授業が終わり、ホームルーム。
その時の俺の足の指の方向は、教室の扉の方向を向いていた。
担任の教師の恒例とも言える少々長い小言が終わり、帰りの挨拶が済んだ。
「よし、菫子さん捜索」
早く帰りたいのは山々である。
ただ、パチュリーさんのお願いであり命令は、俺の欲求よりもずっと大きい、最優先事項なのだ。
菫子さんの高校、東深見高校というのはこの辺りで聞いたことがない高校である。
「とりあえず東深見高校のことを聞いていった方がいいか」
東方の設定であれば、菫子さんは自分から他人が近づけないようにしている。
それであれば、何も知らない生徒に聞いても絶対に分からないだろう。
まず、今日の朝にちょっかいをかけてきた友達に聞くとするか。
「なあ、お前って東深見高校って知ってるか?」
「ん? 東深見だったら知ってるぞ。確か隣の市の更に隣の市だったはず」
まさかの知っていた。
隣の隣の市。今から行ったとしても、帰れるのは日が暮れてからだろう。
そうなっては、パチュリーさんの可愛いところを見る時間が減るもといパチュリーさんを不安にさせてしまう。
仕方ない。今日はその情報だけで満足するか。
「なんで、そんなこと聞くんだ?」
俺がそのことをわざわざ聞くことに、疑問を抱いたらしい。
こうなった時のこいつの絡みは面倒だ。
「もしかして、朝に落ち込んでいた理由か? 振られた女のいる場所か?」
「違えよ。何考えてんだ」
このような絡みがあるから、こいつにはあまり聞きたくなかった。
ただ、俺の交友関係がかなり狭いことも事実。
早く別の友人も作らないといけないと思う瞬間だった。
「なあ〜教えろよ〜」
「うるせえ黙れ、もうお前は用済みだ」
「ひっど!? お前、俺のことどう思ってんの?!」
「絡みのウザいクラスメイトA」
「見事に言い得てやがる……」
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「パチュリーさん、ただいま帰りましたー」
「あら、少し遅かったわね」
時間を見ると、5時30分を過ぎたところだった。
夕飯の支度をするため、買い物もしていたのだ。
ふと見ると、パチュリーさんの表情はどこか満足げだ。
何かあったのだろうか。
そう思いながら、台所を覗くと、かなり綺麗になっていた。
洗い物に失敗したとは思えない。
「頑張ったでしょ」
ドヤ顔のようにも見えるその表情はとても撫でたくなるようなものだった。
褒めて、と言っているのだろうか?
「すごいですね。本当に失敗したのですか?」
「ええ、なんとかなったわ」
パチュリーさんは2回目で慣れることが多いのだろうか。
今度、料理を教えることにしよう。
多分、吸収と理解は早いだろう。あと今のうちに、パソコンの扱い方も。
「パチュリーさん、パソコンの使い方を教えますね」
「!!」
パチュリーさんは目を輝かせた。
未知のものに対する興味はあるようだ。
壊されないようにするか。