ソードアート・オンライン ──月夜の黒猫──   作:夕凪楓

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後悔の始まりは、いつも気付かぬままに────







崩壊の兆し

 

 

 

 ────それは、いつもと何ら変わらない、ただの日常のはずだった。

 

 

 

 

 在り来りでも、大切なひと時のはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●○●○

 

 

 普段と大差無い時間に起床し、皆で朝食をとり、いつもの様に転移門広場へと集合していた。装備も変わらず万全の状態で、傍から見れば、今からレベリングでも行くのではと思わせるものだった。

 太陽も照っており、快晴の一言に尽きる。寧ろ、いつもよりも清々しい一日になる気さえしていた。

 装備品は、これまでみんなで狩りを続ける中で手に入れたものや、キリトがそれとなく誘導したダンジョンのドロップ品だった。攻略していく中で出会したモンスターも、アキトの事前の情報収集によって難無く円滑に倒せており、レベルもメキメキと上がっていた。

 ギルド《月夜の黒猫団》は、ここ最近でかなりの成長を遂げていたのだ。11層を拠点にしてもう半年以上経っており、彼らと同じ様にここを拠点にしているプレイヤーからは一目置かれる様になっていた。みんなにとって、それは喜ばしい事だったが、勿論アキトはその度に油断や慢心を注意していた。

 

 

 だが、アキトがそうして彼らを初心に戻すのとは反対に、キリトは彼らを攻略組へと参加させる為に、守る為に実力以上のレベルを付けさせていた。

 その差が、何を招く事になるのかも知らずに。

 

 

 黒猫団は転移門近くでその歩みを止めると、一斉にリーダーであるケイタへと視線を動かした。みんなの視線を集め、ケイタは照れた様に笑う。

 

 

 「……いよいよだな」

 

 

 彼のその言葉に、一同が頷いた。

 いつもと変わらない日常のはずだった。いつもの様な風景だった。だがその中で唯一、これから新しくなる事がある。

 そう、黒猫団は遂に、夢の一つであったマイホームを買うだけの資金を集め終えたのだ。みんなが笑って帰れる家、それは常に優しく温かな空気を纏う彼ら全員の願いで。それが、今日遂に叶うのだ。

 これからは11層の宿屋では無く、自分達の家が新しい拠点となる。その事実が、彼らを高揚させていた。これまで、その道は長く辛いものだっただろう。買いたいものも幾つか我慢した時もあったはずだ。だが、小さな積み重ねが実を結び、こうして家を買えるだけの資金を集める事が出来たのだ。それは、黒猫団が初めから持っていた堅実さがあってこそのもので、アキトもみんな以上に嬉しく思っていた。

 といっても、彼らが集めた資金は、最前線の攻略組が保持している資金と比べれば微々たるもので、下見に行った時に見付けたギルドハウスも小さな一軒家だ。

 だが、彼らはそれでも家があるという事実だけで、この先も頑張れそうだと、そう言っていた。それは遠い未来かもしれないが、いつか現実に帰る為の願掛けにも似た本能だったのかもしれない。

 帰る場所、それを現実世界に重ねて。

 全員で共通のウィンドウを開く。ゼロにほど近いギルドメンバー共通アイテム欄のコル残額を眺めながら、小さく笑い合っていた。

 

 

 「いやー、思えばここまで、長い道のりだったよなぁ」

 

 「まだ夢みたいだ……でも、今日、遂に俺達に家が出来るんだな。なんか、泣きそうだよ」

 

 「あれだけ長い間コル貯めてたのに、無くなるのは一瞬だったな」

 

 「はは、確かにな」

 

 

 思えば本当に長かった。それは、このギルドに後から入ったキリトでさえ思う事だった。ここまで彼らと共に戦ってきた事に、小さな達成感すら覚えた。

 

 

 「……それじゃあ、そろそろ行こうか」

 

 

 ケイタはそう言い放ち、転移門をチラリと見る。目標金額に達した黒猫団の共有財産を手に今から彼が向かうのは、ギルドハウスにしようと決めた一軒家を売っていた不動産仲介のプレイヤーの元だ。満足のいく物件は望めなかったが、決して妥協したとも言い難い。自分達の家なのだから、納得出来る物件にしたかったのだろう。

 最初に満場一致で欲しいと言い出したのは、大きめの煉瓦の建物だった。一部屋が大きく、各自の部屋にするには快適過ぎる場所で、家具も粗方設置された優良物件だった。勿論、当時の彼らにとって、その一軒家の値段はかなりのものだっただろう。みんな、仕方が無いと諦めながらも、心では引き摺っていたかもしれない。

 結局何とか資金を集めれば手に入りそうな小さな一軒家に決まったのだった。買えそうなものの中で一番良さそうなものをみんなで決めたのだ。家具は備わっていないが、それは買えば問題無い。その時の彼らの楽しそうな笑顔を、彼らは互いに忘れていない。

 

 

 「な、なんか緊張してきたな」

 

 「け、ケイタ、焦らずゆっくりな」

 

 「なんだよゆっくりって。もう買う家決まってるだろ」

 

 

 慌ててケイタを宥めようとしているメンバーに、苦笑いで答えるケイタ。みんな、夢見たギルドホームがすくそこにある事実に対して、その高揚を抑え切れないのだろう。

 そうしてケイタは仕方ないなと溜め息を吐くと、そろそろ行くよと踵を返す。

 

 

 「よし、行くか。……あのさ、アキ────」

 

 「ま、待って」

 

 

 そんな中、アキトが慌ててケイタを呼び止めた。ケイタが何か言おうとしていた事を遮ってしまい、アキトはしまったと表情を歪める。ケイタもいきなりの事で言葉を詰まらせていたが、小さく笑ってアキトを見た。

 

 

 「……アキト、どうかした?」

 

 「あ……ゴメン、何か言おうとしてたよね。先、良いよ」

 

 「あ、いや、僕のは別に急ぐ程の事じゃないし。何?」

 

 「いや、俺も別に急かされるような事じゃ……ぁ」

 

 

 ケイタがキョトンと首を傾げる。他のメンバーも、アキトのその様子を不思議に思ったのか、彼に視線を集め始めていた。

 だが、そんな視線にたじろぎながらも、アキトは視線を逸らしながらもケイタに向かって口を開いた。

 

 

 「……俺も、一緒に行って良いかな」

 

 

 そう言った彼を、彼らは口を開けて見ていた。目を丸くして、一斉にこちらを見ていた。アキトだけは、何故彼らがそんな反応を示しているのか分からず、少しばかり動揺を覚えた。

 

 

 「け、ケイタ……?」

 

 「あ……ああ、ゴメン。実は、僕もアキトを誘おうと思ってたんだ。だから驚いて」

 

 「え……そう、なの?な、なんで……?」

 

 「えっと……それは……」

 

 

 アキトが問えば、視線が逸れる。見渡せば、黒猫団のメンバーもよそよそしい雰囲気を出していた。

 キリトもそんな彼らに違和感を覚え、訝しげに彼らを見ていた。

 単純に、ケイタが自分を誘おうとしていた理由を知りたかったアキト。ここで答えを渋られる理由がイマイチ分からなかったが、やがて捲し立てるように、ケイタが口を開いた。

 

 

 「ま、まあそれは後で話すよ。じゃあ、ギルドホーム買いに行くの、付いてきて貰える?」

 

 「う、うんっ……」

 

 

 アキトは軽い足取りでケイタの後を追う。そのまま同じタイミングで転移門に足を置き、転移先を告げた。

 みんなが笑って手を振っていて、アキトは笑ってそれに応える。だが、サチと目が合った時、思わず目を逸らしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●○●○

 

 

 「っ……」

 

 

 手を振っていたその手をその場で固め、サチは瞳を揺らした。

 転移する瞬間、アキトに向けて振ったその手に、アキトが返事をしてくれる事は無かった。目を逸らし、何処と無く辛そうな表情のまま、それでもこちらを見てはくれていなかった。

 今から一ヶ月近く前、サチがみんなの前で姿を消したあの事件の辺りから、アキトの様子が何処かおかしい事には気付いていた。なのに、話し掛けても返ってくる言葉は大丈夫の一言。以前二人で行った喫茶店に誘うも、良い返事は貰えていなかった。

 どんどんアキトとの距離が離れていってるような、そんな気がしているサチ。

 

 

 「……サチ、どうかしたのか?」

 

 「え……」

 

 

 そんな彼女にいち早く気付いたキリトは、表情を曇らせてサチの顔色を伺う。キリトから彼女のその物憂げな表情は、儚さがあり、暗い影を落としていた。

 

 

 「あ……いや、ううん。何でも無いの」

 

 

 我に返った彼女は、誤魔化す様に笑う。そんな仕草は、現実世界でも友人である彼らには通じなかった。

 

 

 「……なんだよ、元気無いじゃんか」

 

 「折角新しい家が手に入るんだぞー、サチも喜べって」

 

 「う、うん……そうだね」

 

 

 そうしてサチを元気づけようとした発破にも、彼女は小さく応えるだけだった。何処か上の空な彼女に、先程まで元気だった黒猫団の空気が変わる。キリトはそんなサチの表情の既視感に、何処か焦燥を感じていた。

 どうしたものかと彼らが顔を見合わせる中で、テツオは小さく溜め息を吐くと、サチに向かって鋭く口を開いた。

 

 

 「どーせ、アキトと何かあったんだろ」

 

 「っ……え、な、何で、そんなっ……」

 

 

 サチは一瞬で顔が強張り、途切れ途切れに音を零す。その様子は、図星と言っている様なものだった。

 ダッガーとササマルは目を見開いてサチを凝視し、キリトはテツオの言葉に身体を震わせた。

 

 

 「なにお前ら、まだ喧嘩してんのかよ?」

 

 「べ、別に喧嘩って訳じゃ……」

 

 「そっか……やっぱ、アキトとサチが何か気不味い感じに見えたのは気の所為じゃ無かったのか……」

 

 「……というか、サチだけじゃなくて俺達にもよそよそしいよな。なんか避けられてるっていうかさ……」

 

 

 どうやらメンバー全員が、このところアキトとサチの間の空気が微妙な事に気が付いていたようだ。原因は不明だが、以前サチが宿から居なくなったあの一件から、アキトがサチに対して何処かよそよそしいのだ。最初はサチの、ひいてはメンバー達の気の所為だと思っていたが、あれから一ヶ月近く経った今でも、その態度は変わっていなかった。それを、テツオは覚えていたのだろう。

 それどころか、黒猫団のメンバー全員がアキトに避けられているような気さえしていた。

 

 

 サチ自身もアキトのその態度は気にはなっていたのだが、その度にあの日キリトに縋ってしまったあの時の事を思い出して、アキトに罪悪感に似た何かを感じて近付く事を躊躇っていた。

 アキトではなく、キリト。その行動の中に恋愛的な感情があった訳じゃ無い。それはあくまで、自分の保身の為、恐怖から逃れようとする本能だった。けど、それでも。

 ────まるでアキトを、裏切ってしまったみたいで。

 

 

 「……」

 

 

 彼女のそんな様子を見て、隣りでキリトが顔を伏せる。

 サチがここ最近まともにアキトと会話出来ていない事を、誰よりもキリトが知っていたからだ。そして、アキトがサチ、黒猫団をなんとなく避けているその理由を作ったのが他でもない自分自身である事実に、何も感じていないはずが無かった。

 

 

(……俺、は……)

 

 

 寧ろ、あの時後悔したのだ。アキトのあの表情を見て、キリトは漸く、自分がアキトにした仕打ちを理解した。

 自分が彼に抱いていた憧れ、嫉妬。彼のようになりたいと願った自分が掴み取ったのは、アキトがいるべき場所、いたはずの場所だった。そしてその場所は、キリトがアキトから奪い取った場所であり、彼の理想、夢すらも我がものとした。それがアキトにとって、どんなに辛い事だっただろうと、あの日、やっと理解したのだ。

 けれど、それはもう後の祭り。気が付けば、アキトはサチやキリト達を避けるようになっていた。声を掛ければ返事をしてくれる。けれど、彼との会話はいつしか事務的なものになっていた。当たり障りの無い、常に攻略についての会話で、日常的な話は少なくなっていた。けどそれでも、彼は深夜のレベリングを止めていなかった。それは、キリトだけが知っている。

 このままじゃ、ダメだ。家を買うこの機会に、何とかしたい。そう、キリトだけじゃなく誰もが思った。

 

 

 「まあでも、アキトなら面と向かって話せばちゃんと聞いてくれるだろ」

 

 「そりゃあ良い。アイツ、真っ直ぐ言われると逃げらんないからなー」

 

 「嘘とか隠し事とか、ホントは苦手だしね。正直過ぎるっていうか、優しいというか……」

 

 

 ダッガー、テツオ、ササマルは空気を和ませようと、そう言って笑った。彼らが言っている事は全て正しくて、キリトもサチも少しだけ励まされた気がした。

 アキトという少年は、初めて出会った時から何処か放っておけない雰囲気を纏っていた。打てば返ってくる様な正直者で、聞いた事全てを答えてしまう、支持した事全てを承諾してしまう、そんな危うい少年を、優しい黒猫団は放っておけなかったのだ。結果、彼は黒猫団に色んな贈り物をしてくれた。彼がいると、彼が笑うも、こちらも嬉しくなって。彼が落ち込めば、こちらも悲しくて。いつの間にか、黒猫団にアキトがいない事など、考えられなくなっていた。

 そんな彼が今、このギルドに居心地の悪さを感じているとしたら、それは戦力的にも友人的にも死活問題だった。

 

 

 「俺ら仲間なんだしさ……いつまでもこういうのは、な……」

 

 

 その言葉が、キリトの胸を貫く。罪悪感が凄まじかった。その一言で空気が沈む。だが、ダッカーが頭を掻きながら告げた。

 

 

 「おいおい、暗い雰囲気にするなよなっ、今日でこの雰囲気は終わりにするんだからさ」

 

 「……そうだね。その為にケイタにアキトを連れて行って貰ったんだし」

 

 「早くしないと帰って来るぞ。ケイタの奴、ちゃんと時間稼ぎ出来るかね」

 

 

 各々が口を開き、表情を明るくする。

 アキトが自分からケイタと同行する事を頼んで来たのは予想外だったが、これから行われる彼らの“計画”には差し支えない。寧ろ、ケイタがアキトを誘う手間が省けたというものだ。

 後は、ケイタが如何に時間を稼いでくれるかが肝だが、夕方までならなんとかと、リーダーらしく胸を張って言ってくれた。時間はたっぷりあるが、うかうかしても居られない。

 

 

 ────黒猫団がこの“計画”を思い付いたのは、つい最近の事だった。

 アキトのメンバーに対する態度について、このままでは良くないと話し合った事があったのだ。黒猫団がアキトを大切に思っているからこそ、彼に避けられている事実が胸を痛め、各々限界だったのだ。

 そんな中で提案されたのが、今回の“計画”だった。一同一致で首を縦に振り、今日この日を待ち望んでいた。

 アキトが何故よそよそしい態度を取るようになったのかは分からないが、彼がそんな時は常に自身の力を嘆く時だと決まっているのだ。アキトは普段の戦闘では黒猫団の力になっているのだが、何せ思考がネガティヴ過ぎるのだ。『俺なんか』『俺よりも』と言っては自分を卑下する様子は何度も見てきたのだ。

 つまり、彼に自身を認めさせる事が何よりも重要なのだ。勿論、黒猫団全員がアキトの存在が必須だと思っていた。

 今日、新しいギルドホームを購入し、みんなで夕飯を取る。料理は豪華なものを揃え、そこでアキトを元気にするのだ。

 今回、ギルドホームの購入の際にケイタにはアキトを連れ出して貰い、その間に買い出しを済ませる。夕方まで時間稼ぎを伸ばしたのは、黒猫団のみんなに考える時間を作る為だった。アキトがいる時間帯に考えたりしたら、彼に勘づかれる可能性があった為に、今日の今日までノープランもいい所だった。

 

 

 だがその“計画”の詳細を聞いたキリトは、誇張無しに驚いた。黒猫団の、みんなの彼を思う気持ちが嫌になるほど伝わったのだ。顔を伏せ、瞳を揺らして口を開いてこう切り出したのは記憶に新しい。

 

 

『……それ、俺も参加して良いのかな』

 

 

 ────きっとこの空間で、自分はアキトには決して勝てはしないのだろうと。

 

 もう、それは認めるしかないのかもしれない。

 キリトこそ劣等感よりも、アキトを親友として見ていたし、この状況を作り上げてしまった自分を責めていた。勝ちたい、越えたい、そう在りたいとは思っても、彼の居場所を奪うつもりは一欠片だって無かったのだから。

 だから、彼らの提案を聞いて、またとないチャンスだと思った。彼に自分の醜い部分、憧れていた事、嫉妬していた事を、ちゃんと伝えるのだと、その時思った。

 

 

 

 

 ────だが、そうして街へと足を運ぼうとした時だった。

 テツオが、如何にも何かを思い付いたような顔をして、みんなに向かって言い放ったのだ。

 

 

 

 

 「あ、そうだ!二人が帰って来るまで時間はたっぷりあるんだし、迷宮区でちょっと金を稼いで、新しい家用の家具なんかも全部揃えちまえって、アキトだけじゃなくケイタもびっくりさせてやろうぜ!」

 

 「おっ、良いじゃん!」

 

 「ナイスアイデア!」

 

 

 その提案に笑みを浮かべる彼ら。どうやらサプライズが好きなようで、全員が悪戯を思い付いた子どものような顔をしていて、キリトも思わず苦笑した。

 しかし、その次の言葉でその表情は一瞬で消える。

 

 

 

 

 「────なら、いつもより上に行ってみようぜ」

 

 

 

 

 とんでもない言葉が飛んでいた。キリトは目を見開き、その発言に厳しく手を打つ。

 

 

 「却下だ。いつもの狩り場で充分だろ」

 

 

 今はケイタもアキトもいない状態なのだ、幾らレベルが上がっていたって、そんな時に行った事の無いエリアへ行くだなんて危険過ぎる。

 しかし、みんなは何食わぬ顔で、何でもないといった風な様子だった。

 

 

 「上なら、いつもよりも早く、沢山稼げるよ」

 

 「俺達のレベルなら余裕だって!」

 

 「……」

 

 

 キリトは、そんな彼らに何も言わなかった。

 向かった先は、最前線から三層しか離れていない場所だった。そこは稼ぎの良いエリアではあったが、トラップ多発地帯でもあった。

 けれど、キリトはそれを伝えようとはしなかった。

 きっと大丈夫、何処かでそう思っていたから。

 アキトに謝りたい、そう思っていたから。

 だから、これからみんなで催すパーティーの準備を優先してしまったのだ。

 

 

 

 

 ────だがそれを、キリトはずっと後悔する事になる。

 

 

 

 

 ────あの時、こうしていれば。そんなタラレバを何度も何度も。

 

 

 

 

 ────しかし、届かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大切なもの、大切な人。

 

 

 

 

 その想いが強いものこそ、失ってみないと分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●○●○

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 

 その石造りの街並みを、会話も無く並行して歩く二人。行き交う人々や景色を眺めるケイタの隣りで、アキトはチラチラと彼の様子を伺いながらも、話し掛ける事はしない。

 黒猫団の念願だったギルドホーム──自分達が笑って帰れる家の購入。二人は、その為にこの層に来ていた。目標金額に達し、その大金を手にケイタと共にここまで来たアキトだが、先程からケイタを見ては目を逸らす、その繰り返しだった。

 

 

『────ちょっと、歩かないか』

 

 

 この層へ転移してすぐにケイタからそう切り出され、思わず承諾してしまったが、この沈黙がとても気不味くて居心地が悪い。以前なら寧ろ、こんな沈黙が心地好く感じていたはずなのに。

 避けている、そんな自覚があるからこそ、アキトはこの状況が堪らなく嫌だった。ケイタと共に来たのは自分の意志だし、何より理由がある。だからこの状況は仕方無いのかもしれないと思っていた。

 だがここへ来る前、ケイタは確かに告げた。『元々アキトを誘うつもりだった』と。

 つまり、ケイタはアキトと二人でギルドホームを買いたい、もしくはアキトと腹を割って話す事があるかの二択なのだ。そしてアキトが確信するは、間違いなく後者。

 ここ最近のアキトの黒猫団に対するよそよそしい態度に、遂にケイタが御立腹かと、アキトは小さく震える。

 

 ────実際は、こうして遠回りする事で時間を稼いでいるのだが、それをアキトが知る由もなく、ただ二人の間には誤解が生じていた。

 

 といっても、ケイタが何も考えずに時間を稼ぐつもりだった訳では無い。言おうとしている事は、アキトが予想していた通りのものだった。

 

 

 「……なんか、最近避けてない?」

 

 「っ……」

 

 

 アキトが分かりやすく目を見開く。ケイタが自分を誘おうとしていた理由があまりにも予想通りで、逆に狼狽していた。

 そしてそんな様子を見たケイタは、悲しげに笑う。ここ一ヶ月近く感じていたアキトの態度が気の所為では無いという事実が、彼の表情を見る事で確信してしまったからだ。

 

 

 「その様子だと、自覚はあったんだな」

 

 「……」

 

 「僕ら、なんかアキトを怒らせるような事したかな」

 

 「それは……っ」

 

 

 思わず見上げたケイタの顔に、アキトは固まった。

 それは、本当に悲哀に満ちた表情だった。黒猫団の誰もが、アキトに避けられているその事実に多少なりとも落ち込んだ。それをアキトが知っている訳ではないが、それでも彼がしている事によって黒猫団のみんながそれなりに傷付いている事は、分かっているはずだ。

 

 

 「……ゴメン」

 

 「別に、謝って欲しかった訳じゃないよ。でも……理由、聞いても?」

 

 

 歩みを止めたその場所は、既に人が少ない通りだった。決して路地裏だとか、細い道だとかではなかったが、何故かその時は示し合わせたようにプレイヤーが少なかった。

 ケイタのその表情を作らせているのは他ならぬアキトで。それを見たアキトの瞳が大きく揺れ動く。

 彼はリーダーだからこそ、今のこの状況を良しとしない。みんなを纏める存在としての責任感もちゃんとある。こんな態度を続けていれば、いつかはこうなると分かっていた。

 けれど、みんなを避けている理由が完全な私怨で、それも同じ仲間に対する劣等感から来てるだなんて、情けなくて言えなかった。

 

 

 「……みんなは、悪くないよ」

 

 「……それだけ、か?」

 

 

 理由を聞けると思っていたケイタは、表情を曇らせる。けれど、アキトは頑なにそれを告げるのを拒んだ。

 

 

 「……言いたく、ない。凄く、情けない理由だから」

 

 「……アキト」

 

 「で、でもっ……八つ当たりみたいになってたのは、謝る。これは俺自身の問題だったし、みんなには全く関係無い事なのに……」

 

 

 自分が弱かったから。そう思えば簡単だった。

 キリトが強かったから。黒猫団という大切な存在を守る為にアキトが求めていたものを、キリトが持っていたから。だから、この夢を、居場所を奪われても仕方が無いと、そう思った。

 そしてそれは、自分の願いをキリトに託す、押し付けるようになっていて、結果それがみんなを避ける態度として現れた。みんなが慕ってくれたのは、自分が強くあろうとして、そしてみんなの気持ちに応えられて来たからだと。

 だから、キリトが自分の代わりを努めてくれるなら、もう自分は必要無いのだと、何処かでそう思っていた。

 しかしアキトのそんな思惑など、黒猫団のみんなが知るはずも無い。彼らからすれば、突然アキトに避けられたように映るだろう。

 

 ────みんなは何も悪くない。悪いのは自分なんだ。だから、自分達が何かしたのでは、なんて悩む必要なんて無い。

 

 そう、アキトは頭の中で呟いた。

 結果的にキリトに対する劣等感が拭い切れなかった末の癇癪で、単なる八つ当たりだったのだ。黒猫団のみんなの所為ではない、彼らは全く関係無い、ただ自分の心と身体が弱かっただけ。

 

 だから気にしないで、と。そう告げようとした時だった。

 

 再び顔を上げたアキトが見たのは、こちらを真っ直ぐに見据えてたケイタだった。その瞳に捕まり、アキトは目を見開く。

 何処か辛そうで、悔しそうな、そんな顔。その理由を、ケイタが言葉にしてくれた。

 

 

 「……“関係無い”なんて、そんな事ないだろ」

 

 

 「ケイタ……」

 

 

 アキトはそんな彼から目を逸らせない。彼の表情は、アキトに頼って貰えない自分の不甲斐なさを嘆いたものだったし、話してくれないアキトに対する悲しみと悔しさだった。

 

 

 「……僕らは仲間、同じギルドのメンバーなんだ。そのメンバーであるアキトが何かに悩んでる時点で、僕らに関係無いはずないだろ?」

 

 「……っ」

 

 

 その言葉が、嫌に耳に響く。純粋な気持ちがそこから染み渡り、アキトは何故か泣きそうになっていた。こんな態度を続けていた自分の事を、リーダーがそんな風に思ってくれていただなんて。

 

 

 「頼りないかもしれないけどさ、話を聞く事ぐらいは出来るんだし」

 

 「た、頼りないだなんてっ……そんな事、全然思った事無いからっ……!」

 

 「そっか、はは。……言えないならそれでも良いよ。けど、偶には頼ってくれよな」

 

 

 慌てふためく必死なアキトを、面白可笑しく笑うケイタ。そんな、自分の今までの態度を簡単に許したように見えるケイタに、アキトは途轍も無い罪悪感を覚え始める。

 彼が気にしていなくとも、口から出るのは言い訳だった。

 

 

 「……本当は、俺もこのままじゃいけないって思ってた。勝手に『自分なんか』って卑下して、苛立って、落ち込んで……そうしてみんなに八つ当たりして、ホント、最低だったよね……」

 

 「アキト……」

 

 「でも、自分から変な態度を取った手前、中々元に戻す事が出来なくて……それで、ズルズルここまで来ちゃって、さ」

 

 

 紡ぐ言葉の全てが、自信の無さを表していて。消極的な自分の気持ちが、徐々に露呈していって。

 

 

 「だ、だから……今日、ギルドホームを買うこの日に、またいつも通りの関係に戻れたらって、そう、思ってて……」

 

 「っ……アキトも……?」

 

 「え……?」

 

 「あ、ああいや、何でも……」

 

 

 ケイタの小さな囁きは、アキトの耳には届かなかった。その事実に安堵の息を吐き、ケイタは何でもない表情を作ってアキトを見る。

 

 

 「もしかして、それが今日付いてきた理由?」

 

 「う、うん……その、みんなに何か出来たらなって思って……あの、ケイタ。これ……」

 

 

 そうしてアキトはウィンドウを開き、とある麻袋を取り出した。ケイタは不思議に思いながらも、恐る恐るとアキトに近付き、その麻袋の中身を覗いた。

 

 

 「っ……これ……」

 

 

 ケイタは思わず目を見開いた。

 そこには、大量のコルがオブジェクト化され、詰め込まれていた。全員で稼いだ金額には及ばないものの、それでも一人で稼ぐには時間と忍耐がいるであろう金銭量だった。

 ケイタは慌てて顔を上げると、そこには照れた表情のアキトがいた。

 

 

 「その……ヘソクリみたいなもので、さ。一番最初に気に入った物件覚えてる?広くて居心地が良さそうだけど、買うにはちょっと高いからって、みんな諦めてたヤツ。昨日下見に行ったら、その物件まだ残ってて」

 

 

 覚えてる。みんながみんな、快適に思えるその家に釘付けだったし、先日もその話をしていたばかりで。

 

 

 「……アキト、まさか……」

 

 「うん」

 

 

 そうしてアキトは、柔らかな表情を作り、その瞳を細めた。

 

 

 「みんなが帰る家だもの。みんなが住みたいと思う家に住みたいじゃん。これとみんなで集めたコル足せば、丁度買えるんじゃないかな」

 

 

 「────」

 

 

 ケイタの口元がわなわなと震える。アキトはそんな彼の様子に眉を顰める。もっと喜んでくれるかと思っていたのだが、固まった表情を見ると不安になった。

 勝手な事をしてしまったかな、とアキトが表情を歪めそうになった瞬間だった。

 ケイタがポロリと、声を震わせて呟いた。

 

 

 「……ヤバい、泣きそう」

 

 「え、うえぇっ!?」

 

 「アキトが僕らの事、そこまで大切に思ってくれてただなんて……ホント、なんで避けてたのさ……」

 

 

 しおしおと項垂れるケイタを見て、アキトは慌てふためく。ケイタの落ち込み具合が凄く、アキトはわたわたとケイタの周りをウロウロするのみ。

 だけど、決して怒っている訳では無いと知れて、とても安心した。そして、ケイタが感極まる程のを見て、何より嬉しかったのは、自分が彼らに大切に思われてる事実を確認出来た事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●○●○

 

 

 「……僕らのサプライズが、霞んで……」

 

 「え、何?……ど、どうしたの?」

 

 「ああ、いや、何でもない……そう、何でも、ないんだ……」

 

 

 再び歩行を開始するアキトとケイタ。気付けば周りはプレイヤー達が増えており、先程の広い道が嘘のように狭まる。活気を取り戻した街道を進みながら、ゆっくりと景色を眺める。

 隣りでケイタが下を向いてはブツブツと囁いており、アキトはチラチラと見ては首を傾げる。やはり、勝手な事をして怒っているのだろうか。

 アキトが貯めたお金は、彼らに内緒で赴く深夜のレベリングの積み重ねで得たものだった。黒猫団のみんなに配布した装備やアイテム以外にも、自分達では半ば使わないであろうアイテムなどもドロップしており、そうしたアイテムを売り続けた結果の金額でもあったのだ。

 アキト自身買い物に対する欲がそれほどあるわけでもなかった為に、使い道も無く貯まる一方だったのだが、今にしてみればどうだろう、まるで今日この日の為に貯め続けていたようではないかと、アキトはとても満たされた気分になっていた。

 

 

(戻れるかな。前みたいに────)

 

 

 思い出すは一ヶ月前の光景。そこから比べてしまうのが今の現状。思えば、黒猫団のみんなには本当に迷惑をかけた。

 特にサチには、かなり酷い態度をとっていたのではないかとすら思える。彼女の表情を見る度に、何処か心を痛めていた。なのに、それを変えようとしなかった。

 嫌われたかもしれない────そう思った。

 だけど今日、みんなと関係を修復出来るかもしれない。そしたら、彼女に精一杯謝罪すると、アキトは心に決めていた。

 許されなくても、この気持ちだけは伝えなきゃいけないと、そう思っていたから。

 

 

(……早く、帰りたい)

 

 

 自然と、歩く速度が速まる。

 少しずつ、だが明らかに分かる程に。

 

 

 「っ、あ、アキト……!?」

 

 

 ケイタが慌てて呼び止める。しかし、アキトはその足を止めない。

 

 

 「早くホーム買って帰ろう、ケイタ。みんな待ってるよ」

 

 「い、いや待ってくれ、もうちょっとゆっくり行こう、な?」

 

 「え、どうして?」

 

 「え?あ、いや……えーと……」

 

 

 アキトが足を止めて振り返ると、そこには先程とは打って変わってしどろもどろとしているケイタの姿があった。全く違う様子にアキトは首を傾げる。

 なんだか帰る時間を長引かせようとしているように、アキトには見えた。

 

 

 「……」

 

 「あっ……」

 

 

 アキトはなんとなくフレンド欄を開いた。その行為にケイタが『しまった……』みたいな表情を作る。

 慣れた手つきでスクロールし、数少ないフレンドをタップした。

 

 

 

 

 「────」

 

 

 

 

 そして、思わず目を見開いた。

 

 

 

 

 黒猫団のメンバー全員の位置情報が、《圏内》ではなかったのだ。

 そして、そこから派生して見れる詳細位置を見て、心臓が止まりかけた。

 

 

 

 

 「……みんな、迷宮区にいる」

 

 

 

 

 ふと、声が震える。

 リストを開けば、誰もが《圏外》の表示だった。示された先は迷宮区。

 

 

 「え、迷宮区?変だな、今は買い出しの時間のはず……」

 

 

 と、ケイタは首を傾げていた。ケイタはウィンドウを開いてはいない。アキトの今の言葉だけなら、いつもの場所で狩りをしているのだと感じるだろう。ケイタは首を捻るだけで、あまり深く考えてはいなそうだった。

 いつもの狩り場なら、モンスターに遅れを取らないから、そう思っていたのだろう。

 

 

 ────だが、実際は違った。

 

 

 まだ行った事すら無い未知のエリア。そこに、ケイタとアキトを除いた五人のみで挑んでいたのだ。

 

 

 

 

(な、なんで……)

 

 

 

 

 アキトが瞳を揺らし、動揺を見せる。

 どうして、何で、そんな事ばかり。少し驚いただけで、まだ慌てるような段階では無い。

 

 

 

 

 なのに、どうしても。

 

 

 

 

 嫌な予感が拭えない────

 

 

 

 

 

 

 

 ────……いで、……くっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「っ……な、に……?」

 

 

 アキトは突如、頭を抑える。ズキリと小さな痛みが走り、思わずその目を細めた。

 とても遠くから、小さな、それでいて意思を感じる声が聞こえる。ノイズのようなものが頭を掻き乱し、その声が段々と強く聞こえてくる。

 

 

 

 

 ────急……で、早……!

 

 

 

 

 「……何だよ、こ、れ……」

 

 

 

 

 ────急いで、早くっ!

 

 

 

 

 「っ……声、が……」

 

 

 

 

 ────早く!早く迷宮区に行って!仲間なんでしょ!?

 

 

 

 

 「────っ!」

 

 

 

 

 瞬間、脳裏にノイズが走る。あまりの不快感に、僅かに目を細める。

 そこから焼き付き始めるのは、知らない場所。見た事も無い、無機質な空間。

 

 これは、何処の迷宮区────?

 

 

 そう判断した次の瞬間、血の気が引く。

 そこにいたのは、《月夜の黒猫団》。未知のエリアに、五人が続いていた。

 なんだ、なんだ、これは。どうして、みんなが。

 ここは何処だ、迷宮区なのか?何層だ。一体、何処なんだ。

 

 

 

 

 ────27層の迷宮区だよ!早く!

 

 

 

 

 その声を合図に目を見開く。気が付けば、アキトはその身を翻していた。

 何なのか分からない。どうなっているのか分からない。ただ、突き動かされるのだ。

 その脳裏に響く声がどうしようもなく、嫌な予感を助長してくるのだ。動揺を隠し切れないままに、人混みを掻き分けて走り出す。

 

 

 「あ、アキト!?」

 

 

 ケイタの声が遥か遠くに聞こえる。けれど、今はその声に何か返事をする余裕すら無かった。

 最悪の事態が脳裏を駆け巡り、そのイメージが映像化されていく。心臓が強く鳴り響き、脈打つ鼓動を身体全体で感じた。

 

 

(まさか……まさか……まさか、まさか……っ!)

 

 

 もうそれしか考えられない。形振り構って居られなかった。

 

 

 何故このタイミングで、上層なんかに────!

 

 

 それは苛立ちではなく、動揺と焦燥から出た素朴な疑問。だけど、それに解を見い出せる程に思考に余裕があるわけじゃなかった。ただ、今も尚前線近くの迷宮区へと足を踏み入れた五人の無事を祈りつつ、この足を動かすだけだった。

 

 

 「っ!」

 

 

 すれ違う人と何度もぶつかる。それに謝る事すらせずに、アキトはただ転移門へ向けて走った。

 呼吸は既に荒く、視界も足取りも覚束無い。それでも、迷宮区へと向かうその意志だけは揺らがずにいた。

 

 

 

 

 「転移────!」

 

 

 

 ただ、失いたくない、その気持ちばかりが溜まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嫌な予感は、正しく崩壊の前兆────

 

 

 








『感謝の気持ちを表す為に』


テツオ 「アキト、何あげたら喜ぶと思う?珈琲?」←消費物

ササマル 「甘いもの好きだよね。チョコとか?」←消費物

ダッカー 「何あげてもアイツ泣いちゃうんじゃねぇの?」←アイデア無し

キリト 「装備……はダメか。NPCが売ってる奴だと今のヤツより性能も劣るし、良いものを探すにも時間が足らない気もするし」←ゲーム脳

テツオ 「長持ちするヤツが良いよなー。じゃあ食べ物とかはダメか」

サチ 「……あ、アクセサリはどうかな。指輪、とか」


「「「「……」」」」


サチ 「……え?」

テツオ 「……や、なんて言うかその……」

ダッカー 「俺らが指輪をプレゼントするのはなんか違うっていうか……」

ササマル 「指輪は、なんか意味深っていうか……サチ、アキトに指輪あげたいの?」

サチ 「意味深……?」

キリト 「なんか、プロポーズみたいな……」

サチ 「……っ!?あ、やっ、ち、違っ……そうゆ、そういう意味じゃなくて……!」///



※ペンダントになりました()


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