奇襲攻撃によりナデシコはエンジン部に致命的なダメージを受けて、航行不能に陥った。
敵に包囲された情況で、何も準備が出来ていない中で機動部隊を出撃させて防衛にまわるしか無かった。
そんな中、エルエルフが艦橋を訪れてナデシコの被害状況を確認する。
「艦長……わかっているとは思うが」
エルエルフがユリカの近くで囁く。
「……仕方ありませんよね……」
ルリがユリカに向かい、どこか悲しげに。
「何か手は無いんですか?このままナデシコは……」
「ごめん……ごめんねルリちゃん……」
「艦長!ヘッドレス接近!ブリッジに近付いて来てる!」
ひび割れたモニターにデカでかと映し出されたヘッドレス。各々の強さは差ほどじゃ無いにしても、圧倒的物量と奇襲、さらにはエフィドルグが持つ重力波フィールドが厄介この上無かった。
「危ないユリカさんっ!」
由希奈の乗るマナタがヘッドレスに飛び掛かり、撃破するもバランスを崩して落下していく。
「由希奈ちゃん!」
落下した先がヘッドレスの大群のど真ん中と言うこともあり、マナタが見えなくなる。
「……マナタの反応消滅……」
「誰か援護に!」
「続いて界塚機被弾、指南機が温度上昇により行動不能」
下唇を噛むユリカは苦渋の選択をする。
「各機に通達!本艦を15分後に放棄、退艦!地下基地への撤退戦に移行します」
ついにナデシコを棄てる決断をする。
「各機フォロー頼みます。ヴァルヴレイヴ6号機とストライクフリーダムには別命があります!……ルリちゃん、直ぐにオモイカネとの接続をカットして」
「ゆ、ユリカさん?」
「わたしとルリちゃん、ハーリーくんにキラさんとアキラちゃんの5人がかりでオモイカネをヴァルヴレイヴ6号機に逃がすから!」
更にユリカはエルエルフに向き直り。
「退艦の指揮等諸々、頼んでも良いですか?」
「いいだろう。ただしヴァルヴレイヴを使う以上、俺の脱出はお前の後だ」
一方、ヘッドレスの大群にズタズタにされたマナタの中にいる由希奈。
「あ……わたしまだ生きてる?」
口の中がベタベタしていて、コクピットの中は血が散乱している。
「これ、普通の人だったら間違いなく死んでたよね……」
グロングルの纏い手になってからは多少なり傷の治りが早いと言う自覚があったし、試してはいないが首から下は切り離しても再生するとか聞いていた。
「って言うか頭やられたら終わりなんだっけ」
未だマナタは両手両足が切り落とされ、頭部のブレードも無い。
「誰か近くに……」
耳に手をやると、通信機が無い。恐らく壊れて落としたのだろうと察した。
「ちょっと……嘘でしょ……やめ、やめて!」
ヘッドレスの一機がマナタのコクピット目掛けて刀を向けてきた。
付近には味方機の姿はなく、完全に孤立していた。
「剣之介……剣之介ぇ~っ!」
思わずその場に居ない筈の人物の名を叫んでしまう。
「由希奈ぁぁぁ~~っ!」
涙に潤んだ視界に映ったのは漆黒の二本角を持つ鬼を模したロボット。
槍を構え、マナタを守るようにヘッドレスの前に立ち塞がった。
何年も会えずに、遠い宇宙へ旅立った想い人の背中を思わせる。
由希奈にはそれが翼の生えた‘侍’に見えたのだった。
ついにクロムクロ登場。
なんで火星にいるのかって?
後で語るよ。