召喚は完璧。全身を流れる軽い倦怠感が超が付く大物を召喚した事を確信していた。しかし、それは一向に姿を現さず、代わりに上の階からけたたましい破壊音が響いた。私は情けない声を上げてビクリと飛び上がる。そして、急いで会談を上がり破壊音の主を確認しに行った。窓がぶち破られ吹きっ晒しになり天井には穴が空いている。結構気に入っていた赤いソファーが原形を留めていない。その代わりに部屋の中央に肉の塊が突っ立っていた。
「・・・アンタ誰よ」
英霊の召喚は完璧。しかし、目の前の彼からは一切の魔力を感じなかった。例えどんなにしょぼい英霊でも魔的な存在であるため個体差があるが魔力が存在するはずだが、この肉塊には無かった。
「ここはどこなのだ。スーパーフェニックスに殺されたはずじゃあ」
アメフトのプロテクターみたいな鎧に真っ赤なヘルメットをかぶった2Mを優に超す大男は自分の体を見て言い放った。
「そ、それになんだこの知識は、聖杯?戦争?なんだこれは。クラス バーサーカーってどういうことだ」
危うく卒倒しそうになる。右も左も分からない英霊がバーサーカー?これが夢なら覚めて欲しいが、現実だ。私は止まない頭痛に頭を押さえながら肉だるまに話しかける。
「あ~、ちょっといいかしら」
「ぬお!なんだ小娘、俺に何か用か?」
「一応だけど。私がアンタのマスターよ」
「マスター?なんだそれは」
「はぁ・・・」
聖杯戦争とは、あらゆる願いをかなえる万能の器 聖杯を巡って7人のマスター(魔術師)がセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの7人のサーヴァント(英霊)を使役し行う戦争である。私はこいつと契約するまでにこれの説明をする羽目になった。
「なるほど。それで俺が呼ばれた訳か・・・うん」
「それで私はあなたとさっさと契約したいんだけど」
「ではすぐに済ませよう。汝が俺のマスターか?」
「・・・・・・そうよ」
右手がうずきサーヴァントに対して契約の証であり、3度の絶対命令を行える令呪が現れる。そうしてやっと一段落になり、そしてもう一つの問題点が浮き彫りになる。グチャグチャになった部屋だ。
「一応聞いておくけど、あなたこの部屋直せる?」
「俺は破壊専門だ」
やはり無駄だった。私の徹夜と学校を休む事が確定した。
「俺も手伝おう。物を直す事は出来ないが持つ事は出来る」
訂正、徹夜では無くなるようだ。
「霊体化は出来るの?」
「無理」
「物覚えは良い方」
「悪い」
「じゃあ何が出来るのよ!」
「プロレス」
「ハァ!?ふざけんじゃないわよ!」
「俺を見くびるな1億パワーだぞ!!」
「どこにそれを証明する物があるのよ」
「待ってろよ。すぐに一人ぶっ殺して俺様の強さを証明してやる・・・うおおおおおおおおお!!!!」
壁をぶち抜きながら今朝、サーヴァントの気配がすると言った学校へ障害物を砕きながら直進する。
「この壁、誰が修理すると思ってるのよ」
彼の暴走よりも目の前の瓦礫の山が少女にとって最大の問題だった。
お気づきの人もいると思いますが、彼はキン肉マンビッグボディです。え!知らない?