ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】   作:George Gregory

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おとといでとうとう30歳になりました(白目)


Feeling Lucky Ⅵ

 

 1年1組、朝のSHT前。

 

「えぇッ!? 織斑くん、もうパートナー決めちゃったのッ!?」

「あぁ、悪いな。今回、俺はシャルルと組むことにしたんだ」

「あ~……うん、それは、これ以上なく納得の人選だわ」

「むしろ、一部の人種(アタシたち)にはご褒美でしかない」

「ご褒美? 何か賞品なんて出たっけか?」

「いいんだよ~解らなくて。是非とも織斑くんはそのままでいてね~」

「「ね~」」

「……?」

 

 登校するや否や、自分たちを取り囲むクラスメイトたちを見回しながら「はて」と首を傾げている一夏を横目に、シャルルは苦笑の表情を作りながら、昨夜のオーバス氏との会話が本当だったのだと、少なからず驚嘆していた。

 

 

――――いいッスか? 毎年開催されている学年別トーナメントは、本来であれば個人戦ッス。ですが、先日のクラス対抗戦の()()()()から、より実戦的な経験を積ませるために、と2人1組(ツーマンセル)での開催となったッスよ。

 

 

 チームは生徒たちに自主的に組ませ、期限までに相手を見つけられなかった生徒には教職員側がランダムに宛がうのだという。その為、()()()は早い者勝ちであり、既に何度も活躍を見せているという一夏に声がかからないハズもない。そして、それは彼と同じ()()()()である自分も例外ではないことは、想像に難くない。

 

 

――――この機会にどんな輩が彼に近づくか判らないッス。なのでアナタが先んじて彼のパートナーとなり、近づこうとする生徒をリストアップして報告して欲しいッスよ。そこから先は、ワタシの仕事ッス。

 

 

 とのことなので、昨夜あの後、部屋に戻って直ぐに一夏に声をかけてみると、拍子抜けのように二つ返事で了承してくれたので、「断られるかもしれない」なんて不安は杞憂に終わった。

 

「そうなのか。いいぜ。面白そうだし、俺たちなら前衛後衛でバランスもいいだろうしな」

 

 何よりシャルルから誘ってくれたのが嬉しいぜ、という言葉が忍びなくて、ちゃんと微笑むことが出来ているか、少し自信がなかった。

 

 そして、迎えた今日。結果は案の定、という訳である。一体どこから仕入れてきたのか、教室に入った途端に()()()()。ネットワークの広さと早さは流石、年頃の女子といったところか。

 

「いや~、でも一気に楽しみになったな~ッ!! 今年はなんかトラブル続きだったからね~ッ!!」

「その分、退屈はしないけどね~」

 

 資料で読んだ限りだが、あれだけの事態を()()()()()()で済ませるあたり、肝が太いというか、なんというか。ぞろぞろと自分の席へ戻っていく彼女たちの背中を見送りながら、心中でひっそりと困惑していると。

 

「――――むぅ、そうか。まさか先を越されてしまうとは」

「ラウラ。おはよう」

「あぁ、おはよう」

 

 どこか残念そうな顔で歩み寄ってくる1人のクラスメイト。ラウラ・ボーデヴィッヒが、こちらを見上げていた。

 

「ってことは、ラウラも俺を誘ってくれる気だったのか?」

「当たり前じゃないか」

 

 むん、と胸を張って唇を尖らせる彼女の姿はとても微笑ましく、周囲の女生徒たちも相好を崩している。それは自分もだった。

 

「ん~、嬉しいんだけど、シャルルからチームの話を聞いた時点で、俺もパートナーはシャルルにする積りだったからなぁ」

「……それは、私ではパートナーとして不満だということか?」

 

 しゅんと眦を下げた悲しげな表情に、こちらも思わず心苦しくなる。けれど、一夏の返答は実に単純明快で。

 

「んな訳ないだろ。ラウラが強いのはよく知ってる。だからこそ、俺はお前とも戦ってみたいんだ」

「……私と、戦ってみたい?」

「あぁ。なんだかんだ、俺も千冬姉の弟ってことらしい。腕試ししたくて、仕方がないんだ」

 

 ニカッと歯をむき出しにして笑う一夏に、しょんぼりしていたラウラがつられて微笑む。それは言外に「仕方のないヤツだな」と語ってもいるようで、2人の間にある()()()をどことなく感じさせるものだった。

 

「あれから俺がどれだけ強くなったか、見てくれ。俺に、教えてくれ、()()

「……フッ、いいだろう。ならば他にパートナーを探すとする。私と戦うまで、負けることは許さんからな、アイン」

「そっちこそ、な」

 

 互いに突き出した拳をコツンとぶつけ合い、不敵な笑み。そこでSHT5分前を告げるチャイムが鳴り、いそいそと皆が各々の席へ着いていく。そんな中で、どうにも複雑そうな視線をこちらへ向け続けている“彼女”の表情が、僕は妙に気にかかっていた。

 

 

 

 

「さて、3週間後に差し迫った学年別トーナメントについてだが……既に知っている者もいるようだな。まったく、どこから聞きつけたのやら」

 

 篠ノ之箒は自分が二の足を踏んでいる間に、既に大きく出遅れていたことに気付き、戦慄していた。

 

 鈴やセシリアとの自主トレーニングを経てそれなりの自信を得てきた自分は、今度こそ一夏と、一緒に出掛ける約束でも、と思っていた。しかし、その為の勇気が一向に湧かず、あれやこれやと困っている間に、学年別トーナメントの存在を知り、無茶を承知の上で「もしお前に勝ったその時は」と、約束を取り付けるための()()にしようと、ここ数日、それを告げるための機会をずっと窺っていた。

 

 そこに、先ほどの一件。少なからず衝撃ではあった。だが、しかし。

 

「今回の2人1組(ツーマンセル)は決して戯れなどではない。()調()()()()()()ことや、互いに教えあうことには、大きな価値がある。自分にしか解らないこともあれば、他人でなければ気付けないことがあるのも、確かなのだから―――」

 

 もっと早くに告げられていたら、と思う自分と同じくらい、()()()()()()()()()()()と思う自分もいて戸惑いを隠せない、というのが最も近しい感覚だと思う。

 

 ひと昔前の自分であれば、何が何でも「自分と組め」と宣っては彼を困らせただろう。正直、今も“そうしてしまいたい自分”が胸の内で騒いでいて、ほんのちょっぴりでも()()()()を緩めれば、今にもアイツの元へと駆けつけて胸倉を鷲掴みにしてしまいそうで、そんな自分がほとほと嫌になる。

 

現在(いま)の自分を知ること。それを念頭に置いて欲しい。いざという時に物を言うのは、()()()()()だ。戦闘において常勝などありえず、そのような時に()()()のは決して恥ではない。時には『負けない戦い』が求められることもあるということを―――」

 

 されど、覆水は盆に返らない。であるならば、私は駒を進めるためにより“大きな出目”が欲しい。放る“賽”は幾らあったって足りない。ならば、今の私が選ぶべきは。

 

「私から『常勝などありえない』という言葉が出るのは意外か? だがな、私とて最初(はな)から“こうだった”訳がない。敗北を知らぬ者の心は、酷く脆いぞ。いいか。敗北(てつ)(あつ)い内に()っておけ。負けが許されぬようになってからが、酷く辛くなるぞ」

 

 そっと、視線を教卓から逸らす。その身長だから、と最前列の席でキッと姿勢を正し一言一句聞き逃すまいとしている、銀髪眼帯の彼女の横顔へ。受け入れてくれるかは判らない。何せ、私は専用機どころか、実績や経験にも乏しい、ただの半人前以下だ。旨味(メリット)はない。けれど、なりふりに構っていられるような立場に、私はない。

 

 鈴とセシリアは、頼めば一考してくれるだろうが、きっと2人で組みたがるだろう。実力十分な候補生コンビ。普段の連携訓練も、傍から見ていて見事な仕上がりになりつつあると感じる。話題性もさることながら、優勝候補の一角となることだろう。

 

「そう騒ぐな。らしくないことを言っている自覚はある。だが、これでも教師なんでな。教えられることは教えるさ。活かす殺すはお前たち次第。……経験談か、だと? さてな。その辺はお前たちの想像に任せるとも。さぁ、1時限目の基礎理論の準備を始めろ。今日は教科書の46ページから―――」

 

 休み時間になったら、直ぐにでも行って、頭を下げよう。何度でも。何度でも。それでもダメなら、その時だ。

 

 パラパラと教科書をめくりながら、以前よりも整然と、そして一段と黒くなったノートを開けて、私は視線と意識を黒板の方へと戻したのだった。

 





 どうも、作者のGeorge Gregoryです。

 お盆休みに合わせて行こうと思っていたロックフェスの台風による中止が決定し、ガランと予定が空いてしまってしかも緊急で現場に行かなきゃならなくなりそうで気が滅入って仕方がありません。……何故か水着武蔵ちゃんは4人も来ましたが。誕生日プレゼントにしちゃあ豪華すぎませんかね。おっきーも2連続で2枚抜きするし(我が家の無記名霊基3個は全てアサシンおっきー)。

 あんまシナリオが進みませんでした。すんません。でも個人的には端折れる部分でもないので……もそっと派手に進めたいんですけど、それをしちゃうとなんかなぁ、と。昔より全然筆が進まなくなりました。クオリティは兎も角、文字数は学生時代の方が圧倒的に勝ってたなぁ。『気にしすぎも良くない』『まずは終わらせることを第一目標に』とは解ってるんですがね。これがなかなかどうして。

 では、また近い内にお会い出来ることを願って。

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