フレームアームズ・ガール エブリ・デイズ   作:羽羊紅葉

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皆さん、お久しぶりです?


フレームアームズ・ガールのメンテの日

轟雷とアーキテクトが戦って数日後

それからも毎日のようにフレームアームズ・ガール同士で対戦を繰り返していた。

場所はいつもサークルで使っている教室、遅くなれば紅狼(くろう)の借りている部屋で行われた。

そして双葉(ふたば)東馬(とうま)もサークルに入ってくれた。

そんなある日、教室で談笑している面子に向かって、

「皆、今度の休日は暇?」

と鷲翔が問い掛けてきた。

全員が不思議そうな表情を浮かべていると、

「ちょっと別の町のプラモ店に行くつもりなんだけど、一緒にどうだい?」

そう言ってきた。

紅狼(くろう)戦勝(せんしょう)右烏(ゆう)を共に双葉(ふたば)東馬(とうま)を見た。

と言うのも、実は轟雷・スティレット・バーゼラルドの三機は未だにアーキテクトやマテリア姉妹を自力で倒せていないのだ。

以前は力試しの一面の方が強かったらしく、手を抜いていたらしいのだ。

実際本気になったアーキテクト・マテリア姉妹相手によくて七割を削れるようになった程度。

鷲翔から武器を借りてようやく互角と言ったところである。

「そのプラモ店には、武器は売ってるのか?」

「ウェポンユニットの事?もちろんあるよ」

それを聞き、それなら行こうかなと紅狼(くろう)が思った時、ポケットにしまっていたスマホが鳴った。

よく見れば、鷲翔以外の全員にメールが入っていた。

内容は単純で、

「フレームアームズ・ガールのメンテナンスをしたいので、下記の場所まで来て欲しい」

と言うものだ。

その日は丁度、鷲翔の言っていた日にちだった。

「……すまん、たった今用事ができた」

全員がそう言うと、鷲翔が「別に構わないよ」と返してくれた。

 

それからさらに数日後

フレームアームズ・ガールを持っている面子は、鞄やリュックに彼女たちを入れて、駅前に集まった。

戦勝(せんしょう)東馬(とうま)はバイクの免許を持っているので、それで行くのも手だったのだが、

「どうせなら全員で一緒に行こう」

と言うことで、電車で行くようになったのだ。

ちなみに鷲翔とは連絡がつかなかった。

おそらく言っていた通り一人で行ってしまったのだろう。

ともあれ行く予定だった面子は全員揃ったので切符を買い、電車に乗り込んだ。

(……よく考えれば、鷲翔にメンテナンスが終わるのを待って貰ってから、一緒に買い物に行けばよかった)

紅狼(くろう)は電車の中で揺られながら、そんな事を考えた。

最も鷲翔が気長に待つことができない人間なので、即答で断られるだろうが……。

そして目的の駅にたどり着き、電車から降りると歩いて指示された場所へ向かった。

「……場所はここでいいハズなんだけど」

その場所はあったのは5階建てほどのビルだった。

但し、その一階と二回はプラモデル販売店となっている。

確かにフレームアームズ・ガールもプラモデルの一つなのだろうが、

『本当にここで合っているのだろうか』

と疑問に思ってしまう。

「本当にここみたいだな」

戦勝(せんしょう)も自分のスマホでメールを確認して、そう言った。

「……それなら誰か案内をしてくれる人がいるハズだけど?」

双葉(ふたば)の一言で、全員が周りを見渡していると、

「あなた達がそうなの?」

と白衣を来た女性に声をかけられた。

「自己紹介がまだだったわね、私は山田よ。よろしくね」

そう言いながら手を差し出した。

その手を握って握手をすると、「私についてきて」と先導してくれた。

山田さんに着いていく形で、店内に入り、

「ここでプラモデル用の商品を売っているのよ」

そう解説しながら、一人の客とすれ違う。

全員がすれ違っていき、紅狼(くろう)達は一旦止まる。

それを見た山田さんは

「どうしたの?」

と訪ねるが、

「あの、ちょっと待ってもらっていいですか」

と訪ね返す。

職員から了承の返事をもらってから、

「「「「「なんでお前がいるんだよ!!」」」」」

すれ違った客、鷲翔に大声でツッコミを入れた。

「うお、ビックリした……。何だ、君らか」

そう言ってどこかへ行きかけ、

「なんでいるの!?」

「こっちが先に訊いたろ!!」

鷲翔の叫びに戦勝(せんしょう)が叫び返す。

「……この前言ったろ?『別の町のプラモ店に行く』って。いつもここの店で買ってるんだ」

「……なるほど」

紅狼(くろう)がそう答える。

「ここで売ってるニッパー、使いやすいから重宝してるんだ。そっちは?」

紅狼(くろう)は「あ~」と言葉を濁す。

こいつは事情を知っているが、ここには他の客もいる。

しかも、さっき叫んだことで、視線がこちらに集まっている。

その状況の中で轟雷達の名前を出すほど、愚かではない。

が、どう説明したものかと考えていると、

「もしかしてアレの事か?」

ポケットからチラッと見えたスマホの画面に「フレームアームズ・ガール?」と書かれていた。

紅狼(くろう)は頷くと、

「分かった、終わったら呼んでね。一緒に帰ろう」

そう言って離れていく。

察しがよすぎるだろう、と全員が思っていると、

「えっと……、彼は知っているの?」

山田さんからそう問いかけられた。

 

「わ~、コレが新製品ですか?」

鷲翔がショーケースにしがみつきながらそう尋ね、「えぇ」と言う返答を貰っていた。

「……どうもすいません」

「いえ、気にしなくてもいいわよ?」

まだ三階のそれも入り口とところで立ち往生してしまっているが、鷲翔も一緒に入れて貰えたのだ。

と言うのも、鷲翔も『フレームアームズ・ガールを知っている』と言う事で色々な人の話を聞くためである。

「へぇ、こんなウェポンユニット見たこと無い……。やっぱり製造元は違うな。それにこのフレームアームズもカッコいいし……」

目がキラキラして早口で喋る鷲翔は誰にも止められない。

もうコレは放っておこう、と全員が心に決めた。

「ここでもフレームアームズ・ガールが動いているんですね」

紅狼(くろう)がそう尋ねた。

そんな事を尋ねた理由は簡単だ。

パッと見て、髪が真っ白なマテリアらしきフレームアームズ・ガールがお盆を持ち上げて、お茶を持ってきたのだから。

どうやら一機では支えられなかったらしいが、六機もいれば流石に驚く。

「この機体達は新しく作られる予定のフレームアームズ・ガール達、その素体の試運転も兼ねてるの」

と山田さんは答える。

確かによく見れば、一機一機の髪型や顔が少し違う。

なるほど等と思っていると、

「じゃあこの娘もその一機?」

鷲翔の言葉に全員がそちらを見る。

そこには青色のショートカットに赤い瞳、紺色のスク水を着たフレームアームズ・ガールがいた。

そのフレームアームズ・ガールは

「あっ……」

そう呟くと、傍にあった紫色の飛行機に跨がり、垂直上昇。

そのまま凄い勢いでフロアの奥に飛んでいってしまった。

「こらっ!!待ちなさい、フレズヴェルク!!」

山田がフレズヴェルクと呼ばれたフレームアームズ・ガールが飛んでいった方向に向かって叫んだ。

ちょうどそれと同じタイミングでその方向から人が来た。

山田と同じく白衣を着ているが、眼鏡をかけていた。

「山田先輩、またですか?」

「今回も未遂よ、全く油断も隙もないんだから」

山田さんはそう言うと、ほら戸田ちゃんも挨拶して、と言う。

すると、戸田ちゃんと呼ばれた女性は頭を下げると、

「初めまして、私は戸田って言います。よろしくね」

「私と戸田ちゃんで、轟雷の担当なのよ」

山田さんがそう説明すると、

「戸田ちゃん、悪いけど……」

「スティレット班とバーゼラルド班に連絡ですよね、分かりました」

そういって受付の方に走っていった。

「ゴメンね、すぐに来ると思うから」

「ごめんなさい、マテリア達は……」

「ワイのアーキテクトもや」

双葉(ふたば)東馬(とうま)がそう声をあげる。

「その三機には担当がいない、と言うか全員が担当なの」

「担当のフレームアームズ・ガールのメンテが終わったら、そっちをしていくわ」

戻ってきた戸田がそう言う。

その傍らには更に四人の女性はいた。

「私は小島、そっちの川島と一緒にスティレットの担当よ」

「私は佐藤。こっちの藤崎と共にバーゼラルドの担当ね」

どうやらスティレットとバーゼラルドの担当だったらしい。

現にその人達を見るなり、スティレットとバーゼラルドはその人達のところへ飛んでいった。

「じゃあ少し待っててもらえる?」

「なるべく早く終わらせるから」

そう言ってそれぞれの研究室へ向かっていった。

紅狼(くろう)も轟雷を山田に預ける。

そして山田は一つのブースへ移動し、

「貴方達も見てみる?」

手招きしながらそう訪ねた。

 

メンテナンスの内容自体は特別大変なものではなかった。

素体の確認、武装の確認等僕らでもできそうな内容だ。

ついで程度に間接部等にグリスをさして貰っていたが……。

「うん、特に問題ないようね」

山田は満足そうにそう言ってくれた。

「武装の方も大丈夫みたいです、先輩」

武装の方を見ていた戸田さんもそう言うと、ケースに戻し始めた。

「何か轟雷が迷惑をかけなかった?」

「いえ、特に……」

そう、迷惑をかけられた記憶はない。

むしろ楽しかった記憶しかない。

「……楽しかったですよ」

本心からそう言うと、

「じゃあいいわね」

二人はお互いに視線を交わすと、

「これからも轟雷を宜しくね、紅狼(くろう)くん」

そう言ってきた。

 

メンテナンスが真っ先に終わって、応接室でのんびり待っていると、四人も応接室に入ってきた。

「何か問題はあった?」

入ってきた四人に僕は訪ねた。

三人は特に問題なかったと言うが、

「俺はちょっと注意された、何か弄りすぎてるって……」

ちょっと不満そうに右烏(ゆう)はそう言った。

「ん?右烏(ゆう)にそんな技術(うで)あったっけ?」

「いや、全部鷲翔」

「……あぁ」

紅狼(くろう)の問いに返された言葉で何となく分かった。

鷲翔はソレぐらい容易くできる、だがやり過ぎる傾向にある。

以前も言った気がするが、うっかり人のプラモに手を着けようものなら、見事にバランスが狂う。

具体的に言えば、古いぬいぐるみに新品のパーツをくっ付けた感じだろうか?

「ああ、皆ここにいた」

そう言いながら入ってきた鷲翔に向かって、

「来たな、諸悪の根源」

「いきなりディスられた!?」

まるで見に覚えがないとばかり鷲翔が言い返した。

だが、まあいいやと呟くと、

「もう終わったの?終わったなら、買い物行かない?」

そう言えばそんな事言われたなあ、と全員が思って視線を少し上に向けた。

「メンテナンスの結果は全員問題なかったわよ」

そのタイミングでそう言いながら山田さんが入ってきた。

が、僕たちは視線を別のところに向けていた。

二人も不思議に思って上を見ると、

「……あっ!!」

先ほど入り口にいたフレームアームズ・ガール、フレズヴェルクが浮かんでいた。

フレズヴェルクは鷲翔の頭上から移動すると、

「ねえ、誰かボクとバトルしてよ」

笑顔でそう言ってきた。




いきなり新キャラクターが増えました
と言うのは嘘で、実際はコミック版フレームアームズ・ガールのキャラクターです
作中でも解説した通り、二人一組で各フレームアームズ・ガールの担当をしています

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