ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
声を大にして言いたいッ!! こんなにも沢山の神ゲーを世に送り出してくれてありがとうッ!!
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───どちらかといえばアタシ、凰鈴音は、ISというものが嫌いな方だ。
ISが世間に広まって以来、妙な勘違いをする女が一気に増えた。適正があるわけでもないのに『女なのだから』という理由で男へ横柄な態度を取ったり、気が晴れないだとか下らない理由で痴漢冤罪なんかを平気でやったり、そんな話を聞く度に同じ女であることが恥ずかしくて堪らなかったことなんて、何度あったか数え切れないほどだ。
気がつけば広まっていた女尊男卑の風潮は、決して男だけでなく、アタシみたいな女にとっても生きづらいものでしかなかった。男女平等を掲げていた女性議員が途端に『国会から男を排除すべき』なんてことまで言い出したニュースを見た時なんて、いよいよこの世界は終わるんじゃないかと思っていた。
そして、何よりも。
「なぁ鈴、“黒猫”って知ってるか?」
それが、所謂『義賊の真似事』で世間を賑わせていた所属不明のISであることは知っていた。公共の電波にその姿が乗ることはないにも関わらず、『人の口に戸は立てられぬ』とばかりにあちらこちらで聞くことの出来るその名前を一夏の口から初めて聞いたのは、小学校の卒業を間近に控えた初春の頃だったと記憶している。
元々、年相応にヒーロー番組なんかが好きな一夏が、テレビの中から現実世界に飛び出てきたようなソイツに対して憧れを抱くのは理解できた。アタシだって素直に凄いと思うし、映像なんかを見た限りでは、少しはカッコイイと思わないこともない。だが、面白くなかった。兎にも角にも面白くなかった。
全世界で持て囃されている“正義のヒーロー”だかなんだか知らないが、IS乗りであるならばその正体が女性であることは疑いようもなく、そして想い人の口から自分以外の女の褒め言葉を毎日のように聞かされたり、その活躍の記事や新たに出回った映像なんかに夢中になっているのを見せられては、とてもじゃないがいい気分にはなれなかった。
だが、悔しいことに、“黒猫”のことを話す時の一夏の笑顔と言ったら、それはそれは素敵なのだ。どうしたってアタシじゃあ、あんな笑顔にはさせられない。両親に頼み込んで料理を教えて貰っては振舞ったり、服装にも随分と気を遣ったり、化粧なんかにも手を出したりと、色々試したとも。それでも、褒めてはくれるけれど、あの笑顔ほどじゃないのだ。それが悔しくて悔しくて堪らなかった。そうして結局、アイツの
『ねぇ、一夏』
『なんだ?』
『アタシ、この星の一等賞になるからッ!! そしたらアタシの酢豚、毎日食べなさいよねッ!!』
『なんだよそれ、毎日酢豚って。ん、わかった。なってみせろよ、一等賞』
『うんッ!!』
今ここで恋心を伝えたって、伝わらないのは解っていたから。だから、“約束”した。コイツは、交わした約束は絶対に守ってくれるから。そしたら、後は。
後は、アタシが
「───という訳で、アタシは何としても“黒猫”に勝たなきゃいけないわけで……あの、どうしたんですか? 両手で頭抱えて俯いたりなんてして」
「いや、うん、何でもないんだ、何でも……」
凰鈴音の両の拳を握り締めての熱弁に、
無理もない。第2回モンド・グロッソの舞台裏で起きていた一夏少年の誘拐現場に居合わせたのはただの偶然でしかなく、しかもこの地球に来た正にその瞬間の出来事だったため、この惑星の技術水準やISに関する事情など全く知らなかったのだ。その影響で一夏少年が“黒猫”のファンになっていたのは致し方ないにしても(それにしたって少々照れ臭くはあるのだが)、まさか彼に好意を抱く乙女の恋路を邪魔していたなんて想像だにしていなかったわけで。
(というか、そうだよな。何も知らなけりゃ、『女』だと思うのが普通なのか)
考えてみれば当たり前である。“黒猫”が世間にISとして認知されている以上、その操縦者が女性だと判断されるのは自明の理であった。むしろ何故、今の今まで気付かなかったのか、とすら自分でも思えてきて、あはは、なんて乾いた笑いまで零れてくる始末。
「兎に角、アタシが今より少しでも強くなれるのなら、全力を尽くすのは当然なのッ!! その為にもカデンソンさん、あなたの技術力は見過ごせないのよッ!!」
「……まぁ、オイラの腕を買ってくれるのは、素直に嬉しいけどねぇ」
これは事実だった。
「一夏のクラス代表決定戦の映像を見て、確信したの。あなたなら、アタシの
その目は凛として真っ直ぐにこちらを見つめていた。期待と確信に満ちた瞳だった。今まで何人もの候補生たちが勧誘と称して利己的な理論を振り翳してきた中、ただただ純粋に『あなたが欲しい』の一言。
「なかなか、いい女だね、君は」
「フフッ。ありがと。もうハートは予約済みだけどね」
「……君の公式の戦闘記録を見たよ」
振り返り、コンソールを弄る。画面に大きく表示されたのは、一夏少年に請われて漁っていた彼女の戦闘映像。
「いい機体だと思うよ、
「…………」
凰鈴音は目が点になり、そして固唾を飲み込んでいた。
IS学園が治外法権であるとはいえ、自国の研究成果の結晶である専用機をおいそれと任せる国は早々いない。大抵は乗り手本人か、あるいは同時期に在学している自国の技術者がメンテナンスを行う。中には学園の技術者に担当を任せる国もあるが、その際には技術漏洩防止のために守秘義務が課せられる。そして当然、この男とは未だ、そのような契約を交わしてはいない。ましてや、自分の機体の運用方針など、中国にいる
そして。
「悪くないよ。でも、同じくらい思うよね。『勿体ない』って」
「ッ!!」
その不敵な笑顔に、背中の毛が総立ちしたような身震いを覚えた。あぁ、やっぱりこの人には
初めてだった。技術者を『怖い』とさえ思ったのは。それこそ、
「どうする? 話、聞いてみる気、ある?」
「……一夏の担当じゃなかったんですか?」
「担当だよ? でも、
キィ、と軸を軋ませながら椅子を回して、彼はこちらを向いた。足を組み、指を軽く噛み合わせ、背もたれに身体を預けてリラックスした体勢。皺の寄ったスラックスに随分と汚れたブルゾンを着崩している、という草臥れた風体でありながら、先ほどまでの“気のいい兄貴分”のような心地好い雰囲気は欠片もなく、今は、むしろ。
「アタシ、勝っちゃっていいんですか?」
「別に負けても死ぬわけじゃないしね。全力を尽くした勝負なら、勝っても負けても得るものはあるさ。何より、一夏君には圧倒的に経験が足りない。彼にはもっともっと、場数を踏んでもらわないと、ね」
ニッコリ。文字に起こせばそのようなオノマトペが最適だろうに、その字面からは想像も出来ないほどの
「悪い話じゃないだろう? 君は今より強くなれる。オイラは一夏君にいい経験をさせられる。WIN-WIN、ってヤツだ。なぁに、クラス代表戦まで期間はある。今すぐに答えてくれなくても―――」
「―――解りました」
「……へぇ」
嫌らしい笑顔だな、と思った。でも、不思議と嫌悪感はなかった。解ったからだ。この人は、決して一夏を害する気はないのだ。これは、あれだ。うん、思い出した。アタシが『代表候補生として直ぐにでものし上がりたい』と言った時の
正直、早まったかな、と思ってる自分もいるっちゃいる。でも、思い立ったが吉日。即断即決即時即行。それがアタシのモットーでしょう。
「教えて下さい。アタシは、どうすれば強くなれますか?」
「よかろう。手取り足取りフレンドリ、懇切丁寧に教えてあげようじゃないか」
差し出した右手ががっしりと握られる。固く筋張った手の頼もしさが、未知への緊張よりも、好奇心の方を勝らせた。あぁ、今、アタシは堪らなくワクワクしているんだと。
「ようこそ、IS学園整備管理課へ。歓迎するよ。中国代表候補生、凰鈴音さん」
こうして、アタシの学園生活初日は、幕を閉じたのだった。
「あれ? 着信? いつの間に来てたんだろう」
いけないいけない。ずっと作業に集中してたから全然気が付かなかった。システム構築作業の手を止め、アイバイザーを外して、チカチカと着信を告げるLEDが明滅している携帯を手に取る。開くと、とても端的に纏められた数行のメッセージが表示された。
「わっ、カデンソンさんだ。なんだろ」
カデンソンさんからのメッセージはとても珍しい。偶に授業用のISのメンテナンスなんかを手伝ったりすることはあるけれど、大抵はあの人1人で何とかしてしまえるので、私が手伝ったりするのは大体が『いい勉強になると思うけどどうかな?』みたいな簡単な事例ばかりなのだ。
だから、この時もきっと、私にそういうのを任せてくれるのかな、なんて思っていたんだけど。
『専用機の件で忙しいところごめんね。ちょっと君の力を借りたいことができたんだけど、今から管理人室に来れるかい?』
「―――えっ?」
ドキッとした。初めて『カデンソンさんから力を請われた』という事実を一瞬、私の脳が受け付けられなかった。私にとってはそれくらいの衝撃だったのだ。
「わっ、わっ、えっ、ホントに?」
あの人の腕はよく知っている。先日のA組のクラス代表決定戦でも改めて痛感したばかりだ。そんなあの人が、私なんかの力を必要としてくれている。間違いなんじゃないのか、と思ってその数行しかないメッセージを何度も見直すけれど、内容が変わっているはずもなく。
「~~~~~~~ッ!! ッ!!」
声にならない声を上げて、直ぐに工具を片付け始める。マッハで、だ。それはもうマッハで、だ。多分、私史上最高記録を叩き出したような気がする。自分の荷物をまとめ、借りたものを所定の位置に戻すと、直ぐ様ガレージスペースを後にした。
「ゴメンね"弐式"ッ!! ちょっとだけ、ちょっとだけ待っててッ!!」
逸る動悸に負けないくらいに走る。周囲の整備課の先輩方が不思議そうに見て来るけれど、全然気にしている余裕なんてなかった。今は兎に角、1秒でも早く着いて、話を聞きたい一心で、セリヌンティウスも唖然とするんじゃないかってくらいに早く、管理人室へと駆け出していたのだった。
どうも。作者のGeorge Gregoryです。
キングプロテアが倒せねぇ(何
最低でも200万とかどうやって出せばいいんだ……我が家の最高火力は多分宝具3のAUOだぞ……
ラチェクラを初めとしたPS2も勿論ですが、世代的にはGBAも特にヘビーユーザーでした。通信ケーブルなんて、もう知らない子どもも大勢いるんでしょうね……『黄金の太陽』『マジカルバケーション』『トマトアドベンチャー』『サモンナイト クラフトソード物語』この辺はどれだけやりこんだか分からないほどです。FFもGBAで出てたリメイクから入ってナンバリング順にやったし、『ロックマンエグゼ/ゼロ』や『ボクらの太陽』なんてカセットダメになるまでやりました。『F-ZERO』の新作はまだか(真顔)
実のところ、補足説明がないと前書き後書きで書く内容に毎度結構困ってたりします。良ければ質問とか、話題に持ち上げて欲しいこととか、あったら是非教えてください。マイペースですが応えていこうと思います。お気軽にどうぞ。
それでは、また近い内にお会いできることを願って。
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