「お邪魔します」
「はいどうぞ」
「
そう言いながら机に段ボールを置く。
送り先は『
早速開けてみると、中には手紙と六角形の板、そしてまたも箱。
その箱の中には茶色いランナーが複数入っていた。
「これに間違えないわね」
スティレットが覗き込みながらそう言った。
「なるほど、これを組み立てて私に装着、戦うのですね?」
「そうよ、物分かりがいいわね」
「轟雷は賢いね」
そう言って頭を撫でると、嬉しそうな顔になる。
その表情を見ていたスティレットが、
「アンタ、本当にいい人に巡り会えたわね」
「はい」
轟雷は力強く頷いた。
スティレットを含み、その様子を見ていた全員が笑顔になった。
その時、チャイムが鳴る。
「おっ、
そう言って立ち上がると、玄関に向かっていった。
ドアを開けると、予想通り
片手にさっきのランナーが入った箱を抱えてだ。
「ごめん、遅くなった」
「いいよ、気にしてない」
そう言って中に招き入れる。
「
「ああ、そうだったよ」
「遅れた」
それぞれが各々が挨拶をすると、テーブルに着く。
「まず二人は
後半は僕に向けて
もちろん、とばかりに頷くと、
「じゃあオレは
それぞれが納得したところで、作業に取りかかる。
が、ずっと黙々と作業しても集中力が続かない。
それは全員が知っており、
「なあ、スティレット……であってたよね?」
スティレットがええ、と答えたのを確認してから、
「パーツを無くしたらどうすればいいんだ?」
「もうやったの?」
「いややってないよ、万が一っていうのに備えようと思ってさ」
そう、とスティレットが呟いてから、こちらに来て、取扱説明書を見ながら、
「確かこの辺に……、あああったわ。ここにランナーの番号を送れば数日後に届くわ」
でも日にちがかかるからオススメはしないわ、と付け足したので、
「だってさ、
「分かってるよ!!」
強い口調でそう言い返された。
(そっちがその気なら、対戦では手加減しないぞ)
そう心に決めた。
そして会話、給水や食事休憩を挟みながら轟雷とバーゼラルドの
時間はなんと、十一時半。
全員が道理で眠たいわけだ、と理解したところで、
「もう寝ようか、今日は泊まるかい?」
寝ることを決めた。
無論、疲れていたこともあって二人とも同意、早速布団を敷こうとするが、
「ちょ、ちょっと待ってよ。
スティレットが異論を唱えた。
「でも、もう日を跨ぐし……」
「だからこそよ」
「スティレット、何をそんなに急いでいるんだ?
困ることでもあるのか?」
急かすスティレットに疑問を抱いた
「いや、困ることはないんだけど……」
スティレットが口ごもりながらそう呟いた。
チラチラと時計を見るところ、何かを今日中にしないといけないようだ。
いや、『何か』は分かっている。
フレームアームズ・ガール同士を戦わせることだ。
「なあ、スティレット。どうして今日中に戦わないといけないのか、教えてくれないか?」
スティレットは「うー」と唸るが、
「……今すぐ戦わせてくれたら、教えてあげてもいいけど」
結局は戦いたいのか、どうやら好戦的なようだ。
「轟雷……」
スティレットと戦ってもらってもいいか、と言おうとしたとき、
「マスター。今取扱説明書を読み終わりました」
さあ早く、これに
さっきからやけに静かと思っていたら、熟読していたようだ。
まあ、轟雷がやる気ならばいいか、と戦闘準備に取りかかる。
「マスター、こっちも準備をお願い」
「まあいいか、どう戦うか見てみたいし」
「えっと、俺たちは……」
「観戦だね~」
「戦闘準備完了よ」
「こちらもです」
少々準備に時間がかかってしまった。
まさか専用アプリが必要だったとはスティレットも知らなかったのだ。
お陰で十分前になってしまったが、これで戦うことができる。
「じゃあ行くわよ轟雷」
「了解ですスティレット」
「「フレームアームズ・ガール、セッション!!」」
その一言で二人が乗るセッションベースから光の柱が出現、少し上で異空間を組み上げる。
スマホの画面を見ると、そこには荒野に立つ轟雷とスティレットの姿があった。
『行くわよ轟雷、負けないんだから』
『私に勝つつもりですか、スティレット』
(いや、お前さっき取扱説明書読んだばかりだろ)
全員が思った。
次の瞬間、スティレットが垂直に上昇した。
「えっ、スティレットって飛べたの?」
「バーゼも飛べるよ~」
上昇したスティレットは大きく宙返りすると、前進しつつ進行方向に、それも轟雷がいるところを一直線にガトリングガンを発砲する。
『くっ……』
轟雷は真横に飛び退き、弾丸は居たところを真っ直ぐに通りすぎていった。
『逃がさない!!』
スティレットは着地しながら体を捻り、左腕を突き出すと、
「轟雷っ!!」
『この程度、問題ありません!!』
轟雷はそう言うと右肩で担いでいたフリースタイル・バズーカの銃口を下に向け発砲。
当然地面に着弾、その際に砕けた石などがミサイルとぶつかり誘爆させた。
「上手い」
『まだまだぁ!!』
その爆風からスティレットが轟雷めがけて飛び出した。
なんとあの爆風を突っ切ってきたのだ。
その手には先ほどのガトリングガンではなく、日本刀が握られていた。
そして日本刀で轟雷の真っ正面から左側に切り抜ける。
「轟雷っ!!」
思いっきり金属音が響いた。
どう考えてもぶった切られたと思ったが、
『……大丈夫です、マスター』
少し危なかったですが、と言う轟雷。
よく見るとスティレット同様、手にはナイフが握られていた。
刃の部分が震えているところを見ると、そこで受けたようだ。
耐久値が少し引かれているので、恐らくかすったようだ。
だが、轟雷はすぐにスティレットに反撃を試みる。
背中から右肩にかけて展開されていた滑空砲をスティレットに向けて発砲。
だがスティレットはスラスターを使い加速、弾丸を回避する。
そしてまた轟雷めがけて突進、切り抜ける。
今度は右に飛び退きながら日本刀の一撃を回避する。
続けざまに滑空砲を発砲、今度は三発撃つ。
(このままじゃ、キリがない)
切り抜け、回避、滑空砲、回避、先程から同じ流ればかりだ。
現状耐久値はスティレットの方が上だが、時間切れがない以上、いたちごっこでは意味がない。
(とにかく、もう一度仕掛ける。間違っても右向きには切り抜けない)
轟雷の右側には滑空砲、もし受け止められてしまえば至近距離からの一撃をまともに喰らってしまうことになる。
そうなれば、現在の『耐久値の優位』など簡単に消し飛んでしまう。
スティレットはまたも大きく宙返りしてから、滑空する。
その様子を見ていた轟雷も、
「このままでは、キリがありません……」
スティレットと同じ事を口にした。
スティレットの突撃切り抜けを受け流すのでは滑空砲は当たらない。
少し危険だけど……。
覚悟を決めると、突撃してきたスティレットの日本刀を受けつつ左へ、つまりスティレットの進行方向へ飛び退いた。
「なっ……」
当然起こる事態は衝突事故。
だがお互い少量の耐久が消えつつも、その後起きた事態は少々異なった。
まず事故を想定していなかった上に、踏ん張りの利かない空中にいたスティレットはバレルロールのような機動を描きつつ地面に激突、さらに耐久がなくなってしまう。
一方で轟雷の方は、本来移動に使うキャタピラーを使うことで飛び退きを最小限に抑えることに成功。
即座に右足をスティレットの飛んだ方向へ向ける。
そうすれば滑空砲は最短でスティレット相手に構えることができるからだ。
起こった事態と轟雷の目的の把握したスティレットはすぐさまその場を離れようとするが、
「逃がしません」
それより先に滑空砲が着弾した。
大きく耐久を失い、さらに衝撃で地面を転げたためにさらにまたわずかに失ってしまった。
だが、転がっている中上手く体を捻り、前転運動に変える。
そしてそのままジャンプし、再び飛行に移行する。
お陰で追撃の滑空砲の回避に成功する。
スティレットは大きく旋回、轟雷も狙いをつけきれずにスティレットと見会うこととなった。
「くっ、私としたことが……」
『大丈夫か、スティレット⁉』
「マスター⁉ええ、大丈夫よ。……マスターに心配かけちゃった」
スティレットが申し訳なさそうな表情を作る。
『轟雷、すごいじゃん』
「ありがとうございますマスター」
轟雷の方は嬉しそうな表情だ。
そしてスティレットの方に向き直ると、
「スティレット。あなたはマスター達に喜んで欲しかったのではないですか?」
「そうね、喜んで欲しいわ。……でもそれだけじゃない!!」
そう叫んだスティレットは移動しながらガトリングガンで発砲していく。
先ほどのようなハイリスクハイリターンは捨て、堅実に耐久を奪う作戦に切り替えたのだ。
轟雷もキャタピラーを展開し、スケートをするような動きでガトリングガンを回避する。
「それだけじゃないわよ!!」
一度ガトリングガンを止め、再装填された左腕のミサイルを発射、またガトリングガンで追撃を始める。
誘導や速度の違う二つの射撃、これもスティレットの強みのようだ。
それでも轟雷は回避や相殺、あわよくば反撃を仕掛ける。
だが弾幕の違い過ぎて、反撃が上手くいかない。
ミサイルを狙う体でスティレットを撃っても、ガトリングガンで誘爆されられてしまう。
それ以前に轟雷には飛行能力がない。
それに轟雷には滑空砲以外の遠距離武装はフリースタイル・バズーカしかない。
そんなもの構えようものならすぐさま蜂の巣である。
「私は負けない、マスターのためにも!!」
スティレットはそう叫んだ。
「マスターのためって言ってるけど何の事?」
「ゴメン、俺も何がなんだか……」
スティレットの言葉の意図を掴めないようだった。
(何か、何か手は……)
辺りを見渡すが、遮蔽物になり得そうなものはない。
と言うか、地上同士の対決ならともかく空中相手には遮蔽物など意味を成さない。
上を飛び越えてしまえばいいだけの話だからだ。
(飛び越える……、そうか)
轟雷は近くにある手頃な大きさの遮蔽物の裏に隠れた。
が、すぐにスティレットがその遮蔽物を飛び越えると、
「甘いわよ、轟雷!!」
ほぼ真上からガトリングガンを発砲、再び轟雷の足を動かさせる。
轟雷はまたも遮蔽物の裏に隠れる。
「同じ事を何回も……」
スティレットも同じく障害物の上を飛び越え、
「捕まえました」
「えっ⁉」
唐突に眼前に現れた轟雷と激突、そのまま捕まった。
(えっ、どういう事?轟雷に飛行能力がないはず)
スティレット一人のスラスターでは轟雷まで支えきれず、落下していきながら、状況を把握しようする。
目に入ったのは遮蔽物の裏の爆発後と、垂直に何かがかけ上がった後、ついでに何かが墜落する音。
(……そうか分かったわ。遮蔽物に隠れることが目的じゃなかったんだ)
そう、轟雷は隠れたのではない。
遮蔽物の裏に回ると同時に、フリースタイル・バズーカの銃口を地面に押し付け、両足を遮蔽物と垂直にあわせて簡易的なカタパルトにしたのだ。
途中でもう一度、バズーカを撃って方向調整し、投げ捨てたのが、墜落するしただけだ。
いや、どっち道このまま行けばこっちも墜落するのだが……。
「これで、どうですか?」
絶対喰らうまいと決めていた至近距離からの滑空砲が直撃、そのまま地面に叩きつけられた。
これで一気に耐久を落とされた。
その衝撃ですぐに立ち上がれないスティレットの近くで、
「負ける準備はできていますか、スティレット?」
フリースタイル・バズーカを構えた轟雷が立っていた。
滑空砲の反動で上手く着地に成功していたらしい。
「もういいわ、私の負けよ……」
なんとも清々しい負けだ。
こういう負け方なら悪くない、スティレットはそう思った。
「マスター、ごめんなさい。負けました」
セッションベースから戻ってくるなり、スティレットは
「それよりも負けられない、ってどういう事?もしかして負けたら戻らないといけないのか」
いや、そう言う訳じゃ……、スティレットはそう断言する。
「だったら何で戦おうとしたかの理由を聞いてもいいか?」
「それならすぐに……」
スティレットの言葉を遮るように、
見てみると、宛先『FAファクトリー』から、また長ったらしいメールが届いていた。
が、二人の口から
「えっ⁉」
と言う言葉が飛び出るまでそんなに時間がかからなかった。
ついでにスティレットが急かしていた理由もだ。
「スティレット、これが目的だったのか?」
ええ、と胸を張ってスティレットが答える。
メールの内容は、
「戦闘データ収集の協力、ありがとうございました。
協力のお礼に以下の金額を口座に振り込ませてもらいます」
と言うもの。
「一応協力してもらうんだから、ファクトリーから謝礼金が出るの」
「……そうだったのか」
「えっと、後伝えないといけないのはっと」
そう言って説明を始める。
まずフレームアームズ・ガールの対決で謝礼金が出る。
その謝礼金は勝敗によって左右する。
そしてある程度のバッテリーがなければ戦えず、決着が着かなければ報償金が貰えないと言う事。
「こんなものね」
「なるほど……」
それに負けられないと言うのは少しでも多くの金銭を
「スティレット、ありがとうな。でもそういうのを気にしなくてもいいぞ」
はい、とスティレットは嬉しそうに返事をした。
「ところでもう寝ないか?」
ついでにもう十二時を回っていた。
「じゃあ今日はもう寝よう、明日は休みだからゆっくりできるし」
「じゃあ今日は泊まらせてもらってもいいか?」
「ちょ、ちょっと待ってよマスター。私たちは充電君がないと……」
「ここにありますよ?」
「それアンタ一人の分でしょ、私たちのがないじゃない!!」
わあわあ騒ぐフレームアームズ・ガール達を見てから、
「ちょっと部屋に取りに行ってくるよ」
「ついでに何か食べ物でも買ってくるよ」
そう言って
それから飲み食いをしてから、三人で同じ部屋で寝ることとなった。
結局は泊まりになったが、これからは楽しくなりそうだ。
そんな思いが全身を走り回っていた。
思いの外、戦闘シーンで文字数を使いました。
戦闘シーンを作るの、向いてないのかな?
ちなみに戦闘を行った場所は、アニメ一話の戦闘シーンと同一と考えてもらえば、分かりやすいと思います。