ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】 作:George Gregory
『サルゴン ~試練の道を往く者~』
昨年公開されたアクション映画。
絶滅危惧種の動物たちを保護するため、広大なジャングルに身を潜めながら密猟者たちと戦い続けた奇跡の実話――――と主演にして自らメガホンを取り脚本・演出も担当した、近年マルチな活躍で注目を集める肉体派俳優"Copernicus Leslie Stevenson"は語る。
脚本こそ王道且つシンプルなものだが、相棒として登場するサルはなんとCGでなく本物を起用しており、主人公との本当に会話が成立しているかのようなコミカルなやりとりや、息の合ったアクション満載の戦闘シーンは一見の価値あり。
余談だが、随所でサルの目が単眼になっているシーンが何か所か確認されており、DVD・BDの際には修正されていた。CG処理の際のミスかと思われるが、ファンの間では“あれはあれで意外とあり”との声も上がっている。
――――あの頃は本当に、頭痛薬が手放せなかったわ。
自分で言うのもアレだけど、私、昔からデキる女だったのよね。
言い方が悪くなっちゃうけど、“目線の違う人”との会話って、凄く疲れるのよ。私が“1”を聞いたら“10”返せるから、相手にも“1”を言ったら“10”の返答を求めちゃうの。でも、世間で優秀って言われてるような人たちでも、精々“5”か“6”がいいとこで、その度に私は“どうしたらちゃんと伝わるか”を考えて、噛み砕いて話さないといけなかった。それが面倒だとか思ったことはないけれど、そんなことばっかりしてると、こう、ね。自然と言葉足らずになったり、使う単語のチョイスを間違えたり、
だから、ね。“先生”と初めて出会った時は、そりゃもう衝撃だったの。
初めて、“10以上”を返してくれた人だったから。それも、頑張って、じゃない。私と同じように、息をするように自然と。そんなの、それまで両親くらいしかいなかったの。当たり前のように私の言葉の裏や意図を読み取って、的確に欲しい返答をくれる。あの歯車がカチリと噛み合ったような心地好さったらなかった。まるで蛤の貝殻や、ジグソーパズルのピースみたいで。
距離を縮めるのに、何の躊躇もなかった。理由をでっちあげてはしょっちゅう彼の研究室に顔を見せに行ったし、『学園に来る』って聞いた時なんて、顔が緩むのが止まらなかった。よくサボってあの管理人室にお邪魔しては、虚ちゃんに怒られたっけなぁ。
だから、“先生”に娘さんがいるって聞いた時は、ひっくり返るかと思った。だって、
……ごめん、話逸れた。だからね、あの頃のことは、正直黒歴史レベルで思い出したくなかったりもするのよ、私。かなり醜態晒してたから。「あんなの私じゃないッ!!」って頭抱えてのたうち回りたくなるくらい。解る? 解って。解りなさい。解れ。OK? よし。
とまぁそんな訳で、なんやかんや“先生”のことはずっと気にかけてたから、"黒豹"の正体としても怪しんではいたのよ。あの人なら例えそうでもおかしくない、って。でもやっぱり、いざ目の当たりにしちゃうとさ、混乱するのよ、ものすんごく。頭のどこかで「やっぱりありえない」って思いこんでたんでしょうね。一生ものの不覚よ。ヒントは沢山あったのに。
で、あのタッグマッチトーナメントの後は、私と織斑先生でつきっきりで監視することになったの。……理由? 他にどうにか出来そうな人材があの頃のこの星にいたと思う?
まぁ~、次から次へとひっきりなしに
で、そうやってあしらってもあしらっても
で、会見の内容は、アナタも知っての通り。見たことあるでしょう? あの映像、未だにテレビでもちょくちょく放送されるし、ノーカット版が幾つもネット上に落ちてるし。私なんて見なくても思い出せるわよ。会見開始の13時ちょうど。指に着いた食べかすを舐めながら、紙袋を潰して横にいる私に「よろしく」って渡して悠々と会場に入っていくスーツ姿の“先生”。眩しいくらいのカメラのフラッシュ。出だしはこう。「人前で喋るのは久々なので、今日はメモを持ってきたんだ――――
――――先日の出来事に自分が関与している、という噂が一部であるようだが、信じがたいのもよく解る。あまりにも荒唐無稽で、かっこよすぎる。まるでスーパーヒーローみたいな……そうとは言ってない? なら良し。真実を言おう」
『
「そう。"黒猫"じゃあない。"黒豹"。これはずっと言いたかった。名付け親はDr.篠ノ之。そう、彼女との共同開発だ。あぁ、私は彼女と親しい。証拠? えぇと、ちょっと待っててくれ……クランク、出てきていいぞ」
「フゥ。スーツケースの中は狭かったッスよ。肩が凝りそうッス」
「あぁ騒がないで。彼は私の相棒。"黒豹"のシステム制御を潤滑にするためのAIを搭載してる。相棒、ご挨拶だ」
「ドウモ皆様、初めまして。ワタクシ、
「クランク。モニター」
「了解ッス」
『――――GOOD DAY~♪ ワガハイの忠誠なる知性貧しき人民共諸君~♪ 頭使ってる~?』
「これで証拠になるかな? ……うん、問題ないようだね」
『ってゆーかあっくん、さっきの何~? MAX大草原なwwwんwwwでwwwすwwwけwwwどwww』
「大方、先日見た映画の記者会見シーンを再現したくなったッスね?」
『つwwwまwwwりwww いwwwつwwwもwwwのwww病www気www』
「あ~、その辺にしてくれないかなドクター……一応ちゃんとした場だからって、頑張って慣れない正装に敬語も使ってるんだぜ?」
「敬語には、なってないッスよ?」
「ゲッ、マジ!? ……コホン。さて、この2人も交えてこれから質問を受け付けようと思う。最初は、じゃあ、そこの。そう、キミ。青緑のネクタイの。ハハッ、お揃いだね」
1:「このタイミングで正体を明かした理由は?」
「あぁ。それに関しては、“もう隠す必要がなくなったから”としか」
『むしろ隠してるデメリットの方がね~。この辺詳しく聞きたいなら~、あたしを見つけてみたまへ』
「要するに、この場で言う気はないってことッス」
2:「どうして篠ノ之博士と親しいのか」
「彼女の方からコンタクトを取ってきたんだ。私の研究に興味がある、って。いつだったっけ?」
「6年前ッスね。ワレワレの個人回線に、彼女のビデオメッセージが」
『嘘じゃないヨ~? あっくんの研究は興味深いのばっかで、論文読むのスッゴク楽しいんだな~これが♪』
「お陰で一時期寝不足だったよ。寝てようが食事してようがお構いなしのラブコールなんだから」
『にゃはは~☆ 面白そうなことばっかりやってるのが悪いんだゾ~?』
3:「各国の研究施設を破壊したというのは本当?」
「あぁ、それは本当。だからこその国際指名手配だった訳だけど」
「ワレワレが訪れた施設で行っていたのは、全て国際条約に抵触するような研究内容ばかりだったッス。中には人命を軽んずるような極めて危険なものも。アァ、言い逃れは無駄ッスよ? 研究データは余さず全て回収した上で破壊してるッス」
『ンフフ~♪ 心当たりのある人、これ見てる中にも大勢いるんじゃな~い?』
「……Dr.篠ノ之が何を思ってISを生み出したかは、教科書の最初のページにもはっきりと書いてある。これに関しては、正直文句を言われる筋合いはないかなぁ」
『ノーベルさん家のアルフレッドくんも、こんな風に涙ちょちょ切れてたんだろーなーって……よよよ(´;ω;`)』
「「嘘泣き乙(ッス)」」
4:『災害現場での救助活動の理由は? 売名行為なのでは、との噂もありますが』
「……誰、そんな噂流したの? あぁいや、やっぱりいい。呆れて物も言えないから」
『プギャーm9(^Д^)』
「売名行為であるならば、そもそも身分を隠すメリットがないッス」
「というか、さ――――助けを求めてる人がいて、助けられる力があったら、助けるでしょ、普通」
「ずっとそうしてきたし、これからもそうするッスよ、彼は。勿論、ワタシもッス」
『ヒュウウウウウウウウウウウウウッ!! 臆面もなくそーゆーこと言えちゃうからあっくんたちは最高だっぜぇえええええええええええええええッ!!』
5:『どうして男なのにISに乗れる?』
「さぁ、なんでだろう。研究中の偶然の産物、としか」
「目下、データを収集し、そのメカニズムを解析している真っ最中ッス」
『これに関しちゃ束さんもわけワカメなんだよね~。なので~大絶賛研究中なのだ~♪』
「でも2人目が見つかったことだし、少しは進展すると思うよ。全世界の男子諸君には、もう少し待ってて欲しいかな」
6:『ご家族は?』
「
両親? 会ったこともないよ。でも父さんだけなら顔と名前は知ってるし、“父”と呼んでいる人は、実は2人いる。“Alister Kadenson”は、その2人の名前をそれぞれ貰ったものなんだ。こう名乗るまでは、"
……あぁ、そうそう。ウチの娘に
『あ~……これ脅しでもなんでもなく本気だから、くーちゃんに手ェ出すのは止めといた方がいーよ、とタバネはタバネは強く警告するのだった」
7:『何故IS学園に?』
「以前から疑問に思っていたんだ。IS学園は、教育機関として余りにも未熟じゃないか、って」
『そもそもさ~、開発者の束さんに真っ先にお声がかからないのがおかし~よね? カリキュラムもひっどいもんだしさ~?』
「なので、ワレワレの方から大分
「でも、そこは期待してくれていいと思うよ。今年は特に、期待の教え子たちが揃ってる。将来が楽しみな子ばっかりだ。
学歴は勿論大事だけど、そこは学園に来る時点でクリアしているし、そもそも私は余り重要視してない。そんなものより、情熱があるかないか、だ。情熱のあるやつは好きだ。力を貸してやりたくなる……
「そんな、この星の未来を守る若者の力になるために、学園に来たんだ」
「これを見ている皆。どうか見せて欲しい。胸に秘めた情熱を。思い描く未来を」
―――――その未来の為に、オイラたちは来たんだ。
「……さて、こんなもんでいいかな。自己紹介には十分だろうし。まだ何かあるんなら、学園を通して正式に連絡を。逃げも隠れもしないんでね」
『束さんは逃げも隠れもするけどね~♪ 鬼さんこちら~手の鳴る方へ~♪』
「それでは皆様、足元にお気をつけてお帰り下さいッス」
その言葉を最後に、Alister Kadensonは、Clankというランドセルサイズのロボットが宙に浮かぶモニターを腹部に収納し、彼が手足を折りたたんだのを確認すると、彼を小脇に抱え、茶目っ気たっぷりのウインクをしながら降壇していった。「待ってくれ」「もっと話を」と声を上げながら詰めかける記者たちを置き去りにして。
どうも、作者のGeorge Gregoryです
事情を知っていると違って聞こえるセリフのオンパレードだと思います。ツッコミどころも山ほどあることでしょう。評価が怖いなぁ(笑)
ラチェットが妙に舞台慣れしていることに違和感を覚える人もいらっしゃるかもしれませんが、実は「A4O」冒頭ムービーを初めとして、PS3シリーズ後期のラチェットは随分とカメラ慣れしていたりもするのです。そこに年齢を重ねての落ち着きが加われば、これくらいは出来るだろう、という作者の妄想も過分に含まれております。……実は裏でクランクにある程度の台本作ってもらってNGワードとかすげぇ気を付けるような涙ぐましい質疑応答の練習風景があったりもします。その模様は、いつか書くかもしれない外伝にて。
では、また近い内にお会い出来ることを願って。
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