「んむう?」
目を覚ますと、見慣れない天井が見えた。
紅魔館の中ではない。
起き上がろうとするも、身体の節々が痛い。いつものベッドでもないらしい。
なら、ここはどこなのだろうか。
「あ、無事に起きたんですね」
その疑問を氷解させることの出来る者なのだろう。
しかし、寝顔を知らない男に見られていたという事実が私の冷静な判断を鈍らせていた。
とりあえず、叫ぶ。
「イヤァアァァァ!」
_______________
「落ち着きましたか?」
「え、ええ」
落ち着いてなどいない。
こんな見ず知らずの男に寝顔を見られていたのだ。
今いる場所に関しては、ある程度推測が立つ。
見たことのない機械や、私でさえ聞いたことのない本のタイトルがこの場所の一部に集約されている。
おそらく、ここは幻想郷の外。
そう私は推測した。
「ええっと、ノーレッジさんはどうしてこんなところにいらっしゃるんですか?」
「私が聞きたいわよ。昨日の夜に滅多に襲われない睡魔に襲われて眠って、気がついたらここよ」
嘘などついていない。
というよりかは、この人間が私の、幻想郷のことを理解出来るかどうかが解らない。十中八九理解出来ないだろう。
「捨虫の術を身につけているのに、ですか」
「え?」
なぜ魔法使いではない彼が捨虫の術を知っているのだろうか。
「ノーレッジさんは紅茶がいいですよね?」
「何故、そんなことまで?」
「あ、いやその……」
彼は言い淀んだ。私が紅茶しかあまり飲まないのは、この人間に言っていない。
なぜ、それを知っているのか。
その時にはすでに、私の知識欲がそちらへと向かった。
「うーん、なんと言えばいいんでしょうか。こちらの世界には、貴女方をモデルとしたゲームがあるんです。
そのせいでノーレッジさんや貴女の親友のレミリア・スカーレットさん、その妹君であるフランドール・スカーレット嬢も知っています」
「そこまで……」
とりあえず、私はこの外の世界について考えるのをやめた。
私たちは幻想郷という結界の中にいたはずなのに、訳が解らない。
_______________
パチュリーさんに東方projectについて、話すのはなかなか難しい。
だって原作キャラだもんね。仕方ないね。
「紅茶は……別にいいわ。紅茶じゃなくてこちらの方での名産物とかないかしら」
こちらの世界の名産物?
そんな物はない。それを言うならば幻想郷の方が名産物がある気がする。
そんなことを考えながらも、必死に幻想郷に無くて、現実にある物を探す。
そしてそろそろ、頭がパンクしそうになった時、パチュリーさんは俺の後ろにある物体を指差した。
「あれは何かしら」
パチュリーさんの細い指が指した場所には、ノートパソコンがあった。
「気になるのだけれども」
「あ、それでは見てみます?」
「ええ、お願い」