世界一初恋・エメラルド発売記念2017 高律SS 作:bui
このところ俺はおかしい。
今まで先輩を好きってことだけで良かったのに、先輩は俺をどう思っているかを知りたくて苦しくなってしまった。
嫌われてる・・・、とは思わなくもなくもなくもない。あれ?どっち?
ぐずぐずと思い悩んでも答えは出ない。
でもきっぱりと拒絶されるのは怖い。
でも知りたい。
先輩の体温を感じて、荒い息遣いと跳ねた鼓動を聞くと先輩は俺の求めている答えをくれるような気がして・・・。
先輩が俺とつき合ってもいいって言ってくれたから、 だから、俺たちはつき合っているんですよね?
こんなにギュッと俺を抱きしめてくれて、優しく唇でさするように俺の頬を撫でて、唇を噛んで、背をさすりあげながら俺を酔わせてくれる。
聞きたいことは一つだけ、たったの一つ・・・。
先輩は俺のこと好きですか?
「プッ」
え?なんで?笑われた?
付き合ってるけど別におまえのことなんてなんとも思ってないって思ってたの?
俺の恋する気持ちは弄ばれたの?
自分が?
先輩が?
世の中のすべてが?
信じられない・・・。
思わず思い切り先輩をつき飛ばして、俺よりずっと大きい身体を押し倒して、
「先輩が俺のことなんて好きじやなくても俺は先輩が好きなんです。好きだから、好きだから、絶対に別れてあげません。イヤです。先輩が好きです!」
と、馬乗りになりその首にすがりついて泣きじやくっていた。
ひとしきり嵐のような感情の波が収まるまで、先輩が俺の髪を流いてくれていて、背中もポンポンと優しく叩いてくれてて、 「う~~~。」と先輩のシャツに顔を押し付けて悲しさに唸っていると「ハア」と先輩のため息が聞こえた。
「お前さあ・・・。」
先輩にまた呆れられた・・・。好きになってもらえるどころかいよいよ嫌われたかもしれない。
そう思うとまた悲しくなって涙が止まらないのに、俺の頬に手を当ててグジュグジュの顔を先輩があげさせるから先輩のほっペに俺の涙が落ちた。
「俺のこと好きなら俺のこともう少し信じたほうがいいと思う。」
先輩がちよっと寂しそうな目をしたのでびっくりした。
「こんなにお前のこと好きなのになんでわかんねーの?」
と少しだけ困ったように言った。
「まあ別れるなんてありえねーからさ、別にいいんだけどさ。」
先輩が身体を起こして俺の涙を自分のシャツでクシャっと拭いてくれてから、 身体を伸ばして学校のかばんの中に手を突っ込んでなにやらガサゴソと探している感じだった。
「クラスの女子がさ、彼氏にもらって一番うれしいのがこれだって言ってたからさ。」と、いつからバッグに入っていたのか、少しくしょくしょになった花柄の小さい紙袋から取り出した金のリングを、俺の指を掴んではめた。
「お前指細いね。ぶかぶかだ。」
中指でもゆるそうな金のリングは、でも先輩とおそろいらしくて、先輩は俺の目の前に手を開いて差し出して「お前も付けて。」言ってくれた。
その金のリングを手に取って見ると、今度はうれしさに涙が流れてきて、グズグズと鼻をすすりながら先輩の細くて長い指にそのリングをはめた。
「サイズは直してくれるっていうから、駅前の店。一緒に行くぞ。」
先輩が未来の約束をくれる。
先輩、先輩、大好きです。
俺、どんなことがあっても先輩を放してなんてあげませんから。
また涙でぐずぐずになりながら俺はそう告げたのだった。