フレームアームズ・ガール エブリ・デイズ   作:羽羊紅葉

5 / 13
ガンガン更新されていきますね……。
しばらくこっちを主にしていこうかな?


バーゼラルドが立ち直る日

ゴールデンウィーク明け

前日に出されていた課題を協力しながらやっつけて登校してきた朝、右烏(ゆう)は落ち込んでいた。

理由は、バーゼラルドの敗北の原因だ。

自分のパーツの組み方に問題があったせいで、十回以上もの戦闘で一回たりとも勝てなかったのだ。

あまりにぼろ敗けを繰り返すものだから、最初はバーゼラルドを毛嫌いしていたハズの轟雷すら、

「マスター、どうすればバーゼラルドは元気になるのでしょうか?」

等と持ち主である紅狼(くろう)に問いかけていた。

スティレットも同じ空中戦闘型のフレームアームズ・ガールだからか、自分の装甲を貸してくれた程だ。

だが、色々と勝手が違うからか、勝利に繋げることができず、ますます落ち込ませる結果となった。

つまりゴールデンウィーク中、全戦全敗というある意味最悪の結果を叩き出した訳である。

これにはさすがにショックを受けたのか、天真爛漫なバーゼラルドも膝を抱えて大人しくなっていた。

一応充電君に繋いで充電をしたが、元気までは充電できなかった。

仕方がないのでとりあえずサークルで使っている教室に来ると、

「バーゼラルド、迎えに来るまでここで自由にしてていいからね」

そう言って机の上にバーゼラルドを置く。

「この教室には誰も来ないと思うけど、万が一来たらプラモデルのふりをしてごまかして」

未だに膝を抱えたまま、バーゼラルドは頭だけを動かして頷いた。

 

「そっか、バーゼラルドは教室に置いてきたんだ」

たまたま同じ授業をとっていた紅狼(くろう)右烏(ゆう)は隣同士で小声で話をしていた。

「ちょっとどう接していいか分からなくて……。とりあえず自由にさせておいたら元気になるんじゃないかと思ってさ」

右烏(ゆう)の言葉にも一理ある。

と言うのも、あの教室は基本紅狼(くろう)達のサークル以外は使わない。

そして先輩達もあまり立ち寄らなくなった上、よく来る一人である鷲翔も来ないと言う。

つまり立ち入るのは実質三人のみ。

それにバーゼラルドははしゃいだりするが、意外なことに分別がついている。

下手に物に触らなければ、勝手に脱走しない。

イタズラこそするが、それ以上にはならない。

要するに誰もいない教室に置いておいても問題ないのだ。

「……元気になってるといいな」

「うん」

授業中であることを忘れて、どうすればいいかを考える事とした。

無論それで問題がない訳がなく、教師に怒られたのは言うまでもないだろう。

 

その日の夕方

「バーゼラルド、大丈夫かな?」

右烏(ゆう)が不安そうに口にする。

急ぎ足で彼女を置いた教室に向かう。

もう既に紅狼(くろう)達も着いていた。

「遅いよ右烏(ゆう)

「お前が来ないとどうにもならないだろう」

どうやら二人とも待ってくれていた。

そしてそっと扉を開け、中を覗き込む。

そこには落ち込んだバーゼラルド、

「皆待ってたよ~、早くバトルしようよ~」

ではなくスッキリしたバーゼラルドがいた。

「元気になってよかった、か?」

「一体何があったんだ?」

困惑した紅狼(くろう)戦勝(せんしょう)が小さい声で相談した。

「バーゼラルド、一体何があったのですか?」

バッグから出てきた轟雷がバーゼラルドに問いかけるが、

「秘密~」

笑顔でそう返した。

だが、せっかくのバーゼラルドの提案だ。

受け入れた方がいいだろう、彼女の機嫌の為にも。

(轟雷、分かってるね?)

(もちろんですマスター)

視線で紅狼(くろう)は轟雷と会話する。

内容はわざと負けるようにすること、だ。

また機嫌を損ねられては元も子もない。

ならば、わざと負けてでもバーゼラルドの機嫌の維持に勤める。

バックからセッションベースを取り出しながら、そう結論付けた。

右烏(ゆう)もセッションベースを取り出し、接続。

充電君に武装や装甲をくっ付けてから、

「「フレームアームズ・ガール、セッション!!」」

戦闘が始まった。

 

バトルステージは前回と同じ草原。

ゴールデンウィーク中はステージがコロコロ変わってたが、恐らくランダムだろう。

「轟雷、行っくよ~」

またも上空に上がっていたバーゼラルドが先制攻撃を仕掛けてくる。

以前と同じように、手元に転送したセグメントライフルでの射撃だ。

(とりあえず最初は避けておこう)

そう判断して、横に移動する。

前回までの情報を元に、ギリギリで回避できるように移動する。

 

そして、ビームが肩の装甲を掠めた。

 

「えっ……」

おかしい、確かに避けたハズだった。

だが、

「まだまだ~」

バーゼラルドがこっちへ突っ込んできながら、セグメントライフルを連射する。

轟雷は両腕を顔の前で交差させ、防御する。

 

バーゼラルドが轟雷の頭上を通りすぎながら、射撃していく。

その様子を見て、最初に変化に気付いたのは、スティレットだった。

「……直ってる?」

全員がえっ、と呟く。

「バーゼラルドが真っ直ぐ進んでる。それにセグメントライフルの連射速度が前より上がってる」

その一言に全員がバッと画面を見る。

言われた通り一直線に飛行している。

確かに昨日までは右側のパーツのはめ込みが甘いのが原因で左旋回が精一杯だったはずだ。

ところが今は直線、それも比較的早いので、左側のスラスターの出力を押さえてる訳でもないはずだ。

「一体どうなってる?」

「分からないわ。バーゼラルドが自力で直したとも思えないし……」

戦勝(せんしょう)とスティレットがそう言って、三人で右烏(ゆう)をみる。

右烏(ゆう)も不思議そうな表情なので、

(コイツじゃないな)

全員がそう判断した。

「轟雷聞こえる?」

『はい、聞こえていますマスター』

すぐさま轟雷に回線を接続、会話を始める。

「どうもバーゼラルドの装甲は直ってるみたいだから、全力でいっていいよ」

『了解しました』

 

(さて、マスターの許可も貰ったので、全力を出しましょう)

そう言いたいところだが、実はかなり難しい状況に、轟雷はいた。

以前も言ったが、轟雷の武装は全て実弾である。

そしてバーゼラルドの武装はビーム系統。

つまりこちらの攻撃は誘爆で回避されるのに、相手はそれがないのである。

それに加えて、バーゼラルドの機動力は轟雷のそれを上回っているため、逃げても回り込まれてしまう。

ついでに言えば、現在の立ち位置は草原。

身を隠すものは何もなく、森林は多少距離がある。

それにバーゼラルドの謎のステータスアップ。

具体的に言えば機動力の上昇、セグメントライフルの性能上昇。

初手の一撃を回避しきれなかったのは一重にそれが原因である。

(どんな小細工かは知りませんが、迎え撃つだけです)

即座に轟雷の滑空砲が火を吹く。

但しその矛先はバーゼラルドではなく、地面。

「う?」

地面に向けて連射、土煙が周りを覆う。

 

(轟雷、この手に出たか)

土煙から離れつつ、バーゼラルドはそう思った。

現状轟雷が攻撃を避ける唯一の手段だからだ。

実際ビームは相手を追尾できるわけではない。

バーゼラルド自身の技術で一定距離で曲がるようになっているのだ。

つまり目で見えなければそれを補足できない。

だがそれは轟雷も一緒。

同じ条件ならば行動範囲の広いこちらが上。

そう考えていると、またも滑空砲は放たれる。

それも同じく地面に当たり、土煙を巻き起こす。

だが、先程の周辺とは少し違う。

今回当たったところは、轟雷が隠れているところから真っ直ぐ森林に伸びている。

轟雷はこれを利用して森林に逃げ込むつもりのようだ。

(それなら……)

バーゼラルドは即座に手元とバックパックのセグメントライフルを交換、発砲し始める。

但し撃つ先は轟雷のいるところではなく、森林に続いている土煙の方だ。

そこからだんだんと轟雷の隠れているところへずらしながら撃っていく。

こうすれば、轟雷の逃げ道を減らすことができる。

一応、轟雷のいるであろう場所にも気を配っておく。

今までの戦い方から、轟雷は奇襲や奇策を取ることが多い。

つまり逃げ道を作ってそれを移動、ではなくそのままバーゼラルドを狙うと言う手も十分に考えられるからだ。

逃走も攻撃も読んだ一手。

ところが轟雷が土煙から飛び出した。

確かに森林に向かっているが、自らが作った道とは異なるルートだ。

「え、こっちも囮!?」

すぐさま標的を轟雷に変更、発砲し始める。

だが、虚を突かれたことで若干の動揺で距離を離されてしまった。

曲線ビームで狙うも、轟雷も肩の滑空砲を発砲。

無論ビームで誘爆するが、それ自体が目隠しとなってしまい、森林に逃げ込まれるのを許してしまった。

 

「危機一髪だな」

戦勝(せんしょう)が観戦しながらそう呟いた。

確かに相手を見誤った事が原因で轟雷が危機に陥ってしまった。

その点は反省しないといけない。

「でもどうやってバーゼラルドは装甲を修理したのか?」

紅狼(くろう)の発言に、スティレットは「知らないわよ」と返す。

が、すぐに「でも」と付け加えて、

「バーゼラルドに問いただせば全て分かるわよ」

と断言した。

実際その通りなので、試合の決着を待つことにした。

 

「これすご~い!!」

バーゼラルドが空中でそう叫んだ。

(ええ、本当にすごいです)

轟雷も声を出さずに同意した。

それもそうだろう。

バーゼラルドが撃った曲線ビームが、木を突き抜けて来たからだ。

つまり障害物は意味を成していない。

それどころかこっちの邪魔になってしまっている。

その上、威力は全く衰えてないときた。

つまり不利だったものが余計不利になっただけである。

(さて、どうしましょう……)

本来なら森林から発砲するのが正しいだろうが、今それをすればこちらの場所を教えるだけである。

それに障害物が意味を成していない以上、隠れていても勝機を逃すだけ。

かといって飛び出せば結局蜂の巣だ。

(……仕方ありません)

今から行う手は、十中八九マスターから怒られるだろうが……。

 

一方バーゼラルドは、

「轟雷が見つからないよ~」

森林の上から轟雷を捜索していた。

轟雷を見失った以上、奇襲は避けられないだろう。

(こうなったら『フルバーストモード』で……)

あれを使えばセグメントライフルは空に近くなってしまう。

つまり一対一では後続の手が緩んでしまう。

この点がバーゼラルドの切り札たる理由だ。

だが、時間を無駄に伸ばすよりマシだろう。

そう判断したバーゼラルドはすぐさまフルバーストモードを展開した。

標的は見えない以上攻撃範囲を最大限に広げ、引き金を引く。

その瞬間、森林から一発の弾丸が跳んできた。

間違えない、轟雷の滑空砲だ。

浮遊したパーツを付随させつつ回避、そこへフリースタイル・バズーカが跳んできた。

それを上昇で回避する。

(撃ってきたところは両方とも同じ場所、つまり轟雷は……)

即座に目標を設定、場所は発砲してきたところ周辺、つまり轟雷のいる辺り!!

「フルバースト、いっけぇ~!!」

計六発から放たれるビーム、それぞれが八つに別れて目標へ飛来、次々着弾する。

「やったぁ~、バーゼ勝った」

空中で嬉しそうに跳ねるバーゼラルド。

が、

「……あれ、表記が出ない?」

そう、投降した試合ならばともかく、耐久が零での決着の場合は「Winner ○○」とどこかにウインドウが出現する。

それが出現しない。

(……もしかして避けられた?)

バーゼラルドは先程撃ったところへ飛行する。

先程の一撃で木々がなくなった為、真上から森林に進入する。

そこで見つけたのは、木に引っ掛かっているフリースタイル・バズーカ。

「えっ、これだけ!?」

バーゼラルドは思わず声をあげてしまった。

(じゃあ轟雷はどこ!?)

慌てて辺りを見渡す。

居た、轟雷。

その轟雷はナイフを片手にバーゼラルドに飛びかかっていた。

 

(貰いました!!)

周りは木で真上にしか飛ぶことができない。

その真上から飛びかかることで上下移動はできない。

そしてバーゼラルドに接近戦で生きる武装はない。

果てに奇襲だった為に、全てのセグメントライフルは明後日の方向を向いている以上、迎撃もできない。

これ以上の手はない。

そう思っての行動だった。

バーゼラルドも防御の為か、左のサブアームを動かしていた。

その軌道でいけば轟雷の横腹に当たるだろう。

まずそのサブアームにナイフをぶつけ、それからバーゼラルドを切る。

そうすれば低いダメージで済む。

その判断でナイフを持った右手を動かしてサブアームにぶつけ、

 

ナイフが真っ二つになった

 

えっ、と驚く轟雷。

その動揺の瞬間に、左のサブアームを動かす。

先端が開き、轟雷を捕まえ近くの木に叩きつける。

「ぐっ……!!」

(痛い……、いやそれより熱い!?)

うめき声を上げた轟雷が感じたもの、それは外装を焼くような熱だ。

「これで終わりだよ!!」

バーゼラルドのサブアームの銃口は、挟んだところの間にある。

丁度轟雷の腹部に押し付けられたところだ。

その銃口からビームが放たれ、耐久が全部なくなった。

 

「やったぁ、勝った勝った」

バーゼラルドが嬉しそうに跳び跳ねながら、セッションベースから飛び降りた。

「轟雷、大丈夫かい?」

「えぇ、何ともありません」

ですが負けてしまいました、と申し訳なさそうな顔で呟いた。

「仕方ないよ、バーゼラルドにあんな武装があるって知らなかったんだから」

そう、今までバーゼラルドはセグメントライフルでしか攻撃を仕掛けてこなかった。

一応(いちおー)説明するとね、こっちのサブアームは電磁ブレードになっているの」

「電磁ブレードって確か熱を発生させるのよね?」

「そだよ~」

なるほどナイフが真っ二つになった訳が分かった。

金属、というか鉄を高熱の物質に近付ければ溶けてしまう。

要するにナイフは折れたのではなく、熱で焼ききられていたのだ。

(バーゼラルドが元気になったが、今度は轟雷が落ち込むんじゃ)

そう思って轟雷を見ると、すでに立ち直ったのかバーゼラルドの元へ歩いていき、

「よかったですねバーゼラルド」

そう言って手を伸ばしていた。

バーゼラルドもその手を握り、

「うん、迷惑かけてゴメンね」

仲良くなったようだ。

「……あの、轟雷?だんだん握力が強くなってる気がするよ?」

「そうですか?」

「それと、もう放してもいいんじゃないかな~?」

「いえ、まだ握っていましょう」

「轟雷絶対負けた事怒ってるよね!?だって力が入ってきて痛い痛い痛い!!」

ニコニコしながら握手を交わす轟雷と悲鳴をあげるバーゼラルド。

そんな二人を見ながら、

「……仲良くなったんだよね?」

「知るか、俺に聞くな」

戦勝(せんしょう)がそう返した。

まあ、どうやら轟雷は負けず嫌いらしいと言う事が分かっただけでもよしとしよう。

そう結論付けた。

「ちょっとスティレット、助けてよ~」

「ねえ轟雷……」

「何ですかスティレット。一緒に握手しますか?」

その一言でスティレットは逃走。

何と装甲を纏って飛行、戦勝(せんしょう)の肩まで飛んで行ってしまった。

「スティレット逃げたぁ!!裏切り者~!!」

バーゼラルドが叫ぶが、スティレットは耳を塞いで、

「あ~あ~、何も聞こえない~」

とそっぽを向いていた。

そんな賑やかな三機を全員が笑う。

そしてようやく手を放した轟雷に、

「ところで轟雷?」

「何ですかマスター」

「最後の前にバズーカが木に引っ掛かってたのは、どうやってやったんだ?」

轟雷は「あ~」と目を逸らしながら、

「実は先に木に引っ掛けて……。滑空砲を撃った後、引き金に石を投げ付けて……」

「よくそれで発砲できたね!?」

あのバズーカ、引き金はそんなに大きくなかったはずである。

それを狙って石を投げ付けて、当てるとは……。

「轟雷って、コントロールセンスもいいんだね」

「それ以前にそんな手を取ること自体がおかしいんだけどね」

苦笑する戦勝(せんしょう)とスティレット。

「まあそういうところが、轟雷らしいよね」

「バーゼもびっくりしたんだよ」

右烏(ゆう)とニコニコ笑うバーゼラルド。

そんなバーゼラルドに、

「で、バーゼラルド。アンタパーツはどうしたの?」

「ん~、轟雷が負けたから秘密~」

はあ、とスティレットが不満そうに声をあげる。

「でも勝ったら教えてあげる~」

ケタケタと笑いながらそういうバーゼラルドだった。




結構バーゼラルドが動いていますが、アニメで知ってる人は
「バーゼラルドはこんな娘じゃない」
と思われるので、解説を。

アニメとの違いとして
セグメントライフルを手に持っている事
ですね。
アニメでは終始バックパックに取り付けて手にはなにも持っていませんが、この作品では四丁ある内の二丁を手に持って戦っています。
その他の娘の武装解説ができればいいですね……
努力してみます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。