ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】   作:George Gregory

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楽しい。
本編に関係ない劇中ドラマの妄想(と言う名の長年コツコツ考えて来たオリジナル戦隊お披露目)凄く楽しい。
細かいツッコミはなしなッ!!
言うなよッ!!『この設定どこかで見た事あるなぁ?』とか言うなよッ!?




Evasive Emotions Ⅷ

『鋼殻戦隊カッチュウジャー』

 

 主人公たちは樹齢100年以上の木の根元に稀に出来る『虚路之虚(ウツロノウロ)』を通ることだけで辿り着ける聖地『禍凪之森(クヌギノモリ)』で暮らす『虫義ノ民(チュウギノタミ)』から選ばれた3人の戦士『甲虫者(カッチュウジャー)』。

 

 彼らは古代より地球を守り続けてきた『魂虫(コンチュウ)』たちの力を宿した聖なる『甲冑《カッチュウ》』を身に纏い、自然を破壊し続ける人類の滅亡を企む『鎧蟲(ガイチュウ)』とその意志に賛同した『トモガラ』『ヌケガラ』との戦いに身を投じていく―――

 

 

―――とまぁ、そういう特撮ヒーロー番組が去年の春先まで毎週日曜日の朝に放送されていたのである。

 

 

 赤の甲冑を受け継ぐハズだった憧れの兄を目の前で亡くし、その遺志を継いで戦士となった生真面目四角四面な赤、ビートルレッド・ヤマト。飄々としていながら交わした約束事は決して破らない誠実さもふとした瞬間に見せる、実力は3人の中でもダントツの二枚目キャラの青、スタッグブルー・タイラ。イチバンの天才肌で職人気質ながら、抱えた()()()()やコンプレックスに等身大で立ち向かい続ける紅一点の緑、レイディグリーン・アカリ。

 

 王道中の王道な展開をこれでもかと詰め込み、それでいて子どもにも解り易く、そしてテンポよく纏め上げられたドラマは老若男女を問わずして好評を博し、特に最終回までのラスト4話は怒涛の畳みかけで、毎週毎週早朝から情緒をぐちゃぐちゃにされて1日まるでまともな作業が出来なかったりしたのだ。……あれからもう1年経つのか、早いなぁ。

 

 で、そんなカッチュウジャーだが、変身アイテムが『カッチュウノコテ』という。『コテ』、つまり剣道の防具にも使われる、あの『籠手』というワケだ。左手に装着しているその籠手にそれぞれが持つ宝玉、“ツノノルビー”“キバノサファイア”“ホシノヒスイ”を嵌め込んで『甲冑招来(カッチュウショウライ)』と叫びながら掲げて変身するのだが。

 

 遡ること十数分前。お風呂上りに戯れに立ち寄った旅館のゲームコーナーで、更識簪(わたし)は衝撃を受けていた。

 

(こんなプライズ限定品があったなんてッ!?)

 

 ゲームセンターの景品、特にクレーンゲームの類の景品には、公式ショップでは販売されていないアニメや特撮作品のグッズがたまにあったりする。例を挙げると、公式イラストが描かれた文具や小物、小さいサイズの毛布やモバイルバッテリー、等々。

 

 そして、今、目の前にある()()もまた、その1つ。

 

(『カッチュウノコテ』を象ったミトン。ちゃんと宝玉が嵌め込まれたデザイン。結構細かいところまで再現度高いのにフワフワで使いやすそう。(てのひら)のとこにはデフォルメされた変身後のイラスト。いい。これ凄く欲しい)

 

 自分はお菓子作りが密かな趣味だ。それでなくてもミトンは家事をしていればよく使うものだから、持っていたって全然損はない。しかも追加戦士を含めた4人の中でも特に推している緑・レイディグリーンVer.の最後の1個が、頑張れば取れそうな上手い具合で残っている。やろうか。やってしまおうか。けれど財布の中身が少々心許(こころもと)ない。口座から下ろして来ようにも銀行はとっくに閉まっているし、ATMがある最寄りのコンビニまでそれなりに距離があったハズだ。行って戻ってきた頃にはとっくに消灯時間になっているだろう。無論、ゲーセンの筐体にカードが使える訳もない。

 

 冷静に考えろ。まだ臨海学校初日なのだ。明日の日中にお金を下ろしてきてからにすればいいじゃあないか。いやしかし、けれど、万が一明日までに誰かがこれを取ってしまったら。そう考え出すとすっかり思考のエンドレスリピートが始まってしまって、完全に立ち往生になってしまっていたのだが―――

 

「更識さん、カッチュウジャー解るのかッ!?」

「う、うん、毎週見てたし、BOXも持ってる、よ?」

「マジかッ!! うわぁ~こんな近くに仲間がいたのかよッ!!」

 

 3分後。

 

「タイラも勿論カッコいいんだけど、俺の推しはやっぱりヤマトでさッ!! あの手この手で色々と攻めてくるのを全部真正面から堂々と突き破ってくのが最高なんだよなッ!!」

「わかる。レベルを上げて物理で殴る、を地で行ってるよね。『俺がもっと強くなればいいだけだ』はホント、彼の生き様そのものって感じ」

「そうそうッ!! ヤマトの言葉はこう、頑張ってるヤツ皆を『間違ってないんだ』って応援してくれてる感じがしてさぁ~……」

 

 更に2分後。

 

「私はアカリがホント好きで。あの小さい身体で男顔負けのアクションシーンが沢山あるし、15話のカッチュウ奥義修得回で狙いを定める、あの顔。あれホント新人の出せる表情じゃないよね」

「わかる。あれはもう完全に()()()()()()よな。テレビの前で鳥肌立ちっぱなしだったぜ俺」

「またあのキャラでお肉と揚げ物大好きっていうのがいいよね。初めてヒトの街に来た時、コロッケがパンパンになるまで入った紙袋抱えてモリモリ食べてるシーンがホントに美味しそうで、思わずその日の晩ご飯コロッケにしちゃった」

「俺もあの日は近所の商店街の肉屋まで走ってったっけなぁ。あれ、確かモチーフがテントウムシで、主食がアブラムシだからってとこにかかってるんだっけ?」

 

 更に更に5分後。

 

「ひょっとしてなんだけど、織斑くんが"白式"の始動キーワードを『来い』にしたのって、1話のヤマトの再現、とか?」

「あ~……うん、意識はしてなかったんだけど、咄嗟に出てきた一因ではあるかも。そっか、だから籠手になったのかな、待機形態」

「やっぱり初変身は印象に残るよね。しかも1話から生身でボロボロになりながら『兄さんの遺志は俺が守るからッ!!』って叫んだ瞬間、ヤマトに『ツノノカッチュウ』が応えてくれて」

「ずっとうんともすんとも言わなかった“ツノノルビー”が真っ赤に光ってなッ!! 解ってても燃えるよな、あれはッ!!」

 

 ヤバい。物凄く楽しい。

 

 背後から織斑くんの声がした時は心臓が止まるかと思ったし、いつの間にかいなくなってた本音には『一言くらいあってもいいじゃないか』と思ったりもしたけれど(※本人が聞こえてなかっただけで何度も話しかけていたが無反応だったので放置された)、まさか織斑くんも現役の特撮ヒーロー好きとは思ってもいなかった。

 

「いやしかし、俺も知らなかったよ。こんなグッズあったんだな」

「オンラインショップにも一切情報なかったもんね。私もビックリしちゃって」

「そのくせ、本放送が終わると直ぐに現行作品にシフトしちゃうから、アッと言う間になくなっちゃうもんなぁ……よく残ってたなぁこれ」

「こういうの、大抵は転売ヤーの餌食だからね。私、そういうのが見るのも嫌で、あの手のサイトもアプリも絶対使わないようにしてたから」

 

 2人揃って筐体の中、並べられた箱4つを眺める。改めて、取れそうで取れなさそうな絶妙なポジショニングである。そもそも財布の中の微妙な残弾だけで、果たして自分の拙い腕前で取れるだろうか。正直、大抵のゲームはそれなりの好成績を叩き出せる自信はあるが、ゲームセンターのこういう景品が入った筐体のは、ちょっぴり苦手だ。コツとかもあるのだろうけれど、そもそもそれを狙うための思い通りの挙動が出来ない。ボタンの加減とか、アームの強さとか、店によってバラバラだし。

 

 そんなことを考えていると。

 

「俺、取ろうか?」

「え」

 

 意外な申し出に、ちょっぴり間抜けな声を漏らしながら彼の顔を見上げた。

 

「ん? 欲しいけど取れなさそうで困ってると思ったんだけど、違ったかな」

「う、ううん、違わない、けど」

「俺、ゲーセンにはよく行ってたし、こういうのスゲェ上手い友だちがいてさ、イロイロとコツも教えてもらってるし、結構自信あるぜ?」

 

 どこか得意げな物言いに、それならば、となけなしの硬貨を数枚、筐体に投入した。チープな電子音がして、クレーンアームの操作ボタンが明滅を始める。

 

「どれがいいんだ?」

「あ、アカリのヤツ」

「緑のだな、OK。ん~と、このタイプは……」

 

 それから数回、織斑くんは景品の箱を直接狙うのではなく、端の方を持ち上げたり、開いたアームの先端で箱の端をつついたりして徐々に箱の位置をずらしていき。

 

「わ」

「おっしゃ」

 

 見事、4回目の操作で景品の取り出し口からゴトリと音がした。覗き込み、手を差し込んでみれば、そこには念願の品物が。

 

「すごい、すごい、あ、ありがとう織斑くん」

「何のこれくらい。俺もヤマトの狙おうかな」

 

 若干興奮気味の自分に何ということもないといった風に返すと、今度は織斑くんが自分の財布から硬貨を数枚投入して、やはり見事に赤のミトンの箱を獲ってみせた。

 

「やりぃ。学園帰ったら早速使おう」

「織斑くんも、家事とかするの?」

「結構するぜ。 学園に来てからは専ら食堂の世話になってるけど、今度の休みは久し振りに何か作ろうかなぁ」

 

 早速箱から取り出したミトンを左手に着けて、手を開閉させたりしながら嬉しそうに眺めている。以前、クラス代表決定戦の時にもそんなことをしていた記憶が薄ぼんやりとあるけれど、彼の癖なんだろうか。まぁ、今回はミトンを獲って、なのだから自然に出た動きな気もするけれど。うぅむ、考えすぎだろうか。

 

(っと、いけないいけない)

 

 ついつい余計なことまで考えたり、思い当たった傍から記憶の引き出しを手当たり次第に開けて確かめたりするのは自分の悪癖だ。これでいつも反応が遅れたり、酷い時は黙りこくったまま相手を放置してしまったりして、『暗い』だとか『要領が悪い』だとか言われてしまうのだ。

 

(消灯時間まであんまりないし、こんな機会またあるかも判らないし。うん)

「コーンか、スティックか、モナカにするか……知らない間にシャーベットのチューブなんて出てたのか……」

「お、織斑くん。ちょっと、いいかな」

「ん? 何だ?」

「その、ちょっと聞かせて欲しいことがあるんだけど、いい、かな」

 

 そんな風にスイッチを切り替えて、気付けば自然と近くのアイスの自販機を物色していた彼に声をかけた。

 

「その、織斑くんは、お姉さんのこと、どう思ってるのかな、って」

 

 なけなしの勇気を振り絞って。

 




 どうも、幼少期からスーパー戦隊のオリジナル追加戦士を考えるのが大好きだった、作者のGeorge Gregoryです。銀が好きになった原因は間違いなくメガシルバーなんだよなぁ。プロトスーツ。時間制限。専用武装にロボ。燃えました。後、やっぱり黒騎士ヒュウガは欠かせないよねって。そんな背景から、追加戦士は銀か黒でまずイメージしてしまいがち。……ツーカイジャーは流石に笑いましたが。

『鋼殻戦隊カッチュウジャー』、実は既に全50話前後のストーリー構成までほぼ完成している俺の完全創作作品になります。未定ではありますが、いずれどこかで何かしらの形で公開したいと思っていたり。ひょっとしたら、持ち込み用にするかもですが。いつか自分の作品を本にしたいという夢があったりするのです。自費出版だろーが、いつかはしたい。

 では、また近い内にお会い出来ることを願って。

 いつも感想ありがとうございます。あなたのその一言が俺の何よりの動力源です。
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