幻の理想の果て   作:惣菜

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第三話 閻魔の判決

――地獄の法廷――

 

「そろそろですかね、小町?」

 

地獄にある法廷、その最高責任者である四季映姫・ヤマザナドゥはその裁判官席に鎮座していた。

 

「そろそろって何がですか? もしかしてオンボロ渡し船を新調できる時期がってことですか?」

 

その目の前にある少し低い記録員席に突っ伏しているのは映姫の部下でもあり死神でもある小野塚小町だ。

 

「寝言は寝てから言ってください。そんな金、今の地獄にはありませんよ」

 

「じゃあ寝ながら新調されるの待ってますね」

 

「本当に寝ないで下さい。大体貴方は普段の業務すらサボっているじゃありませんか。だからあの巫女にはサボマイスタなんて呼ばれるんですよ」

 

「そんなこと言われましても、三途の川の船頭を好き好んでやってる奴なんて珍しいですよ。なんてったって今年の『できるなら他人に任せたい地獄の職業ランキングin幻想郷』10年連続トップ……いや、ワースト3位内に入るんですよ?」

 

「そうでなくても貴方はサボっているでしょう?」

 

「まぁ否定はしませんが。……映姫様、お仕事の話として聞きますが、そろそろ、とはどういうことです?」

 

のらりくらりとしていた表情、仕草が一瞬のうちに消え、声のトーンも幾分か下がった。それだけでこの話の重要性が窺い知れた。

 

「……半年ほど前のことです。一時期、八雲紫の式が忙しそうに幻想郷中を飛び回っていた時期があったでしょう?」

 

その問いに小町は何かを思い出したような表情をして

 

「えぇ、一回茶屋にいるときに本人から話を聞きましたよ。なんか本当に疲れ切ってましたよ、あのときの八雲の式、確か藍でしたっけ?」

 

「……えぇ。その時期にこちらに流れてくる幽霊の数が減ったでしょう」

 

「あー、はいはい。確かに減りましたね。仕事が少なくて嬉しかったです」

 

「……後で話すことができました。覚悟しておいてください」

 

「えぇ!? そんなひどいです映姫様! これから人里の居酒屋でみんなと飲む約束が「諦めなさい」そんなぁ……」

 

今にも泣きだしそうな顔で見つめてくる小町を無視して映姫は続ける。

 

「その時に、この幻想郷に自ら(・・)入ってこようとした(・・・・・・・・・)存在がいるそうなんです。しかも結界をかなり歪める形で」

 

「え? 八雲紫が運んだわけでも、たまたま迷い込んだわけでもなく、忘れられた存在でもなく、ですか?」

 

小町は驚かずにはいられなかった。今までに聞いた話が正しければ、外の世界はかなり科学が発達していて、こちらよりも平和な生活が送れるはずだ。それを何が面白くてこちらに入ってこようとしたのか。

 

映姫も小町の反応を見て、まぁ妥当な反応だろうと感じていた。自分は驚いたというよりもその時の調査の業務で狩り出されたことと、それによって分かったことの衝撃が蘇ってきた

 

「えぇ。でも問題はその入り方なのです。彼なのか彼女なのか判別は付きませんでしたが……彼女は擬似的に死んで、忘れられて入ってきたのですよ」

 

「……は? 擬似的にとはいえ、死んだ?」

 

「えぇ。その誰かさんがいたであろう外の世界に、こちらにいるはずの幽霊も確認できました。ある細工をされていましたが」

 

「細工?」

 

「死の概念を抽出されていたのですよ。その後始末を頼んだ所為で、白玉楼の主に借りができてしましましたよ」

 

恐らく結界が歪んでいた、というのは幽霊とその人間の無理な行き来が原因だろう、という説明を小町は受けた。映姫も喋り疲れたようで、傍らに置いてあった急須で茶を茶碗に注ぎ、一口飲むと、また話し出した。

 

「その人物の職業、というべきなんですかね。まぁ、それにあたるものが魔術師、というものだと分かりました」

 

「魔術師? 紅魔館とか、魔法の森に棲んでるのは魔法使いじゃないですか? 何が違うんです?」

 

「まぁ、そのあたりは説明があるでしょう。ですが、問題はその魔術師が他にも多くいるということです」

 

「……つまりいつ結界が歪むか分からない、最悪壊されるかもしれない。しかも魔術師がたくさんいるってことは色んな手段がありとても危険、ということですね?」

 

「えぇ。そして八雲紫はその事件の後始末が終わったあと、こう言いました」

 

『この不安要素を取り除く切り札があるかもしれない。その時が来たら詳しく話す』

 

そしてその話が詳しく話されたのが一か月前です、と付け足した。

 

「つまり、そろそろっていうのはその解決策となる物か人がくるってことですか……」

 

その時、被告人席、つまり映姫の目の前の空間が突然光り始めた。足元には何かの魔法陣のようなものが浮き出ている。

 

「一体なんですか!?」

 

「もしかしてこれが切り札!? だとしたらどんな大物が来るんですか!?」

 

最初は弱かった光が、強風と魔力を纏いどんどん強くなっていく。その様はさながら小さな竜巻のようだ。それは密度を増していく。幾重にも織り込まれ、光を重ね、いよいよ直視することも敵わないほど強い光へとなった時、その瞬間は訪れた。

 

光が爆ぜた。風は吹き荒れる。そして一つの存在がこの地に舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問おう、貴様が僕のマスターか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。なんだがすごい中途半端に切れてしまいましたね。
この次の話を見てもらえれば、それもなくなると思うのですが……。
まぁ、生暖かい目で見守ってもらえればうれしいです。
ご意見、ご感想、誤字の指摘をお待ちしています。
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