戦国恋姫で宅急便してます 作:姿くらまし
中々下らんのですがどうぞよろしくお願いいたします。
突然で何だけど皆に聞きたいことがある。
ある日突然過去にトリップし、それも有名な人物が皆女の子と言う、世の男子の夢を叶えたようなウハウハな世界に転移したら・・・・・・皆はどう思う?
まぁ真っ先に考えるのは、主人公が女の子とハーレム展開が起こるのを考えるかもしれない。
別に俺は皆の思想を否定するつもりはない、男であれば誰もが憧れるであろう・・・・・・まぁ個人差もあるけどね。
しかし皆、現実はそう上手くはいかない。
考えてもみて欲しい、あれは主人公がイケメンであり何か色々出来て、喧嘩が強くて、勉強ができるとかとは何か違った頭のよさを持ち合わせており、何より人を惹き付ける魅力チートがあるからである。
諸君らはそんな人間は存在しない、物語の中だけと考えるかもしれないが残念ながらそんなやつはいるのだ。
例えるならば俺の学年にいる新田剣丞とかという奴がそうだ。
俺の個人的な評価で言うならば、いけ好かないイケメン野郎である。ただ残念ながら奴は俺がいった先程の条件を全て満たし、さらに奴は唐変木と言う属性を持ち合わせている。
ここで勘違いしてほしくないのは、俺は別に奴がイケメンなのはどうでもいい。さらに言えば奴が唐変木なのも俺には全くもって関係ない。
ならば何故俺はそこまで新田剣丞が嫌いなのかと言うと、俺は奴のせいで度々酷い目にあっているのだ。
奴自身に危害を加えられているわけではないが、全てあいつの引き金によるものだ。いまだにあの大きな大剣を振り回す黒髪の悪魔を思い出すだけで震えが止まらない。
まぁ俺と奴の因縁は追い追い話すことにしよう。
さて、話を本題に戻すとしよう。
そもそも諸君らは何で俺がこんな質問をしたか疑問に思っているだろう。答えは至極単純、俺は今戦国時代にトリップしてしまったのだ。
バイトの最中にいきなり倒れたと思ったら、緑豊かな草原で寝てたんだよ。
最初は俺が前に読んでいた、北郷一刀先生作《恋姫無双》みたいに三国志の世界かと思ったら何とも見慣れた富士山が見えたもんだから安心したような残念なような。
そんでもって近くにいたおじさんに聞いたら、この世界は戦国時代でしかも有名な武将が皆女の子と言うことを知った。
そんなわけで、俺は突然の出来事に驚いてこんな質問をしてしまったのだ皆にはすまんかったな。許して欲しい。
皆に聞いてばかりは何だから俺の事を少し話そうと思う。俺を冷静にするための手伝いだと思って聞いて欲しい。
誰も聞いてないのに話す俺は端からみたら変な人かもしれないが・・・・・・気にせずいくか。
俺の名前は黒猫大和、この名前を聞いただけであの宅急便の会社を思い浮かべたのは決して可笑しくはないはずだ。
実際、両親も黒猫なんて不吉な名字をカモフラージュするためにわざとそうしたんだろう。お陰で俺のアダ名は宅急便。
小中学生の9年間、俺は配布物係だった。
別にいじめられたとかはない、何時のまにかこのアダ名が板についていた俺は高校に入ると黒猫ヤ○トのバイトをしてしまうまでになっていた。
・・・・・・そういや、俺バイトの途中だった。当然のことながら俺の今の服装は緑の帽子とジャンパーにベージュのズボン、ご存じ黒猫ヤ○トの制服だ。
不味いな時間指定の荷物がまだあったんだった。こんな状況にありながらもまだ荷物の心配をする俺は大した神経をしてると思う。
とまぁ今の状況を振り返った訳であるが、うじうじ考えても仕方ないのでとりあえず人が多そうな町まで歩こうと思う。
数日でつけばいいんだけどな、こんなとき馬がいればな~・・・・・・・・・乗れねぇけど。
数日後
皆聞いてくれへんかな!イヤマジで。
いや落ち着け。すまん数日ぶりだな諸君。悪いがまた俺の独り言に付き合ってくれ。最近俺の身に起こったことを話したいんだ。
町を目指して道なりに歩いていた俺は遭遇してしまったのだ、猪や熊ではないTOUZOKUにだ。
いかついオッサン三人が鋭い刃物を俺に向けてきたのだ。
《おい兄ちゃん珍しい格好してんな、取り合えずその服と金目のものを全部出しな!》
《大人しく出さねぇとどうなるか分かってるよな?》
何とも盗賊のお手本のような喋りだそんな余裕な思考をしてるかと思いきや内心冷や汗が止まらない。考えてもみて欲しい、数日前まで一般ピーポーの俺が刃物を突きつけられて落ち着いてられるわけがない。
解決策としては大人しく盗賊の皆さんに渡した方が利口かもしれないがそのあと無事でいられる保証はないとなると俺のすることは一つだけ。
《わ、分かった大人しく・・・・・・するわけねぇだろボケ!》
俺は素晴らしい速度で反転すると全力で逃げることにした。盗賊たちは一瞬不意を突かれていたが直ぐに俺を追いかけてきた。
戦わないのかって?おいおい俺はただの高校生だぞ。何の武術も納めてない俺が刃物を持った三人の男に敵うわけないだろ。まぁ、あの武力チートの新田剣丞なら別だけど。
あいつマジであり得ないからね、前に体育で剣道があったけどあいつが素振りすると竹刀の軌道が霞んで見えるからね。
あいつは姉さんたちに鍛えられたとか言ってたけど、そんな芸当ができる人なんて・・・・・・いたわ、あの黒髪の悪魔。しかもたちって言ってたなあいつ、他にもいるの?いやマジで怖い。
そんな事を考えながら俺は走ってる訳であるが、連日の慣れてれない道を歩いていたせいか脚が痛くてつい窪みで転んでしまった。
《やばっ!・・・・・・いててててっ!!》
これは不味いな左足首を捻挫したらしい。
《へへへへ、やっと追い付いたぜ!》
《もう容赦はしねぇぜ、大人しくしとけば良かったものを》
あれ、大人しく渡してれば俺助かったみたいだ。判断を見謝った。
《あばよ兄ちゃん、大人しく死んどきな!!》
《・・・・・・・・ッ!!》
盗賊の一人が刃物を振り上げ俺の首を切ろうとしていた。実際、このとき俺は万事休すかと思っていたし、まだ荷物の心配もしていた。
俺は自分の首が飛ぶグロテスクな所を見たくないと、目を瞑った訳であるがいっこうに痛みは来ない。誰かが助けてくれた?それはない、あの場所には俺と盗賊しかいないこの期に及んで盗賊が俺を助ける理由もない。
ならどうして?
《・・・・・・・どうなってんだ》
先程まで意気揚々と俺の首を切ろうとしていた盗賊が何かに驚いたような声を漏らす。不意に思ったのだが盗賊の声が先程よりも遠くに聞こえた。
気のせいだろうか?俺を状況を確かめるために目を開いた。
《・・・・・・・・・神様っているんだな》
俺は何もしていないのに盗賊と俺との距離は30メートルほど開いていた。瞬間移動、よくアニメやマンガでみるお馴染みのやつだ。
この現象が神様による一回きりの奇跡なのか、それとも神様が俺に与えた能力なのか。
《試してみるか・・・・・・・》
先程まで大慌ての俺だったが窮地を一度脱したからだろうか?緊張はすれど、頭は驚くほど冷静だった。
《て、てめぇ!何しやがった!》
《はやく殺せ!》
今度は二人がかりで俺に切りかかってきた。先程は無意識、ならば意識的やればどうだろうか。俺は内心頼むぞと祈りながら念じる。
俺の願いが通じたのか俺は視界が一瞬ぶれるのを感じながらも後ろに待機していた盗賊の背後に移動できた。
これならまだ勝機はある。
《野郎!何処に・・・・・・・《こっちだよ》なッ!》
盗賊の一人が慌てて振り向こうとするがもう遅い。
《ふん!》
俺は痛い左足を軸に右足を思いっきり振り上げた。
《アンギャ――――――!》
見事に俺の右足は盗賊の股間を捉えた。盗賊は奇声をあげて気絶したようだ。
《あ、アニキ!》
俺は油断せずに慌てる二人の盗賊を見据える。油断は禁物、あくまで慎重にだ。
そのあとの戦闘はワンパターンなので省略しよう、俺はひたすら謎の瞬間移動を繰り返し盗賊の背後をとると金的をした。迷惑料として盗賊から路銀を貰うと直ぐに逃げた。ポケ○ンでバトルに勝つとお金もらえるだろ?それと同じ・・・・・・・・・違うか、違うね。
ということがあった訳だ。あれから俺はこの瞬間移動の事を色々調べて見たが、はっきり言おう。チートかもしれない。
まずこの瞬間移動の能力、ハリー・○ッターに出てくる《姿くらまし》に殆ど一緒なのだ。一度言行ったところは頭の中で思い浮かべるだけで、さらに行ったことがなくても距離が分かれば移動できるのだ。
まぁ距離の調節は中々シビヤであったのだが、何とか大体の調節は出来るようになった。
俺は最初このような超人的な事が出来るのは俺だけかと思ったのだが、案外そうでないらしい。この世界の有名な武将の中には《御家流》という必殺技的な奴があるらしいのだ。
だからもし俺が《姿くらまし》を使ったとしても、御家流と言えば誤魔化しは効くのだ。
さて能力の事が粗方分かったところで今後の事を考えよう。まずもとの世界に帰るのは無理なようだ。試しに姿くらましで元の世界を思い浮かべたが転移不可能だったのだ。
つまり俺をこの世界に連れてきた神様はこの能力を生かしてここで生きろと言いたいらしい。まぁ望み薄とは思っていたからそこまで落ち込みはしないが。
因みに俺は今何処かの道を歩いている。姿くらましの能力を試していたら何時のまにかここにいたのだ。町まで姿くらましで行けばいいのかもしれないが、それだと能力に頼りすぎて運動不足からのメタボになるのは避けたい。
富士山が見えるから最初に俺がいたところから近いと思うんだけど。方角から推測するに、長野辺りだと思うんだけどな。もしそうならここは甲斐の国の中、あるいは国境近くとなる。
大まかな旅の目的としては、甲斐の国を通って越後に行く事にしよう。何故かと言えば、実は俺は小学生までは新潟に住んでいたのだ。故に越後の龍。上杉謙信を一目見たいのだ。
別に俺をここに連れてきた神様?は俺に使命みたいな物は言ってないからな気楽に行くかな。目標が定まったのはいいけど今俺はある問題に直面している。
そう、路銀が無くなりそうなのだ。
盗賊から頂いた路銀は精々数日暮らせる程度、つまり俺は金を稼がねばならない。とは言いつつも俺の出来ることなんて常識程度の読み書きにまぁ、この姿くらましくらいだ。
何処かの国に仕えるのも考えはしたのだが・・・・・・直ぐにやめた。
仕官となると、俺は軍師か戦いに出る足軽みたいなものになるだろう。当然ながら軍師なんて俺には無理。そして戦場に駆り出されるのも真っ平御免だ。
平和な世界で暮らして俺にいきなり人殺せなんて出来るわけがない。そもそも俺即効で死ぬだろ、間違いない。となると諜報や斥候といった忍者みたいな仕事になってしまう。
その点ならばこの《姿くらまし》の右に出る力はないだろう。どんな堅牢な城も、どんな厳重な金庫も姿くらましの能力の前には張りぼてに等しい。それほど強力な力なのだ。改めて考えるとすげぇな。
しかしそれをやって仕える国に重宝されるのはいいが、正直色んな国から怨みを買いそうで怖い。夜安心して寝てたら暗殺とか間抜け過ぎるし、毒とか盛られそうでマジで怖い。
全ては生きてこそ、死んでは元も子もない。考えに行き詰まってしまった俺は首を捻らせる。
「ん~、どうしたものか・・・・・・ん?何だあれ」
俺の前方に荷台車の列と言うか集団がいた。町の入口何かでは門番に止められて混雑するのはよく見るが。ここはまだそんな所ではない。
俺は変に思ったが取り合えずこのままでは俺も通れないので先頭まで見に行くことにした。
「ごめんよ、ちょっと通してくれないか」
俺は人を掻き分けて先頭に行くと、混雑の理由が直ぐに分かった。
「こりゃ、参ったぜ橋が壊れちまってる」
「どうするよ!この荷物今日中に武田様の城に運ばないといけないんだ・・・・・・」
「それは俺も同じだよ!でもこう川が増水してんじゃどうにもなんねぇだろ!」
辺りから商人のようなオッサンたちの声が聞こえる。そう、昨晩の大雨で川が増水して橋を飲み混んでしまったのだ。対岸まではざっと60メートル、本来橋がある場所に舟があるわけなく立ち往生をしてる訳だ。
この様子だと、復旧は早くて明日、明後日になるだろう。商人にとって信頼は第一、いかに自然の脅威といっても約束の期日は守りたいものだろう。俺だって時間指定の荷物は死ぬ気で届けたもんだ、其れが台風だろうと何だろうと。
それがプロ根性というものだ。
しかしいかに根性でもこれはどうにもならない俺一人ならば姿くらましで一瞬で解決であるが、あくまで俺を移動させるのであって荷車は・・・・・・・待てよ?
当たり前すぎて気にしなかったが、何で俺は服をきたまま転移出来るんだ?俺自身しか転移出来ないならば俺は今ごろアキラ100%も真っ青の逮捕100%になってるはずだ。
もしだ、姿くらましが俺自身だけでなく、俺に触れたものも一緒に転移出来るとしたら。
俺はある仮説を検証するために商人のオッサンに話しかける。
「なぁ、オッサンこの川を渡りたいんだよな?」
「当たり前だろ、だからこんなにも人が押し寄せてんだろ!」
「なら、俺が対岸まで
俺の提案に商人のオッサンは可笑しな奴を見るような視線を俺に向ける。
「何言ってんだよ兄ちゃん!この増水した川をどう渡るんだよ!兄ちゃんはこの急な流れにも負けない舟でも持ってんのか?」
「それとも兄ちゃんが泳いでこの重い荷車を運ぶのか?ははッ!そりゃおかしい」
商人のオッサンは勿論周りにいたオッサンたちからも笑われてしまう始末だ。まぁ、常識的に考えればそうだな。
実際この検証が失敗したら俺は全力で土下座をして謝る覚悟はある。何とも情けない姿を晒すことにはなるが。俺は対岸を見据えながら口を開く。
「俺は舟で運ぶ訳でも、泳いで運ぶ訳でもない・・・・・・・・・文字通り、届けるんだよっと!」
俺は右手でオッサンの肩を、左手で荷車に触れる。すると突風が吹いたような音を響かせ俺の視界がぶれると、瞬きする間に対岸に着いていた。
「「「「「「・・・・・・・す、すげぇぇ!!」 」 」 」 」 」
一瞬呆気に取られていた商人のオッサンたちの歓声が先程までいた対岸から聞こえた。他の人間と姿くらましをしたのは始めてだが、上手くいってよかった。
胴体が半分ないとかマジで洒落にならないからな。うん。
「・・・・・・すげぇな兄ちゃん、いったい何を、うぷっ、少し気持ち悪い」
あれ、オッサン酔っちゃったみたいだな。そういや初めてハリーがダンブルドア校長と姿くらましをしたときも酔ってたな、忘れてた。でも視覚的に気持ち悪くなるなら目を瞑ってもらえばいいだろう。
いい実験データを手に入れられた。結果オーライ。
「ああ、これは俺の御家流《姿くらまし》って言うんだ」
練習したみたいに慌てずに言えた。これならば変に思われないだろう。
「なるほど、助かったぜ兄ちゃん!これは御礼だ受け取ってくれ」
そうしてオッサンが俺に渡したのは20文、つまり2000円くらいだ。時給どころか10秒も仕事してないのにこんなに貰っていいのだろうか。いや、貰えるものは貰っておこう。
それから俺は他の商人にも同様に姿くらましで送り届けた。全員で50名ほど。つまり俺は1000文、10万円を一時間余りで手に入れてしまった。
ついでに呉服屋のじいさんから白い着物を貰った。別にこの制服がいやな訳じゃないが、そろそろ洗いたいし、普段着も欲しい。イメージ的には犬夜叉の殺生丸様かな?俺の髪は黒いし、剣も無いけど・・・・・・あれ、何この寒気。何かの暗示かよ。
ま、まぁそれはともかくこれは、これはいけるぞ!
そう、運びやだ!それか宅急便でもいい。
これなら命の危険もないし、金も稼げる。
よっしゃ!このまま甲斐まで進行だ。
こうして俺は自称《黒猫大和宅急便》という会社名をを名乗ることしたのだった。
しかし俺がこの商売を開いたのが運のつき、俺は様々な厄介事に巻き込まれるのであった。
時期は剣丞がやって来る一ヶ月前くらいです。