「一騎カレー二つ頼むよ」
「わかりました。アスカ先輩」
竜宮島。楽園と言う名の喫茶店には三人のエースパイロットがつかの間の休息を損分に楽しんでいた。
真壁一騎、皆城総士、そしてオーブから出向しているシン・アスカがゆったりとした音楽を聴きながらカレーを食べる。
「ベイグラントの討伐のために宇宙に上がるってのはわかるけどさ、大丈夫なのか?島を離れて」
「織姫とエメリーと美羽ちゃんの提案でもある。空から来る敵は今戦うための準備をしているようでな。暫くは時間が空くらしい。最終決戦前に戦力を増やすためだ仕方あるまい」
一騎と総士がそんな会話をしながらもゆっくりしているのが気掛かりなシン。
「……ナデシコか」
さすがにシンも気付く。
オーブ側から連絡の来ていた連邦や他の軍から独立した部隊。
竜宮島にも来るのだろう。
「ただ、あいつらの協力を得ると言う事はフェストゥム意外ともやりあうんだろうな」
「島を守れる確率をあげるためなら手を汚す覚悟くらいあるさ……遠見にばかり重みを背負わせたくはないしな」
シンが竜宮島に来てから数日が経過した。
オーブと竜宮島が友好関係だったため、一時的な戦力の派遣として来たのだが毎日ように小規模な群が襲来していた。
ファフナーパイロットの同化現象を抑え温存するためにシンは連日出撃し続けた。
「……また来た……」
総士と一騎が窓を見る。
「お前らは休んでろ。あとカレー残しとけよ」
「アスカ先輩。やっぱり俺も」
「大丈夫だって」
シンは振り返らず走っていく。
「一応、俺達もアルヴィスで待機しておこう」
シンがデスティニーで出撃すると、眼前に現れたフェストゥムに驚愕する。
「銀色のフェストゥム……」
アルヴィス第二CDCでも動揺が湧く。
「マークデスティニーが会敵。ただしソロモンはタイプ断定せず」
「見たところスフィンクス型のようだが……銀色は初めてだ。どう思う真壁」
「先ずは出方をうかがおう。アスカくん。距離を取って様子を見てくれ」
「了解」
すると第二CDCの中に男が二人勝手に入ってくる。
「どうしたのかね、来主操、春日井くん」
「あれは僕達とは違うよ」
「真壁司令。攻撃は駄目です。敵意は感じない」
「……君たちがそう言うなら、従おう」
真壁の指示によってデスティニーは後退させられる事になる。
それを確認したのか、銀色のフェストゥムはゆっくりと下降していく。
島の灯台でコアである皆城織姫が視線を送っていたが、フェストゥムは彼女に見もくれず素通りする。
「真壁司令。ご子息から通信です」
「一騎から?」
いつなの間にか一騎がマークザインに搭乗していて、出撃体制を整えていた。
「父さん。あいつは俺を呼んでる。声が聞こえたんだ」
「声だと?奴は何を言っていた」
「何か苦しんでいる様子だった。行かせてほしい」
誰もが躊躇する。
島の最大戦力にして、電池切れ寸前のエースを出撃させていいものか。
悩んでいる時間はなかった。
「フェストゥムが移動!反応は……アルヴィス内部、ファフナー格納庫です!」
「一騎!」