ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
「狙われる心当たりは?」と訊かれれば「ありすぎてどれだか解らない」と答える。IS学園とはそういう場所だ。例えそれが人でも、物でも、知識でも、技術でも、
故に、常日頃から厳重に警戒網を張り巡らせており、何度漏洩を押し留めたかなんて、もう数えちゃあいない。生徒・教師・職員・業者・それらの関係者。あの手この手でどこからともなく入り込み、漁り回り、持ち出そうとする。
だからこそ今回も、必ず食い止める。食い止めなければならない。自分が“更識楯無”であり続ける為に。
(足のサイズと歩幅からして10代前半。防犯カメラに全然映っていないのに足取りには全く躊躇の気配なし。お目当てがちゃんと決まってて、場所の見当もついてるわね。ここまで微かにしか痕跡を残していないことからしても相当な手練れなのは間違いない。気を引き締めないと)
水の操作を得手とする
そう、例えば。
「……
先だってのクラス代表戦に乱入してきた"
では一体何が目的なのか。最近回収された中で怪しげなものとなると、『掌サイズの空飛ぶ車』か、『異様なほど高い放射線量を発している六角形の石鹸』か、はたまた『破損したコンセント頭の二足歩行型ロボット』か。……まさか先日中東のスラムで回収された『虹色の電撃アフロ』ではないだろうし。いやホント、何がどうしてこんなもの作ったのやら。こんな先進技術の無駄使い見たことない。
保管庫を片っ端から確認して回るが、なくなっているものどころか、全く手を付けたような痕跡すら見受けられない。どれか1つでも十分な危険性とそれに見合うだけの価値があるハズだというのに、一切目もくれないとは。では、一体何が目的で。
「―――まさか」
そこで、ここよりも更に奥深い区画にて保管されている
「けれど、
カメラやセンサー等の機器は、嘘はつかないが、方法さえ解っていれば簡単に誤魔化せてしまう。直接肉眼で確かめるのが最も確実だ。
踏み入るのは特殊合金製の格子と強化ガラスとで何層もの封印がなされた区画。その最奥にて座すのは"打鉄"とよく似た武者鎧を模した石像。それが“凍結状態のIS”であることも、凍結した原因も、
その名を―――
「ナルホド、やはりここだったか」
間違いなく持ち出されていないことを視認した瞬間、全く気配を悟らせることなく耳朶を擽った、聞くからに『愉快だ』という感情の解る声。あぁ、やっぱり。そう思いながら振り返る。
振り返った先、自分と同じく夜の影に溶け込む黒装束の矮躯が1つ。細くしなやかな四肢はしかし決して貧相ではなく、むしろ密度は高くしっかりと引き締まっているのが容易に判る。狙ってくるなら投げか締めか。いや、先入観は捨てろ。何せ、この少女の顔には
「貰い受けるぞ、"
「キミ、織斑家の親戚か何かかしら?」
さて、どうしたものか。無事には、済まないわよねぇ。
"山嵐"の総弾薬数はそれほど多くない。一斉掃射であれば後3回。なるだけ節約したいところではあるが、半端な弾数では簡単に撃ち落とされてしまって
まず、直接振り回しての斬撃以外に、ある程度の遠隔操作が可能であるようだ。"
で、目下最大の注目点である、ワープゲートのようなあの現象だが。
「うん、やっぱりだ」
今向かわせた10基ほどのミサイルに対して使用したのを見て確信した。あのゲートは超高速で収納と展開を行っているだけで、システムとしては
根拠として挙げられるのは、
そして、もう1つ。ゲートを開いているところに"
「なら、こうするッ!!」
改めて"山嵐"を一斉掃射。ただし
「だよね、私でもそうするッ!!」
"福音"が左右両方に『入口』として展開した"
「今なら、当たるッ!!」
予め狙いを定めていた"春雷"から二筋の光線が放たれる。そう、"
そう、ここまでは。
《
「え」
ミサイルを最後まで吸い込んでいては間に合わないとの判断だったのだろう、"福音"は"
"福音"の脇を通り過ぎていくハズの"春雷"の砲撃が、ぐるりとその向きを変えた。そればかりか、まるでそこに
瞬間的に理解した。
(ビーム兵器の威力を受け流しエネルギーを吸収する特殊な
超音速を維持し続ける高機動スラスター兼広範囲爆撃兵装"
(近づけない。逃げられない。倒せない。有効打もない。こんなのどうしろって)
そう考えた、考えてしまった隙を、見逃されるハズもなかった。
「あ」
展開される"
否が応にでも解ってしまった。
だからだろうか、月光を背に、余りに神秘的な輝きに満ちたその姿を見て、どうでもいいことが脳裏を過った。
あぁ、これが味方であったなら、確かに福音以外の何物でもな――――
『――――諦めるのはアナタの自由ですが、その前にほんの少し、右に避けて下さいます?』
「え」
突如、
「な、にが」
起きたの。そう続けようとしたが、そうすることはなかった。そうする前に、
「簪ッ、無事かッ!? 無事だなッ!?」
血相を変えて飛んでくる篠ノ之箒が。
「アンタ、意外と根性あるんじゃない。見直したわ」
ニヤリと笑みを浮かべた凰鈴音が。
「良かった~……間に合ったんだね、僕たち」
ほっと胸を撫で下ろしているシャルロット・デュノアが。
「ウム。完璧な狙撃だ。流石セシリア」
満足そうに頷いているラウラ・ボーデヴィッヒが。
「当然ですわ。
自慢げに"
待ちわびていた顔ぶれが、そこにいた。
どうも、作者のGeorge Gregoryです。
ギリギリ1月中にもう一度更新できました。初期からこの設定は練ってたんですが、改めて執筆で肉付けすると強すぎるなこの"福音"……勝てるのかって? 勝たせますよ。その為の"ドレッドゾーン"だったのですもの(๑¯ω¯๑)
ではまた、近い内にお会い出来ることを願って。
いつも感想ありがとうございます。あなたのその一言が俺の何よりの動力源です。