GOD EATER~神々の黄昏~ 作:ヤトガミ・レイナ・マリー・エクセリア
「なあ、アリサって確か今日、復帰するんだよな?」
「そうだな」
あの日から2週間したころ、第一部隊のユウとコウタはロビーで待機していた
今日は一通りの検査を終えたアリサが復帰することになっていた
「……アリサ、大丈夫かな」
「どうだろうな……」
問題は幾つもあり、その一つが第一部隊隊長で極東支部の顔とも言われているリンドウをアラガミと一緒に閉じ込めてしまったこと
二つ目はロシアから転属してきてからあの事件までアリサが周りを見下していた態度を取っていたことだった
「……っと、来たか」
噂をすれば、とはよくいったものだった、エレベーターからロビーにアリサが降りてきた
「……本日より、原隊復帰となりました。また宜しくお願い致します」
アリサが目線を下げながら言う。最初とは大違いにコウタとユウは少しだけ驚いていた
「…実戦にはいつ復帰するの?」
「それは……まだ分かりません………」
「そうなんだ………」
以前とまるで違うアリサに少し戸惑う、ユウとコウタ
「……焦らずに頑張ればいい、アリサ」
「……はい」
ユウはアリサに優しく声を掛けた
「おいおい、聞いたか? 例の新型の片割れ、やっと復帰するみたいだぜ?」
「………!」
突然下から声が聞こえ、アリサがビクリと反応する
「ああ。リンドウさんを、新種のヴァジュラと一緒に閉じ込めた奴だろ」
「ところが、あんなに威張り散らしてたくせに結局戦えなくなったんだってさ」
「ハハハ!結局口ばっかりじゃねぇか!」
何も言えないままアリサが俯いてしまう
「貴方たちも笑えばいいじゃないですか」
「俺達は笑わないよ……いや、笑えないよ」
「そうだよ、アリサ。それに……そろそろ来ると思うよ」
「来るって…」
ユウとコウタはなぜか冷や汗をかきつつアリサにそう言っていると、ロビー内が急に寒くなる
「人のことを笑ってる暇があるなら訓練か任務でもやろうとは思わないのか?」
外部と繋がるエレベーターから少年少女3人が降りてきて、少女二人……ナナとアナスターシャの前に立つヤマトが低い声でそう言うと、アリサのことを噂してきた二人は、ヤマトを軽く睨む
「ヤマトさん、任務お疲れさまでした。凄いですよ!接触禁忌種計20体を3人で討伐してしまうなんて!!」
「「はぁ!!??」」
オペレーターであり、任務などの受付嬢でもあるヒバリがヤマトに声を掛け、任務を終えてきた3人を絶賛すると、アリサのことを笑っていた二人組は目を丸くして口を半開きにしていた
「最近はあまり禁種を狩ってなかったからいい運動になった。暫くはここら一帯のアラガミの活動は抑えられる。だが、黒いヴァジュラは見つからなかったから、ヴァジュラ神属の活動には注意するように調査班に言っておいてくれ」
「はい、承りました。お疲れさまでした」
ヒバリにそう報告するとヤマトはナナとアナスターシャを連れてアリサ達に向かって歩き出した
「復帰おめでとう、アリサ」
「お姉ちゃんおめでと!」
「おめでとう、アリサ!!」
「はい……ありがとうございます」
ヤマト達3人はアリサに声を掛けるとアリサは余り元気がなかった
「そ、そうだ!ヤマトさん達が禁種を討伐していたって!」
「ん?あぁ、ハガンコンゴウにスサノオ、テスカトポリカ、セクメト、アイテール、ラーヴァナ、ウロヴォロスを片っ端から狩ってきた。禁種を狩っていけば黒いヴァジュラに会えると思ったんだがな。尻尾はつかめなかった」
「そ、そう!黒いヴァジュラ、欧州でも目撃されたって!ここに来て新種の目撃例が増えてて何かの予兆なんじゃないかって……」
コウタが黒いヴァジュラに関して話し出すと、アリサの顔色がどんどん悪くなっていった
「……スマン、後は頼んだ」
コウタはユウにそれだけ言うと逃げるようにロビーから出て行ってしまった
「あの……私に戦い方を教えてほしいんです!もう、あんなことが無いように強くなりたいんです!!」
ユウとヤマト達にそう言ってきたアリサの瞳に強い意志が感じられた
その意志を感じ取ったヤマトは口元を緩ませ右手を前に差し出す
「俺が教えられることなら教えてやる。ユウ、お前はどうする?」
「僕もお願いします」
ついて行くことを決めたユウの瞳にも強い意志をヤマトは感じ取った
「わかった、だが、俺達も禁種討伐明けで疲れてるから明日からで構わないな?ツバキさんにも許可は取っておかないと行けないからな」
「分かりました」
「了解しました」
ヤマトがそう言うとアリサもユウもうなずき、その場で解散することになった
~翌日~
「おはようリッカ、あれはできてるか?」
「おはよう、ヤマト!もちろん準備はできてるよ」
翌朝、ヤマトはタンクトップにオーバーオールをはいた、リッカと呼ぶ女性に会いに来ていた
楠リッカ、神機の整備士兼神機の開発などを技術主任のペイラー・榊から任されていて、技出者としてアナグラにいた頃のヤマトを知る人物でもあった
リッカがハッチを開けるとそこには一台のトレーラー置かれていた
「注文されていたヤマトが使っていた車を応用して造った対アラガミ装甲車だよ。サバイバルミッションや遠征でも使えるように荷台は寝床として利用できるようにして、シャワーを常備、神機のメンテナンスやコアの保管もできるようになってる。最大6人までなら余裕を持って生活できるようにしてある。ガソリンはクアドリガをベースに実験的な自己精製システムを組んであるけど、あんまり作れないから気を付けて、電気はバッテリーとヤマト考案の太陽光での発電、風の力を用いた風力発電を実験として積んであるよ」
「ガーデンクローシュは?」
「本体はある程度作れるけど、土がまだまだ研究段階だから三つはしか積んでないよ」
「ガーデンクローシュは俺がほぼ完成させていたが、太陽光発電と風力発電はよく形になったな?」
ガーデンクローシュ、ヤマト考案の野菜の栽培専用機械だ
元はヤマトが極東支部の研究員の頃に主に扱っていた研究テーマが「食」に関してであり、その中でも力を入れていたのが「昔の野菜を再現し安定供給できるように」だったのだ
ガーデンクローシュもその中で作り出された機械で種と土、水を用意してあれば半自動で野菜を作り続けてくれる
だが、ガーデンクローシュにも欠点があり、まず種が問題になる
昔の野菜などの種などあるわけも無く、ヤマトが駆けずり回り、ノルンのデータを血眼になって閲覧して野菜の再現が出来上がった
次の問題は野菜で、種は再現できたが思い通りにいかず、美味しい野菜になるのに数千回の試行錯誤が行われた
土……土壌が最大の問題であり、ガーデンクローシュが利用されていない理由でもあった
土はアラガミによって踏み潰され、環境の変化により土に眠る栄養は無くなり、汚水により汚染されるなど野菜などを育てるには全くもって適さなかった
そのためヤマトは研究に研究を重ねて土壌を作り上げた……だが、この土壌も数回の収穫で栄養を全て使い切ってしまい、野菜の安定供給はめどが立っていなかった
「太陽光発電と風力発電は昔からあったみたいだからね、それを再現しただけだよ。このトレーラーは研究段階の物を詰め込んで実験するおもちゃ箱だね」
「まあ、基本俺が考案しているからな、俺が被験体になるさ……どうかしたか?」
ヤマトがそう話すとき、リッカは不思議そうにヤマトをみていた
「ヤマト、変わった気がするよ。昔はもう少しかわいげあったのにね」
「いろいろ背負う物を背負ったからかな」
「そっ、でも無茶はしないでね。ヤマトは親友で師匠でもあるんだから」
「安心しろ、俺はそう簡単に死なないさ」
ヤマトはリッカにそう言うとトレーラーを動かして行ってしまった
続く