ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】   作:George Gregory

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アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!?!?!?!?
カズヤッ!?!?!?!? カズヤナンデッ!?!?!?!?
メトロイドドレッドナンデッ!?!?!?!?


注意:今回はイントロなので軽めの短めです。軽めったら軽めです。


Ramping Up Ⅰ

「1人あたり持ち時間は5分。これが尽きるかSEが0になったらそれまでの1回勝負ね。それじゃあ人数もいることだし、サクサク行こーッ!!」

 

 そんな呑気な掛け声に「オーッ!!」なんてノリノリな反応を返せたのは、全生徒の中で唯一、のほほんさんだけだった。彼女は絶対大物になると思う。間違いない。

 

 臨海学校2日目。現在位置は花月荘前の海水浴場から少し離れた位置にある、四方を切り立った崖に囲まれた秘密の砂浜。IS学園の私有地でもあるらしいここは、大海原に出るには海中にあるトンネルを通る以外になく、学園のアリーナを彷彿させるような構造をしていて、これで天然だというのだから驚きだ。映画のようなロケーションで、ちょっとテンションが上がった。

 

 今日の日程は元々『各種装備試験運用』として、普段学園ではなかなか自由に使用できないような後付装備(パッケージ)だとかの実稼働データを取るために充てることになっていた。鈴やシャルロット、ラウラも本国から専用の後付装備(パッケージ)を取り寄せたそうだし、セシリアも何か『試したいことがある』と言っていたっけ。俺はといえば、そもそも"白式"の稼働時間が足りてないにも程があるので、皆に付き合いながらイロイロと教えてもらおう、くらいにしか考えていなかったのだけれど。

 

「相川さんは間合いの取り方が絶妙だね。よく見えてるんだなぁと、見ていて解るよ。前後左右の動きはそれで申し分ないから、今度はそのまま、更に上下の動きを組み込めるようにするといい。折角ISに乗ってるんだから、もっとスケールを大きくしてみようか」

「鏡さんはガツガツ前に出てくる気概がいいね。オイラそーゆーの好きだよ。ハートはそのままで、もっと頭をクールにしてみようか。落ち着いて広く視野を維持できるようになると、よりその持ち味を活かせるようになるから、そこんとこ意識してみてね」

 

 あの"黒豹"との1on1。これに喜ばないハズがなかった。それも、試合が終わる度にこんなにも丁寧で具体的なアドバイス付き。生徒の殆どが持ち時間の半分ももたずに次々と負けていくけれど、喜んでいるにしろ、悔しがっているにしろ、皆が興奮した様子で意見交換や、この後の予定の相談なんかを盛んにしている。解る。解るとも。ただでさえ相当な刺激なんだろうに、あんな嬉しい言い方をされちゃったら、なぁ。

 

「鷹月さんはキレイな攻撃の組み立て方をするね。安定感がバツグンだ。基礎がしっかり身についてる証拠だよ。これからはガンガン対人経験積んで、『こういう時はこうしよう』みたいな自分の手札の切り方を身に着けていこうか。アドリブ力とセンスが備われば、グッと勝率が上がるね」

「夜竹さんは射撃が上手いね。よく考えて狙う場所を決めているのが解るし、戦いながら安定した姿勢を保ててるのは大したもんだよ。それだけ体幹がしっかりしているんなら、もっといろんな撃ち方を試して欲しいね。どんな姿勢からでもその精度で撃てるようになれば、もっといいでしょ?」

 

 あれはズルい。あれで嬉しくならないワケがない。しかも、更にクランクさんが今までの実技訓練のデータを加味した上で解り易く、目に見える形で『良くも悪くも変化した部分』と『今後の課題』を纏めた通信簿までくれるというのだから、これはもう、ねぇ。

 

「コレを見て何を伸ばすか、どう補うか、決めるのはアナタ自身ッスよ。頑張ってくださいッス」

「「「「ハイッ!! ありがとうございますッ!!」」」」

「な~に、ちょっと色っぽい声なんか出しちゃってんのさ、相棒?」

「ベツニ。ナニモ。最近チョット出番が少ないんじゃないッスかネェ、とか、なのに相棒はイロイロと楽しそうなことばっかりダナァ、とか、考えてないッスよ」

「アァ~……ゴメンゴメン。裏方仕事ばっかり任せちゃってるのは悪かったって。謝るから、な?」

「……超音波洗浄機」

「OK」

「マッサージ用のオイルも欲しいッスね」

「最高級のを手配しとくよ」

「ヨロシイ。では次の方、ドーゾッス」

 

 そんなコミカルなやり取りに()()()とさせられながら、早く自分の番が来ないものかとウズウズする。「専用機持ちは最後ね」と言われてしまったため、俺を含めたいつもの面々+αは今か今かと声がかかるのを待ち構えていた。鈴なんて今にもがっついて行きそうなのをセシリアと箒がどうにか宥めている状態だ。「つまり全員相手した後でもアタシたちにはヨユーで勝てるってかッ!?」と()()()()()らしい。……そういえば、俺たち以外は基本的に出席番号順っぽいのに、箒だけ呼ばれてないな。なんでだろう。

 

 と、丁度そんなことを考えていた、その時だった。

 

『間もなく着陸態勢に入りマース♪』

「は?」

 

 どことなく聞き覚えのある声に見上げた先。とんでもない勢いでこちらへと落下してくる丸い影1つ。それは轟轟と風を唸らせながら俺たちの頭上を通り過ぎて、少し離れた位置の浜辺へと向かっていき。

 

(ゴォ)(ヨン)(サン)――――あやっべ間に合わな210(ニィイチゼロ)ォッ!!!!』

 

 ちゅどぉん、なんて割と強烈な衝撃と共に着陸、というか墜落した。え、()()に乗ってるのか? 無事なのか? 思わず全員が固唾を飲んで見守る中、ウィーン、なんて()()()()()な駆動音を立てながらその丸い何かが開いていき。

 

「とぅッ!!」

 

 バビュン、なんてオノマトペが似合いそうな勢いで飛び出した何か、いや、誰かが丁度、一般生徒の最後の1人の相手を終えたばかりの"黒豹"つまりカデンソンさんの方へと突撃していって。

 

「クロウサタバネの宅急便デースッ!! イッポマエヘーッ!!」

「オゥフッ!?」

「あっくんあっくんあっく~~~~~~んッ!!!! 久し振りのあっくんだ~~~~~~ッ!!!! サインでもハンコでもボインでもいーからこちらの紙にオネガイシマースゥッ!!!!」

「こら。これ伝票じゃなくて婚姻届でしょうがよ」

「アルェ? メンゴメンゴ♡」

「え、え、本物?」

「本当に知り合いだったんだ……」

「というか婚姻届って何ッ!?」

 

 その場にいた全員が、呆気に取られていた。そりゃまぁそうだ。何しろ、受け止めた勢いで仰向けに倒れたカデンソンさんの上で思いっきり頬擦りしてから、突き付けた書類を突き付け返され、全く悪びれていない顔で舌を出している女性が、あの篠ノ之束博士だったのだから。

 

「束……」

「ヤッホーちーちゃんッ!! チッチキチー(げんきしてた)?」

「意味のわからんボケはやめろ。何をしにきた、貴様」

「ナンダカンダトキカレタラッ!! コタエテアゲルガヨノナサケッ!!」

「ドクター、今は()()()()()いいから。後が詰まってるから」

「ンモ~、あっくんのイケズ。ンン゛ッ!! 箒ちゃん、カマァンッ!!」

「……え? 私?」

 

 このタイミングで声がかかるとは思わなかったのだろう、箒は自分の顔を指さしながら小さく困惑の声を溢した。まぁ、束さんだけでも()()だろうに、束さんがいる時の千冬姉はイライラで沸点が低くなってるから、あんま近寄りたくないよな。

 

 渋面で額に手をやりながら深いため息を吐いている千冬姉をチラチラと様子見してから渋々ながらも近づいてきた箒に、束さんは両腕を広げて大声で、こう続けた。

 

「キーテオドロケミテワラエッ!! これぞッ、チョーのよーに舞いッ、ハチジくらいにカエル自信作ッ!! その名も、"紅椿(あかつばき)"でぃッ!!」

「いやそこはハチのように刺しなさいよ」

 

 未だもうもうと立ち上っていた砂塵が吹き飛んだそこに鎮座していたのは、朱漆のように艶やかな深い紅の、まるで振袖のような気品を纏った1機のIS。カデンソンさんのツッコミなんてまるで耳に届かず、皆がその佇まいに目を奪われていた。

 

「全スペックで現行機種をヨユーで上回っちゃうお姉ちゃんの特製(てづくり)だよッ!! 夜メシ前のオヤツも我慢して頑張っちゃったぜィッ!! サァササァサ、乗って乗って~♪」

「え、ちょ、ね、姉さんッ!?」

 

 大した説明もなく箒の背中をグイグイと押しながら、束さんがどこからか取り出したリモコンをポチッとすると、"紅椿"とやらは自動で跪くように屈み込み、装甲が左右に割れて自ら搭乗者を受け入れる体勢になった。地味に凄い技術である。

 

「箒ちゃんのデータは先行してある程度入力してあるからッ!! 乗り込めば後は自動的にフィッティングとパーソナライズ始まるからッ!! ねッ!? ねッ!? 先っぽだけで大丈夫だからッ!!」

「それはむしろ凄く不安な物言いなんですがッ!?!?」

「いいからいいから~テリーを信じて~♪」

「テリーって誰ですかァッ!?」

 

 いきなりジェットコースターに放り込まれたような怒涛の展開に、箒は最早涙目で大声を張り上げている。助けてやりたいのは山々だが、正直何をどうしたらいいのかさっぱり解らない、というか何が起きているのか理解するのに必死でそれどころじゃない。千冬姉でさえ、何と声をかけたものか測りかねてるんだろう、沈黙を保ったまま若干申し訳なさそうに同情の視線を向けていた。

 

「さて、と。んじゃ、こっからは専用機持ちの相手、始めよっか」

 

 と、誰もが言葉を失ってただただ成り行きを見守っていた中、ゆっくりと起き上がって体中の砂を払い落としながら、カデンソンさんがこっちを見てそう言った。

 

「篠ノ之さんのパーソナライズにはそれなりに時間がかかるからね。さぁ、最初は誰が来るんだい? オイラは誰からでもいいよ?」

 

 それでようやく我に返り、俺たちは自然と互いの顔を見やった。すっかり向こうが決めてるものだと思っていたのもあって、どうしたものか、出席番号順にするなら俺から行くべきかな、などと口に出そうとして。

 

 

 

――――アタシから()らせなさい。

 

 

 

 瞬間、肌を淡く刺激するほど刺々しい声が迸るように鋭く伝播し、その発生源とは思えないほどの矮躯が荒々しく砂を踏みしめながら歩いていく。両手の指の関節を鳴らし、首を左右に揺らしながら()()その様は、中学の頃からの付き合いでもまず見たことがないレベルで()()()()()()()のが、後姿だけでも解った。

 

「こちとらもうッ、カンカンに火ぃ点いてんのよッ!! 今すぐアタシと勝負しろッ、"黒豹"ォッ!! 」

 

 凰鈴音(ファンリンイン)が、未だかつてないほどに、燃えていた。

 

 




サブタイトルの元ネタ
“クランク&ラチェット INTO THE NEXUS(PS3)”のスキルポイント
“ジャンパー(Ramping Up)”
惑星セラムのハグロー沼地にある全ジャンプ台からホバーブーツでジャンプすると獲得できるので割と簡単なスキルポイント。ガーガソンのツノ集めてあのステージをうろついてりゃ自然と手に入る、ハズ。
ちなみに『Ramping Up』は直訳すると『強める』『強化する』という意味になります。ハイ、本章で何をするかは、もうお解りですね? 原作の後の展開を知ってる人なら、言うまでもないとは思いますが( ̄▽ ̄)

 どうも、モンハンが楽しすぎて大剣→ハンマー→ガンランス→片手剣→双剣→ランスと次々に武器を変える=素材が追っつかなくて狩りまくってたら任天堂からとんでもねぇ爆撃を食らった作者のGeorge Gregoryです。19年は長かったよ……というか公式ちゃんと忘れないでくれてたのかと。何なのここ数年のメトロイド推しは。悶え殺す気か。

 推しのVがとうとう『スターオーシャン』の実況始めてテンションガン上げで並走プレイまで始めました。初めて推しに差し入れまでした。最近血圧も考えないといけない年齢になってきたのもあってか、誰かに食わせたり贈ったりするのが楽しくなってきてしまった。いやぁ、ヒトの嗜好って変わるもんですね。夜勤明けの吉野家は最近ずっと鮭納豆定食ばっかり頼んでるし。お代わり・大盛無料で自由が強い。 

『パラレルトラブル』は無事、発売日にソフトの購入は出来ました。が、PS5は未だ入手出来ていないので、動画サイトのサジェストに出てくるネタバレを意地でも見ないよう必死であります……絶対にッ!! 全部初見で遊ぶんだッ!! 早く安定供給してくれSONYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッ!!!!!!

 では、また近い内にお会い出来ることを願って。

 いつも感想ありがとうございます。あなたのその一言が俺の何よりの動力源です。
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