女ヶ島の念能力者   作:C3PO

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第10話

 『待てベルゼリス。交渉の前に説明が先だ。今の状況が分からんと五老星も交渉の仕様がない。五老星……ともあれ一刻も争う事態なので簡潔に説明します。

 

  九蛇海賊団とセンゴクの率いる部隊がシャボンディ諸島で戦闘し、船長のグレイスはセンゴクが生け捕りにしましたが、今電伝虫で話している九蛇海賊団の戦闘員ベルゼリスにボルサリーノが生け捕りにされてそのまま人質にされベルゼリスがセンゴクと交渉しました。

 

  交渉の内容はグレイスとベルゼリス以外の九蛇海賊団をセンゴク達が見逃すことです。シャボンディ諸島から九蛇の海賊船が出航して一時間後にベルゼリスがボルサリーノを無事に返す代わりに他の九蛇海賊団を見逃せと要求し、それにセンゴクが応じました。

 

  そして九蛇海賊団が出航する直前に冥王シルバーズ・レイリーとアマゾンリリー先々代皇帝グロリオーサが現れて二人が覇王色の覇気でセンゴク以外の海兵を気絶させました。

 

  九蛇側に援軍が来たためベルゼリスは先の交渉の結果を破棄にしそのまま三人でセンゴクを生け捕りにしました。

 

  生け捕りにしたセンゴクとボルサリーノを返す代わりにグレイスを七武海にし、天竜人殺害の容疑を以前九蛇海賊団から船員を誘拐した幻を作り出す人攫いの男に擦り付けてほしい、これが先ほど私が聞いたことの顛末とベルゼリスの要求です』

 

 『………』

 

 ……なんて無茶苦茶な事をしているんだ九蛇海賊団は。

 それにレイリーとグロリオーサが九蛇についているだと?

 

 ……まずいな……グロリオーサはともかくレイリーが居るのは非常にまずい。

 交渉決裂はレイリーとの敵対が確実となりセンゴクとボルサリーノは死ぬ、か。

 

 これでは可能な限り我々世界政府は九蛇の要求を呑まなければならないではないか。

 七武海に入ってくれるのは正直助かるが何を要求されるやら……

 

 『要求1、まずは九蛇海賊団船長のグレイスを七武海にすること。これは問題ないな?』

 「うむ。それについては構わん。……しかし、以前から伝書バットで七武海の勧誘をしていたはずだが……なぜその時に返答をしなかったのだ?返事がいつまで待っても帰ってこないため数回ほど伝書バットを多く送ったのだぞ。それともそちらに届いていなかったのか?」

 『……届いては居た……グレイスが一度読んだが返事を書かずに伝書バットと手紙を切り捨て、それ以降に来た伝書バットもすべて切り捨てていた……』

 

 それはまずいのではないのか?

 

 「……さすがに加盟する意思の無い者を七武海に入れることはできんぞ。その辺りはどうなっているんだ?」

 『グレイスはセンゴクとの戦闘から未だ目覚めていない。目覚めた後に私とグロリオーサで説得する予定だ、もしグレイスが七武海に加盟しないと言ったらグレイスの代わりに私が七武海に入る予定だ。……それでも大丈夫か?』

 「かまわん。……いや、我々としてはグレイスよりもお前が七武海に入るほうがいいのだが、……グレイスを七武海にしなければならない理由でもあるのか?」

 『私の年齢は八歳だぞ。こんなガキが七武海になればいらん面倒が増える。できればグレイスにしてくれ』

 「……何?」

 

 今8歳と言ったのか?

 

 「お前は生まれて八年しか生きていないのか?……その年でボルサリーノに勝ったと言うのか?」

 『そうだと言っている』

 

 ……ありえんだろう。なんてデタラメな子供だ。

 ……こんな子供のいる九蛇海賊団とは絶対に敵対できんな。

 それに頭も回る。クロコダイルと同じタイプだな。

 なんて厄介な子供だ。

 

 『要求2、今後九蛇海賊団船長は七武海を兼任すること。……要するに九蛇海賊団の船長、つまりアマゾンリリーの皇帝は今後必ず七武海になると言うことだ。これは世界政府としてもいい話だろ?七武海と言う三大勢力の一角にこれからも九蛇の席があるだけで僅かだが三大勢力の均衡が安定する。これも文句はないな?』

 

 ふむ。これに対しても文句はないな。

 お互いにメリットがあるためこの要求も構わない。

 

 『要求3、天竜人殺害事件の容疑をシャボンディ諸島にいる人攫いフライハイトに擦り付けること。今言った男はマボマボの実の幻惑人間だ。こいつの能力でシャボンディ諸島の住人、及び海軍は九蛇海賊団がヒューマンショップを襲って天竜人を殺害したと誤認した、と言うことにしてくれ』

 「それも構わない。事実をありのまま世間に伝えたら政府の信用に関わる。その人攫いには全ての罪を被ってもらおう」

 

 記者に圧力をかけこちらの指示通りの記事を書かせよう。

 その男を差し出せば鬱陶しい天竜人も少しは怒りを鎮めるだろう。

 

 『要求4、六式使いの教官を一人女ヶ島に派遣してくれ』

 「……何? 六式を九蛇の戦士に覚えさせるのか?」

 『ああ。あれは便利そうだ。少しは他の九蛇達も強くなってもらわねば私が困るんだよ。それにこれからは敵ではないんだ。九蛇海賊団が強くなっても別にいいだろう?』

 

 別に海軍や世界政府だけの秘術ではないしこれも問題ない。

 ……というか白ひげや赤髪の船にも技の原理が流出しているので今更だ。

 

 『要求5、攫われて天竜人の奴隷となった九蛇の同胞、ユーリンの解放だ』

 「……無理だ。我々五老星の権力は天竜人より下だ。我々が何を言っても天竜人が開放するとは思えん。悪いがこの件に関しては何と言われようと頷くことはできない」

 『バレずに連れてくることはできんのか?例えばユーリンそっくりに整形した替え玉を用意して本物のユーリンとすり替える、とか」

 「リスクが高すぎる。天竜人には直属の諜報機関が居るのだ。その者たちをを潜り抜ける事は至難の業。バレたら我々も五老星と言う地位を失ってしまう。センゴクやボルサリーノが人質になっていようが絶対に無理なことだ。諦めろ」

 『……分かった』

 

 ……思ったよりごねなかったな。今更だがこのベルゼリスという少女への警戒を引き上げよう。

 

 『要求6、私、ベルゼリスを賞金首にするな。それと私に関する情報を世間に広めるな』

 「徹底してるな。他の海賊であれば懸賞金が付くのは喜ぶべきことなんだが……」

 『まだこの時点では自分の情報を晒したくないんだ。別に構わんだろ?』

 「……いいだろう。次の要求はなんだ?」

 

 こいつ後幾つ要求するつもりだ?

 さすがに多すぎやしないか?

 

 『要求7、冥王シルバーズ・レイリーとグロリオーサの事も今回の事件での記事には載せないでくれ』

 「……載せられるわけないだろう。いらん混乱を招くだけだ」

 特に冥王はな。最初から関わってなかった事にしてコングとセンゴクに口止めして冥王については終わりだ。

 

 『要求8、……九蛇の戦士は実力主義で強い者に憧れ、心惹かれるのは知っているな?』

 「うん? ……ああ、政府が集めた九蛇に関する資料を読んだことがあるため、九蛇に関してはそれなりに知っている。無論今お前が言ったこともな。……で、それがどうしたのだ?」

 

 『……九蛇海賊団の戦士たちがな……グレイスを倒したセンゴクとの……子供がほしいそうだ……』

 『………』

 『ふっざけるなァ!! 認められるわけないだろうそんな条件! 取り消せェ!!!』

 

 電伝虫の向こうからセンゴクの声が響いてくる。

 まあ無理もない。九蛇の種馬はさすがに嫌だろう。私だって嫌だ。

 

 『なんでそんな要求をするのだ!? 私は今60歳の爺だぞ!? 絶対に無理だ!! 死んでしまう!!』

 『いや、な。女ヶ島には女しかいないから島の外で子供を作らねばならないんだ。普段は襲った船の捕虜とシテいるそうだがやはり強い男がいいらしくてな……その点でいえばお前は文句ナシだろう。一騎打ちでグレイスに勝ったんだからな。……休みはちゃんと取らせる、なるべく容姿の良い女だけにする、それなら別にいいだろう?』

 『良いわけあるかァ!!! 人質を何だと思っているんだ!? コング元帥!! 五老星!! 助けてください!!』

 

 ………………

 

 『センゴク……先ほどお前は任務失敗の件で私に謝ったよな?』

 『え? ……まあ、レイリーとグロリオーサが出てきたとはいえ、任務にアクシデントは付き物ですので……謝りましたが……コング元帥?……それが何か?』

 『……謝ったということは自分に責任があると思っているんだな? ならば責任の所在はお前にあると言うことだ。……だからお前は……その……責任を取って子作りするべきではないのか?』

 『んなわけあるかァ!!! 部下に海賊と子作りを勧めるなんて元帥としておかしいと思わんのか糞ジジイ!!! レイリー!!! 貴様も笑うなァ!! 他人事だと思いやがって!! ぶっ殺されたいのか貴様ら!!?』

 

 ……ふむ。センゴクと九蛇の戦士との子供か……

 ……使えるかもしれんな……

 

 「センゴク」

 『……ハイ……』

 

 「ヤレ」

 

 『……イヤです』

 「命令だ。そして九蛇の女を口説き落とせ。お前と九蛇との子供なら強くなりそうだからな。何人か娶って子供を作ってマリンフォードに連れてこい」

 『ちょっと待て、生まれた子供は全て次世代の九蛇の戦士になるんだぞ。ただでさえアマゾンリリーの人口を増やすためにこんな要求をしているんだ。そちらに渡すつもりはない』

 「だめだ。センゴクを種馬にするのなら生まれた子供の半分は渡してもらおう」

 『こいつは人質だと言うことを忘れてないか?調子に乗るな』

 「調子に乗っているのは貴様だベルゼリス。確かに政府が不利なのは認めよう。しかし、お前の出した条件を政府が呑まなければお前達も困るのだぞ。これからは敵同士ではないと言ったのは貴様じゃないか。最低でも子供の3割は政府側が頂く」

 『それでも多すぎる。1割にしろ』

 「少なすぎる2.5割」

 『なら2割だ。これ以上は負けんぞ』

 「ふむ……まあ2割でいいか」

 『良い訳あるかァ!! ナニを値切ってんだ貴様らは!? 私はヤルとは言ってないぞ!! 絶対嫌だ!!』

 「…………生意気な口をきくなセンゴク」

 「お前の〇〇〇(ピー)など取るに足らん!」

 「お前たち海軍は我々世界政府の部下」

 「この件はベルゼリスとの交渉で既に決まったのだ」

 『ふざけるな老いぼれ共!!』

 「口を慎めセンゴク!! お前が人質になったからこんな事になっているのだろう!? 命令だと言ったのが分からんのか!?」

 『そ、そんな!? ………う、うううぅぅぅぅ……』

 

 何を唸っておるのだこいつは?自分のミスの尻拭いをするだけだろうに……

 

 『では、以上で私からの要求は終わりだ。すぐにでもニュース・クーで天竜人の件、七武海の件を載せてくれ。……それと念のためにセンゴクとボルサリーノを返すのは一ヵ月後だ。……この意味が分かるな?』

 「子作りと……世間に広く情報を浸透させるためだな?」

 『ああ、その通りだ』

 

 つくづく厄介なガキだなベルゼリスは。

 これでは都合が悪くなったとしても時間が経ちすぎるため後から誤報扱いにすることができなくなった。

 

 『ではな、いい取引だったよ』

 「こちらにもメリットがあったからだ。ではな」

 

 ガチャ

 

 「終わってみればいい取引だったな」

 「ああ、だが今からやることは山積みだぞ」

 「まずは報道と例の人攫いの捕獲だな。海軍への説明はコングがやるだろう」

 「天竜人への説明を忘れてはないか? あまり後回しにすると面倒になるぞ」

 「概ね状況は良くなったな、……センゴク以外は……」

 

 何、海賊王や白ひげとも渡り合った男だ。センゴクなら大丈夫だろう。 

 

 

 




次回予告!














センゴク「んほぉ」
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