フレームアームズ・ガール エブリ・デイズ   作:羽羊紅葉

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番外編一話です


バーゼラルドが立ち直った時間

誰もいない教室。

そこでバーゼラルドは落ち込んでいた。

理由は簡単だ。

負けが続いた、いや負けっぱなしだったからだ。

「はーあ」

どうしてもため息がこぼれてしまう。

あまりに落ち込むものなので、バーゼラルドを毛嫌いしていたはずの轟雷すら優しい声をかけるが、立ち直れなかったのだ。

もはやどうしていいか分からず、学校に連れて来られたが、やっぱりいつもの元気がない。

こうなれば少しでも自由にさせておくのが一番、そう判断した右烏(ゆう)は普段サークルで使う教室に置いてくれた。

その教室は普段は右烏(ゆう)達以外は使わないし、鍵は自分達が持っているので全く知らない人が見る心配もない。

ついでに言えば、持っているもう一人は『しばらく来ない』と言うメールを送ってきたので寄る心配すらない。

つまりは夕方まで誰も来ないので、それまでは自由にできるように配慮しての事だった。

「……私も、マスターに心配かけちゃった……」

この後に及んで、無邪気でいられる程図太くはない。

『負けたこと』、それ事態にそれほど落ち込んでいない。

元々戦いとは一人の勝者以外は敗者なのだ。

その一人になれなかっただけの話だ。

落ち込んでいるのは『マスターに勝利を貢献できなかったこと』。

いくらマスターが作ったものが問題品だったとしても、その性能を引き出しきれれば、轟雷達に負けなかった。

人のせい、それで強くなれない。

強くなるためにどうするか、答えが見つからない。

「どうすればいいんだろ……」

バーゼラルドは何度口にしたか分からない答えの帰ってこない問いが口を付いた。

装甲を着けたまま足を机から投げ出し、ブラブラさせていた。

このまま落ち込んでも仕方ない、割り切ろうとした時、

「誰も居ないね、っと」

誰かが入ってきた。

当然バレるわけにはいかないので、そのままただのプラモデルのふりをする。

「一限目はないからな、ここで読書しよっと」

嬉々とした口調で扉を閉めた人間はすぐにバーゼラルドに気付いた。

おや、っと口にしながら近付くと、

「また紅狼(くろう)が作ったのか?作るのはいいけど、こう言うところに置くなって言ってあったハズなんだけどな……」

そう言ってジロジロと眺められられる。

その時、パーツが取れた。

無論、組み立てに問題があったサブアームだ。

「おっと、壊したら申し訳ないからな。うん?これは紅狼(くろう)の作品じゃないかな?この杜撰なゲート処理、間違えなく右烏(ゆう)のものだ」

(その通りだけど、マスターや紅狼(くろう)を知ってるってことは……)

恐らくこの人が鷲翔(しゅうが)だろう。

ちゃんと見たのか今回が初めてだ。

「全く、この辺りを適当にするとパーツが脆くなるっていってるのに……。それに絶対直す気はないな」

アイツ直せないし、と文句を言いながらパーツを一旦置くと、隣の部屋に行ってしまった。

(一体何なんだろう)

そう考えてすぐに鷲翔(しゅうが)は戻ってきた。

鼻唄を歌っている彼の手にはカッターや筆、パレット等が載っていた。

そしてバーゼラルドのすぐ側に座ると、パーツ間のゲート処理をし始めた。

変なところを削らないようにしながら、丁寧に削り、パーツからパチンとはめ込む音が聞こえた。

パーツを一度置いてから、絵の具をパレットの上で混ぜる。

その色はさっきヤスリで削った部分と同じ色。

それを削った部分に塗り、その部分を上にして乾かす。

「ちょっとゴメンよ」

そう言ってバーゼラルドを持ち上げると、バックパックを外し、じっと見て確かめる。

そして他の部分を次々と手直ししていく。

それらは全て、バーゼラルドが戦闘中に気にしていたところだった。

削って、塗って、乾かす。

彼の作業はその繰り返しだった。

それから少しして、パーツを置いてから「ん~」と背伸びをする。

「これで全部かな?」

自分のやったパーツを見てからそう呟いた。

少し自分のスマホを操作し、カバンから本を取り出すと、そのまま読書を始めてしまった。

二十分後、スマホから音が鳴り始めた。

先ほどの操作はアラーム設定だったようだ。

鷲翔(しゅうが)は本に栞を挟んで閉じると、バーゼラルドの装甲を組み立てていく。

そして組み上がった装甲をバーゼラルドに取り付けると、

「うん、ちょうどいい時間だな」

そう言ってカバンを持って、扉から飛び出していった。

しかもちゃんと鍵までかけてだ。

バーゼラルドは戻ってこない事を確認してから、装甲を見てみる。

「すっごい、全部直ってる……」

気になっていた部分は完全に直ってしまっている。

早速試運転をしてみる。

「すっごいすごい!!」

思った通りに動く。

右に左に自由自在。

もう落ち込んでいた部分は心にない。

お礼を言えなかったのが残念だけど、こればかりはどうしようもない。

「マスターに伝えて……、いや待てよ」

思い浮かんだ計画の楽しさに、口が緩んでしまった。




コレは「バーゼラルドの立ち直る日」の中間辺りのバーゼラルドサイドのお話です。
本当は「轟雷が反撃する日」の前に投稿しようとしましたが、
「これじゃあ面白くない」
と言うことで同日に投稿することにしました。
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