魔法少女救命計画   作:先詠む人

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かなり短いですけれど、題名通りの番外編になります。
時期は大我がまだ中学生の時のことになります。
本編は今パワーバランスの調整に苦労しているのでもう少しお待ちください。


The seasonaly stage Valentine

 学校が終わってから俺たちはユウトの家に集まって優斗の部屋にあるこたつに入っていた……そんな時だった。

 

「で、今日お前ら何貰った。」

 

 ユウトが突然そう切り出したのは。

 

「俺はチョコ6個貰ったぜ。」

 

 そう自慢げに言いながらユウトはカバンの中から6個の小ぶりの小包みを取り出し、こたつの天板に並べる。それを見てカズが

「お前は外見も人気もあるからいいよな。俺は2個だぜ2個。しかも、1個は母さんからのだし。」

 

 そんな悪態をつくかのように言いながらカズはカバンの中から2つのチョコのお店としてかなり有名な店のチョコの包み紙に包まれた小包みを取り出し、並べた。

 

「お前まだ親からもらってるのかよ。俺なんか……」

 

 シンジがカズの方を見て笑いながら鞄をひっくり返す。

 

「9個だ。親からのなんてねーぞ。全部下駄箱に入ってたやつだ!」

 

 そう自慢げに言いながらふんぞり返った。

 

「へー」

 

 そうつまらなそうに言いながらアキトが俺の方を向く。

 

「……なんだよ。」

 

「いや、別に~♪」

 

 俺がその意味深な表情のアキトに食いつくと、アキトはおどけた様子で他所を向いた。

 

「変なことすんなぁ……。」

 

 そんなアキトの様子を首をかしげながら見ているとユウトがアキトに

「んで、お前は何貰ったんだよアキト。」

 

 そう声をかけた。

 

「俺?俺は……」

 

 そう言いながらアキトはカバンをひっくり返す。

 

「こんだけだ。」

 

「「「「「…………」」」」」

 

 ひっくり返して出てきたそれに俺たちは絶句した。

 

 どさどさと、大きな音を立てながら鞄から出てきたのは大量のチョコレート。それもどう見ても女子からの贈り物としか思えないピンク色の包みとか、小さな手紙が着いているものとか、そういったもので一杯だった。

 

「はぁ……はいはい、お前の勝ちだよ……」

 

 俺はそう言いながら鞄の中から6つの封筒を取り出す。

 

「そう言うお前こそ手紙貰ってんじゃねーか!!」

 

 俺が取り出した封筒を見て、ユウトが突っ込んでくる。しかし、俺はそのツッコミに対して首を横に振ることで答えた。

 

「手紙は手紙でもろくな手紙じゃねーよ。」

 

 俺はそう言いながら取り出した手紙を天板の上に投げ出す。それら全ては既に封を開けており、俺は学校の下駄箱でそれを見つけてすぐに中を見ていた。

 

「ろくなもんじゃないって……」

 

 俺のただならない様子を見ながらシンジが封筒の中から手紙を取り出す。そして

 

「うっわ…」

 

 その内容を見て絶句した。

 

「シンジ、それ何が書いてあんだよ見せてくれよ。」

 

 カルマがそのシンジの様子を見て何かを察したのか、その手にある便箋をひったくるかのように奪い取って見、

 

「うっわ……こいつはひでぇや…」

 

 その内容を見てカルマもシンジと同様に絶句した。

 

「……他のも見て良いか?」

 

 そんな二人の様子を見て何かを察したらしく、ユウトはそう承諾を取りに来てから天板の上に投げた封筒たちの一つを開ける。中から取り出したのは折りたたまれた一枚のA4用紙。それを開いてすぐに

 

「……こりゃあそんな投げやりになるよな…」

 

 俺に同情するかのように声をかけてきた。

 

「……ケッ。」

 

 俺は小さく悪態をつきながらこたつに下半身を入れた状態で床の上に寝転がる。

 

「………ねぇ大我…。この手紙(これ)ってどこからどう見てもさ…」

 

 そんな風にふて腐って寝転んだ俺の顔のすぐ前に横に座っていたアキトが寝転んできて顔を近づけてきながら告げる。

 

()()()()だよね。」

 

 その瞬間、元々かなり冷え込んでいた部屋の空気が一気に冷え込んだ感じがした。

 

「………あぁ。そうだよ。」

 

 俺はそんな部屋の空気も凍り付かせるようなアキトの質問に、顔をそらしながら答えた。

 

 

 

 朝、チョコレートの一つでも入っていたら御の字だと思いながらげた箱を開けた俺の視界に入ってきたのは、チョコレートでも何でもなく、下駄箱の扉を開けると同時に零れ落ちる上に上履きを覆いつくすほど入れられた大量の画びょうとこの6通の便せんだった。

 

 画びょうに関してはもうあきらめているので、先生のもとにスリッパを借りに行ってから大量にある画びょうの片づけをする。

 

 そうしてやっと上履きを出すことができるようになったタイミングで俺は便箋を開けてみることにした。

 

『どうせ、ラブレターとかじゃないんだろうな…』

 

 このバレンタインデーの数か月前に俺の過去と現在を暴露するかのような週刊誌の記事が学校中に貼り散らされ、そこから始まったいじめがようやく収まったかと思った矢先のコレに俺はこの手紙が確実にいいものではな

 いと確信していた。

 

 結論から言うと、その確信は当たっていた。一つ目の封筒を開け、入っていた二つに折られた便箋を開くと目に入ってきたのは新聞記事を切り貼りした古典的な脅迫状。その内容は『今すぐ死ね。死ななければ窓から突き落として殺す。』と言った内容だった。

 

「……」

 

 無言のままその便箋を封筒に戻し、そして一度鞄に入れてから残っている5つの封筒を全部開けて中身を確かめる。

 

 中身は全部『焼き殺す』、『轢き殺す』、『おぼれ死ね』、『切り刻む』、『縊り殺す』と言った微妙なニュアンスの違いこそあれど全て殺害予告だった。

 

「………あほらし。」

 

 それ等全ての便せんを俺はきれいにたたんで封筒に戻し、鞄に入れた。

 

 このことを先生に言ったところでどうせまともに相手してもらえない。相談するとしてもまだあいつらに相談した方が幾分とましだと思った。

 

「……全部殺害予告ってお前相当今日は荒れてるなと思ったらそうなるよな……」

 

 今日俺がかなり不機嫌だったことを知っているユウトがそう言って優しくそれらの便せんを折りたたむ。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 静寂が空間を支配する。そんなとき、急にカルマがこう切り出した。

 

「……てことはよぉ…」

 

「ん?」

 

 その切り出し方にユウトは単純に疑問符を浮かべ、

 

「おいおい、カルマお前しょうもないこと言ったらどうなるかわかってんだろうなぁ?」

 

 シンジは、指をごきごき言わせながら顔をしかめ、

 

「……さすがにこの状況でちゃらけるなよ?」

 

 カズはそんなシンジの様子に苦笑しながらも苦言を漏らし、

 

「つぶすよ?」

 

 アキトはいい笑顔で何かを握りつぶすような手の動きを見せつけた。

 

「……」

 

 そして俺はふて腐って寝転んだまま。そんな俺たちの様子を見て声を震わせながらもカルマは

 

「手紙は手紙でも今日欲しいのはLove Letter(ラブレター)なのにそうじゃなくてRough Letter(きょうはくじょう)だった……なんてな。ガッハッハー!!」

 

 そう言い切った上に笑い飛ばした。

 

「「「「「………」」」」」

 

 再び部屋を静寂が支配する。それを切り裂くかのように俺はこたつから足を出してすくっと立ち上がった。

 

「………カルマ」

 

 優しく、自分で思うにはかなり優しい表情を浮かべながらカルマのもとに近づく。しかし俺の顔を見た瞬間カルマは激しく動揺し、震えだした。

 おかしいな、俺は笑っているはずなんだが。

 

「おい、どうしたよ。ん?笑えよ。おい、笑えっつってんだろ。」

 

「………あ……あぁ……」

 

 俺が笑いながら一歩近づくたびに少しずつカルマは後ろへと後ずさりしていく。

 

「……」

 

 俺が無言で近づいていくとカルマは壁の端までたどり着いていた。

 

「ちょ!お前ら助け」

 

 もう下がれない、そう思ったのかカルマはユウトたちに助けを求めたが

 

「知らん。」

 

「骨は拾ってやらん。」

 

「自業自得だ。」

 

「つぶされないだけいいんじゃない?」

 

 全員が見棄てた。

 

「さぁ、カルマ。ジャッジメントの時間だ…」

 

 俺はそう言いながら今日ユウトの家に来る前にコンビニで受け取ってきた宅急便の荷物の中から、全員が集まる前に取り出してユウトと二人で遊んでいたちょっとごてごてした手帳を取り出す。

 

「おい……大我。嘘だよな?おい…?」

 

 そんな俺の様子に肝を冷やしたのか、カルマはゆっくりと震えながら俺が持っているものを指さして聞いてくる。しかし…

 

「もう遅い。」

 

 俺はその手に持っているもののスライドスイッチを<JUDGE>へと変え、スイッチを押して手帳を開く。

 

JUDGEMENT TIME

 

 持っている手帳からそんな電子音が流れ、開いた手帳の内側にある上下2つの液晶が緑の○と赤の×で交互に点滅を繰り返すと同時に持っているその手帳の上部についている赤色灯を模したランプが点灯を繰り返す。

 そんな俺たちの様子を見て何かを思い出したのかカズが

 

「ありえないことを言うバカに対しては、そこのバカの要請により結構近くのこたつにいるそのバカのダチたちから判決が下されるのである。」

 

 と言った。そして顔を一瞬だけ突き合わせると4人全員が示したのは手を胸の前で交差した×。それを視界の端にとらえるのと同時に俺は手に持っているそれのスイッチを押す。

 

<~♪>

 

 表示されたのは4人が示したのと同様の意味を指す赤い×

 

「デリート許可。」

 

 俺はそう言って全力で顔をこわばらせているカルマにアイアンクローをかました。

 

「アガガッガガガガガ!?」

 

 元々、キーパーをしている関係でそれなりに握力はある。だから本気でアイアンクローをかますと結構痛い…らしい。まぁ、大体カルマが余計なことを口でいくら言っても言うから俺もこうして実力行使(クロー)をしているだけなんだが……

 

「……」

 

 秒数にして数秒ほど。息はしているが、カルマが痛みで白目をむいてしまったのでその握っている手を離す。

 

「「「「ゴッチュー!!」」」」

 

「これにて一件コンプリート。」

 

 後ろでは俺が持っているものの元ネタをようやく思い出したのか、全員が〆台詞を言って、ユウトがつないでいた。だから俺も

 

「B市は今日も日本晴れ……ってか?」

 

 そう言って笑った。

 

 左手にはSPDと書かれた黒と白をベースにした、赤いランプがついているSPライセンス(懐かしのおもちゃ)が握られている。

 

 調子を取り戻した感じの俺を見て安心したのか、みんなも笑っていた。

 

 

 因みにカルマはいつも変態なことを言っているので、チョコも手紙も家族からも学校の女子からも何一つ貰っておらず、結局その日貰えたのは俺のアイアンクローだけだったそうな……

 

 ちゃんちゃん♪




感想、評価をお待ちしています。


(注)
最後の最後でカルマが気絶していますが、ぶっちゃけこれはいじめというか、俺がいた中学だとじゃれあいのレベルです。(自業自得感が強いのでそれほどあの場にいるみんなは罪悪感を抱いていませんが…)
エアガンの弾が授業中に目を狙って跳んできたり、すぐ横にあるガラス窓が廊下から飛んできた箒でいきなり割れてこっちにガラス片飛んでくるよりも百倍マシだと思う。
ぶっちゃけこの番外編最後のやつ言わせたかっただけだったりもする。
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