ラチェット&クランク:インフィニット・ストラトス 【Ratchet & Clank:Infinity Sphere】   作:George Gregory

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暫く本屋に行かない間に『はたらく魔王さま!』とか『ストライク・ザ・ブラッド』とか最終巻が刊行されてて(……俺、何巻まで読んでたっけ?)ってなった。



Ⅱ, Super Stream
Lights Camera Action Ⅰ


 映画館が好きだ。

 

 快適な室温に、座り心地の良い座席と、家庭ではまずあり得ない大画面と大音量。最近じゃあ3Dメガネを使って立体的に見えたり、映像に合わせて座席が揺れたり、風や臭いまで再現されたりもするのだから、技術の進歩は凄まじい。

 

 最近はめっきり行けていないが、つい去年まではよく弾や数馬たちと観に行ったものだ。野郎だけだとついついアクションやコメディに偏ってしまいがちではあるが、『面白い』と評判を聞けばジャンルを問わず何でも観に行った。そしてそのまま帰りにハンバーガーショップなんかで、割り勘で買ったパンフレットを広げながら感想を言い合うのが楽しみでならなかった。

 

 千冬姉はよく「DVDが出てから借りてくればいいだろう」なんて言うのだけれど、違うのだ。勿論、DVDやBlu-rayで見るのも決して悪くはない。けれど、映画館で見る映画には、そこにしかない、何物にも代えがたい『出会い』があるのだ、と声を大にして言いたい。

 

 そう、ここには一生ものの『出会い』がある。今日とてそれを期待してチケットを買い、デカいコーラとポップコーンを携えて劇場にやってきたのだ。

 

 けれど。あぁ、けれど。

 

「いやぁ~やっぱりボクって最高にハンサムだよねェ。……でもこのカット、やっぱりカメラを右に15度ほどズラした方が良かったなァ。その方がもっとボクのチャンピオン級にワイルドな感じがより伝わったと思うんだけど、どうかなそこの少年ボーイ?」

 

 俺、流石にこんな『出会い』は想像してなかったなァ―――――

 

 

 

 

 あの秘密裏に行われた『ドリームマッチ』から1ヶ月程が経って。

 

「臨海学校の買い物?」

「そう。今度の日曜日に、でもと思って。そろそろ行っておかないと、じゃない?」

 

 季節はすっかりと夏。太陽は燦々と雲一つなく快晴の青空で輝き、木々は青々と茂って、喧しいほどの蝉時雨が鼓膜にこびりついて離れない、そんなある休日の昼下がりのこと。いつものようにトレーニングルームで身体を動かし、端っこのベンチに腰掛けタオルで汗を拭きながらスポーツドリンクを飲んでいた俺に、鈴がそう持ちかけてきたのが始まりだった。

 

 臨海学校、というのは来月に迫ったIS学園の行事で、厳密には『校外実習』になるらしい。学園が贔屓にしているという海沿いの旅館『花月荘』にて2泊3日の日程の内、1日目を自由行動、2~3日目をIS各種装備のテストも兼ねた実践訓練に充てるのだそうだ。時間に縛られることなく、1日中思う存分"白式"に乗れるのだと思うと、今から楽しみでならない訳だが。

 

「買うって何をだ?」

「決まってるじゃない。水着よ、み・ず・ぎ」

「……俺、去年のまだ持ってるぞ?」

「どうせ中学の指定水着でしょ。止めときなさい。ダサいから」

 

 失敬な。濃紺に白いラインの入ったシンプルでいいデザインじゃないか。

 

「ちょっとは()()()()にも興味を持ちなさいな。アンタ、これから間違いなく露出は増えてくんだから。私服がダサい、なんて噂されたくないでしょう?」

「う」

 

 それは、確かに勘弁願いたいところである。今までも滅多に自分から服を買うことはなかったし、選ぶ時も機能性やら洗濯し易さやらを優先してばかりで、他人からどう見えるか、なんて全然気にして来なかった。

 

「それに、もう中学の頃の私服、そろそろサイズが合わなくなって来てるんじゃない?」

「それは、まぁ」

「ついでに選んであげるから、ちょっとアタシたちの買い物にも付き合いなさい」

 

 そう、中学の頃もこんな風に、俺の私服の少なさ・変わり映えのなさを見かねた鈴にアパレル店を何軒も連れ回され、よく()()()()()()にされたのだ。もっとも、こちらの懐事情もしっかり把握された上で、比較的安価なブランドや古着屋をメインに、ではあったが。

 

「……ん? 今、アタシ()()、って言ったか?」

「えぇ。一先ず声掛けてるのは箒と―――」

 

 ちょっと聞き捨てならないぞ、と軽く眉をひそめて見上げながら尋ねると、鈴は腕を組み少し呆れた風にそう言いながら後ろへと視線をやって。

 

「―――(わたくし)もッ、御同行させて頂きますわッ!!」

 

 その後ろから、それはもうキラッキラに瞳を輝かせたセシリアが顔を覗かせた。

 

「嗚呼ッ!! お友だちと夏の装いを選びにショッピングモールッ!! なんて素敵な催しでしょうッ!! (わたくし)ずっとこのようなイベントに恋焦がれていましたのッ!!」

「イベントて」

「大袈裟ねぇ」

 

 くるくるくるくると、まるでバレエダンサーのように華麗な回転。周囲の空気が妙にキラめいたり、背景に花畑の幻ばかりか、彼女の顔が80年代の少女漫画な画風にすら見えてくる陶酔具合。そういうのとは無縁の生活だっただろうし、よっぽど楽しみなんだろう。呆れるような物言いでありつつも、鈴の苦笑気味な表情はどこか『遠足を前にはしゃいでいる小学生を見る母親』な雰囲気である。

 

「ショッピングモールって、駅前のか?」

「そ。この辺で日帰りで買い物するなら、あそこしかないでしょ?」

「そうか……よし、いいぞ」

「おっけ。それじゃ、ラウラとシャルロットにも声掛けてみるわね」

 

 そう言って早速携帯を取り出し、メッセを飛ばす鈴。片やセシリアは「当日は何を着て行こうかしら。確かお母様から送られてきたワンピースが―――」等と暫くは戻ってこれなそうである。そんな2人を微笑ましく思いながらも、この時俺の頭の中にあったのはただ一つ。

 

(あのモールの東館の4階、確か大型の映画館だったよな。ってことは……おッ)

 

 同じく取り出したる携帯で調べてみるとドンピシャ、宣伝広告を見て気にはなっていたが中々観に行けずにいた作品が、ここで上映されているではないか。

 

(最近は授業やら実習やらに必死で映画館に行ってる暇はないだろうと思ってたけど)

 

 これは是が非でも観に行く他にない。弾たちからもメールで『良かったぞ』『まだなら観に行っとけ』と言われている。この機会を逃す手はない。女の子の買い物が随分と長い時間を必要とする事は十二分に理解しているが、それでも流石に1日全てを費やして、ではないだろう。映画1本見る時間くらいは確保出来る筈だ。

 

 あの映像美も、あの音圧も、もう随分と味わっていない。やはり定期的な息抜きは必要なことだ、と自分に言い聞かせながら、1週間後の日曜日、その日の上映スケジュールを確認する。どうやらその日が上映予定最終日で、昼過ぎに1度しか上映しないようだ。鈴にはここだけ別行動させてほしい、と予め言っておくことにしよう。ラウラ辺りは一緒に見たがるかもしれないな。声をかけてみようか。

 

「一気に楽しみになって来たな」

「ん? 何、どうしたのよ?」

「実はな鈴、この日なんだけど」

 

 思わずこぼれた声に、どうやら連絡を終えたらしい鈴が反応してきたので、丁度いいとばかりに話しかける。説明し易い様、日本語版の宣伝ムービーを表示した携帯電話を見せながら――――

 

 

 

《今度の舞台は無法と混沌渦巻くなんちゃって西部劇(マカロニウエスタン)ッ!! あのお騒がせコンビ(?)がまたやらかしたッ!!》

 

《CG加工一切なしッ!! 全米が笑い転げた手に汗握る奇跡の全編ノースタントアクションを見逃すなッ!!》

 

《監督・脚本・演出・主演:Copernicus Leslie Stevenson(コペルニカス・レスリー・スティーブンソン)

 

My Blaster Runs Hot(ホットなボクのブラスター)

 

『コイツに触れると、火傷するぜ?(精一杯のキメ顔ドアップな主人公)』

 

『フギャッ!? キャキャキャッキャッ!?(何やら慌てた様子な相棒のサル)』

 

『へ?―――――ヌワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?(背中が燃えているのに全く気付かないままのキメポーズからスプリンクラーが作動して滝の様な水流に打たれる主人公)』

 

 

『ウキャ~ッキャッキャッキャッキャッ!!(指差しながら大爆笑してる相棒のサル)』

 

 

『……あぁもう、おニューの下着が台無しだよ(最高級に情けない顔の主人公)』

 

 

《大絶賛公開中ッ!!》

 

 




サブタイトルの元ネタ
“ラチェット&クランク3(PS2)”のスキルポイント
“ほうそうじこ(Lights, Camera, Action)”
『ぜんめつバトルショー』のガントレットチャレンジ中に、コース内の至る所に浮遊しているカメラを5機破壊すると獲得できる。
『Lights, Camera, Action』とは所謂業界用語というヤツで、照明(Lights)・カメラ(Camera)・演技(Action)と直訳から何となく解ると思いますが、簡単に言ってしまえは『3、2、1、キューッ!!』みたいなニュアンスになります。

 補足説明

・“ホットなボクのブラスター(My Blaster Runs Hot)”(出典『FUTURE2』)
 以前もちょろっと説明しましたが、キャプテン・クォークが主演を務めるホロビデオ作品及びTVゲームのタイトルです。本話におけるこの作品は作者が全力で妄想したものであり、原作ゲームのものとは一切関係ございません(原作だとどんな内容かは、アフィリオンのラジオでトレーラー的な音声を聞くことが出来ます)

 どうも、4DXは座席の揺れで気持ち悪くなったしIMAX 3Dは見終わった後でめっちゃ目がしょぼしょぼした作者のGeorge Gregoryです。でも臨場感は凄まじかったのでまた行きたい。

 ようやく書けます束の間の日常回。勿論ここでもフラグはばら撒くんですが。さて、要所要所のイベントしか決めていないので、俺も今から書くのが楽しみです。どーなることやら(不敵な笑み)

 短めですが、今回は導入編なのでこの辺で。なるだけ早く更新できるよう頑張ります。

 では、また近い内にお会い出来ることを願って。

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