ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
知らない人向けに、今後のシナリオのネタバレにならない程度にメインキャラ2人の解説を。
ラチェット(Ratchet)
過去に何度も銀河、ひいては宇宙の危機を救ったヒーロー。
フサフサの体毛・耳・尻尾を持つ、ネコ科の獣人のような姿をした"ロンバックス"という種族の最後の生き残り。黄色の体毛に茶色の縞模様をしており、作中で"ゲキマユ"とまで揶揄されるほどの真っ黒な太い眉毛が特徴的(この"ゲキマユ"仕様は日本版のみで海外版はそこまでご立派ではない)。
手先が非常に器用で、機械いじりが趣味。大抵の機械類は自分で開発・修理してしまう。中には"どうしてその機械のパーツからこんなもんが作れんの?"と聞きたくなるような代物も。嘗てはありあわせの部品で作った宇宙船で星間飛行を成功させたこともあるほど。
アクションゲームの主役、という時点で運動神経の良さはお察し。
クランク(Clank)
惑星カルトゥの工場で不良品として生まれたロボット。そのサイズから時々"ランドセル"と揶揄されることもしばしば。語尾に「ッス」をつける特徴的な話し方をする。
普段はラチェットの背中にくっつき、搭載している各種ブースターやガジェットを使うことで、ラチェットの移動やジャンプアクションをサポートしてくれる。
が、決して戦闘能力皆無という訳ではなく、シリーズによっては攻撃手段を持っていたり、彼が主役の外伝作品もある。作中では彼が主演のスパイ映画も制作されていたりする。
各話のサブタイトルは基本、ゲーム中に出てくるトロフィーやスキルポイント(ゲーム中で特定条件を達成すると入手できる点。集めると裏ワザで色々な事が出来るようになる)の海外版の名前が元ネタになっております。
ご存知の方は考えてみて下さい。答え合わせは後書きにて。
The Beginning Of The End
古からの言葉だ。
"The Others One Said."
時は生きている。
"Time is a living breeding thing."
強く、美しく、かなり残酷でもある。
"Powerful, beautiful, often times cruel."
無敵の軍勢を滅ぼし、心のままに山を削り、海水を塵へと変える。
"It can humble the strongest army, shape mounts at will, and turn entire ocean to dust."
だが、時も決して安全ではない。
"But, time itself is not free from jeopardy."
悪い奴らがいるからだ。時を操り、壊し、邪悪な意志によって変えようとする。
"There's those seems controlled, corrupted, changed of super dark will."
その時こそ、本物のヒーローの出番だ。
"At there are happens,the universes only the true heroes are stopped."
覚悟はいいか?
"Are you ready?"
―――惑星イグリアク・メトロポリス中央区・中空階層にて。
天気は快晴。気温、湿度、共に良好。ラッシュアワー真最中のこの時間帯、今日も山ほどの車が上空を飛び交っている。
VRルームで日課である戦闘訓練を終え、自宅前の発着スペースにて愛機である航空艇“アフィリオン”の定期メンテナンスを行っている時に、その知らせは飛び込んできた。
「銀河系が1つ、何の前触れもなく消し飛んだぁ?」
『はいぃ、流石にこんなのは初めての事でしてぇ』
通信相手は、ドラム缶のようなボディにパッチワークのような継ぎ接ぎ頭をしたロボット“シグマンド”。嘗て宇宙を救うために相棒に力を貸してくれた仲間であり、今では宇宙の中心に存在する巨大建造物“グレート・クロック”の上級管理人。そんな彼からの緊急通信で述べられたのは、なんともこちらの予想の斜め上過ぎて、聞いただけでは現実感を帯びて聞こえないような規模での大惨事だった。
「それだけの被害があったのに、何も兆候はなかったッスか?」
『はいぃ、そこがイチバン不思議なところでしてぇ。それで今、その銀河系のログを調べてみているんですけれど、ちょっとコレを見て下さい』
「フム、これは、細かな反応が随分たくさんあるッスね」
『そぉなんです。時間修復が必要なほどの規模でもない微小な反応だったので、こっちのセンサーにも引っかからなかったみたいで』
その惑星の天球儀には、まるで挽いた黒胡椒を塗したかのように全体に満遍なく、光点で時間異常の発生反応が散りばめられていた。
『銀河系消失以前に時間異常が発生した惑星は、この星だけみたいなんです』
「つまり、この惑星に何かしらの原因があった、ってことかい?」
『はいぃ。最大発生数は467。これだけの数が惑星1つに集中しているだけでも珍しいんですけど、その反応が一斉に強まったのを切っ掛けに、今回の消失が発生したようでして。ひょっとすると、今ならまだ“時間の入り口”が残っているかもしれません』
「なるほど、調べてみる価値はありそうだね」
『向かっていただけますでしょうかぁ……』
「OK、任せてよ。最近、ヒーロー業はとんとご無沙汰だったしね」
「ワレワレが暇なのは、とてもいいことッス。シグマンド、ナビデータを送ってもらえるッスか?」
『了解ですッ!! 本当にありがとうございます、ワタシに協力できることがあったら遠慮なく行ってくださいねッ!!』
その言葉を最後に通信が途切れ、手元のデバイスに件の惑星のナビデータが送られてくる。
「随分遠いッスね。重力ワープシステムを使っても、間違いなく7日はかかるッスよ」
「だからって、アップデートしてる暇はないしなぁ……さっさとメンテナンスを終わらせて向かおう」
「了解ッス」
そう言って相棒が差し出してくれた工具箱を受け取り、作業を再開するのだった。
「……なぁ、クランク」
「なんスか?」
「まだ、着かないのかい?」
出発してから何度目かも忘れた睡眠から目覚めて、欠伸をしながらクランクに尋ねる。アフィリオンのメンテナンスは滞りなく終わり、シグマンドのナビデータに従って惑星イグリアクを出発してから早5日ほどが経過した。ここまでの長距離航空ともなると、コールドスリープ機能を使って到着に合わせて起こしてくれ、っていうくらいで丁度いいのだけれど、流石に急ごしらえで用意できるようなシステムではない。似たような状態にさせられる武器ならあるが、あれは半永久的に凍結させてしまう代物なので、流石に自分に使うのは躊躇われる。
なので、ワープ移動を繰り返す度に代わり映えのしない星の海を眺めるのにもいい加減飽きるだろうと、そこそこに暇つぶしの出来るものも持ってきていた。最近になって携帯機に移植された"Vコミック"シリーズ。時間のある時にゆっくり観ようと思っていたホロフィルム。その他諸々。
が、それも結局は飽きが来てしまうというもので、最終手段となったラジオも、流石にこれほど遠方まで来ると受信できる局数はかなり少なくなっていた。"Deep Space Jam"や"Pirate's Radio"が受信出来る宙域にいた内はまだどうにかなっていたが、最後に残った放送局が"ランスとジャニス"の一挙放送など始めた時はいよいよもって絶望に殺されるかと思ったほどである。
まぁ、要するに、退屈で仕方がないのだ。
「まだッスね。でも、かなり近づいてきているはずッスよ」
「ふぅん。で、それには後どれくらいワープすれば?」
「5回くらいッスかね。まだ眠っていてもいいッスよ。余程のことがなければ、ワタシの操縦でも大丈夫ッス」
「いや、代わるよ。充分、眠らせてもらえたしね」
そう言って身体を伸ばしながら、操縦席のクランクと場所を入れ替える。ナビデータと同期させているマップを見てみると、なるほど、かなり近づいているようだ。オーバーブースターと併用すれば、明日中には目的の星域まで辿り着けそうである。
「それなら、到着する前に目的地の情報をおさらいしておくッスよ」
「了解。で、どんな星だったっけ?」
「大気中の酸素濃度20.9%。惑星上の海洋面積70.8%。自然資源も非常に豊富な環境だったッスっけど、技術水準は随分と遅れていたみたいッスね」
「っていうと、どれくらい?」
「外宇宙との親交が全くなかったらしいッス。宇宙へ向かう手段はあったみたいッスけど、行き来できるのは自分たちの衛星までが限界だったみたいッス」
「ふぅん。この惑星系、文明らしい文明を築けていたのはこの惑星だけだったんだ」
「えぇ。それも手伝って、かなり排他的な文明だったみたいッス。惑星内での内輪もめも、かなり長く続いていたみたいッスね」
と、そんな会話を交わしていた時だった。
『警告ッ!! 警告ッ!! 前方広範囲に時空連続体の異常を探知ッ!!』
「「ッ!?」」
艇内に随分と可愛らしい声が、しかしかなり逼迫した声色で響き渡る。この艇"アフィリオン"に搭載された高性能AIの再生音声である。
「アフィリオン、回避はッ!?」
『無理ッ、間に合わないッ!! 今も波状に拡散し続けてるッ!!』
「エネルギーをシールドに集中させるッス!!」
「頼むクランクッ!! クァンタムスタビライザー、スタグネイター、同時に最大出力ッ!!」
艇内のエネルギーを全て、一時的に防衛装置へ集中させる。衝撃に備えてシートベルトを強めに締め、クランクは
「――なぁ、クランク」
「なんスか、ラチェット」
「オイラたちさ、今、同じことを考えてない?」
「えぇ、多分、きっと」
見覚えがあった。というより、忘れようがなかった。放電現象のような青白い閃光。それに従うように広がる仄暗い雲霧のような"境界線"。間違いない。あれは。
「ディメンジョ、ネイター……?」
呟いた次の瞬間、時間の波に艇が吞み込まれ、意識が真っ白に染め上げられた。
夢を見た気がした。覚えがないのに、酷く懐かしい夢。
自分と同じ黄金色の艶やかな体毛に包まれた掌が、自分の頭を優しく撫でる感覚。
こちらを覗き込むのは、自分とは違う琥珀色の瞳。それはとても慈愛に満ちた視線で。
(……父さん?)
嘗て目の前で喪った"もう一人の家族"が遺した写真と、全く同じ笑顔だった。
「――ットッ!! ラチェットッ!! 起きるッスッ!!」
「……クランク?」
自分を揺り起こす相棒の声に意識を引っ張り上げられる。どうやら少しの間、気を失っていたらしい。
「何が、起きたんだ?」
「外を観るッス。そうすれば解るッス」
「外? 外に一体、何があるって……」
突っ伏していたエアバッグから胡乱げに頭を持ち上げ、視線を巡らせて、言葉を失った。眼前に広がるのは、一面の鮮やかな青。惑星アクエイトスのように、水資源の豊富な惑星を見るのは初めてではない。だのに、この青さは、その鮮やかなは、今までに見てきたどんな惑星よりも綺麗だと、素直にそう思えた。写真やデータで見たものとは、比べようもない。豊かな命に満ちた色。恵みと実りに富んだ色。
これが、これこそが、"時空の裂け目"の原因が存在していたという、今回の自分たちの目的地。オリオン・セクター、太陽系の第3惑星。
「これが、惑星"
物語が、始まろうとしていた。
サブタイトルの元ネタ
『ラチェット&クランク The GAME(PS4)』のトロフィー
"「始まりの物語」のフィナーレ(The End Of The Beginning )"
作中でのラスボスを倒し、シナリオクリアで入手できる。
PS4にて昨年夏に発売された"The GAME"は初代ラチェクラのリブート作品であり、このトロフィー名から今後はその時系列で作品展開していくことが予想される。――で、"2"のリブート発売日はいつですか(真顔)
補足説明
・惑星イグリアク(初出:『ラチェット&クランク FUTURE(PS3)』)
FUTUREの舞台となるポララ銀河の中心都市がある惑星。物語が始まるのもここから。
典型的な近未来の大都市で、高層建築物が所狭しと建ち並び、上空を規則正しく忙しなく車が飛び交っている。銀河大統領の官邸や超大型の博物館など、ポララ銀河の主要な建造物や重要文化財は全てこの星にあると言っても過言ではなく、それだけに大抵のトラブルもこの星で発生する。
・アフィリオン(初出:『ラチェット&クランク FUTURE(PS3)』)
作中でも軽く説明しているが、ラチェットたちの愛機である戦闘機。高性能AIを搭載しており、搭乗者との会話も難なくこなす。何故か口調はギャルテイスト。
残存数の極めて少ないロンバックス製の戦闘機であり、諸事情から察するにラチェットの父"ケイデン"が前の持ち主と推測される。ロンバックスの母星である惑星"ファストゥーン"にて撃墜されていたところを修理して以来、ラチェットたちを持ち主として登録している。
一応、作中のムービーなどで確認できるシートの数からして2人乗りらしいのだが、ラチェットの数倍は体格の良い"愛すべき緑のバカ"が平然と乗れたりする辺り、明らかに"4・5人は入れるんじゃね?"とツッコミたくなる。まぁ、容積の矛盾に関しては、こういったSF作品にはよくあることなので、考えるのは止めた方が吉、である。
・シグマンド と グレート・クロック(初出:『ラチェット&クランク FUTURE2(PS3)』)
同じく軽く触れたが、宇宙全体を飲み込み全てを滅ぼしかけた"時空の裂け目"の被害を留めるため、時空の流れを司る種族"ゾニー"が宇宙の真ん中に建造した巨大な"時空の管理施設”がグレート・クロックであり、その管理を目的として製造されたロボットの1体がシグマンドである。正式名称を“Σ-0426A”。
嘗てクロックを管理していたのはクランクの"父"にあたる"オーバス"という人物であり、そのクロックの管理権限、及び宇宙の存亡を賭けての戦いが『FUTURE2』の主なシナリオとなっている。
・Vコミック(初出:『ラチェット&クランク3(PS2)』)
正式名称『歴史実録インタラクティブコミック』。まぁ、要するにゲームカセット。何故か遊べば遊んだ分だけお金を吐き出すという、我々からすると夢のようなゲームであるが、作中に出てくる大半のカセットは主役があの"愛すべき緑のバカ"なので、まぁ、そこまで欲しいとも思わない。地味~に初回限定版もある模様。
尚、ホロフィルムは映画のようなものだと思ってくれれば良い。
・"Deep Space Jam" と "Pirate's Radio"(初出:『ラチェット&クランク FUTURE2(PS3)』)
どちらもポララ銀河で受信可能なラジオ局で流れている番組。"Deep Space Jam"は最新の音楽情報を常にお届けする定番のラジオ番組。"Pirate's Radio"は作中に敵として登場する宇宙海賊"スラッグ船長"と"ラスティ・ピート"がパーソナリティを務めているコメディ色強めの番組。
尚、作者は原作プレイ中ずっと"Pirate's Radio"を流しっぱなしにしていた。
・"ランスとジャニス"(初出:『ラチェット&クランク3(PS2)』)
原作プレイヤーにはお馴染みの、この世界にて大人気らしいメロドラマ作品。題名の通り、とにかくランスとジャニスという登場人物がイチャつきまくっているだけなのに何故か10000話以上も制作されているらしい。
ムービー中のテレビ番組や、某ロボットキャラが感情が高ぶった時に何故か電波を受信して断片的に垂れ流すだけなので全容の把握はまず不可能なのだが、漏れ聞こえる内容に"実は男の娘"だの"実は双子の弟と浮気してた"だの"実はサムライ忍者だった"だの"実はヴァンパイアだった"だのと聞こえる辺り、とにかくカオス。
・ディメンジョネイター(初出:『ラチェット&クランク FUTURE(PS3)』)
ロンバックス族が遺した最終兵器。見た目は何故かガラクタを寄せ集めたようなボール状の帽子という見た目をしている。次元を自在に跳躍するというとんでもない代物なのだが、原作シナリオ中にて現存する最後の1つが故障。製法も既に失われている為、再現不可能とされている。
上記のように、原作を知らない人向けに各シリーズのシナリオ概要や作中に出てきた単語の解説などの今後の後書きで説明していこうと思っています。"これはどういう意味?"などの疑問点がありましたら、気兼ねなく私までお問合せ下さい。次話以降の後書きで説明致します。
では、近い内にまたお会いできることを願って。
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