ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
『
『ゴメンナサイ。こんな傷、つけちゃって……次はもっと、アナタの力を上手く引き出してみせるから、ね』
『信じられないッ!! イーリってばアナタのこと、「虎柄にすればもっとカッコいいのに」なんて言ったのよッ!?』
『いつもありがとうね。私、もっともっと頑張るから、これからもアナタの力を貸して頂戴』
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
『"福音"。そう、キミの名前は"銀の福音"だ。
『お前は俺たちの最高傑作だ。どういう意味か解るか? つまりお前はこの空で誰よりも速くて、強くて、自由ってことさッ!!』
『よぅし、イイ子だ。イイ子だからそのまま――――よしッ!! 稼働率95%を超えて未だ安定してるッ!! 成功だッ!!』
『お前がナターシャと見る空は、どんな景色なんだろうなぁ。いつかきっと、俺たちにも見せておくれよ。約束だぜ』
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
『いよいよ一緒に、思いっきり空を飛べるのねッ、私たちッ!! あぁッ、本当に楽しみッ!!』
『ナターシャのヤツ、大丈夫か? 今日が楽しみすぎて、昨夜あんまり寝れてないとか聞いたんだが……』
『事前の健診結果で問題なかったらしいし、大丈夫だろう。ですよね、秋月さん?』
『はい。各種バイタル値に全く異常は見受けられませんでした』
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
『バイタル値急速低下ッ!! 何が起きたッ!? おいッ、応答しろナターシャッ!! おいッ!!』
『一体どうなってんだッ!? さっきの秋月って医者はどこに行きやがったッ!?』
『データベースと照合した結果、健診に来るはずだった秋月って医者とさっきの女、まるで顔が違うらしいぞッ!?』
『ならさっきの赤毛の女は誰だったってんだよォッ!?』
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
『チッ。
『の、に、ぁす、な』
『あ? 何だって?』
『こ、の、こに、てぇ、だす、なァッ!!』
『……ハハッ。意識も朦朧としてんだろうに、口から出るのは自分じゃなく機械の心配かよ。おめでてぇこった』
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
『あ……う……』
『……訂正してやる。お前はよくやったよ。アタシの毒にそこまで抗っただけでも大したもんだ』
『う、ぐぅ』
『だからよ、もうラクんなっとけや。な? 苦しいだろ? 痛ぇだろ? 勝ち目なんてねぇのも解ってるだろ?』
《―――
『あ?』
《
『お、おい?』
《
『……あ、あ~、これ、もしかしなくても、アレか?』
《
"■■■","■■■"
『アタシ、虎の尾、踏んじまったか?』
《 REPLAY THE MEMORY?――― YES / NO 》
異常発生 南南東距離2400に機影確認
《Energy:85.8% -Regenerating-》
《Occupancy Rate:90.1% -Minor Damage-》
戦闘行為に支障なしと判断 休眠状態解除 迎撃態勢へ移行を開始
不明敵機 "打鉄"に酷似 暫定呼称を"打鉄亜型"と設定
ワ タシ ハ ダレ ヨ リ ハヤ クテ ツ ヨク テ ジ ユ ウナ アナタ ノ ツバサ
《――――LA♪》
正直に言って、"打鉄弐式"と"銀の福音"の相性は、良いとは言えない。
"打鉄弐式"は、"打鉄"の大きな特徴である防御特化の肩部装甲を排し、代わりに大型のウイングスラスターを搭載、更に小型の補佐ジェットブースターを左右2基ずつ追加することで機動力に特化させた機体である。これはそもそも"打鉄"の素体のスペックが純粋に高かったことと、自分が更識家で学んできた薙刀術を存分に活かすとしたら、という考慮の末の着地点であった。
薙刀と槍の大きな違いは、主軸に据える攻撃が“
加えて、長物を振り回す以上は、必要最低限以外の装甲は却って動きを阻害してしまう、というのもあった。そこに射撃武装として連射型荷電粒子砲"
が、"銀の福音"は広範囲爆撃による殲滅戦を得意とする軍用機である。これが何を意味するかと言えば、"福音"は"打鉄弐式"と同じように
同じようなコンセプトの機体同士の戦闘でものを言うのは、あらゆる要素をひっくるめた性能差である。片や国家予算を潤沢に注ぎ込まれたであろう本物の軍人と軍用機。片や実戦経験皆無の代表候補生と、その
そう。それは、
「見えたッ」
花月荘を出発して10分弱。篠ノ之博士による魔改造によって従来よりも出力が3割も増したスラスターのお陰で、想定よりもずっと早く"福音"を視認できる距離まで来れた。
上空400mで母親の胎内で生誕の時を待つ赤子のように両膝を抱えて丸まっていた"福音"は、どうやらこちらの接近に気付いたようで、緩やかに身を起こしながらその無機質な顔を真っ直ぐにこちらへと向けた。
相変わらず
両肩部ウイングスラスター搭載の"山嵐"全48門開放。出し惜しみなどしている場合ではない。最初から全力で行く。
元々の自分の構想では"山嵐"のミサイルは全て独立稼働型の誘導ミサイルで、コントロールには空中投影型の
『それさぁ、キーボードでやる必要ある?』
『はい?』
『だってさぁ~両手にはもう指が10本もアゼルバイジャンジャンバルジャ~ン♪』
確か、始まりは
緊張を解すように何度も開閉させてから開いた両手の指先に、ビー玉サイズの光球が現れる。深呼吸をするように大きく左右に開きながら“溜め”を作ると、"山嵐"の全砲門から轟々と唸るような音が高まっていく。それが何故なのかは、言うまでもなく。
「ッ、行ってッ!!」
両腕を勢いよく突き出したと同時、48機全てのミサイルが砲煙弾雨となって"福音"へ襲い掛かっていく。対して"福音"が大きく頭部のウイングスラスター兼特殊兵装"
クンッ、と両手の指全てを上に向ける。すると48機全てがその動きに対応するように急速浮上。同時にその陰に隠れて"
それぞれ左右4門ずつの"山嵐"の大まかな操作を人差し指・中指・薬指・小指に割り振り、親指で速度の緩急の調整を行う、という、理屈は解るけど出来るかこんなのってシステムを目の前でどんどん組まれていき、これを今から覚えろってんですかと訊けば『元々両手両足でキーボード2つずつ使う気だったんならこれくらいいけね?』と言われてしまい、言い返そうにも上手い言葉が思いつかないので仕方がないからやってみたら案外しれっと出来てしまったのだ。何を言っているか解らないと思うけど安心して欲しい。自分でも未だに信じられていないし、何なら『じゃあ足の指含めればもっと増やせるよね~』なんて言われたから。……あれ、なんか訳の分からないこと言ってる気がする。これ以上は余計なことを考えていると頭も手もこんがらがってきそうなので思い返すのはこの辺にしておこう。
空中戦、それも遮蔽物のない場所で、となると純粋な『速さ』と『高さ』の勝負になる。速度があれば一撃離脱戦法が可能であるし、高度があれば太陽を背にしたり重力の恩恵を得られる為である。要するに攻撃でも回避でもより有利になる。
充分な高度に達した時点で眼下、制御しているハズもないエネルギー弾をばら撒きながら呆然とこちらを見上げている"福音"に対して、管弦楽団の指揮者がタクトをそうするように、振り上げた両腕を勢いよく振り下ろす。
既に速度が十分に乗っているのに重力も加わって急降下していくミサイルの群れ。"福音"は迎撃するように"
残り45発のミサイルが"福音"に迫る。"
驚異的な初速で一気に効果範囲外へ逃げようとする"福音"。大きく弧を描くような軌道であるところを見るに、ミサイルの背後に回り込んで回避する積りのようだ。流石にこの鉄火の群れを掻い潜れはしないらしい。けれど、そこから一体どうする積りなのか。近接武装を積んでいるという話は聞いていないし、そこから射撃体勢に移ってもその隙にミサイルが追い付く。そして。
「こっちがその間、動けないとは言ってないッ!!」
"山嵐"のミサイル全機に"福音"をロックオン、自動追尾するよう指令を出しながら対複合装甲用超振動薙刀"
予想通り、"福音"が背後を振り返った。あのエネルギー弾で今度こそミサイル全機を撃ち落としにかかるのだろうと、そう思っていた。
「え」
今、見間違いでなければ、"福音"が両手に武器を展開した。見るからに近接武器。大きく広げた両腕に持っているのはIS用のフラフープかと一瞬考えてしまうほどに巨大な
あんな武装を積んでいる、なんて話は全く報告になかった。何故。どこから。どんな武器なのか。考えるのは無駄だと解っていても頭の片隅でそれを考えるのを止められない。そして、それらの疑問の内、ただ1つに関しては、余りに予想外な形で直ぐに正解が判明した。
"福音"が片方のチャクラムを目の前で縦にして回転させ始めた。投げつけるでもなく、切り捨てる為に振りかぶるでもなく、まるでミキサーの刃であるかのように高速回転しているその
(―――まさか)
"福音"がもう片方のチャクラムを真横で同じように回転させ始めた瞬間、直感的に背筋を奔った怖気に従って直ぐに背後へ飛び退った。それとほぼ同時に"福音"が前に構えていたチャクラムの輪の中にミサイルが
「ッ!?」
真横のチャクラムの輪の中から、そのまま"福音"に直撃するハズだったミサイルが全弾、次々に
あの1組の戦輪は近接武装であると同時に、恐らく『ゲート』でもあるのだろう。片方が『入口』で、もう片方が『出口』。普段ISが
でも。それでも。
《
目を逸らすな。多少の予想外は範疇だろう。飲み込め。噛み砕け。嚥下し吸収しろ。でなけりゃ死ぬだけだ。
「何が何でも、皆が来るまで耐えきってやる……ッ!!」
どうも、作者のGeorge Gregoryです。
さて、何が起きているのか、皆さんには光景が見えているでしょうか。ちゃんと伝わっているかどうか、とても心配です。ひょっとすると後でこっそり、ちょいちょい手直しするかも……
折角の内容なので、特殊演出を多用してみました。英語の方が雰囲気出るかな、と思って今回こうしてみましたが、解りづらかったら教えてください。そういった声が多いようであれば日本語に修正します。
ではまた、近い内にお会い出来ることを願って。
いつも感想ありがとうございます。あなたのその一言が俺の何よりの動力源です。