学者と獣 作:新宿のオーサー
続くか分かりませんがぜひ読んでいって下さい。
―――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――
近代的な魔術工房でアトラム・ガリアスタは召喚儀式を行う。
大量の召喚触媒が用意されている。
これら、全てを揃えるために途方もない金額をかけている。
―――準備は万端だ。私は遊び半分のエルメロイとは違う。
現れたのは紳士然とした初老の男性だった。
スーツを着て、柔和な笑みを浮かべている。
「求めに従い現界したよ。君が僕のマスターかい?」
「ああ、私が―――」
不意に、アトラムの周りに壁が出現した。
「悪いね。僕は君が信用できないんだ。まあ、運が良ければ生きられるんじゃないかな?」
男はそのままアトラムに背を向けた。
そのまま施設内を歩き回り、満足そうな表情をする。
―――いい施設だ。遠慮なく使わせて頂くとしよう。などと男が考えていると、エレベーターが到着した音と共に誰かがやって来た。
施設の職員が来たのだろうかと目を向けた男が固まった。
そこにいたのは、青い鎧を身に纏い、大きな朱槍を抱えた人物だった。
「ランサーかい?何しに来たかは聞くまでもないね」
「ああ、想像通りだ」
「僕は荒事は苦手なんだけど、見逃してはくれないかい?」
「そいつは無理な相談だな。マスターからのお達しでな。それに、召喚早々マスターを手にかけるようなヤツを野放しに出来るわけがねぇだろッ!」
言葉と同時にランサーが距離を詰めて槍を振るう。
男が壁を作成しても問題なく避けてにじり寄って来る。
接近された男は回避に専念することで、それを体勢を崩しながらもかろうじて避けている。
「分からねえな。特に、反撃するでもなく避け続ける。何かを狙っているのかと探って見ればそんな様子はねえ。テメエは何なんだ?」
「荒事は苦手だと言っただろう!これでもこっちは真剣なんだ!」
男は心外だとばかりに抗議する。
しかし、勇ましいのは声だけで、次第に動きには苦しさの割合が増え、ヒヤリとする場面が増えていく。
もはやこれまでか、もう脱落するのか、いくらなんでも早すぎるだろうと自暴自棄になっていると、思考が乱れたせいか飛び上がって避けた際に着地に失敗し、大きく隙を作ってしまった。
歴戦の槍兵がそれを見逃すはずもなく、鋭く突きを放つ。
男は諦め半分で分厚い壁を目の前に作成するして目を閉じると、すぐに金属音が聞こえた。
(ハア、開始早々にランサーに目を付けられるとは運が悪い。まあ、そもそも分野が違う僕が優勝できるはずもないし、遅いか早いかの違いだけか。未練は有るが身の丈に合った結末だと諦めるか……それにしても、なかなか消滅しないな、それに、痛みもない)
疑問に思った男が目を開けると、ランサーは距離を取って警戒していた。
「テメエ、無策な振りをして中々の曲者じゃねえか。今のはオレも驚いたぜ」
(コイツは何を言っているんだ?僕が曲者?目を閉じている間に何が有ったんだ?)
「何だか分からねえが、いくぜ!」
「■■■■■■■!」
再びランサーが接近してくる。
その後に、獣の唸り声が聞こえたかと思うと、何かが通りすぎてランサーの槍を弾いた。
「チッ、またか。やっぱテメエもって、オイオイ、何でテメエも驚いてるんだよ?」
ランサーが舌打ちしながら男を見ると、当の男は目を見開いて固まっていた。
しかし、何かに気付いた様子を見せると口元に笑みを浮かべた。
「これは、そうか、君か!どうやら今は君に懸けるしか無いようだね。僕の魔力も限界まで回そう。存分に暴れてくれ!」
「■■■■■■■■■■■■■■■!!!」
正体不明の獣は一際大きな咆哮を上げると更なる速さでランサーへ襲いかかった。
凄まじい速度で攻撃と退避を繰り返し、その姿を確認することもかなわない。
ランサーは卓越した槍捌きと体術で往なし続ける。
「ハッ、やるじゃねえか、それじゃあデカいのいくぜ!」
ランサーが槍を構える。
「刺し穿つ死棘の槍≪ゲイ・ボルグ≫ッ!」
放たれた槍は真っ直ぐに獣の方へ向かう。
獣は縦横無尽に駆け回り回避し続けるが槍の追跡は止まらない。
壁を破って獣は施設外へ逃げ出したが、それでも槍の追跡は止まらない。
やがて、槍が命中したのを感じ取ったランサーは男の方へと向き直る。
「これで後はテメエだけだ。……ん、なにを笑ってやがる?」
「いや、死んだことを確信している君が可笑しくてね。そうとは限らないだろう?」
「ハア、何を言って―――」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」
危機的状況なはずなのに笑っている男を訝しんだランサーに尋ねられた男の答えに要領を得ずにいると、獣の咆哮が轟き驚愕する。
たしかに宝具が命中したはずの獣が健在であったのだ。
「テメエ、心臓を貫かれて何故生きてやがる!?」
「■■■■■■■■■■!」
戻ってきた獣の動きは全く衰えておらず、むしろ、いっそう激しくランサーに絶え間なく攻撃を仕掛ける。
「制限された状態じゃあ、ちっとばかし分が悪いな。ここは退かせてもらう。アンサス!」
ランサーが文字を刻むと炎が広がり、スプリンクラーが作動する。ランサーはその隙に施設から脱出した。
獣は唸り声を上げてそれを追跡する。
それらを確認し、男は座り込む。
「ハア、なんとか助かったのかい?やっぱり荒事は性に合わないね。……それにしても、僕は君から恨まれているとばかり思っていたけど、なんで助けてくれたんだい?」
男は獣が去っていった方向に向かって言ったが、当然こたえる者はいない。
「ふふ、許す訳がないか。きっと、それだけ聖杯を欲してるんだろう。僕への恨みを呑み込んで戦う位ね。そして、最後の一人になったときに僕は君から殺されるんだろう。まさに因果応報だ。その時は、せめて君が何をそこまで願っているのかだけでも教えて欲しいね」
男は自嘲するように笑った。
―――獣は走る。逃げた獲物を捕らえるために。
―――獣は迸る。些細な願いを叶えるために。
―――獣は趨る。己の自由を噛みしめながら。
囚われていた獣は解き放たれた。自由になった獣は歓喜を浮かべながら疾走する。
その甲斐もなく獲物の痕跡は無くなった。
だが、獣は焦らない。聖杯戦争は始まったばかりだ。
踵を返して獣は帰る。自身を生み出した親のもとへ、自身を殺した人のもとへ。
マスター:アトラム・ガリアスタ
クラス:?????
真名:?????
地域:?????
出典:?????
属性:混沌・中庸
好きな物:?????
苦手な物:?????
ステータス
筋力:E 耐久:E
敏捷:D 魔力:B
幸運:C 宝具:EX
クラス別スキル
?????
保有スキル
?????
宝具
?????
ランク:EX
正体不明の宝具。
現在はアトラム・ガリアスタに使用されている他に、獣もこの宝具により発生した。
攻撃力を持つような物ではない。
真名に直結する宝具であり、使用した相手には確実に真名がばれる。
また、対策が非常に容易に思い付く宝具でもある。
紳士然とした初老の男性。年は四十歳前後くらい。見た目に反して口調は軽い。
ナイスミドルな風貌を完全にぶち壊している。
本人の戦闘能力は非常に低く、敵対サーヴァントと相対した場合は防戦一方となり、時間稼ぎが精一杯である。
能力値が非常に低いために、自分の気配を完全に隠すことができる。
普段は壁を作成して戦闘を行う。
危機的状況に陥ると獣が助けてくれるが、その獣とは魔術的にリンクしているが、御すことは出来ない上に、そもそも何故助けてくれるのか本人にも分からない。
獣の戦闘力は非常に高く、特に敏捷に特化していて、ヒットアンドアウェイ戦術で敵を撹乱して、その姿さえも認識させない。