「銀仮面に頼まれた買い物があるんだ」
伊奈帆と韻子は他と別行動をしていた。
「どんなの?」
「一般的な日用品ばかり。後は本」
「本?」
「暇を潰せればどんなものでもいいらしい。」
韻子の頭に悪戯心が沸き立つ。
「……奴は面白味に欠ける所があるからな。多少過激な土産物でも良いかも知れない」
「………へぇ?」
「……なに?」
「べっつに~」
伊奈帆が無表情で言ったのでツッコミ待ちなのかと思ったが、スルーした。
「ヘックシュッ!」
ナデシコの食堂で一人寂しく食事をしていた銀仮面ことスレイン・ザーツバルム・トロイヤードは何気なく仮面を外して、その仮面を磨く。
「そなたはその様な顔だったか」
不意に声をかけられ驚くスレイン。
「騎士ユニコーンさん。あなたも外に出なかったのですね」
「あぁ。以前我が同胞がこの世界に来たときに‘ますこっと’とやらにされ子供が集まり窮屈な思いをしていたと艦長殿から聞いていてな」
「なるほど……」
ガンダム族の事を知らない一般人から見れば着ぐるみの中に人が入っているとしか思えないだろうが、この艦の乗員は彼の特殊性について知っている。
「銀仮面殿。そなたは何故素顔を隠す?」
「……随分と唐突ですね……」
「まさかわたしと同じように秘めたる能力が?」
「ありませんよ。僕は普通の人間ですから……」
スレインは何気に騎士ユニコーンが能力を隠しているのだと聞かされたが、その真意を図る事は出来ない。ガンダム族は人間と違って表情筋がないからだ。
「そうですね……」
騎士ユニコーンの純白の騎士甲冑に眩しさを覚えながら。
「……大切な人を裏切って利用して、戦いにも負けて死んだことになっている最低な罪人だからです……恥ずかしくて顔をだして歩けないじゃないですか……」
一方で由希奈達買い出し班はオーブの繁華街で立ち尽くしていた。
「なに……あれ?」
一見ペンギンの様な外見だが手足は人間のような長さ。何故か尻尾が前に飛び出し異常に長い奇妙な生物だった。
「おっかし~な~。リッツってばどこ行っちゃったんだろう?」
「もうすぐペンギン帝国に帰らなきゃいけないのに」
「超南極の反応もないねぇ」
「待ちたまえ皆の衆!僕らにはこれがあるじゃないか!」
「そうだ!僕らには前尻尾がある!」
「こいつをレーダーにしていけば」
「僕達の前尻尾がリッツに反応する!」
珍妙怪奇な集団‘ペンギン帝国’がウロウロしているのを伊奈帆が左目を使って分析をしていた。
「伊奈帆。なに今の」
「分析出来なかった。関わるべきではない、と僕の左目がそう言っている」