終わりのセラフ~斬月持って異世界ライフ~   作:沢田空

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サブタイトル考えんの大変だな…


15話~再会~

俺達が新宿五丁目まで行く間にも吸血鬼は襲ってくる。だが、そろそろ飽きてきたものだ。死ね!人間、と襲いかかってくる吸血鬼。それも大体単騎で突っ込んでくるだけ。それを全て一撃で消していく。これではもう流れ作業をしているみたいだ

 

「…おい!ここでずっと戦ってても拉致明かねぇぞ。先へ行こう!」

 

君月がそう言うと三宮がそれに賛同した。

 

「賛成だ。グレン中佐の命令も敵司令塔がいる新宿五丁目へ集合しろ、だ。敵の頭を一気に叩くぞ!」

 

「優くん!翔君!」

 

さっきから吸血鬼のせいであまり進めていないため、急がないとまずいと思う。それに流石にみんなから疲れの色が見える

 

「行きましょう翔さん、優さん」

 

「おう!」

 

「よっしゃ行くぞ!」

 

そして俺達は目的地に向かって走った。

走り始めてからシノアが思い出したように言った

 

「あ…、ところで最前線にいく前にちょっといいですか?優さん、翔さん」

 

「あ、なんだよ?」

 

「どうした?」

 

こんな時に何を言ってくるのだろうと疑問に思うがまぁ大事な事だと思う。流石にここでふざけたりは…しないと言いきれねぇ…

 

「突然ですが、今から優さんの第一回目の修業を始めまーす」

 

「はぁ?修業?」

 

「今からか?」

 

あまりの急なシノアの言葉に優と俺は走っている足を止めそうになる

 

「はい足を止めないで〜。まぁ、前線に行きながら説明します」

 

「ちょ、お前…こんな状況で何言っ…」

 

「こんな状況だから言っています。すでにさっきの吸血鬼の貴族とぶつかってわかったと思いますが…いくら優さんたちが《鬼呪装備》でも最上位《黒鬼》シリーズの保有者とはいえ今のままだったら瞬殺です。前線にでてもまるで役に立ちません。もうね、あれです。地面に落ちているうん…」

 

「「「「何の話だよ!!(だ!!)(ですか!!)」」」」

 

おぉビックリした!君月は分かるがさすがの与一も黙っていられなかったらしい

まぁ流石にあのクローリーには仮面つけても勝てる気がしねぇなぁ…

それに確かクローリーの周りにいた二人も強いな。多分三人一緒にいることが多いだろうから手こずるどころか瞬殺だなありゃ…

 

一人で色々考えている間にも優とシノアの話は進んでいた

そしてシノアが急にあるものをだした

それは沢山の錠薬のようなものが入っている小さな箱だった

 

「薬?」

 

与一がそう聞くとシノアは頷いて答えた

 

「ええ、いま一番最先端の修業法です。ドーピング、ドーピング。飲むと鬼と同化しやすくなって本来の力が引き出せます」

 

「じゃあそれ飲みゃ、吸血鬼の貴族もーー」

 

「少なくともすぐに殺されたりはしなくなるでしょう。理論上、1錠飲めば1.5倍ーー、2錠飲めば1.8倍の力が使えます」

 

「んでそれは何錠以上飲んだら死ぬんだ?」

 

普通の事を聞いただけなのだがシノアが驚いた顔をする。優は優でなんで死ぬんだ?をって顔してるし。それ以上に君月と与一は死って言葉に顔を強ばらせてる

 

「あはは、よくわかりましたね。この薬は三錠飲めば内臓全てが破裂します。二錠でもショック死しかねないダメージがあります。なので普通は一錠まで、おまけに効果時間は15分、薬が切れた瞬間鬼呪装備すら解除されて完全に無防備になります。そこでこれの登場です」

 

そして、シノアが取り出したものは懐中時計型のアラームだった。きっとこれで戦う時間を、そして効果時間の方もな

 

「このアラームは13分で鳴ります。鳴ったら全力で逃げてください。残り2分であなた方はただの人間ですから。ちなみにこの薬の効果が出始めるのに10秒掛かります」

 

「だからクローリーの時に渡さなかったのか」

 

「はい。あの吸血鬼は十秒あれば私達全員を殺せました」

 

「ちょっと質問」

 

「はい、優さん」

 

「これが前にお前が言ってた。鬼呪装備の本当の使い方なのか?これさえあれば全部、鬼呪装備の力を引き出せる?」

 

それは優が一番聞きたかったであろう質問だった

優はすぐに力を求める。それは今も昔も変わっていないし、良くもあるし悪くもあると思う

 

「いえいえ、これは一時的処置です。鬼呪の力を使いこなすにはもっと勉強と修業が必要ですが…その後それでも足りない部分を補うためのドーピングです。でもーー今はそれ、やってる時間ないでしょう?なにせ戦争始まっちゃいましたし」

 

「確かに…」

 

シノアの言葉に納得する優

 

「それが戦場だ」

 

「三宮…そればっかりだな」

 

「君月、三宮はそれで流行語狙ってだから。邪魔してやんなよ」

 

「ああそうだったのか。悪いな三宮」

 

「おい翔、君月殺すぞ」

 

はいはいって軽く流しておいた。その時三宮が物凄く睨んでいたのは気にしてはならない。そして与一が思ってることを言った

 

「でも…薬飲んで強くなるとか…なんか嫌だなぁ…」

 

「ああ、そこは安心してください。この薬人体に副作用がありまくるのは日本帝鬼軍お墨付きですから」

 

「「全然ダメじゃねーか!!」」

 

よく自慢げに言えたなおい!

 

「あはは、だから極力飲みたくないですが〜今回は仕方ないので皆さんに配りまーす」

 

そして俺にも薬が渡される

その中には結構な量の薬が入っていた。見た目は普通の薬だがそれでも死ぬ可能性がある薬だから丁重に扱わないとな

 

「飲むタイミングは?」

 

「まぁ、今回はグレン中佐がいるので中佐が命じるでしょう。でも中佐にその暇がなさそうなら私がしますが…」

 

「分かった。じゃあ行こう」

 

そして、一度走りを止めた足を再び動かした

 

「なぁシノア」

 

「何ですか翔さん?」

 

走り始めてすぐに隣にいるシノアに質問を投げた

 

「あの薬、俺飲まなくていいか?」

 

「ッ!何言ってるんですか?」

 

シノアの声のトーンが少しだけ下がった。あ、これ怒ってるわ

 

「俺は一度鬼に負けてる。その時点でかなり同化しちまってる。それに仮面も、あるからさ」

 

「…確かにそうですね。でも…」

 

「まぁお前が飲めって言ったら飲むしダメだと思ったら止めてくれていい」

 

「わかりました…無茶だけはしないでくださいね」

 

シノアは渋々と言ったところで納得してくれた

 

(でもわりぃ…無茶するなってのは守れそうにねぇ)

 

 

 

前線ーー

新宿五丁目交差点

 

グレンの前には金髪の吸血鬼。服装からして貴族ではないらしいがそこらへんの吸血鬼に比べたら格段に強いと言えるだろう。それは剣を交えただけでわかった

 

「(俺に意識を向けさせれば俺たちの勝ちだ)」

 

そしてその吸血鬼と戦いながらも悟られないように吸血鬼を罠のある方へ誘導していくグレン

 

「おーおー、なんだてめぇ強ぇ〜な、おい!」

 

「…そう?でも君は強くない」

 

「そうか?」

 

相手の虚をつきを一瞬で距離をつめて、吸血鬼の頭に呪符をはる

 

「爆裂しろ。不動明王呪」

 

その言葉と同時に呪符が大きな音を立て爆発した

やったか?と思ったが数メートル先に爆発を回避した吸血鬼の姿があった

 

「…ちっ、今のよけんのかよ。たまんねぇな、おい」

 

「爆発が遅いよ…それにそんな古い呪術が吸血鬼に通用するとでも?」

 

「あっはー、さっすがミカ君、第三位始祖クルル•シェペシのお気に入り。圧倒的な力と傲慢さでも、その傲慢さは足元をすくうよ。手伝おうか?」

 

不意に聞こえたその声は建物の上にいるさっきまでの戦いを見ていた吸血鬼の貴族のものだった

 

「…なんだよ、それ。どこに僕の負けがある?」

 

今の言葉を聞きグレンは確信した。この吸血鬼は気づいていない、このままなら殺れる、と

 

「あはは、負けるよ。足元見なきゃ、敵は最初から一対一で戦う気はないよ」

 

その貴族の言葉でようやく気付いたようだ。その吸血鬼は足元をみて驚く

 

「バレたぞ時雨。殺れ」

 

「はい」

 

何処からともなく現れた時雨は、敵の足元にあった罠のもとである糸をひく。そしてその糸を操作し、クナイをあらゆる方向から吸血鬼に向って放った

 

「五士、幻術展開」

 

「もうやってる」

 

時雨の攻撃さえもかわした吸血鬼を今度は五士が幻術で襲う。だがその幻術からも避け、吸血鬼はグレンの予想どうりのところへ逃げる

 

「ほら、チェックメイトだ。吸血鬼」

 

剣をその吸血鬼を殺そうと振り下ろし、殺った!と思った直後、思わぬ邪魔によりグレンは相手に殴られただけで約10m以上も吹き飛んだ

 

「グレン!」

 

それを見た美十が思わず声を上げる

 

「うっは〜、やーべ予想と段違いだ。あの長髪の吸血鬼が尋常じゃなく強ぇ」

 

先の攻撃により満身創痍のグレン

そして目の前の吸血鬼二人は何か話しているようだった

 

「ねぇ、ミカ君。人間なめない方がいいよ。彼らは強かで欲深くて卑怯だからーー。な〜んてもと人間の君に言うのもなんだけどね〜」

 

「うるさい」

 

「あは〜さて、そろそろ本気で行こうか。二人でやれば…」

 

「もう問題ない。向こうのやり口はわかった。剣よ、もっと血を吸え」

 

そしてさらに剣の色が赤く、血のように紅くなる

 

「ふふふ、やっぱり傲慢。その傲慢さはこないだまで人間だったせいなのかなぁ〜」

 

ミカとフェリドが話している時グレンはアラームを見ていた。そして呟く

 

「こりゃ、薬二錠コースかねぇ。もしくは新宿捨てて撤退するかーー。それか優たち黒鬼装備の援軍が間に合うかーー」

 

「いけません!グレン様!二錠飲んだら死ぬ可能性が…!!」

 

小さく呟いたつもりだったが小百合には聞こえていたみたいだ

 

「飲まなくても死ぬだろこれ。じゃなくても薬の効果時間があと八分、その制限時間内にあいつら始末しないとーー」

 

「話は終わった?ならもう行くよ」

 

ミカが戦闘準備に入り告げる

 

「そりゃ、ご丁寧にどうも、でももうちょっと待ってくれっかな〜?」

 

「どのくらい?」

 

「ちょっとお薬の時間なんで20秒だけ静かに待ってくれるとありがた…」

 

キンッと刃と刃が重なる金属音が響く

 

「まぁ待ってくんねぇよなぁ。おまけに­­──てめぇさっきより速ぇじゃねぇか」

 

「もう手加減はやめたんだよ」

 

「戦場で手加減とかお子様だなァ、おい」

 

強がってはいるものの内心はまずいと思っている。体はボロボロ。なのに向こうは万全の状態に近い。こりゃあ死ぬな…何て自傷気味に笑っていると再度剣を構えた

 

「その子供に殺されるんだおまえは」

 

そして吸血鬼の速い攻撃。グレンはその攻撃で剣を弾き飛ばされ丸腰となる

 

「うお…まず…」

 

「お?敵の援軍はっけ〜ん、ミカちゃん早く始末しないとまずいよ〜」

 

その長髪の吸血鬼の声により俺はやっとか、と誰もわからないぐらいに笑った

 

 

─────────────────

 

前線につくとそこには吸血鬼に剣を向けられているグレンの姿があった

 

「全員すぐに薬を飲んでください‼︎中佐を救出して離脱します!!」

 

シノアの言葉を聞きすぐに薬を口の中に放り込む

 

「行くぞ!!」

 

「おう!!」

 

そして、全速力でグレンの元へ向かう

だが、それでも一歩遅くグレンの前にいる吸血鬼は剣を構えてグレンの方へ剣を突き刺した。途端にグレンから流れる血

 

「グレン!!」

 

「なっ!てめぇ…グレンになにしてんだあぁぁぁ!」

 

優と二人で金髪の吸血鬼に向って走る。だがそこで気づいてしまった。グレンを刺した吸血鬼は見覚えのある金髪。そして青色の目。二年以上一緒に暮らした家族を見間違えるはずがない。自然と足が止まってしまう。あの時本当に死んでしまったと思った。俺のせいで死んでしまった家族が目の前にいる

 

「ミカ…!」

 

だが前を走っている優は頭に血が上ってしまっていて気づいていない

 

「(まずい!このままじゃ…!)」

 

そう思い自分の出せる最速でミカの前に立った。そして──

 

優の刀が己の体を貫いた

 

 

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