ソードアート・オンライン ──月夜の黒猫──   作:夕凪楓

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……因みにアキト君。

クロス大歓迎です。
魅力的かどうかは分かりませんが、採用してくださる方は一声下さい。
とても嬉しい気持ちになります。(白目)




Ep.72 裏切りは棺桶と共に

 

 

 

 

 斧使いの男性プレイヤーの一件から、数時間が経過していた。

 休みを多めに取りつつ、新たなエリアを開拓していった二人は、《ジリオギア大空洞》と呼ばれるエリアの根幹を見つけたような気がした。

 

 

 《ジリオギア大空洞》展望上部

 

 森を抜けたその先のエリア名がそれだった。

 そこに広がるのは、ダムの形と酷似した滝。高いところから覗くと、上から流れ落ちる大量の水が、底の見えない深淵へと混ざり合っていく。

 辺りにある木々には葉の一枚も付いておらず、すっかり枯れ果ててしまっていた。

 巨大な滝の中も、もしかしたらダンジョンになっているのかもしれないと考えると、一番下に行くまでに相当骨が折れるだろう。

 滝沿いの道に沿ってある道をゆっくりと降りていくと、かなり離れた先に遺跡型のダンジョンへの入口が存在していた。

 そこへと向かい、歩く中、フィリアがチラリと滝の方へと視線を移し、底を覗き見しながら呟いた。

 

 

 「深すぎて底が見えないね……」

 

 「あそこにダンジョンがあるから、そこから派生して中に行けるかもな。お前の大好きなお宝ちゃんとやらも期待出来るだろ」

 

 「うん……そうだね」

 

 

 崖から見える滝の深淵は、波で渦巻いて、夜空の様に輝く。

 そんな景色を瞳に収め、フィリアは小さな声で、そう答えた。

 いつもなら飛び付くであろうお宝の話にも、彼女は反応を示さない。

 

 

 「……気が乗らないならやめとくか」

 

 「ううん、大丈夫」

 

 

 フィリアは深く息を吸って、大きく吐く。

 気を引き締めようとしているのか、その瞳は先程よりも活力を取り戻したように思えた。

 アキトからすれば、それが空元気ならば、やはり今日はやめとくべきだと思っていた。

 

 別に急いでなどいない。むしろ、自分はその逆を望んでいるから。

 

 ここに居たい。戻りたくない。彼らと顔を合わせたくない。

 そんな思いが、今のアキトにはあったのだ。

 戻っても自分の居場所は無い。あったと思ったその場所にいたのは、元々そこにいる筈だったキリトの影。

 

 あの時のボス戦での記憶があったのなら、もう少し考えようはあったかもしれないのに。

 仕方ないと、割り切る事が出来たかもしれないのに。

 でも、そんなタラレバは叶わない。

 

 自分を見てくれていたのはきっと。

 かつての仲間だった、黒猫団だけ。

 元々は、彼らの為に自分は生きていた。それが今は、キリトの仲間達の為に生きている。

 自分を必要としていない、彼らを。

 

 あそこに居れば、嫌でも彼らと顔を合わせてしまう。

 その度に自分の必要性と、キリトへの劣等感が襲う。だからこそ、アークソフィアに戻りたくは無かった。

 ボス戦が続く以上、いつかは戻らなくてはならないのは分かっている。けれど、今この時間だけは。

 何もかもを忘れさせてくれる、階層の無いこの世界だけは。

 あちらの世界とは関係の無い、フィリアがいてくれるなら。

 それだけで、少し安心出来た。

 

 だから、そんなフィリアが元気の無いところを見ると、放っては置けなかった。

 彼女が話してくれないのなら、自分は彼女の力になれるように努力するだけ。

 そう思っていた。

 

 そうして、二人の間に会話の無い状態で歩き続けた。

 グリフォンやオークなどのモンスター相手には、細かな連携は必要無かった。

 その為に、気にはなっているのに、彼女に話しかけられなくて。

 アキトは、もどかしく感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●○●○

 

 

 

 《追跡者に捕えられた祭事場》

 

 

 遺跡の中は例によってうっすらと暗く、小さな灯りが松明によってプレイヤーの影を照らす。

 土の色で巡らされた壁は、どこまでも続き、冷たい空気を纏わせていた。

 《ホロウ・エリア》は階層のあるアインクラッドとは違って、どこまでも広がる地続きの世界。だが、エリアボスを倒す度に道が開かれ、モンスターのレベルも上がっているのを見ると、アインクラッドと同じで、このエリアは初めの樹海よりも難易度が上がっていると見て良いだろう。

 

 自身の持つ武器は宝箱で手に入れた、その場凌ぎの刀《琥珀》。

 キリトへの想いが込められたあの二振りを使う事には、抵抗を覚えてしまっていた。

 あれを使うのは、自分では無い気がした。それは、間違っているように思えた。

 リズベットに悪い気がした。

 

 

 その刀を握り締め、目の前のリザードマンに目掛けて叩きつける。

 動物らしい鳴き声を上げるモンスターの肩に当てがった刀を一気に振り下ろした。

 ポリゴンへと化し、破壊されたそのリザードマンの後ろから、新たにリザードマンが押し寄せる。

 《琥珀》で奴らの攻撃をいなし、受け流し、流れるようにカウンターを打つ。

 フィリアへと視線を動かし、彼女の準備が完了しているのを確認すると、スイッチを行う為に、モンスターの振り上げる武器を弾き飛ばす。

 フィリアはいつもより少し遅いタイミングで入り込み、リザードマンの胸に短剣をぶつけた。

 

 モンスターが消え、光の破片ばかりが宙に舞い上がる。

 お互いに武器を収め、それを眺める。

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 

 先程から、ずっとこの繰り返し。

 単調に、それでいて戦闘は複雑で。それでも、互いに指示を出し合う事は無く、回復アイテムで体力を回復するだけ。

 

 フィリアの方をチラリと見ると、彼女はウィンドウを開き、何かを見ているようだった。

 その瞳は揺れ動き、指は震えていて。

 

 

 「……何見てんだ?」

 

 「っ……ちょっと、アイテムの整理……」

 

 「……そっか」

 

 

 アキトは、フィリアといるこの時間が、ずっと楽しかった。

 死と隣り合わせなのは変わらないが、過去の仲間達を思い出せたから。

 だからこそ、彼女がそんな表情をすると、かつての仲間を思い出して、どうしようも無かった。

 

 

 「……結構奥まで来たし、次の階に行ける階段も見つけた。この階の探索に時間でも潰すか」

 

 

 それは、フィリアに宝箱を見つけさせる為の案でもあり、アークソフィアへの帰りを先延ばしにする為の案でもあった。

 汚い手かもと思ったが、フィリアはそれに応えてくれた。

 

 

 「……なら、ちょっとだけ、行きたいところがあるの……良いかな……」

 

 「……別に良いけど」

 

 

 フィリアは来た道へと戻っていき、アキトはその背中を眺めながら付いて行く。

 モンスターを倒しながら来た道は、まだモンスターがポップせず、静寂がこのエリアを占拠していた。

 

 やがてフィリアは、この階の南西にある場所の、なんて事無い壁を見上げ、指を指した。

 だがよく見ると、この目の前の壁だけ他の壁より色が薄い。

 

 

 「……ここの壁、よく見て」

 

 「……隠し扉か。よく見つけたな」

 

 

 流石はトレジャーハンター、そんな意味を込めた声に、フィリアは気不味そうに笑って返す。

 

 

 「……まぁ、ね……ほら、あそこに……」

 

 「……宝箱か。隠し扉の中の宝箱なら、期待出来るかもな」

 

 

 隠し扉を開けた先には、大きめの宝箱が鎮座していた。

 一瞬、昔の光景が蘇ったが、トラップやミミックとの違いを把握しているフィリアなら、あの宝箱がどういった類のものなのかは分かるだろう。

 そう思うと安心した。

 部屋の中は灯りが無く、より一層闇を孕んでいる。そこにある宝箱は、トレジャーハンターとしてはとても唆られるものかもしれない。

 

 

 「私が開けて来るから、アキトはその入口で見張っててくれる?」

 

 「分かった」

 

 

 アキトが了承すると、フィリアはその隠し部屋へと入っていった。

 それを見ながら、アキトは部屋の外の壁にもたれ、この薄暗い遺跡の中を見渡す。

 とても静かで、まるでこの世界には自分とフィリアしかいないようだった。

 

 

 「……はあ」

 

 

 やはり何も考えずにいると、自然とアスナ達の事を思い出してしまう。

 けれど、思い浮かぶのは、一番最後に見た彼らの表情のみ。期待し、困惑し、縋るような、そんな表情。

 彼らと過ごした楽しかった日々、見たかった笑った顔が、思い出せなくなっていた。

 でも、それほどまでに彼らが心の中を占めていたんだと自覚すると、何故だか嬉しかった。

 

 黒猫団だけだと思っていた。

 けれど自分には、こんなにも大切に思える人達が出来たんだと、誇らしかった。

 勿論、アスナ達だけじゃない。リーファやシノン、ストレア。

 そしてフィリアも、今ではいなくてはならない存在で。

 

 自分は必要とされていなかったのに、必要だと認めていた自分自身が、とても、誇らしくて。

 

 

 

 

 ──── ……また、会えるよね……?

 

 

 

 

 ここに来る前に出会った、一人の女の子。

 一時的にだが、パーティを組んだ少女の顔を思い出す。

 彼女もきっと、自分の事を認めてくれた人達の一人で。

 

 

 そうか、自分は。

 大切にしたいと、そう思える人達が。

 いつの間にか、こんなにも増えていたんだな。

 

 

 「っ……」

 

 

 天井を見上げて憂いていると、ふと我に返った。

 チラリと、部屋の中にいるフィリアの様子を確認する。

 ガチャ、と宝箱の開閉音が聞こえ、やがてフィリアが立ち上がるのが見えた。

 アキトは宝箱を開ける事に成功した事実を知ると、その部屋の中へと入る。

 明るかった場所から、一気に暗い場所へ。

 その視界は、その明るさのギャップで一瞬だけブレる。

 

 

 だからだろうか。

 未だ変わらずにいた筈のフィリアの表情が、先程よりも曇ってきている事に、気付かなかった。

 

 

 「……ねぇ、アキト」

 

 「……なんだ?」

 

 

 声のトーンも、いつもより低い。

 弱々しく話し出したその声のまま、フィリアはゆっくりと顔を上げ、アキトの事を見据えた。

 

 

 「私が……人を殺した理由……オレンジになった理由を聞いてこなかったね。なんで……なのかな」

 

 「……なんだよ急に。今更だろ」

 

 「……」

 

 

 本当に今更過ぎる話だと思った。

 けれど、フィリアの今までの様子を思い出し、考えてしまう。

 

 もしかして、ずっと元気が無かったのは、それが理由なのだろうか、と。

 

 アキトは、彼女がオレンジである事さえ、忘れているくらいに、彼女に対して警戒心や不信感といった類の事を全く感じていなかった。

 それは、今までの行動によるところが理由でもあるが、何より彼女の性格、それが悪人のそれとは考えにくかったからかもしれない。

 

 今のアキトにとって、フィリアの存在はとても大きい。傷付いた心を癒す存在でもあった。

 あちらと隔絶された世界に、何も関係の無い少女。全てを忘れられ、過去の大切な仲間達を思い出させてくれる。そんな彼女。

 

 そんな彼女が悩んでいる事が分かり、アキトは少しだけ、心が軽くなった気がした。

 取り繕う事はせず、思った事を素直に打ち明ける。

 

 

 「言ったでしょ、カーソルの色だけじゃ人となりは分からないって。何か理由があるのかもしれないし……言いたくない事って、あると思うから」

 

 「……」

 

 「なんだかんだ言っても、フィリアが良い奴っていうのは、今まで一緒に戦ってきたフィリアが証明してくれる」

 

 

 そう、結局はそれなのだ。

 彼女がオレンジだったとしても、それが純粋悪だったかどうかは彼女の行動で分かる。

 気遣ってくれたし、連携してくれたし、笑ってくれた。

 彼女のその表情は、犯罪プレイヤーの笑みとは全く違う。ずっと戦ってきたからこそ、彼女の人となりは理解出来る。

 流石に、全部を理解しているなどと傲慢な事は言えないけれど、それでも、アキトはフィリアを本気で信頼していた。

 

 だけど、フィリアは。

 アキトが言葉を重ねる度に、その表情を歪めた。

 

 

 「……私は、アキトにそんな事を言ってもらえるような……人……ううん、性格じゃないよ」

 

 「……一緒にいたら、分かるよ。確かにフィリアはオレンジだけど……俺は、今の君を見て良いなって思えば、それを信じるよ」

 

 「違う……私は……」

 

 

 アキトの言葉も、彼女には届かない。

 フィリアはアキトとの距離を数歩話すと、自身の腕を抱き、瞳を揺らした。

 

 

 「私は……人を殺したの。ううん、それより酷い……私は……」

 

 

 フィリアは思い詰めた表情を変えず、そして。

 

 

 

 

 涙を、一雫流した。

 

 

 

 

 

 「私を殺したんだ」

 

 

 「……え」

 

 

 彼女の言葉の意味を、すぐには理解出来なかったアキト。

 それもその筈だ、フィリアの言っている事は、傍から聞けば意味不明のものとして扱われてしまうだろう。

 この狭い隠し部屋で、小さく呟いた彼女の声も、反響してアキト自身の耳に入る。

 それが、フィリアの言動が聞き間違いで無いことを示唆していた。

 

 

 「……何を、言って……」

 

 「私もね、アキトと同じように、気が付いたらこっちの世界にいて、森の中を彷徨っていた」

 

 

 アキトの言葉を遮り、フィリアは自身のこれまでを。

 彼に出会う前の事を語り出した。

 

 

 「そうしたら、誰かが目の前に立っていたの……その人は、私だった」

 

 「……その人を、殺した……って、事か……?」

 

 

 言っている事は分かるのに、その意味を理解出来てはいなかった。

 けれど、聞き返したアキトに応えるように、フィリアは小さく頷いた。

 

 

 「NPCとプレイヤーを間違えたりしない……あれは、絶対に私……」

 

 「……」

 

 

 言葉に詰まった。

 特殊なクエストだという可能性だってある。《ホロウ・エリア》での出来事に絞るなら、それは有り得なくもない話だったから。

 けれど、彼女の表情が、言葉の重みが、それは違うと諭している。

 アキトは、フィリア同様、その瞳が揺れた。

 

 

 「……信じられる?その時の事……無我夢中で……、必死だった……我に返った時、目の前の私は消えていたんだ」

 

 

 それはつまり、フィリアが自身の武器で、目の前の自分を斬り付けた結果という事に他ならない。

 

 

 「……その後、私のカーソルの色はオレンジになっていた。私が、私を殺したからかなって……」

 

 

 腕を抱き震えるフィリア。アキトは自然と、彼女のカーソルに視線が動く。

 どう見てもオレンジ。アキトのグリーンとは違う、犯罪行為をしたプレイヤーに掛けられる、差別の色。

 アキトは思わず、フィリアへと数歩近付く。

 だが、フィリアはビクリと震えると、近寄るアキトに合わせて、その距離を離した。

 

 

 「……フィリア……」

 

 「……アキト。だから私の罪は、カーソルの色を戻しても決して消えない」

 

 

 彼女の頬から流れる涙は本物で、それが彼女の言っている事が真実であると告げていた。

 そんな事、あるわけが無いと思っても、それでもそうは思えない自分がいた。

 アキトの思う理屈よりも、フィリアの言葉を信じたかった。

 そんな彼女の瞳は未だ揺れ動き、とめどなく溢れる水滴が、地面へと落ちる。

 その心は、既に壊れていて。

 

 

 「ずっと……ずっとこの影の世界で、生き抜かなきゃいけない……」

 

 「っ……」

 

 

 知らなかった。

 彼女がここまで悩んで、迷って、傷付いている事を。

 そして同時に、自分の無責任で身勝手な行動を自覚した。

 アークソフィアにいたくないと逃げたこの世界。

 この世界にいた方が、居心地が良いと感じていた自分の隣りで、フィリアはずっと、この世界で生きる事に恐怖を覚えていたのだ。

 一体これまで、どんな思いで────

 

 彼女はずっと、自分がいたくないと逃げた場所に帰りたいと願っていたのに。

 自分は────

 

 

 「フィリア……お、俺……」

 

 「私……貴方達と出会わなければ良かった……こんな……気持ちにならなくて良かったのに……」

 

 

 地面へと頭を傾け、俯く彼女に、アキトは慌てるように訴えた。

 

 

 「……大丈夫、絶対俺が何とかしてみせるから!大切な仲間なんだ、絶対、何か方法を見つけてみせるから!だから……!」

 

 

 フィリアの傷付いた心を支えるように、アキトは言葉を放つ。

 彼女を逃げ道として使っていた自分を戒め、ちゃんとフィリアと向き合う。

 気が付けば、自分の事など既に忘れかけており、目の前のフィリアへと、その思考は向いていた。

 彼女がどんな過程で自分を殺した、という行為へと向かっていったのかは分からない。けれど、きっとそれは、《ホロウ・エリア》という場所の意味を知る事が出来れば分かる筈なのだ。

 このエリアには、変わったクエストが幾つもある。それこそ、アインクラッドでは見られる事の無いクエストや報酬が。

 だから、きっと────

 

 

 「……アキト」

 

 

 自分へと再び歩み寄るアキトに反応し、フィリアは顔を上げる。その顔は小さく笑みを作っていたが、涙で濡れていた。

 アキトはそれを見た瞬間、驚きでその足を止める。

 そんなアキトに、フィリアは。

 

 

 

 

 泣きながらも。

 本当に嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ありがとう……でも……少し……我慢してて」

 

 

 

 

 「え────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────瞬間。

 

 

 

 

 誰かに、背中を思い切り押された。

 

 

 

 

 「っ……!?」

 

 

 

 

 そして、バランスを崩し倒れそうになるタイミングで、その床が突然抜けた。

 なんて事無い、単純なトラップ、だけど。

 

 アキトは、何が起こったのか分からないと言った表情で、その穴へと落ちていく。

 足場も無く、重力に逆らう事無く落ちていくその最中、見上げたその先には、涙で頬を濡らす、フィリアの姿が。

 

 

 

 

 

 

 ────そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うわあああぁぁぁあああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その底の見えない深淵へと落ちていく中、フードを深く被った、一人のプレイヤーが、フィリアの向かいに立っていて。

 こちらを見下ろし、口元を歪め、笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「じゃぁな、《黒の剣士》」

 

 










小ネタ(本編とは無関係です)


PoH 「HAHAHAHA!オイオイ見たかよ、すげぇ間抜けな顔で落ちてったぞ、やべぇ……腹痛てぇ……ぶっふふぁあはははははぁ!」

フィリア 「ちょ、……わ、悪いって……くくっ、うふふふふ……」

アキト 「お前ら……笑い過ぎだから……」




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