今回は前後編です。
それが
能力者が無意識の内に発しているAIM拡散力場に干渉し、能力発動の為の演算に対しノイズを発生させる。その際能力者には強烈な不快感や頭痛等の異常を及ぼす。これは演算が複雑なほど…つまり
これだけならば
~ 7月20日~
その日、秋瀬七実はいつものように街を歩いていた。
その特異な能力から、学校の一般的なカリキュラムのほとんどを免除されているからは、屋外などでの特殊なカリキュラムや実験の時以外は基本的にフリーだ。
別に学校の敷地内に間借りしている部屋でゴロゴロしていてもいいのだが、あそこはどうも居心地が悪い。
(ちなみにそれは別に自分が特にやる事のないニートだからって意味じゃないぞ!絶対!っと一人ツッコミだ。)
まあ単に暇だからってわけでもあるが。
そんなことを考えながら歩いているとふと目の前に数人の人影が立ちはだかった。
「糞、またか。」
嫌々ながら目の前の集団を見やる。
全員知らない顔だった。見るからに柄の悪そうな格好をしており、警察などが持っている警棒などで武装しているところを見ると高位の能力者ではないのがわかる。多方
この街では能力者は武装する必要がない。自らの使う能力こそが力の証明になるのだから。
もちろん顔を知らないのだから、秋瀬七実は彼らに会ったことはない。もしかしたら彼らの方は自分を知っているのかもしれない。だがその可能性は低いだろう。
だが皆が皆どこか苛立った表情をしている。
「応、そこのお前ちょっとツラ貸せや。」
自分がなにかした訳ではない。本当にただ歩いていただけだ。
だが心当たりは”ある”。
自分の能力―
この能力は能力者の演算の中にノイズを流すというものだが、それは演算中でなくても能力を使っていなくても、たとえ能力が使えなくても微弱ながら効果を発揮する。
おそらくこの少年たちに絡まれたのもこのノイズのせいだろう。
能力をオフにしようにも、秋瀬七実は能力のオン・オフができない。
ただひたすらに他人を不快にさせるノイズを発生させる。ただそれだけの能力なのである。
(こっちは別に物理的に何かしたわけじゃないから、ほっとけば
流石にそんなものがいるとは思いたくないが、このまま黙ってやられてやるのも癪だ。
以前は自身の学校の名を使ってビビらせてやろうとしたが、自分の学校内外での異名を知っている奴がいて失敗した。
なぜか最近自分のことを知っている輩が増えてきているが、何か理由があるのだろうか?
「まあ、搦手ってのはあまり何度も使えないしな。ここはいっちょ直球勝負と行きますか。」
秋瀬七実は覚悟を決める。相手は一、二、三…7人。やろうと思えばやれない数ではない。
肩の力を抜き、両足に力を込める。何も自分の力は能力だけじゃない。
「な、なんだこいつ。何かやる気だぞ!」
彼らもなにか気づいたようだが、一瞬遅い。
秋瀬七実は一気に両足の力を解放し、走り出す。
元来た方へ、つまりは誰もいない方へと。
「な、なん…だ?」
困惑する
彼の選んだ行動。それは逃げることだった。
「逃げるが勝ちってね!どうだ?直球だろう?」
相手にも聞こえるような声で捨て台詞を吐いていく。
「追え!絶対に逃がすな!」
我に返った
秋瀬七実は目の前に困難な壁が立ちはだかった時、乗り越える努力すらせずに逃げる道を選ぶ。そんな人間だ。だからこそこの学園都市でほぼ唯一の
秋瀬七実は必死に逃げる。
裏路地に入り込み、街道に出たかと思えば通行人にぶつかる勢いで全力疾走する。
清掃ロボットを飛び越え、さらにはその上に乗っているメイド少女(!?)すら飛び越えて、ファミレスや銀行の前を通りすぎる。
秋瀬七実は絡まれたときは常に逃げているほど逃げ慣れているが、別に逃げ足が早いというわけではない。
そのため追いつかれるときは追いつかれるし、捕まるときは捕まる。
相手が能力頼みの高位能力者様なら、自分の能力で演算を乱しているあいだにゆうゆうと逃げ切るだろう。
しかし相手は能力とはほぼ縁のない
まともにやって勝てるわけがない。
そうこうしている間にも数で勝る
「ハァ、ハァ、糞!やべえ。」
一体どこから増えたのか。最初は7人だったのが今では倍以上の20人ほどになっている。
流石にこの数を相手に逃げ切る自信はない。
「観念して大人しく俺らに殴られとけや。何でか知らんけどお前の顔を見てたらむしゃくしゃしてくるんだわ。」
20人以上の武装した集団に袋叩き。下手したら死ねるこの状況に若干泣きたくなってきた。
レベルの高い能力者がいればたとえこの状況でもなんとかなるだろう。
しかし生憎、秋瀬七実にはこの状況で助けてくれる能力者の知り合いはいない。
そもそも、この能力で演算に影響が出ることを嫌う
あまりの絶望的な状況にイチかバチか真っ向勝負で当たってみるか、と普段は考えもしない事を行動に移そうとしたその時、それは起こった。
バチッ!バチッ!
公園全体を覆うのではないかと思うほどの量の高圧電流が流れ、周囲の機械にエラーが出る。
この現象を起こした本人が歩いてくる。
「全く大勢で寄ってたかって一人を追い詰めて、なにやってんだか。」
それは驚くことに中学生くらいの少女だった。
短い茶色の髪にまるで学校帰りのように制服を着てカバンを持ち歩いている。
普通ならこんな少女に20人余りの屈強な高校生くらいの男たちがどうこうされる訳がない。
しかし、
「と、常盤台の制服!それにこの電撃!」
ここは超能力者の街学園都市。
「も、もしかして!」
外の世界とは、まるで違う常識が支配する。
「学園都市に7人しかいない超能力者の一人、常盤台中学最強最悪の電撃姫。」
その世界では能力の優劣が全てを決める。
そしてこの少女こそ学園都市230万人の頂点に位置する一人その名も
「「「
「わぁーおぅ。」
救いは思わぬところからやってきた。