた「フリ」をするのよ」

その言葉は確かに納得できる。とりあえずは、自分達を強化しておく必要がある。今後のためにも。

「…あの…」

「ん?…おう。まぁ…とにかく、あんたを信じてみよう。今は、他に信じられそうなものも無いしな。あと、この町に残って、怪物から守る事に協力してやるから、力を貸せ。良いか?」

相手をまずは受け入れた事を言い、協力関係を結びたい事を言った。

「はい!お願いします!」

 

 

 

「フンッ!タァッ!」

ガギィッ!!ドガァッ!!

アギトGFはトータスロードに拳を叩き込むが、あまり効き目は無いようだ。何しろ相手は強固な甲羅に包まれた背中を盾にする。これではダメージが本体に届かないのだ。

「…」

今の形態ではパワー不足だ。ならば…。

「ハァァァァ…フンッ!」

オルタリングの右腰のサイドバックルを叩くと、中央から赤い剣「フレイムセイバー」が現れる。それを右手に取ると、アギトの胸と右腕が炎に包まれて赤く染まった。

アギトの新たな形態「仮面ライダーアギトフレイムフォーム」である。

「ハアアァ…!」

アギトFFはフレイムセイバーを両手で握り締め、じっと佇む。

「…オオオォォッ!!!」

トータスロードは彼が動かない事に痺れを切らして、走り迫ってきた。

これを待っていたのだ。

フレイムセイバーの柄が、アギトのクロスホーンのように開く。

「…タアアアアアァッ!!!」

ズバアアアァッ!!

その切先は、トータスロードの体を切り裂いた。甲羅や強固な外骨格なども、まるで紙のように。

「オ…オォ…!?」

ドガアアアアアアァッ!!

トータスロードが腹を押さえて苦しみだすと、頭上にエンジェルハイロゥが現れ、爆発した。

戦いが終わり、アギトFFはもとのグランドフォームに戻り、シエルを見つめる。

「アギト。あなたは…一体…?」

シエルが独り言にも取れるようにな言葉で呟く。

「…!?」

すると、アギトGFの脳裏にあるビジョンが浮かんだ。

その映像の中には…。

 

 

 

おそらく、自分の視界と思われる景色には、暗雲が立ち込めており、そこに赤いリボンをつけた少女…「シエル・メサイア」がいた。

彼女は右手を翳し、自分に電撃を浴びせようとする。

 

 

 

そこで映像は途切れた。

未だ、意識が朦朧とするアギトGFの目の前には、先ほどのビジョンに写っていたシエルがいぶかしげにこちらを見ている。

 

敵だ。

 

アギトGFは、霞んだ思考でそう思った。

「ハアアアァ…!」

「え…?」

ゆっくりと構えて…。

「フンッ!!」

走り始めた。

 

 

 

トーマは、それを見つめている。

「アギト…。能力者を狩るならば、私の味方になる事も考えられますね…」

アギトの行動を見て、憶測を立てていたのだ。

「となると…貴方達「エル」が動くのは、まだ早いようです」

彼の目の前に、4つの姿が浮かぶ。

 

一つは、鯨の姿をした使徒。

 

一つは、獅子の姿をした使徒。

 

一つは、鷹の姿をした使徒。

 

そして最後の一つは…。

 

 

 

 

 

アギトに似通った使徒だった。

 

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

                       やめて!どうして!?

 

君は僕に近づかないで…!

 

                       GM-01・フリーズ、使用許可!

 

同類、ちょっと待った!!

 

                       

 

 

目覚めよ、その魂!

 

 





キャスト

ヒカル=仮面ライダーアギト

歌葺陽太郎=仮面ライダーG3

シハ=仮面ライダーギルス

シエル・メサイア
テイル・アシュフォード

八代愛華

テツ

エルロード(水のエル)
エルロード(風のエル)
エルロード(地のエル)

エルロード(?のエル)

トーマ=オーヴァーロード


あとがき
いかがでしたか?…てか、遅くなりました…(汗)
翠は原作の本編以来、孤児を引き取って世話をしているという設定です。引き取っている子供は…現在はテツだけですが、彼は重要な役目を担ってます。
次回は、ヒカル=アギトの正体明かしが出来ればなと思ってます!
お楽しみに!
ちなみに、次はブレイドを2話更新してからです!
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