とある科学の劣化魔導   作:fukayu

3 / 42
ついに主人公登場!
劣能力者(マイナス)と呼ばれる彼の正体とは?
今回は前後編です。


能力障害 前編

能力障害(AIMノイズ)

それが劣能力者(マイナス)秋瀬七実の能力だった。

能力者が無意識の内に発しているAIM拡散力場に干渉し、能力発動の為の演算に対しノイズを発生させる。その際能力者には強烈な不快感や頭痛等の異常を及ぼす。これは演算が複雑なほど…つまり強度(レベル)が高いほど与える影響が強くなり、下手をすれば能力の暴発・暴走に繋がる。

 

これだけならば大能力者(レベル4)相当の能力なのだが、この能力が劣能力者(マイナス)と呼ばれる所以は別にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ 7月20日~

 

その日、秋瀬七実はいつものように街を歩いていた。

その特異な能力から、学校の一般的なカリキュラムのほとんどを免除されているからは、屋外などでの特殊なカリキュラムや実験の時以外は基本的にフリーだ。

別に学校の敷地内に間借りしている部屋でゴロゴロしていてもいいのだが、あそこはどうも居心地が悪い。

 

(ちなみにそれは別に自分が特にやる事のないニートだからって意味じゃないぞ!絶対!っと一人ツッコミだ。)

 

まあ単に暇だからってわけでもあるが。

そんなことを考えながら歩いているとふと目の前に数人の人影が立ちはだかった。

 

「糞、またか。」

 

嫌々ながら目の前の集団を見やる。

全員知らない顔だった。見るからに柄の悪そうな格好をしており、警察などが持っている警棒などで武装しているところを見ると高位の能力者ではないのがわかる。多方無能力者(レベル0)辺りの武装集団(スキルアウト)だろう。

この街では能力者は武装する必要がない。自らの使う能力こそが力の証明になるのだから。

もちろん顔を知らないのだから、秋瀬七実は彼らに会ったことはない。もしかしたら彼らの方は自分を知っているのかもしれない。だがその可能性は低いだろう。

だが皆が皆どこか苛立った表情をしている。

 

「応、そこのお前ちょっとツラ貸せや。」

 

自分がなにかした訳ではない。本当にただ歩いていただけだ。

だが心当たりは”ある”。

 自分の能力―能力障害(AIMノイズ)は能力者が無意識に出しているAIM拡散力場に干渉する能力だ。そして当然能力者である自分も例外ではない。ただ他人と違うのは、発しているのがAIM拡散力場ではなく能力だという点だ。

この能力は能力者の演算の中にノイズを流すというものだが、それは演算中でなくても能力を使っていなくても、たとえ能力が使えなくても微弱ながら効果を発揮する。

おそらくこの少年たちに絡まれたのもこのノイズのせいだろう。強度(レベル)の高いものには能力を使っても、何をしたのか割とすぐに気づかれてしまうが、無能力者(レベル0)にはなんとなく気に食わないくらいの認識を与えるくらいしか効果はないためひたすら絡まれる。

 

能力をオフにしようにも、秋瀬七実は能力のオン・オフができない。

ただひたすらに他人を不快にさせるノイズを発生させる。ただそれだけの能力なのである。

 

(こっちは別に物理的に何かしたわけじゃないから、ほっとけば警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)が来てくれれば助かるが…警備員(アンチスキル)はともかく風紀委員(ジャッジメント)は大体が能力者だからなあ…疑われて、下手すれば一緒にボコられるかも…)

 

流石にそんなものがいるとは思いたくないが、このまま黙ってやられてやるのも癪だ。

以前は自身の学校の名を使ってビビらせてやろうとしたが、自分の学校内外での異名を知っている奴がいて失敗した。

なぜか最近自分のことを知っている輩が増えてきているが、何か理由があるのだろうか?

 

「まあ、搦手ってのはあまり何度も使えないしな。ここはいっちょ直球勝負と行きますか。」

 

秋瀬七実は覚悟を決める。相手は一、二、三…7人。やろうと思えばやれない数ではない。

肩の力を抜き、両足に力を込める。何も自分の力は能力だけじゃない。

 

「な、なんだこいつ。何かやる気だぞ!」

 

彼らもなにか気づいたようだが、一瞬遅い。

秋瀬七実は一気に両足の力を解放し、走り出す。

元来た方へ、つまりは誰もいない方へと。

 

「な、なん…だ?」

 

困惑する武装集団(スキルアウト)を他所に一人全力疾走でかける秋瀬七実の姿はすぐに小さくなっていった。

彼の選んだ行動。それは逃げることだった。

 

「逃げるが勝ちってね!どうだ?直球だろう?」

 

相手にも聞こえるような声で捨て台詞を吐いていく。

 

「追え!絶対に逃がすな!」

 

我に返った武装集団(スキルアウト)の一人の掛け声とともに、いつも通りの鬼ごっこが開始される。

秋瀬七実は目の前に困難な壁が立ちはだかった時、乗り越える努力すらせずに逃げる道を選ぶ。そんな人間だ。だからこそこの学園都市でほぼ唯一の劣能力者(マイナス)と呼ばれるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

秋瀬七実は必死に逃げる。

裏路地に入り込み、街道に出たかと思えば通行人にぶつかる勢いで全力疾走する。

清掃ロボットを飛び越え、さらにはその上に乗っているメイド少女(!?)すら飛び越えて、ファミレスや銀行の前を通りすぎる。

 

秋瀬七実は絡まれたときは常に逃げているほど逃げ慣れているが、別に逃げ足が早いというわけではない。

そのため追いつかれるときは追いつかれるし、捕まるときは捕まる。

相手が能力頼みの高位能力者様なら、自分の能力で演算を乱しているあいだにゆうゆうと逃げ切るだろう。

しかし相手は能力とはほぼ縁のない無能力者(レベル0)しかも喧嘩の弱い彼にとって最悪なことに武装している。

まともにやって勝てるわけがない。

 

そうこうしている間にも数で勝る武装集団(スキルアウト)が徐々に秋瀬七実を追い詰めていき、ついにはとある公園まで追い詰められていた。

 

「ハァ、ハァ、糞!やべえ。」

 

一体どこから増えたのか。最初は7人だったのが今では倍以上の20人ほどになっている。

流石にこの数を相手に逃げ切る自信はない。

 

「観念して大人しく俺らに殴られとけや。何でか知らんけどお前の顔を見てたらむしゃくしゃしてくるんだわ。」

 

20人以上の武装した集団に袋叩き。下手したら死ねるこの状況に若干泣きたくなってきた。

レベルの高い能力者がいればたとえこの状況でもなんとかなるだろう。

しかし生憎、秋瀬七実にはこの状況で助けてくれる能力者の知り合いはいない。

そもそも、この能力で演算に影響が出ることを嫌う強能力者(レベル3)以上の能力者は自然と近づいてさえ来ない。

 

あまりの絶望的な状況にイチかバチか真っ向勝負で当たってみるか、と普段は考えもしない事を行動に移そうとしたその時、それは起こった。

 

バチッ!バチッ!

 

公園全体を覆うのではないかと思うほどの量の高圧電流が流れ、周囲の機械にエラーが出る。

武装集団(スキルアウト)の一部の武器や携帯にも異常が表れ、それを見た者たちは絶望の表情を浮かべる。

 

この現象を起こした本人が歩いてくる。

 

「全く大勢で寄ってたかって一人を追い詰めて、なにやってんだか。」

 

それは驚くことに中学生くらいの少女だった。

短い茶色の髪にまるで学校帰りのように制服を着てカバンを持ち歩いている。

普通ならこんな少女に20人余りの屈強な高校生くらいの男たちがどうこうされる訳がない。

しかし、

 

「と、常盤台の制服!それにこの電撃!」

 

ここは超能力者の街学園都市。

 

「も、もしかして!」

 

外の世界とは、まるで違う常識が支配する。

 

「学園都市に7人しかいない超能力者の一人、常盤台中学最強最悪の電撃姫。」

 

その世界では能力の優劣が全てを決める。

そしてこの少女こそ学園都市230万人の頂点に位置する一人その名も

 

「「「超電磁砲(レールガン)御坂美琴!」」

 

「わぁーおぅ。」

 

救いは思わぬところからやってきた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。