女ヶ島の念能力者   作:C3PO

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第12話

 『前代未聞の大事件!! シャボンディ諸島のオークション会場にて世界貴族二名と各国の富豪達が死亡!犯人はシャボンディ諸島で人身売買を行っている悪魔の実の能力者、幻影のフライハイト』

 

 『フライハイトは事件を起こす一週間前に九蛇海賊団の船から船員を一名誘拐し、シャボンディ諸島で貴族に売り飛ばした模様』

 

 『そしてわざと自分と誘拐した九蛇の船員の情報を九蛇海賊団の船に残し九蛇海賊団をシャボンディ諸島に誘導した』

 

 『九蛇海賊団がシャボンディ諸島に着いたのを確認したフライハイトは自分が食べた悪魔の実、マボマボの実で九蛇海賊団を模した幻影を作り出し、世界貴族の居るオークション会場を襲撃』

 

 『そして世界貴族を殺害した容疑を九蛇海賊団に擦り付け海軍と九蛇海賊団を殺し合わせたのだ』

 

 『しかし、九蛇海賊団船長グレイスと海軍本部大将センゴクは一騎打ちの中お互いの話が嚙み合わないことに気づく』

 

 『九蛇海賊団船長グレイスと大将センゴクの一騎打ちはセンゴク大将の勝利で終わった』

 

 『そしてセンゴク大将は戦闘の途中で世界貴族殺害の犯人は別に居ると判断し、犯人の捜索を開始した』

 

 『その後世界政府の専属の情報屋が犯人の特定に成功』

 

 『犯人であるフライハイトは海軍本部中将クザンが捕縛し、殺害された世界貴族の遺族の元に送られた』

 

 『一騎打ちに敗れた九蛇海賊団船長のグレイスは大将センゴクから七武海への加盟を勧められる』

 

 『グレイスは七武海加盟を承諾し、強者に敬意を払うと云う九蛇の風習と敵対していた自分が世界貴族の殺害事件に関わっていないと言う言葉を信じて真犯人の捜索と特定をした大将センゴクや世界政府に恩義を感じ、大将センゴクを女ヶ島で持て成すと大将センゴクと五老星に伝える』

 

 『大将センゴクと五老星は今後の三大勢力との関係の強化に繋がる為それを承諾した』

 

 『大将センゴクは、「黒幕であるフライハイトに騙されて世界貴族を始め富豪や民衆、海兵にも少なくない犠牲を出してしまった。今後は七武海に加盟した九蛇海賊団と協力関係を築き民衆の平和を守るため一層精進する所存です」との発言をしている』

 

  ニュース・クーより

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレイスを物理的に説得し、コング元帥と五老星にグレイスの加盟を伝えた次の日。

 

 九蛇の船からニュース・クーが飛んでいるのを発見し、500ベリー硬貨を取り出すと空に向かって掲げる。

 ベルゼリスの持っている硬貨を発見したニュース・クーは九蛇の船まで降りて来て硬貨を器用に咥え、首に提げているポーチに硬貨を入れると新聞をベルゼリスに差し出し空へ羽ばたいて行く。

 

 九蛇と言う例外を除き凪の帯には新聞を読む人が居ないためニュース・クーは凪の帯には来ない。

 そのため九蛇の者は世間の情報に疎い。

 

 今回の事件で五老星と交渉した際に実際の情報を改竄してニュース・クーに載せろと言ったのでその確認のためベルゼリスはニュース・クーから新聞を買った。

 

 新聞は約束通りに事実を捻じ曲げフライハイトに九蛇達の罪を押し付けている。

 実際に戦った海兵たちは誤魔化せないだろうがそれ以外の民衆達ならば多分大丈夫だろう。

 

 この世界では世界政府にとって都合の悪い情報の改竄をすることは多いのでニュース・クーに載っている情報を鵜吞みにするのは政府の後ろ暗いところを知らない民衆くらいだ。

 

 新世界にいる四皇達ならば彼ら独自の情報網があるため今回九蛇がやらかした事件の詳細を確実に知っているだろう。

 

 情報操作と七武海加盟によって海軍とは揉めずに済むが四皇達からはいずれ何かしらの接触があるのは間違いない。

 

 特にカイドウとビッグ・マムには気を付けねばならない。

 二人ともこの世界で最上位の実力者であり性格も最上位の気狂いだ。

 

 カイドウには破滅願望がありドフラミンゴとは別の意味でこの世界を本気で壊そうとしている。

 自尊心がとても高くルフィとローに対して油断しないように忠告した部下を金棒で海まで殴り飛ばし怒りをあらわにした男だ。

 また、幹部のジャックもカイドウ同様話が全く通じず、自分で破壊が好きと言うほど頭がおかしいのだ。

 

 対してビッグ・マムはカイドウと比べるとまだマシだが何の前触れもなく食い煩いと言う急に食べたくなったお菓子を食べるまで暴れ続けるという面倒くさい持病を持ち、平気で息子を殺す婆だ。

 しかし、カイドウの部下のジャックと違って部下であるカタクリ、クラッカー、モンドールなどはビッグ・マムと違い性格も人格もまともである。

 最初に決めた条件を守るのならば自分の旗を貸すためジンベエは魚人島を守るためビッグ・マムの傘下に入っていたが本心では嫌々入っていたようだ。

 

 カイドウの百獣海賊団は何をしでかすか分からないためいきなり九蛇を襲いに来ることもあり得る。

 

 ビッグ・マム海賊団の目的は、ビッグ・マムの夢である「世界中のあらゆる人種が家族となり同じ目線で食卓を囲むこと」なので、もしかしたら九蛇と言う人種を求めて女ヶ島に来るかもしれない。

 

 ……四皇の事を考えると気が滅入る為考えるのはここまでにしておこう。

 

 そう決めたベルゼリスはニュース・クーから買った新聞をもってセンゴクとボルサリーノがいる部屋に向かう。

 今はセンゴクは休憩中のためベルゼリスが聞きたいことを聞けるだろう。

 無論海軍の機密などは答えることはできないだろうが。

 途中ベルゼリスは気まぐれに食堂から酒瓶を数本と適当なつまみも持ってセンゴク達が居る部屋に歩いていく。

 

 

 

 部屋を開け中に入るとボルサリーノは暇そうに寝転がりあくびをしている。

 

 対してセンゴクは死んだ鯖のような目で虚空を見つめ薄く微笑んでいる。

 

 ……ハッキリ言ってものすごくセンゴクが不気味だ。

 あまりやりすぎると再起不能になるかもしれないので仲間達には程々にと忠告しているがもっとキツく言ったほうがよかったかもしれない。

 

 「……センゴク……大丈夫か?」

 「…………」

 

 あっ、これやばいやつだ。

 

 「……何かセンゴクさん何も反応しなくなっちゃったよォ~……これどうするのォ~?」

 「……取り合えず酒とつまみを持ってきた……やるよ」

 

 酒とつまみをボルサリーノに渡すとすごく喜んで食べ始めた。

 

 暫くボルサリーノが一人で酒とつまみを食べているのを眺めているとセンゴクが復活したようだ。

 

 「ボルサリーノ……私にもくれ。……飲まねばこんな生活やってられん」

 「おおォ~……センゴクさん元に戻ったねェ~」

 「センゴク……大丈夫なのか?」

 「何とかな……その手に持っているのは新聞か?見せてくれ」

 

 手に持っていた新聞を渡すとセンゴクは読み始める。

 酒を飲みながら読み進めていくうちにセンゴクの表情が険しくなってきた。

 そして読み終わったのかセンゴクは新聞をボルサリーノに渡し大きくため息をついた。

 

 「もみ消しや情報操作は今まで何度もあったが……自分がされるのはいい気分じゃないな……」

 「仕方ないですよォ~……あったことをそのまま載せたらわっしらの面目丸つぶれですよォ~」

 「天竜人からも喧しいクレームが来るからな。……癪だがこうなるのが一番いいんだろう」

 

 天竜人が二名殺されて海軍は犯人を捕まえることができませんでした。

 怒り狂うこと間違いなしである。

 だったら情報操作して生贄を一人差し出したほうが海軍や世界政府としては都合がいい。

 

 「センゴク……ちょっと聞きたいことがある」

 「……何だ?」

 

 突然ベルゼリスから話しかけられ疑問を浮かべるセンゴク。

 

 「七武海、もしくはその部下が賞金首を換金することはできるか?」

 「それはできるが……七武海は収穫の何割かを政府に納めなければならないため賞金首を生け捕りにしても全額渡すことはできんぞ。換金する際に二割か三割少ない額になる。死体なら首の値の半額くらいだろうな。安くなるから七武海で賞金稼ぎをするものはあまりいない。……お前賞金稼ぎになるのか?」

 「九蛇の皇帝にならなかったらな。……今すぐ賞金稼ぎにはならんよ。後四、五年先の話だ」

 「そうか……やるならシャボンディ諸島でやってくれ。海賊は魚人島経由ではないと新世界には行けんからな。コーティング待ちの海賊が狙い目だぞ。必ず2、三日はコーティングの時間がかかるため諸島に滞在せねばならん。それにあそこは偉大なる航路の半分を乗り越えてきた猛者たちが集まる諸島だ。成長する前に潰して置くのが我々としては都合がいい」

 

 ベルゼリスもシャボンディ諸島で賞金稼ぎをする予定だったためセンゴクの提案に頷く。

 

 「なるべく天竜人とは関わらないようにするよ。……碌なことにならんしな」

 「そうしてくれ……私も九蛇と戦うのはもう御免だ」

 「おォ~シャボンディ諸島の人攫いには気を付けなよォ~……君の強さなら大丈夫だと思うけど君の容姿なら絶対に狙ってくるからねェ~」

 「それから賞金稼ぎにもだ。お前が賞金稼ぎになるのなら他の賞金稼ぎの収入が確実に減るだろうからな。……商売敵を恨んで襲撃を掛けるなんてよくある話だ。飲食店やホテルにも気を付けろよ……ヒューマンショップとグルになっている店もあるくらいだ。食事や飲み物に一服盛られて気が付いたら人身売買されてました、なんてシャレにならんからな」

 「……そうか。忠告感謝するよ」

 

 酒やつまみを持ってきたからか、ベルゼリスの為になる忠告をするセンゴク達。

 打算的な部分もあるだろうが知らなかったら本当に困っていたかもしれない話を聞けたため素直に感謝する。

 

 「……昨日言い忘れていたことがあるんだが……幾つか頼んでもいいか?」

 「ん? ……何をだ?」

 チーズを頬張りながら聞き返すセンゴク。

 

 「悪魔の実の図鑑とメロメロの実が欲しいんだ。姉に食わせたい」

 「図鑑なら別に構わんが……実の方は無理だ。……悪魔の実はなるべく将来有望な海兵に食わせるのが海軍の方針だ。それは世界政府の諜報機関でも同じだからな。海軍と政府で実の取り合いが起こることもある。六式など修業したら誰でも手に入る力と違い悪魔の実の力は想像を絶する物もあるからな……自分で手に入れるしかないと思うぞ」

 「………」

 

 センゴクの話を聞いて内心で項垂れるベルゼリス。

 何れ七武海になるであろう我が姉ハンコックには原作通りメロメロの実を食べさせてやりたいのだ。

 別になくても問題ないかもしれないがあったほうが国民の求心力はハンコックに集まるだろう。

 そう考えるとあったほうが便利だ。

 

 まあ、ソニアとマリーは食べなくてもいいかと思うが……

 

 「一応言っとくけどねェ~……悪魔の実を二つ食べたら死ぬよォ~……体が跡形もなく飛び散るんだってェ~……それと明らかにハズレの悪魔の実もあるから気を付けてねェ~」

 「……どんな実がハズレの実か教えてくれ」

 「わっしが知ってるのはトリトリの実モデルペンギンとムシムシの実モデル蝸牛(エスカルゴ)だねェ~……飛べない鳥とそれほど頑丈じゃない蝸牛の殻が付いても役に立たないでしょォ~」

 「トリトリの実モデル(チキン)もだ。あれは惨すぎる実だった……それからムシムシの実モデル水黽(アメンボ)やムシムシの実モデル(モスキート)などがある。……ムシムシの実は蜂やカブト虫、蟷螂を除いてハズレばかりだと覚えておけ」

 「……図鑑に載ってない実は家族には食べさせないようにするよ」

 

 ……冗談抜きでシャレにならん。特に鶏。

 

 

 


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