フラクシナスside
先ほどまでフラクシナスの外にいた士道たちが指令室にいきなり現れた。
士「な!?なんでフラクシナスの中に?」
一「兄さんが空間転移で飛ばしたんだと思います。」
士「でもなんで白夜がそんなことを?」
四「先ほど一人であれを相手にするといっていました。」
それを聞いた士道は驚いた顔をした。
士「な!?白夜一人で勝てるのかよ!」
琴「そんなの分かるわけないでしょ。」
十「そんなことより、早く外に出て白夜の援護をした方がいいのではないか。」
隼「確かにその方が良さそうだな。
琴里、俺たちはもう一度行ってくる。」
琴「分かったわ。」
一「行っても無駄です。」
隼斗や十香たちが指令室から出て行こうとしたところで一姫が大きな声で止めた。
十「無駄とはどういうことだ。」
隼「いくら白夜が強かろうとあれを相手にするのなら俺たちがいた方がいいはずだ。」
隼斗と十香の問いに一姫は俯いた状態で力強く手を握って答えた。
一「無駄ですよ。
私たちが出て行ったところでただの足手まといにしかなりません。
兄さんの強さは、それ程圧倒的なんです。」
一姫の声からは悔しさが良く伝わって来た。
その一姫の言葉に隼斗たちは戸惑い動きを止めた。
令「白夜の霊力が、先ほどよりさらに上昇した。」
椎「それだけじゃありません。
白夜君が持っている武器の反応からして、おそらく神器です。」
士「神器ってなんですか?」
士道が聞いたことない単語に首を傾げた。
琴「数年前に見つかった強力な武器よ。」
令「単純な攻撃力は天使と同等以上の力を持っている上にそれぞれに固有の特殊能力が存在している。
しかし、神器は天使とは違いこちらの世界に存在しているものだ。」
士「そんなものがあるんですね。
でも、それを白夜が持っていて問題があるのか?」
琴「神器は、いまだに5つしか見つかってないのよ。
そして5つの神器はすべて賢者が持っているわ。」
士「な!?
じゃあ、白夜は6つ目の神器を持っていたってことなのか?」
令「おそらくそうだろうね。
それを考えると、ここは白夜に任せた方が良さそうだね。」
白夜side
(さて、始めるか。)
右手に槍を持ちケルビエルに全速力で近づいて、左手で殴った。
殴られたケルビエルは、殴られた部分がへこみ、そこから放射状にひびが広がった。
すると、ケルビエルは動きを止め再生を始めた。
「あ、槍折角出したのに殴っちまった。
まあいいか。」
ケルビエルの動きが止まっているうちに万由里が捉えられている鳥かごのところまで移動した。
「やあ、万由里気分はどうだ?」
万「こんな時に言うのもなんだけど、最悪よ。
主にあんたのせいでね。」
先ほどケルビエルを殴った時の衝撃で鳥かごが揺れたため、万由里が避難の目を向けてきた。
「悪い悪い。
それで、俺に聞きたいことがあるんだろ。」
万「やっぱり、わざとやったのね。」
「まあな、だが自分の感情を隠していたのは、お前もだろ。」
万「そんなことも分かってたのね。」
「まあな、だがそれが何に対する感情かまでは理解できなかったがな。」
万「そ。
でも、いくらあんたが強くてもケルビエルには勝てないわよ。」
「霊力の供給がある限り無限に再生するからか?」
万「そこまで知っていてなんで感情を隠したりしたのよ。」
「それを教える必要はないだろ。
それにあまり時間もないから、単刀直入に言う、俺はお前を救う。」
万「え!?」
白夜の言ったことに万由里が驚いている間に、槍で鳥かごの上についている球体を壊した。
球体が壊れたことで鳥かごが消え、驚いていた万由里は反応できず空中に投げ出されたが、白夜が万由里を抱えてケルビエルから距離を取った。
「これくらい離れれば大丈夫だろ。」
万「なんで、私なんかを救おうとするの?」
「そんなのは、俺の気分だ。
一週間も一緒に暮らした奴を簡単に見捨てるほど、俺は薄情ではないさ。」
万「そ。」
「それよりも、今はあれをどうするかが先だ。」
万「あれは!?」
白夜が視線を向けた先では、再生を終えたケルビエルの体が球体に入った後球体が小さくなった。
そして小さくなった球体の後ろから六枚の葉のような形の物が出てきて球体を花の蕾のように覆った。
それを破って現れたのは、最初の形からしっぽがなくなり、牛の角のようなものが生え、球体を中から破るような形で雫型の物が出てきた形に変化した。
そして、雫型の先端にエネルギーのようなものをためていた。
万「ラハットヘレヴ!」
万由里がそう言った後、ケルビエルがエネルギーを放った。
そのエネルギー砲が、山の向こう側を吹き飛ばした。
「これは、すごいな。」
万「関心してる場合じゃないでしょ。」
「そりゃそうだ。
まあ、あれとやりあうんだから対処はするさ。
それと万由里を救うための霊術を組むまでの間待ってな。」
万「拒否権はないのね。
分かったわ。」
「それじゃあ、始めますかね。」
そう言った後、左手で指を鳴らした。
創世の力で、何もない広大な草原の空間を作り、ケルビエルとフラクシナスをその空間に入れた。
フラクシナスside
映像に、その場の誰もが目で追えない速さでケルビエルに近づき殴った白夜が映っていた。
士「嘘だろ!十香たちが天使でいくら攻撃しても傷一つつかなかったのに、素手で傷つけるなんて!?」
十「何という力だ。」
四「白夜さん、すごいです。」
隼「あんなに強かったのか。」
琴「まさか、ここまで強いとはね。
この調子なら一人で本当に勝てるんじゃ。」
一「・・・。」
その映像を見た、一姫以外のみんなが白夜の強さに驚いていた。
令「確かに圧倒的に強いが、勝てるかはまだ分からないな。」
琴「どうしてよ?」
令「あの天使は傷を再生させている。
つまり、霊力の源であるあの精霊をどうにかしない限り再生し続ける。」
士「な!?それじゃあ、万由里を倒すってことですか?」
令「それだけではないが、どのみち万由里が助かることはない。
しかし白夜は、あの精霊を倒す気はなさそうだ。
一体どうやってあの天使を倒すつもりなんだろうね。」
隼「万由里の霊力を封印してもダメなんですか?」
令「おそらくあの精霊は、肉体を持たない霊力の塊、だとすると霊力を封印すると彼女は消滅してしまう。」
士「じゃあ、一体どうすればいいんですか?」
令「残念だが、それは私には分からない。」
令音の答えに士道たちは、黙ってモニターの映像を見ることしかできなかった。
十「あの天使、形がさっきまでと変わったぞ。」
十香がそう言って少し後に山の向こう側が吹き飛ばされた映像が流された。
隼「すごい火力だな。」
琴「あんなのと白夜がこんなところで戦ったら天宮市がただじゃすまないわよ。」
隼「でも、移動させる方法なんてないぞ。」
琴「分かってるわよ。」
琴里が天宮市に被害を出さない方法を考えていると、モニターに映る景色が変わった。
そこは、とてつもなく広い草原だった。
琴「いったい何が起きたって言うのよ。」
令「おそらく白夜の空間転移でフラクシナスとケルビエルを別の場所に飛ばしたんだろう。」
琴「でも、地球上にこんな場所ないでしょ。」
隼「確かに、地球上にこんな広い草原はないはずだ。」
士「じゃあ、ここは何なんだよ。」
一「兄さんが作り出した異空間です。」
ずっと黙っていた一姫がみんなの疑問に答えた。
琴「一姫どういうこと?」
一「兄さんは、創世というものを作り出す能力を持っています。」
琴「まさか、空間まで作り出すことが出来るっていうの!?」
一「子どもの頃に作られた空間を見たことがあるので間違いありません。」
琴「どれだけ規格外なのよ、あいつは。」
琴里と似たようなことを考えながらみんなモニターに映る白夜を見ていた。
万由里side
景色が草原に変わった後、白夜はケルビエルに向かっていった。
万(これ程の空間を一瞬で作るなんて、やっぱり白夜は規格外すぎるわね。)
白夜は、ケルビエルが白夜に向かって撃っている大量の霊力弾を当たりそうな物だけを槍で弾きながらケルビエルに近づいて行った。
槍で弾かれた霊力弾は、少し経つと霧散していった。
白夜は、ケルビエルに近づくと霊力弾を撃っている場所を数個、槍を大振りして切った後、槍を振った勢いのまま体を軸に回転しながら右側の角を切り落とした。
角を切った後、白夜がまた左手で角の根本あたりを殴りつけた。
しかし、先ほどとは違い殴られた部分はへこみひびも入ったがかなり小さくなっていた。
「なるほど、強度も大分増しているようだな。」
白夜がケルビエルの変化を確認するようにその場に少し止まっていたが、ケルビエルの霊力弾がまた飛んで来たため槍で弾いたり回避をしながらケルビエルに近づいた。
ケルビエルも白夜によって受けた傷を再生させながら白夜に霊力弾を撃ちたまに最初に撃った大きな砲撃も撃っていた。
白夜は、そのケルビエルの攻撃を時折受けるものの軽い攻撃を受ける程度でケルビエルに攻撃しては時間を稼ぐように少し距離を取って回避を少しの間続けていた。
万(すごい攻防でも、見た感じ白夜の方が有利みたいね。
それにしても白夜は何で私なんかを救おうとするんだろう。)
私が少し戦いから意識を逸らして考え事をしていると。
「何をしてるんだ、避けろ。」
白夜の声に戦いに意識を戻すと、ケルビエルがこちらに霊力の砲撃を撃とうとしていた。
先ほどまで考え事をしていて、突然のことに反応が遅れて今からだと回避が間に合わないと悟り受ける覚悟をしたが、白夜がケルビエルに向かって高速で近づき、強い攻撃を当てて砲撃を逸らそうとしているのか、焦った様子で槍を大振りで振る体制で構えていた。
しかし、それをケルビエルは読んでいたのか、砲撃をこちらから白夜の方向に向けた。
それを見て白夜は、しまったと言いたげな顔をしながら、正面からケルビエルの砲撃受けた。
万「白夜あぁ~。」
白夜が砲撃に飲まれたのを見た時、全力で叫んだ後何も考えられなくなった。
砲撃が続いている間、どうしていいのか分からず、身動きがまるで取れないでいた。
砲撃が止んだと思った瞬間にケルビエルが縦に真っ二つに割れた。
何が起きたのか確認するため、白夜が砲撃を受けた場所を見ると、着ていた服がところどころ破けていて、そこから見える肌は痛々しい傷がところどころについている白夜が槍を振り下ろした体制で雷を体の周りに薄っすらと纏っていた。
「ようやっと霊術が完成した。
お前を足止めする準備も整った。」
白夜は、それだけ言うと真っ二つにされたケルビエルの再生に合わせてケルビエルの中に槍が残るタイミングで持っていた槍を投げ込んだ。
ケルビエルが完全に再生し終わったところで、ケルビエルの内側から強力な雷が発生しケルビエルを粉々に砕いた。
粉々に砕かれたケルビエルの体の中心に白夜の投げた槍が雷を纏った状態で浮いていた。
その槍に、粉々に砕かれたケルビエルの体は引き寄せられ、また槍の雷によって体が細かく砕かれるの繰り返しが続いた。
「さて、これで良し。」
ケルビエルの様子を確認した後、白夜がこちらに近づいてきた。
万「いったい何をしたの?」
「それは、また今度説明する。
今は、折角完成させた霊術を起動させる。
今更、お前を救うことに文句は言わせんからな。」
万「え!?
ちょっと待ってまだ心の準備とかできてないし。」
「悪いが時間がないんだ、我慢しろ。」
そういった後、白夜が両手をこちらに向けてきた。
私が今から始まるんだと感じた時、私の周りに光る幾何学的な文字が円を描くように回っていた。
それと同じ円が様々な大きさや向きが異なって増えていった。
途中から円だけでなく異なった形のものも含まれていたが、たくさんの文字が重なっているためどのような形かは分からなかった。
少しすると、文字が放つ光で視界が完全に覆われた後、次第に意識が遠のいて行った。
白夜side
万由里が霊術を起動させたこどで発生したたくさんの文字で構成された魔法陣が集まってできた球体の中に納まった。
(これであとは、魔法陣が消えるのを待つだけか。
それにしても、霊術を組みながら戦っていたとはいえ、最後の砲撃をくらったせいで予想以上のダメージを受けたな。
霊力もほぼ使い切っって残ってないせいもあって意識が飛びそうだ、早く終わらないかな。)
それから少し経つと光が徐々に収まっていき、先ほどまでとは違い服や霊装を着ていない状態で万由里が出てきた。
意識がなさそうなので、近づいて万由里を受け止め、自分がいつも羽織っている着物の破れているところを直して万由里にかけた。
ケルビエルは、霊力の供給がなくなったため再生が出来ずに槍の雷に砕かれた体は光の粒子になって消えていった。
それを最後まで見た後、天宮市の上空にフラクシナスを連れて帰って来た。
天宮市の上空に出たあたりで、万由里の意識が戻った。
万「ここは?」
「天宮市の上空だ。」
万「!?ケルビエルは、どうなったの!?」
万由里はケルビエルを探すように周りを見るがどこにも見つからなかったため取り敢えず落ち着いた。
「ケルビエルは、消滅したぞ。
お前はもうケルビエルの管理人格じゃない、霊力を持ったただの人間だ。」
万「!?
そ、上手くいったのね。」
万由里は少し驚いた顔をしたが、すぐに俺が組んだ霊術がうまくいったことを理解したようだ。
「まあな、悪いが万由里はこれからフラクシナスで検査を受けてくれ、一応は異常はないだろうが、なにかあったら困るからな。」
万「ええ、分かったわ。
それと、この着物ありがとう。」
「気にするな。
霊力は今まで通りあるから今までの感覚で受けるはずだ。」
そういうと、万由里は俺の手を放して空中に浮いた。
それを確認した後、俺は最後に残った霊力で空間転移をして家の寝室に飛びすぐに寝た。
ようやっとケルビエルを倒すところまで来れました。
そして、お気に入り登録してくださった方ありがとうございます。
これからも読んでくれると嬉しいです。