「君もカレー食べてきたら?」
キラがマークジーベンの最終調整を終えて真矢に話しかけた。
エルトリウムのスタッフや機材を使用して最高の仕上がりになる。
「えっとすみません。もう少しだけ時間もらえると」
「何?」
「その、まだSDPに慣れていないですし、訓練に付き合ってもらえると助かります」
キラは真矢の様子が何処か気になって。
「何を思い詰めているの?それとも……焦ってる?言っとくけど君のパイロット能力は部隊でも上の方」
「……出来る限り人を射ちたくないから……」
一瞬、静寂がうまれる。
「人を撃って殺してしまう事に慣れ始めている自分が居るんです。ファフナーに乗っている時なんて変成意識の事もあって……」
「それで僕に?」
「殺さない覚悟も、射って仲間を助ける覚悟も……技術が必要たから」
ふとキラはマークジーベンを見上げる。
「想いだけでも、力だけでも駄目だからね……かつての僕が思い知った事の一つだよ」
「……」
「自分の命を今まで以上に危険に晒す戦いかただよ?それでも?」
「お願いします!」
食堂ではカレーが振る舞われていたのだが、指南が蓮舫小路アキラを無理矢理連れてくるのに時間がかかって出遅れていた。
「間に合ったぁ!由希奈ちゃんカレー二人前」
「は、はーい」
剣之介が白飯をよそい、由希奈がカレーを。
「旨い!流石は由希奈ちゃん。そう思うよねアキラちゃん」
「う、うん」
指南が独自のカレーの食べ方について熱弁を始めると、剣之介が怒り始めて、韻子とリッツがそれを見て笑う。
そんな光景を微笑ましそうに見ているアキラだったのだが、どうしても気になっていた相手に近付きたくなった。
「あ、あの……」
「おや、どうしたのかな」
僅かながらに勇気を出してアキラは騎士ユニコーンに声をかけた。
「もしかして、気、気付いてないのかなって。」
「え、いったい何を」
剣之介達が騒いでいる方へ皆の視線が集まるなか、ノリコとカズミだけが注目してくる。
「カメラのシステム覗いたら見つけた……あ、あなたの仲間……このエルトリウムの中にいる」
「な……なんだと!」
思わず声をあらげてしまった騎士ユニコーンに対してアキラが泣きそうになり、全員が振り向く。
「ちょっとアキラちゃん。どうしたの?」
「え、えっと……」
「い、いやすまない。突然大声を……」
するとカズミが立ちあがり、騎士ユニコーンの前に立つ。
「隠していてご免なさい。彼はあなたが来ている事は知っているのたけど」
「会う気が無いと?」
「と言うよりは、興味を持っていないわね。少し変り者にも見えたわ」
カズミの発言に、騎士ユニコーンは頭を抱えた。
「……もしや聖竜騎士ゼロではないか?」
「ご明察」
溜め息をつく。そして改めてアキラに謝罪したあと、食堂を出る。
するとノリコが追い掛けてくる。
「なんだ?」
「あの、今のゼロさん見たら驚くかも知れない。とりあえずわたしの部屋にいるから」
ついに完成したマークジーベンSDP仕様。
キラの手で強化された真矢の機体の活躍は後程。
ナデシコを撃沈され、草部中将の基地からエルトリウムへ逃げおおせた彼らは、一時の休息を楽しもうとしていた。
そんな中騎士ユニコーンに告げられた事実。
彼らに待ち受けているのは……?