終わりのセラフ~斬月持って異世界ライフ~   作:沢田空

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お久しぶりです

これからは少しまったり進めたいと思います


21話~悪夢と希望~

朝のどこかの住宅街。二人の少年少女が仲良く真新しい制服に身を包み歩いていた。

 

 

「ねぇねぇ今日からだよ!まさか一緒の高校に受かるとはね〜」

 

「うっせーよ。大体俺よりもお前の方が「受かるかな…ねぇ落ちたらどうしよう…!」って言ってたじゃねーか」

 

栗色の髪を肩まで伸ばし、ブレザーに身を包んだ愛らしい顔をした少女がうっ…と項垂れるも次はムッとした表情に変わった。

 

 

「確かにそうだけど受けた人はみんな思うものでしょ!!逆に思わなかったの?!」

 

 

それに対して少女と似たデザインをしたブレザーを少し着崩した黒髪の目つきの悪い少年は、はぁと一つため息をし、あのなと話し始めた。

 

「受からねぇって思ってたら受かるもんも受からなくなるんだよ。だからそういう考えよりは受かったって思う方が気持ち的にも楽なんだよ」

 

「何からしくない事言ってるー」

 

「んだとー!」

 

「わぁー!怒った怒った!はっはは!」

 

「怒ってねーわアホ!」

 

こんな毎日が続くと誰もが思っていた。こんな平凡が続けばいいと誰もが思っていた。だが人生というのは物凄く理不尽だ。

 

 

「ごめんね…また約束…やぶっ…ちゃった…」

 

血だまりの中栗色の髪をした少女を抱き寄せ、必死に叫ぶ黒髪の少年。

 

「もういい!!喋んな!その先は後で聞くから!頼む!」

 

「ううん…あのね…私ずっと…ね、君のことが…大好き…だっ…よ…。」

 

「…ああ、分かってるよ!そんなの…俺もなんだから!だから頼む…!死ぬな!」

 

それを聞いた少女は儚くすぐに散ってしまいそうな笑顔を浮かべた。

 

「…それだけ聞ければ…私は…十分だよ…。だから…幸せに生きてね…」

 

「…おい。おい!ふざけんなよ…!頼むから…!お前の我が儘でも全部何でもするから…!頼む!死なないでくれ!俺を…置いていかないでくれ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

──翌日

 

「…久しぶりに見たな。(ごめんな…あの時守ってやれなくて…)」

 

コンコンっ。翔さん起きてますかー?

 

「ああ、起きてるぞ」

 

そう言って入ってきたのはシノアだった。

 

「それじゃ。おはようございます翔さん。一週間ぶりですね」

 

「おはようシノア。久しぶりだな。優たちは?」

 

簡単に挨拶をして、こちらに近づき近くにあるイスに座るシノア。俺の質問にシノアは

 

「みなさんは飲み物を買いに行ってもらって…って翔さん」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「何で、泣いて(・・・)いるんですか?」

 

「へっ?」

 

シノアに言われ目元を擦ると確かに涙が出ていた。きっとあの夢が原因なのだろう。

急いで目元を拭き、苦笑いを浮かべながらも大丈夫だ、と答えた。

 

「…翔さん。私達の事は信頼できませんか?」

 

「急に何を…。ちゃんと信頼してるよ」

 

「じゃあ何でいつも一人で抱え込んで何も言ってくれないんですか?」

 

シノアは真面目な顔で俺の目を見て言ってくる。それに対して俺は目を逸らしてしまう。

 

「私達は仲間であり、家族なんです。もっと頼ってください」

 

シノアが儚げに言う。その顔は最後に見たアイツの表情と少し似ていた。

それを見た俺は胸が締め付けられる。

 

「────」

 

「え?今なんて?」

 

聞こえなかったのか聞き返すシノア。

 

「…俺は許されないんだよ。どんな事があっても」

 

「それをどういう…」

 

聞こうとシノアを他所にドアが勢いよく開いた。

 

「目が覚めたみたいだなバカ翔!」

 

「…もうちょい静かにドアくらい開けろよ三葉」

 

最初に入ってきたのは三葉だった。その後に優たちが飲み物を持って入ってきた。

 

「翔!お前また無茶しやがって!心配したんだぞ!」

「悪いな優。心配かけた」

 

「ったく、お前らは無茶しないと生きていけねぇのかよ」

「こんな世界じゃあ無茶しまくっても足りねぇくらいだよ君月」

 

「良かった!翔君、元気そうで!」

「はは、見ての通り元気だよ与一。今すぐ退院してもいいくらいだ」

 

「もうあんなことはするなよ翔!!私達がどれだけ心配したか…」

「耳が痛いな…。だけど俺はお前らが危ないと思ったら無茶はするぞ?大切な家族だからな」

 

四人と話し始めたがみんなが皆心配してくれてたんだなっと強く思う。こんな俺なのに…。

 

「みんなあなたの事が大切なんですから、だから大丈夫ですよ翔さん」

「ああ…。分かってるつもりだったんだけどな…。なんか今日は雨が降りそうだな」

 

最後のシノアの言葉を聞いた俺は涙腺が緩むのを感じて、窓の方を向く。

それを見た五人はお互いに顔を見合わせ俺を弄り始めた。

 

「翔さん泣いちゃうんですか〜?さっきも私を見たら泣いてましたもんね〜」

 

「へぇーシノアを見て泣いたのか〜。俺なんて翔が泣いたとこなんて見たことねぇのにな。へぇー」

 

「こいつもこいつで頭強く打ちすぎておかしいんじゃねーか?」

 

「あの強気の翔が泣くなんて今日は槍でも降りそうだな!」

 

「いや翔君は元からこうだよ思うよ?」

 

上からシノア、優、君月、三葉、与一と散々な言い様。

お前らなぁ…と言うも口元が緩んでしまう。

 

その後は他愛もない話を色々とした。俺が今日中には退院出来ること。俺が眠ってる間に何があったのか、とかな。

その中で特に気になった話が昨日──俺が目を覚ました日に柊暮人と何があったかだ。何でも柊暮人は新宿での事を俺と優が吸血鬼のスパイだと疑っていたらしい。それを聞き出すために君月と与一を人質にとって。

だけどまだ疑いはあるもののお前程度の実力であれば何も問題は無い、寧ろ急に現れた黒鬼シリーズを手に入れた俺たちでグレンが何かするんじゃないかって。

 

だけどそれは一緒にいた深夜さんのおかげで何とかなったらしい。まぁ深夜さんにとってはグレンは親友だからな。

親友が疑われるのは嫌なのは俺でも分かる。

 

そして気になったのはもう一つあった。

何でも鬼呪にはもう一つ上の段階があるらしい。確か…憑依化と具現化だっけな。近々その為の訓練があるとか。

まぁそれよりも多分、いや確実に俺は柊暮人に呼び出される。あいつの中では俺が一番スパイの確率が高いんだろうと思う。

 

そう思うだけで憂鬱だよホントに。何で俺なんかが吸血鬼のスパイ何かやんなくちゃいけねんだよ。

 

「……ホントに厄介だよ」

 

俺は先程退院して家まで帰り道に空を見上げる。

辺りはもう暗く、夕日もほぼ沈んでいる。

 

そんな中俺の一言は静寂に包まれ消えていった。




次は暮人と対面させたいと思います
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