艦内での騒動が一段落し、仲間に危害を与えた騎士ユニコーンは幽閉されることに。
エルトリウムはワープを終えて地球を黙視で確認出来る距離まで近付いた。
「宇宙怪獣の接近を確認!」
「我々は追尾されていたのか……」
「なぁんてこったぁっ!」
再び慌ただしく戦闘準備が始まる。
いち早くガンバスターとトップ部隊が出撃し、真っ向から宇宙怪獣に挑んでいく。
機動部隊はエルトリウムの甲板に陣取りバリア内からの攻撃、さらにはバリアを破って来る敵に対しての迎撃を行っていた。
今回はガンバスター等が同行していることもあり、一部の機体には待機命令が出されていた。
同化現象に対して気を弛める事が出来ないファフナー隊がそれである。
そして、一人だけ志願して出撃を拒否した人物がいた。
「……銀仮面殿……」
「体調はどうです?騎士ユニコーン。」
「すまない……もう落ち着いた……」
「なら上を向いてください」
銀仮面は牢の鍵をあける。事前に界塚を通して預かっていた。
しかし騎士ユニコーンは動かない。
「……」
ゼロのカードを見つめながら俯く騎士ユニコーンに対して銀仮面は。
「聖竜騎士ゼロさんも、他の騎士の方々も今の貴方の姿をみれば失望するでしょうね。彼に騎士としての在り方を説こうとしていた貴方が目指したのは、牢の中でなにもしない事ではないでしょう」
「君に何がわかる。姿を偽り、罪人である事から身を隠しているのに。俺は仲間を手にかけてしまったのだぞ」
騎士ユニコーンの台詞に、銀仮面は反射的に顔に手をかける。
仮面を外し、騎士ユニコーンの足元に転がす。
「これでいいか?騎士ユニコーン。」
「……」
「君への友情の証として、その仮面を預かってほしい。」
「外すと言うのか?それは君が忠誠を誓った相手の……」
「彼女なら理解してくれる……君はどうだ?誰に忠誠を誓う騎士だ?」
「俺は時空の旅人……仕える王の居ない騎士だ」
「ならば僕に誓ってくれ。誰でもない、自分自身に恥じぬ姿でいるんだ。騎士として、何より自分らしく、誇らしく生きろ」
「フッ……悪くない……そう言えば君の本当の名は?まだ聞いていなかったな」
「スレイン・ザーツバルム・トロイヤードです。」
「……ありがとう。スレイン」
「いくぞ。騎士ユニコーン」
格納庫へ走った二人を待ち受けていたのはエルエルフだった。
「出る必要はない。既に勝負は見えている。宇宙怪獣の規模と部隊の練度、トップ部隊の圧倒的戦力。おのずと答えは見えていたはずだ。」
「……それならいいのですが……」
「騎士ユニコーン。貴様にはカードの使い道を今まで以上に慎重になってもらいたい。ネオのように全員が協力的でもないようだしな」
「心得ている」
話しているとスレイプニールとGAUSが着艦する。
機体から降りてきた伊奈帆が歩いてくる。
「人が命懸けで戦ってきたのに、随分重役出勤だな」
「すまない……だが界塚。お陰で何とかなった」
伊奈帆は騎士ユニコーンをチラッと見てから再びスレインを見る。
「もう銀仮面とは呼べないな……お前、名前が長ったらしいから……僕もスレインと呼ぶぞ」
「好きにしてくれていい」
仮面を着けなくなったことについて、伊奈帆はスレインに言及しなかった。
ある程度覚悟を決めての行動だと悟り、アセイラム姫の名前も彼の前では出さないでいた。
短時間で宇宙怪獣の群れに勝利して間もなく地球への航路を確保しつつあったエルトリウム。
「そこの大型戦艦。直ちに武装解除し、停船せよ!」
衛星軌道ギリギリの小さな浮遊施設から通信が入り、指示に従い艦が止まる。
「我ら、地球外縁軌道統制統合艦隊!」
エルトリウムが突如、MS隊に包囲されることになる。
火星編は終了です。
次回から激動編に。
今回は
エルトリウムが地球に戻る
宇宙怪獣との遭遇。
スレインと騎士ユニコーンの会話。
そしてついに鉄血のオルフェンズが絡みます。
地球外縁軌道統制統合艦隊。
そして、鉄華団がどう関わるのか。
続きはdisk2へ。