とある科学の劣化魔導   作:fukayu

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暫く科学と魔術は交差しません。


劣能力者

 とあるファミレスの一角、4人掛けのテーブルには3人の少女たちが座っていた。

テーブル上には飲み物と一台のパソコンが置かれていた。

 

 

「長点上機の劣能力者(マイナス)ですか…」

 

そのうちの一人、茶色の髪をツインテールでまとめた少女白井黒子は、都市伝説好きの友人佐天涙子が出した単語をそのまま口にする。

 

「そうですよ白井さん!私のよく利用している都市伝説サイトに少し前から流れ出した噂なんですけど、なんでもこの学園都市には無能力者(レベル0)から超能力者(レベル5)のどれにも当てはまらない強度(レベル)があるらしんですよ。」

 

言葉半分に聞いていた白井黒子はそれでも一人でヒートアップしていく佐天の話を内心呆れながら聞き返す。

 

「それが劣能力者(マイナス)だと?何かの能力名なのでは?語感的にあまり良さそうな能力ではありませんけど。」

 

「いやいや、なんでも能力名は別にあるんだとか。身体検査(システムスキャン)でも何故か既存する強度(レベル)には当てはまらないんだけど、確かに何かの能力が発動していて少なくても無能力者(レベル0)ではないんらしいんですよ。」

 

「普通の測定方法だけではわからないだけなのでは?第一何故そんな不名誉な名称になるのです。仮に今までの強度(レベル)に当てはまらない全く新しい強度(レベル)ならもっと相応しいモノが付けられるのでは?」

 

能力の強さの区分である強度(レベル)は学園都市側が正式に付けるものだ。

自らも大能力者(レベル4)空間転移能力者(テレポーター)である黒子はもしも、自分のレベルがそんな不名誉なものだったらすぐにでも抗議するだろうと思う。

 

「でも白井さん、今軽~く調べてみただけですけど結構噂広がってますよ。なんでも『学園都市には無能力者(レベル0)より下の劣能力者(マイナス)というものあるらしい。理由は、その区分に定義される条件が日常生活に支障が出る程度の能力だから。』とか、『長点上機学園には劣能力者(マイナス)専用の研究設備があるけど、科学の発展のためとか、学園都市の利益には全くならないため誰もその研究をやりたがらない。』とか他には『去年の大覇星祭で長点上機が負けたのはそいつが居た所為だ。』なんてのもありますね。」

 

今までずっとパソコンをいじっていた頭にお花畑のような髪飾りを着けている少女初春飾利は調べていたことを話し出す。

どれもネットの書き込みらしく信憑性のない話だと黒子は思う。

 

「あまりいい噂は出回っていないみたいですわね。最後のなんて勝手な言いがかりでは無いですの。去年(わたくし)達常盤台が優勝したのはそんなわけのわからない人のお蔭では無く、一重に、一重に(ひ、と、え、に)私の(わたくしの)お姉様の活躍があったからですわ!」

 

自分たちの活躍がワケのわからない能力者のせいで汚された気分で若干不機嫌になりながらも、自らの愛する『お姉さま』の活躍を想像し、すぐに機嫌が良くなる。

 

「そうですよね!常盤台にはあの御坂さんも含め超能力者(レベル5)が2人もいるんですもんね。ほかの人もみんな強能力者(レベル3)普通にやっても勝てますよね。」

 

自分は無能力者(レベル0)であるが故に、若干の憧れを持ってしまうがそれでも自分の友人に対して卑屈になるわけでもなくむしろ誇らしく思う佐天。

 

「そうですわ。あのお姉さまがいる以上常盤台が優勝するのは当たり前ですわ。そして今年からはわたくしもいます。私とお姉さまのコンビネーションの前では長点上機学園といえども恐るに足らず!そう私とお姉さまの愛のコンビネーション…うふふ…愛の…ハァ、ハァ、お姉様…」

 

「あの~白井さん?」

 

自分の愛する(性的な意味でも)お姉様の話題になり本題から脱線していくクロコに恐る恐る声をかける佐天。

そこで、その間も黙々と記事について調べていた初春は何かを見つけたようにいきなり叫ぶ。

 

「あ!調べていたら御坂さん去年長点上機戦で負けていますよ。それも個人戦で。」

 

どうやら去年の大覇星祭の記事まで行っていたらしく、衝撃の事実を繰り出す。

 

「まあ、別に本当に戦うわけでもないし、負けることもあるんじゃないの?」

 

「そんな訳ありませんわ!あのお姉さまが黒子のお姉様が!!!!」

 

余程ショックなのか絶叫する黒子。

しかしその声はいきなり発せられた高圧の電撃によって強制的に中断させられる。

 

「人のいないところで何勝手に騒いでるんだあんたは!周りに丸聞こえじゃない!」

 

「あ、御坂さん!」

 

「おそかったですね。」

 

友人がいつものように感電しているのには全く気にせず佐天と初春は新たに来た人物に声をかける。

 

「待たせちゃってごめんね二人共!ちょっと野暮用で…」

 

黒子と同じ名門常盤台中学の制服を着た少女は空いた席に座る。

彼女こそ黒子の『お姉様』にして常盤台のエース、学園都市に七人しかいない超能力者(レベル5)の第三位超電磁砲(レールガン)こと御坂美琴だ。

 

「いいですよ~。また佐天さんの好きな都市伝説話に付き合ってただけですし。」

 

「う~い~は~る~いやいや付き合っていた風に言っちゃうとまたスキンシップしちゃうぞ~。」

 

佐天の言うスキンシップとは初春限定のものでズバリスカートめくりである。

 

「ま、いいや。そうだ御坂さん、今話していたんですけど去年の大覇星祭で御坂さんが負けたってホントですか?」

 

「「ちょっ、佐天さん!?」」

 

佐天の爆弾発言に初春と黒子が慌てて止めに入る。

超電磁砲(レールガン)御坂美琴は筋金入りの負けず嫌いである。

もしその話が本当なら、本人の前でそんなことを言えばどうなるか想像しやすい。

リベンジである。おそらく勝つまでやめないだろう。とある不幸な高校生はそのせいでほぼ毎日追い掛け回されていることまでは彼女たちは知らないが…

 

しかし、二人の予想とは違い美琴は若干嫌そうに顔を引きつらせるも、

 

「まあ、負けたって言っても競技だしね。別に、強度(レベル)が高いから勝てるってわけではないわよ。競技によっては私の能力使えないし。」

 

とあっさり認める。

確かに彼女の能力である発電能力は精密機械を使う競技では使用できないし、競技によっては出場できないこともある。

また、彼女は口に出しては言わないが高位の能力者-特に超能力者(レベル5)等は元々競技中は能力の発動に制限がかけられている。

そこは超能力の都市であり巨大な学校とでも言える学園都市、公平性には抜かりはない。

最も人格破綻者ばかりの超能力者(レベル5)にはそんなものあまり意味がないし、半分以上はそんな行事に参加しないが…

 

「なーんだ。もしかしたら、超能力者(レベル5)の御坂さんに実力で勝っちゃう人がいたのかもって思ったんだけど。そんな下克上早々無いですよね。」

 

「そうね、そんな奴がいたらぜひ戦ってみたいわ!」

 

そう言いながら、頭の中では現在自分が追い掛け回していて一度も勝てた事の無い自称無能力者(レベル0)の少年が浮かぶ。

 

「まぁた何処かの格闘家みたいなことを言い出して。はしたないですわよお姉様。第一お姉さまは…ガミガミ、ガミガミ。」

 

一人で美琴に小言を言い出した黒子に苦笑いする美琴。

いつも通りの何気ない風景だった。

初春はその光景に微笑みながら自分のpcに目を落とす。

 

「あ、さっきの記事また増えてる。!?これは!白井さん!!!」

 

「全くお姉さまは…なんですの初春?」

 

初春はまるで大変なものを発見したように黒子を呼ぶ。

黒子も初春の様子を聞き一瞬で愚痴をやめ真面目な口調になる。

二人には共通点があった。そして初春のこの感じは自分たちのいつも仕事をしている時と同じだ。

そう二人は風紀委員(ジャッジメント)この街の治安を守るものだった。

 

「先程の記事の新しい記述でどうやら噂を聞いた一部の武装集団(スキルアウト)が真実かどうか試そうという動きがあるみたいです。無能力者(彼ら)の中に噂が本当なら自分たちの地位が上がると思ってるグループがあるらしいです。」

 

「試すって探すつもりですか。もし本当だとしても間違った場合どちらもタダではすまないでしょうに。初春そのグループの解析を急いでください。大事になる前に止めますわよ。」

 

二人は完全に”お仕事モード”に入ってしまい美琴と佐天は置いてけぼりだ。

 

「事件?なんなら私も手伝うわよ?それと噂って何?」

 

完全に話についていけていない美琴は質問を繰り返す。

そこで佐天が自分の好きな都市伝説なので若干胸を張って説明する。

 

「それはですね御坂さん。最近学園都市の都市伝説で『長点上機の劣能力者(マイナス)』というのが流行っていまして、なんでも無能力者(レベル0)から超能力者(レベル5)のどれにも属さない新しい区分の能力らしくて…バチバチ…あれ、御坂、さんどうしました?」

 

自信満々に説明していた佐天だが途中から美琴の様子がおかしい。

普段はあまり漏らさない電気を目視出来るほど出し、俯きながら口元には変な笑みを浮かべているように見える。

 

「長点上機の劣能力者(マイナス)?おかしいわねどうしてあいつの名前が出てくるのかしら?人がせっっっかく忘れてたのに……バチバチ…」

 

「お、お姉さま、いかがなされました?」

 

美琴の異常なテンションにあの黒子でさえも若干怯えていた。

 

「いいわ。探してあげる。ふふ、ふふふ。リベンジよ。今度こそ完璧に勝ってあげる。」

 

pcを操作するのに集中していた初春は美琴の変化に気づかず、

 

「あ、みつけました。というか何か今本人を追いかけてるみたいです。場所は…………近い!今この前を通ります。」

 

そう言ってしまう。

 

そしてそれと同時に美琴と黒子の頭の中に妙なノイズのようなものが走る。

 

「「ッ痛。」」

 

そのすぐ後にガラス越しの歩道を学園都市最高峰の学校の制服を着て、長い黒髪を肩まで伸ばした(しかしこういう髪型の場合よくある美少年ではない)少年が走り去った。

後ろにたくさんの武装集団(スキルアウト)を連れて。

 

「うがー!!!!」

 

まるで獣のような声を上げて美琴の(能力)が暴発した。

 




主人公が全く出てきません(^O^)
次は出てくると思います。
美琴との因縁ものちのち。
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