ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
やっぱりスーツはサム・ライミ版がイチバン好きダナァ。『3』のブラックなんかもう最高(←黒大好き)
姉を羨まない妹はいない。優れた姉であるなら尚更。純粋に憧れて背中を追いかけるようになるか、眩しさに耐えかねて疎むようになるかの違いは、あるだろうけど。私は、複雑ではあるけれど、その両方の気持ちが理解できる。何故かと言えば理由は単純で、両方とも経験があるからだ。
姉さんは私のヒーローだった。気が小さくて引っ込み思案な私の手を引いて、いろんな所へ連れて行ってくれたし、いろんなことを教えてくれたし、いろんなものから守ってくれた。同じ血と肉で出来ているハズなのに、どうしてこんなにも違って、凄いんだろうと、不思議でならなかった。
だからこそ。
「あなたはそのままでいなさい」
あの言葉をきっと、私は一生忘れられない。
言葉は時として、猛毒や呪いにも等しい魔力を持つ。楔のように深く厄介に食い込んで抜けないまま、ずっとずっと苦しみを与え続けるのだ。
姉さんはヒーローだった。あの日、あの時、あの瞬間まで。
――――なら、今は何なんだろう?
「ッ」
あぁ、まただ。またあの日の夢で目が覚めた。動悸が激しくて、息苦しくて、冷たい汗がじっとりと不愉快に肌を濡らしている。それを自覚する度に、何もかもが酷く嫌になる。
「…………」
解っている。あの頃の私はまだ幼くてよく解っていなかったけれど、今は解っているのだ。姉さんが何の理由もなくあんなことを言うハズがないことくらい。
でも、それでも、どんな事情があったとしても。
「ううん、ううん」
かぶりを振る。もういい。もう大丈夫だ。だって、私は。
「もう、
右手中指で輝く水晶の指輪を見つめる。つい30分程前、篠ノ之博士の助力を得てようやく完成した"
100点、とは、確かに言い難い出来ではある。けれど……いや、言い換えよう、この言い方は相応しくない。これは、この"打鉄弐式"は『もう1つの正解』だ。私が唯一の正答と思っていたものとはまた違うけれど、
「うん、うん」
自分に言い聞かせるように、何度も頷く。不思議だ。あんなにも、あんなにもずっと私を苦しめてきた言葉を、今この時だけは忘れられる。止むことのなかった心の
ようやく落ち着いて来たので、ゆっくりと周りを見回しながら現状を思い出す。
ここは旅館『花月荘』の離れ。"
そういえば、その作業は終わったのだろうか。クロエさんが布団を敷いてくれたとこまでは、朧気ながら覚えているのだけれど。そんなことを考えながらふと、最後に博士がいた方へゆっくりと視線をやって。
「うぇへへのへへへのへのへのへ~」
「え」
思わず絶句した。とても
彼女の目の前には合計6つの画面が空中に規則正しく並んで浮いており、そこにはそれぞれ何やら無数に枝分かれをした大木のようなものの上を緩やかに光点が進んでいる様子が映し出されている。それを博士は、滝のようにダラダラとヨダレを垂らしながらぐんにゃりと歪んだ笑顔で夢中になって見ている。それはもう、御馳走を目の前に『待て』をされている、口元の緩い犬が如く。
「イイねぇイイねぇ、ゾクゾクするねぇ」
「……そのまま
「もっち~ッ♪ おっはー、かーんちゃん♪」
「あ、はい、お、はようございます」
作業に没頭する内にいつの間にか変わっていた呼称にむず痒さを覚える。子どもの頃からの付き合いがある本音からならまだしも、流石に出会ってから間もない、しかも
「それで、これは、一体」
「ん~? かんちゃんならなんとなく察しがついてるんじゃな~い?」
「え、えぇ、まぁ。多分これって―――」
「―――篠ノ之博士ッ!! こちらにいらっしゃいましたかッ!?」
尋ねようとした瞬間、部屋の襖を勢いよく開け放ちながら山田先生が血相を変えて入って来た。
「ンモ~、毎度毎度いーとこで来るんだから、まーやんは~。ナントナクテンカイヨメテルケドイチオウキクネナニ~(超早口&棒読み)」
「ふ、"福音"のエネルギーが著しく増加、間もなく移動を再開するかと思われますッ!! NYのカデンソンさんは、未だ戻られないのでしょうかッ!!」
「ん? ん~……ん、無理ぽ、だね。何か予定外のトラブル発生中みたい」
「そ、そんなァッ!? 候補生の方々は―――」
「―――山田先生、お静かに。皆様が目覚めるには、今暫くお時間が必要かと」
「あ、す、すみません。でも、それじゃあ私たちはどうすれば」
親子コンビ独特のリズムに躓かされて完全にすっかりと勢いを削がれつつも、困り顔を一層深くする山田先生。カデンソンさんは未だに戻れそうになく、皆もまだ起きてきそうにない。そして、一夏くんは言わずもがな。
「……山田先生、大丈夫です」
「え、さ、更識さん?」
じゃあ、仕方がないよね。
「私が、行きますから」
妹が可愛くない姉はいない。可愛い妹であるなら尚更。皆に見せびらかしたくなるとか、秘密の独り占めしたくなるとか、色々あるだろうけど。私は、複雑ではあるけれど、その両方の気持ちが理解できる。何故かと言えば理由は単純で、両方とも経験があるからだ。
妹は私のアイドルだった。気が小さくて引っ込み思案なあの子の手を引いて、いろんな所へ連れて行ったし、いろんなことを教えてきたし、いろんなものから守ってきた。同じ血と肉で出来ているハズなのに、どうしてこんなにも違って、凄いんだろうと、不思議でならなかった。
だからこそ。
「あなたはそのままでいなさい」
あの言葉をきっと、私は一生忘れられない。
言葉は時として、猛毒や呪いにも等しい魔力を持つ。楔のように深く厄介に食い込んで抜けないまま、ずっとずっと苦しみを与え続けるのだ。
妹はアイドルだった。あの日、あの時、あの瞬間まで。
――――なら、今は何なんだろう?
「ッ」
あぁ、まただ。またあの日の夢で目が覚めた。動悸が激しくて、息苦しくて、冷たい汗がじっとりと不愉快に肌を濡らしている。それを自覚する度に、何もかもが酷く嫌になる。
「…………」
解っている。あの頃は私もまだ幼かったとはいえ、あそこまで言う必要はなかった。けれど、あぁでも言わなければ、あの子は今頃。
でも、それでも、どんな事情があったとしても。
「……ううん」
かぶりを振る。もういい。散々考えたハズだ。だから、私は。
「いつまでそのままでいるお積りですか?」
「……
「寝すぎる前に起こせと言ったのはお嬢様です」
目の前、もう嫌という程目に焼き付いている無駄に豪奢な生徒会長専用机に山積みな書類の向こうで、自分の長年の相棒がジト目でこちらを見ている。
「だって、やってもやっても減らないんだもの。少しは休まないとやってらんないわよ」
「貴女のキャパシティを考慮した上で業務は請けていますし割り振っています。基本的に面倒臭がりのダメ人間なのは重々承知ですが、『完璧であり続ける』と決めたのはお嬢様なのですから、これくらいはこなして頂かないと」
「むぅ」
それを言われてしまうと、私としては何も言えなくなってしまうワケで。
「はぁ~……解った、解ったわよ。続きちょ~だい」
「はい。眠気覚ましのコーヒー、淹れましょうか?」
「うんと濃い目でお願いね」
うんざり気味にそう付け足しながら、寝る直前まで向かい合っていた書類の山に再び取り掛かろうとした、その時だった。
―――GRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
「「ッ!?!?」」
生徒会室の内線電話からけたたましい音が鳴り響く。まず鳴ることのあり得ない、自分も今まで一度も聞いたことのないこの音が鳴った、ということが示す事実はただ1つ。即座に受話器を取り耳に当てると、やはりというか、当たって欲しくない嫌な予感ほど、よく当たってしまうもので。
「侵入者ッ!? どこにッ!?」
『研究棟の地下区画ですッ!! 警備員のセキュリティカードの不正使用が確認されましたッ!!』
「直ぐに人を向かわせてッ、私も直ぐに向かうッ!!
「はい。私は管制室で退路を塞ぎにかかります」
「よろしくッ!!」
詳細を伝えずとも通じる、あらゆる仕事で散々繰り返してきた指示。直ぐに仕事着に着替えながら、生徒会室を後にする。既に深夜と言って差し支えない時刻。完全に夜闇に呑まれている廊下も、この目はすっかりと慣れてしまっていて、昼間のように見通せる。そんな自分に
「まさか、『足元注意』って」
ここまで見通していたってことですか、先生?
IS学園に勤めているのは何も教師だけではない。校内を清潔に保つ清掃員、食堂の
それだけの
ただ、今回の一件を防げなかった理由を敢えて挙げるとするならば、
治外法権、最新の設備、何よりも
後の事情聴取で、彼はこのように語ったのだという。
「学園に勤めて今年で3年目になるんですが、あんな経験は初めてでした。
ウチの会社は武闘派が必要とされるような現場での仕事も数多く引き受けてて、入社条件に『有段者優遇』なんて書いてあるくらいでして。はい、自分も柔道を。今となっては、何の説得力もないんですが。
学園は敷地が広いですから、定期巡回は基本的に3人1組でシフトが組まれていて、あの時は1人目が仮眠時間に入ったばかりですから、21~22時頃だったと思います。自分は南側の担当で、アリーナ内の巡回を終えて、弓道場だとかを回りながら教室棟の方へ向かっている最中でした。そんな時間ですから当然、他の職員はとっくに全員帰っていて電気の1つも点いていなかったので、懐中電灯で目の前を照らしながら各教室の、扉や窓の施錠を確認して回っていたんです。
確かあれは、3年生の教室の階でした。その教室の扉と、窓が1ヶ所、開けっ放しになっていて。自分は、またどこかの部活動が閉め忘れていったんだろう、と思いながら、不用意にその教室に入ってしまったんです。
えぇ、音なんて一切しませんでした。どこにどう隠れていたのやら、気付けば肩車状態からの
首を絞められてるワケですから当然、自分はそれを外そうと首にかかっている腕を掴んだんです。その時点で驚いたのが、その腕の細いこと細いこと。明らかに女子どものような華奢な細さだったんです。
それでもどうにかしないとと、咄嗟に近くの机に向かって、めいっぱい体重を乗せて後ろ向きに倒れ込んだんです。えぇ、外せないなら直にぶつけて反撃するしかないとの判断で。
するとまぁ、今度はするりと脱出されたんですよ。こっちの意図が完全に読まれていて。いやまぁ、完全に不意をつかれて
あぁも鮮やかに脱出されてしまっては、自分が後頭部を勢いよくぶつけるだけですから、多少強引にでしたけど軌道を曲げて、受け身もとって、今度こそ仕切り直そうとしたんです。ここまででも随分と不覚をとっていましたが、打たれ強さには自信がありましたし、明らかに小柄な相手だと解りましたから、まだどうとでもなる、できると判断していたからです。直ぐに無線で応援を読んで、それまで持ち堪えるだけでも良かったワケですから。
けれど、出来なかった。この短時間でこれだけ裏切られたものだから、これ以上はないだろうと、自然と決めつけてしまっていたんでしょうね。けれど、あれはいくらなんでも変化球が過ぎた。想像なんて、出来るワケがなかった。
その少女は、まるで獣のように姿勢を低くして、鋭い軌道で間合いを詰めてきました。明らかに喉や眉間や鳩尾、正中線を狙っていて、その目にも勢いにも一切の躊躇いがなかった。かなり危険ではありましたが、そこまでは、そこまでなら、まだどうとでも出来ました。
あの顔は、流石に衝撃でしたよ。多分、自分じゃなくても同じように混乱したと思います。同僚だろうと、同業だろうと、この世に生きていれば誰だって、あれに驚かないハズがない。意識を刈り取られる寸前、ほんのちょっぴりしか見えませんでしたけど、忘れられやしませんよ。だって、ねぇ。
その少女は、織斑先生と全く同じ顔をしていたんですから」
サブタイトルの元ネタ
【ハットウォッチン(Dress For Success)】:出典【C&R】
惑星リオノーシスのクォークパートで戦ういかにもマフィアな見た目のロボット・ジャックが投げるシルクハットの攻撃を跳ね返して3回以上ダメージを与えると獲得できる。刃物が出てくる帽子で攻撃……刃が骨まで達した音!! とか言いながらクールに去りそうだなぁ。
どうも、作者のGeorge Gregoryです。
映画流しながら執筆してるとついつい空腹を忘れて書いちゃっていかんいかん。ハラ減りすぎると頭痛くなってくるんスよね~……なんかもう疲れててなんも書くこと思いつかないので今回はこの辺で。
ではまた、近い内にお会い出来ることを願って。
いつも感想ありがとうございます。あなたのその一言が俺の何よりの動力源です。