ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
※『V3』を遊び終えた。
※ここ最近の投稿が滞っていた原因。
※アニメDVDをレンタル屋で借りてきて3クール分を3日で観たドアホウ。
※関連書籍やサントラの購入も真剣に考えている。
※それはそれとして『プロメア』どちゃくそ面白かった。
────あ~、とうとう僕の所にも来ちゃったかぁ~……いえ、その、あの頃の話は、僕にとっても、あんまりいい思い出じゃないもので、つい。
そう、ですね。男装してた時、いちばん辛かったのはやっぱり姿勢です。骨格を誤魔化す為にギプスとか、加圧タイプのインナーとか、四六時中着けてなくちゃいけなくて。勿論、寝てる間もです。今になって思うと、ホントに無茶してたなぁ。日本語は、学び始めた頃から一人称を『僕』にしていたので、そこまで苦労しなかったんですけど。
歩き方、座り方、指先のほんの些細な所作に至るまで、徹底的に直しました。何が原因で怪しまれるか解りませんでしたからね。それでも、やっぱり何回か『ぼろ』は出しちゃってたなぁ……よく気づかれなかったなぁと思います。一夏の鈍さ、というより、あれは男子の仲間が出来て浮かれてたって言うべきかな。そりゃそうですよね。そこに
あの頃の僕は、嘘をつくことには慣れていても、嘘をつかれることにはまだまだ不慣れだったんです。考えてもいなかった。『見逃されてた』なんて。だからこそ、今でも敵う気がしないし、未だにちょっぴり苦手なんです。いきなり出てこられたりなんかしたら、また『あの時』みたいに腰を抜かしちゃうんじゃないかな。
学園の寮にね、大きな浴場があったんですよ。当時の学園の男女比もあって女子専用になってたんですけど、僕たちが転入して1週間くらい経った頃だったかな。山田先生の交渉のお陰で週に2回くらいなら男子が使ってもいいってことになって、一夏、物凄く喜んでたんですよね。ほら、彼のお風呂好きは有名でしょ? 昔からなんです。本人曰く『日本人なんだから当たり前』だとか。
で、初めてその大浴場が使える日のことです。僕にとっても苦い思い出な、
「────では、今日はここまでとする」
「ふぅ~……ありがとうございました」
IS学園、剣道場。居住まいを正しての箒の言葉に、俺は身体の緊張を吐息と共に一気に解し、ぺこりと頭を下げた。道着は所々、特に背中が染みた汗で肌に張り付いており、少し冷たく感じる。さっさと着替えないと風邪をひきそうだ。
「すっかり道場に馴染んできたね、織斑くん」
「最近メキメキ腕を上げてきてるわよね。篠ノ之さんから1本取れる回数も少しずつ増えてきてるし」
「はぁ~……肌の火照った美男子、目の保養だわ~。剣道部でホント良かった~」
持参していたハンドタオルで汗を拭っていると、遠巻きにこちらを見ている剣道部員からそんな面映ゆい声がちらほらと聞こえる。この箒との稽古もそれなりに長くなってきたが、こればかりは一向に慣れそうもない。
「咄嗟に動いた際の足運びがまだまだ甘い。だから切り返しの時にちゃんと踏ん張れないんだ。結果、目では見切れていても身体が追いつかず、反撃するにまで至れない」
「だなぁ。箒のフェイントが上手いから、つい引っかかっちまう」
「お前が一々素直に反応しすぎなんだ。第一、相手に悟られてしまうようなのは、フェイントとは言わない」
「そりゃそうだ」
裂帛の気合、とはよく言ったもので、放たれる一撃一撃がとにかく重い。でありながら、時おり狙い済ましたかのようなタイミングで、全く同じモーションから『ズレ』や『空振り』を織り交ぜてくる。そうなると受け止めたり躱す気満々だった身体は途端にバランスを崩し、足運びが乱れてしまう。後はもう、『まな板の上の鯉』だ。煮るなり焼くなり揚げるなり、お好きにって感じの。
「いかなる状況下でも正しい足運びができるまで、引き続き反復練習で染み込ませろ。まだまだ上半身から無駄な力が抜けていないからバランスが崩れる。充実させるべきは下半身だ」
「ん、了解」
小言じみてはいるものの、剣に関する箒の指摘は的確だ。実際、この2ヶ月ばかりで自分でも驚くほど『身体が言うことを聞く』ようになった。頭の中で思い描く動きに、身体がついてくるようになった。
けれど、まだ100%じゃあない。『完成図』は見えているのに『部品』が足りない。解っているのなら揃えなくては、と改めて指摘通りにトレーニングメニューを見直すこととする。
「~♪」
「……なんだ、いやに上機嫌だな」
この後の『待ちに待った楽しみ』を思い、自然と心は弾んで鼻歌なんてものを口ずさんでしまった。怪訝な表情を浮かべながら自分の道具を片付けている箒に答える。
「今日なんだよ、ようやく風呂が使えるの」
「……あぁ、そういうことか」
俺の風呂好きを知っているからか、得心がいったように頷く箒を見て、より一層笑みを深めた。そう、今日こそが、俺が待ち望んでいた『大浴場が男子に開放される日』なのである。
「この後、早速使わせてもらう積りなんだよ。いや~、どんだけ広いんだろうな~」
「私はまだ数回しか使ったことはないが、うむ、確かに下手な銭湯やスパよりずっと充実していたな」
クラスメイトたちも口を揃えて『
「あの広さを2人でか。なんとも贅沢だな」
「ん? いや、俺だけだぜ。シャルルはなんか、専用機に関するやりとりがあるとかで、整備管理棟に用事があるんだとさ」
「む。そう、なのか」
「本当なら男同士で裸の付き合いもしたかったんだけどなぁ~……」
「…………」
「……なんだ、箒。じとっとした目で俺を見て」
「お前、本当に男色の気はないんだろうな?」
「ねぇよッ!! なんでそうなるんだよッ!!」
だから周囲の女生徒の一部ッ!!『キマシタワー』だの『どっちが攻め?』だの議論するんじゃあないッ!!
「最近のお前たちは、何というか、
「あ、あ~……まぁ、否定はしない」
同性、しかも同年代の仲間が増えて、少なからず舞い上がっているのは事実だ。箒と同室だった時も比較的気は抜いていたが、やはり異性ということでそれなりに遠慮はしていたし。
「……まぁ、気持ちは解らんでもないが」
ふぅ、と肩を竦めての呆れ顔に、苦笑を返す以外の選択肢がない。
「鬱陶しいと思われる前に、正しい距離感を掴むことだな。でなければ、折角の男子仲間から疎まれるぞ」
「肝に銘じとくよ。んじゃ、次は明後日だったな。よろしく頼むぜ」
「あぁ」
言って、てきぱきと荷物を纏めると、『お疲れ~』と手を振ってくる剣道部員たちに手を振り返しながら、いそいそと道場を後にした。
「……正しい距離感、か。どの口が言うのだか」
着替えの準備はよし。アメニティグッズは一通り揃っているらしいので、タオル類以外は手ぶら。さっさと道着も肌着も脱ぎ捨ててガラリと引き戸を開け放つと、立ち込める湯気に視界が覆われる。タイル張りの床をペタペタと進むと、そこには。
「――――広っろ!!」
教室2つ分はありそうな巨大な浴槽。しかもオーシャンビュー(IS学園は海沿いの立地)。見渡す限りの水平線へ、今にも夕日が沈まんとする絶好のタイミング。今にも浴槽に飛び込みたいのをグッと我慢して、まずは身体を洗わねば。さっさと全身を洗い流し、いよいよゆっくりと足元から湯船へ。肩までゆっくりと浸かり、縁へと背中を預けて天井を仰いで。
「日本人で良かったぁ~……」
極楽、ここに極まれり。だらりと伸ばした四肢から日々の疲労が溶け出していき、はぁと恍惚の吐息を漏らす。ほどよく熱めの湯温が実に心地よい。アビバノンノン。
「あ゛~……」
脱力と共にだみ声がこぼれる。本当ならマナー違反だが、濡らしたハンドタオルを顔に当て、全身余すところなく湯に浸す。こうなると俺は長い。自分で言うのもなんだが、長い。流石にのぼせる前には止めるだろうけれど、多分夕食の時間ギリギリまでこのままだろう。よく家でも長風呂しすぎて、缶ビール片手の千冬姉に『お前は女子か。それとも干しシイタケか』と笑われたっけ。湯を沸かすガス代もバカにならないんだぞ、と。
「…………」
最早、言葉を発する気力も失せていた。傍から見たらまるで死体だろうなぁ、騒がれるだろうなぁ、なんて思いながらも、俺は半ば眠るように全身から力を抜き、久し振りの風呂を思う存分味わっていた。
「――――よし」
そっと中を覗き込み、一夏が入浴中なのを確認して、僕は静かに脱衣所へと侵入した。『整備管理棟に用事がある』なんてのは無論、一夏と別行動するために吐いた嘘である。
今の大浴場は男子生徒専用時間として開放されているため、女子生徒はやってこない筈。例え来たとしても、『男子生徒であるシャルル・デュノア』はこの場にいても何の違和感もない。故に。
「今しかない」
この数日間で一夏がお風呂に並々ならぬこだわりを持っていることは聞き出していた。近所の銭湯に通い詰めて、すっかり番台の老夫婦と顔馴染みになっていること。爺臭い趣味だと、よく織斑先生や同級生に揶揄されたこと。そして、男子にしては珍しいほどの『長風呂』だということ。
そろりそろりと足音を殺しながら、一夏の荷物が入ったロッカーへと向かう。シリンダー錠によるロックがかかっていたが、これくらいはどうということもない。ピッキングツールで簡単に開けられてしまった。
「……あった」
そして、ツンと鼻の奥をつく汗の匂いに微かに目を細めつつ、雑に丸められた道着や着替えの入ったナップザックを避ける。そこには、無骨な真っ白の籠手。僕の目的である“白式”の待機形態。
「後は、これを」
懐から小指の先ほどもない小さなメモリーカードを取り出す。これには
横目に浴場の方を見やる。未だ久し振りのバスタイムをゆるりと楽しんでいるのだろう。まるで上がってくる気配はない。それでも動悸は乱れそうで、必死に平静を保たんと深く長く呼吸を繰り返す。
息を殺し、衣擦れの音すら鳴らさぬよう亀のような緩慢さで、その白い籠手に手を伸ばす。そっとロッカーから取り出し、スロットの位置を確認。『取り越し苦労だったか』と肩透かしのような達成感を覚え、今まさにこのメモリーカードを挿入しようとした、その瞬間だった。
『――――ハイ、そこまでッス』
「ッ!?!?」
咄嗟に傍の壁際へ飛び退りISの右手とアサルトカノン“
コトリ
『チェック、メイトッス』
後頭部に感じる固い感覚に息を呑む。何故だ。背後には壁しかない筈。頭の中を瞬時に埋め尽くす疑問符の濁流に押し流されそうになるのを必死に押しとどめ、錆びついた歯車のようにぎこちなく、そしてゆっくりと首を後ろへ回そうとして。
『オット。その前に、武装を解除するッスよ』
「……わかった」
“
「――――へ?」
間の抜けた声を漏らしてしまったことを許して欲しい。だって、僕自身も目を疑ったんだ。なんたって、そこにいたのは。
『初めまして、
4本脚で壁に張り付き、その背中に搭載した銃口とカメラアイを真っ直ぐにこちらに向けた、
どうも、作者のGeorge Gregoryです。
なんか近々、飲み友(アマの漫画描き)が俺をモデルにしたキャラの漫画を描くって言いだしてて、どんなことになるかっていう怖いもの見たさがやべぇ。
では、また近い内にお会い出来ることを願って。
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