なので見ている時に思ったことなど、こうしたらいいなどあったら言ってください
出来るだけご期待に添えるよう頑張りますので
目を覚ますと辺りは真っ暗だった。そうか、今斬月の所に…と思い出す。少し歩くとペチャって音が足元から聞こえた。
おかしいと思うと同時に辺りが明るくなり、足元には孤児院のみんなが赤い液体を流しながら倒れていた。
「……ふざけんなよ」
それだけならまだ良かった。あろうことにかみんなは血を流しながら立ち上がり皆が俺を見る。
「私たちを助けられなかったのに何で呑気に生きてるの?」
「僕まだ死にたくなかったよ」
「復讐も全然してくれないし」
そう言いながら俺に近づく。
俺も歩み始め、次第に距離は目と鼻の先となる。
目の前にいるのはこの中で最年長の茜だった。
「翔も優ちゃんも私たちを見殺しにしたくせによく笑ってられるね」
「私達がどんな気持ちで殺されたか分かる?分かるわけないよね生きてる翔たちには」
そう言い俺の服に縋ってくるかのように掴んだ。
「ねぇ!分かるわけないよね!?何で私たちが死ななくちゃ行けなかったの?!」
そんな茜を見て俺が出せた言葉はこれだけだった。
「…守ってやれなくてごめんな」
その言葉を聞いてか茜たちはは?って顔をしてる。
「俺が弱かったばかりにみんなを死なせちゃった。俺はみんなを守れるって過信してた。この力があれば、って。遅くなっちゃったけど…ほんとにごめんな」
謝ると同時に茜のことを抱きしめていた。そうすると茜も抱きしめか返してきた。
顔を見ると先程の恨みがこもった顔ではなくいつも見ていた笑顔に変わっていた。
「今更謝らないでよ。私達はもう死んじゃって翔はまだ生きてる。だから私達が生きれなかった分も優ちゃんと生きて」
「ああ、わかってる。ありがとう茜」
その言葉にみんなが笑顔を浮かべて遠くへと消えていった。
「……それでこれは何なんだ斬月!!」
「ひゃっははは!!傑作だったぜ翔!」
俺の怒鳴り声とも共に甲高い笑い声が響いた。それに伴い俺の見ている景色が摩天楼へと変わっていった。
そして目の前に現れたのは白いオレ、斬月だ。
「…ごめんな、ってどの口が言ってんだ!?幼馴染すら守れなかったお前が!」
「うるせえ、もう一度その口開いてみろ?殺すぞ」
「ひゃっはは!無理だよ!ムリムリ!!お前に…「開くなっつたろ」いいね〜その目だ!」
斬月が話し出すと同時に切りかかる。それはニタニタと笑いながら受け止められた。
一度距離を取り、構える。
「まさかお前がそんな目をするなんてな!軟弱者のてめえが!!何が気に入らない?孤児院のガキ共を出したことか?!」
「黙れ…」
「それとも守れなかった幼馴…「黙れ!!」
その一言とともに俺は再び斬月へと斬りかかった。全力で刀を振るう。だが力任せに振るわれるせいか全く当たらず全ていなされてしまった。
「てめぇは前にあった時から何も変わってねぇな」
そう言い鍔迫り合いになる。
「てめぇがここに来た理由も知ってる。だからあえて言ってやるよ。俺は弱ぇてめぇに力を貸さねぇ。ととっと帰れ。ちなみにだが勝つ条件はオレを…殺すことだ!」
拮抗していた鍔迫り合いも力負けし、膝をついてしまう。
「クソが…!」
「何睨んでだ?これも全て弱ぇてめぇが悪いんだろうが。何も守れない殺人者が!」
「てめぇは絶対に殺す!!何があろうとだ!!」
「この状況でよく吠えたな、だが状況は何も変わらねぇ!!どんなに虚勢を張ろうともこれが現実だ!てめぇには何も守れねぇ、ましてや守る資格すらねぇ」
不意に上からの圧力が無くなったと思い、反撃しようとした瞬間──
「がっ…!」
摩天楼へと吹き飛ばされる。今の一瞬、反撃しようとした直後に蹴り飛ばされた。崩れた瓦礫を押しのけ、斬月を杖がわりにしながら立ち上がる。
「じゃあな翔。これで終いだ──月牙天衝」
そういうオレは月牙を放つ。
「(…こんな所で、あいつに負けてたまるか…!俺は負けられねんだ!俺は勝って──!)」
「みんなを護るんだよー!!月牙天衝!!」
二つの月牙天衝がぶつかる。その衝撃は激しく、吹き飛ばされるそうにもなる。
「はっ少しはできるようになったみてぇだな。おい翔、騎馬とその王の違いってなんだと思う?」
「…何言ってやがる」
「“王とその騎馬の違い”は何だ?“人と馬”だとか“二本足と四本足”だとかそういうガキの謎かけをしてんじゃねえぞ。姿も能力もそして力も!
全く同じ二つの存在があったとして!そのどちらかが王となって戦いを支配し、残りのどちらかが騎馬となって力を添える時その違いは何だ!?と訊いてんだ!!
…答えは一つ
本能だ!!!
同じ力を持つ者がより大きな力を発する為に必要なもの。
王となる者に必要なものは、ただひたすらに戦いを求め、力を求め、敵を容赦無く叩き潰し、引き千切り、斬り刻む戦いに対する絶対的な渇望だ!!
俺達の皮を剥ぎ肉を抉り骨を砕いた神経のその奥、原初の階層に刻まれた研ぎ澄まされた殺戮反応だ!!!
てめえにはそれが無え!!剥き出しの本能ってやつがな!!
てめえは理性で戦い理性で敵を倒そうとしてやがる。剣の先に鞘つけたままで一体誰を斬るってんだ!?だからてめえはオレより弱えェんだよ!!」
一息に紡がれた斬月の言葉に意識を遠くして聞いていた。そして奴から振り下ろされる刃を俺はどこか、諦めたような目でただただ見ていた。
だけどそんな時、俺らの目の前に突然と光が現れ俺たちを包み込んだ。
──────
現世side
「やっぱり寒いですね〜」
「そうだな〜」
火に当たりながらシノアと三葉がそう言う。既に翔の訓練から三十時間以上経過していた。
なのに何故かまったりとしている二人。まぁ二人からしたら三人の訓練を待ち続けているだけだから当然と言えば当然ではある。
「おいお前らしっかりしろよ。いつ接触するか分からねぇんだぞ」
そんな二人を叱咤する君月。やはり彼はこの隊のオカンなのかもしれない。
「そんなこと言ったって私たちを基本的に待ってるだけですし」
「つまらないな。やっぱり君月何か芸しろ」
「てめえがやれ」
「なんだと!?」
再び同じようなやりとりを始める二人。そんな二人は置いといて、シノアは優へと目線を向けた。
「どうしたんですか?優さん」
優は翔が訓練を始めてからずっと傍にいる。言わずもだが彼もやはり家族想いの男だ。こんな世界だからこそ、最後の家族の帰りを傍で待ちたい。そんな気持ちが彼にはあった。
「ん、いや大丈夫かなって」
「大丈夫、ですよ。翔さんなら」
シノアが翔を見ながら儚げには笑う。それを見た優は気になっていた事を聞いてみた。
「なぁシノア」
「はい?」
「お前って翔のこと好きなのか?」
「へっ?」
優から放たれた言葉を聞いて思考が止まってしまう。
…私が翔さんを?そんなことは無いと思います。だって私は柊何ですよ?
そういつもなら言えたはずだった。だがシノアの反応は違った。
頬も赤く染まり、ジタバタと慌て始めたのが証拠だ。
「やっぱりそうだと思ったんだよ」
そんなシノアを見てニカッと笑う優。
「わ、私が翔さんをですか!?な、ないです!」
「でもその感じだと図星だと思うんだけどな〜」
「僕もそう思うな〜」
二人の会話に入ってきたのは近くに座ってた与一だ。
「だってシノアさん翔くんと話してる時ものすごく幸せそうな顔してるもん」
「よ、与一さんまで…」
与一さんにまで言われてしまったら言い返せないじゃないですかと内心でしょんぼりとするがシノアは本当に自分の抱いている気持ちが何なのか分かっていないのだ。
「どうしたお前ら?」
「何かあったのか?」
先程まで騒いでいた二人まで戻ってきてしまった。出来れば三葉と君月には知られたくないようなことであったのでシノアは「何でもないですよ」と苦し紛れの笑顔わ浮かべた。
その時、翔の体がドンッと音をたてて動いた。
「!皆さんお願いします!」
シノアの指示に従い、皆んなが体を抑える。だが──
「お、おい何だこの力!」
「優くんと君月君の時よりも強いよ!!」
君月と与一がそう必死に抑えながら叫ぶ。実際、シノアと三葉もそう感じていた。
三十時間以上経過し、力も誰よりも強く更には翔は既に二回乗っ取られている。
一番三人の中で暴走する危険性があるのは確かだ。そして驚くべきことに──
「お、おい!何で仮面が現れんだ!?」
翔の顔半分には彼が使っていたあの仮面が
「まさか!?」
シノアは最悪の結末を考えた、いや考えてしまった。そしてそれを阻止するべく手も…。
「皆さんこのまま聞いてください。最悪翔さんが暴走した場合私達だけでは対処できません。そうなった場合、グレン中佐に応援を求めます」
「それって…まさか?!」
「はい…。暴走してしまった場合翔さんを……殺します」
シノアの言葉を聞いた四人の驚き、当然反論した。
優はふざけんな!何があっても助けるぞ俺は!と救出を、君月、迷ってはいるが与一も同意見のようだ。
だが三葉だけが違かった。
「ムリだ」
「あぁ?!何だと三葉!?」
「この訓練で鬼に負けたら絶対に……助からない。お前らもわかってるだろ?鬼呪を緩めただけであの凶暴さを。それが翔の場合だったらどうなるか」
「「………」」
三葉の正論を聞いて二人は黙り込んでしまう。それでも諦めきれなかった。
だからこそと言うべきであろう。四人は翔にエールを送った。
「鬼になんか負けんな翔!!」
「早く戻ってこい翔!!」
「鬼に負けるな!!」
「お前はいつまで私たちに迷惑をかけるんだ!早く帰ってこい!バカ翔!!」
そしてシノアも翔の顔を見ながら自身の思いを告げた。
「みんな待ってます。だから帰ってきてください翔さん…」
────────
「あれ…俺は一体何を?」
斬月に斬られる瞬間、突然現れた光に包まれたのは覚えてる。
…ってことはここはあの光の中なのか?一体何が起きてんだ?
そう思った直後、目の前に光が集まりだし、人の形を成していく。
「おい…何で…何でお前が……!?」
「ははっ久しぶり翔!」
そう言い目の前に現れたのはかつての幼馴染である高木葉月だった。
俺は彼女を見た瞬間、思わず抱きしめあの時言えなかった言葉を紡いだ。
「ごめん…!おれ、ちゃんと護れなかった…!!約束守れなかった!!」
「うん」
「絶対に護るって約束したのに!!なのに…おれ…!!」
「うん」
「ホントにごめん…!ごめん…!!」
「うん、大丈夫だから、もう抱え込まなくていんだよ?」
静かに聞いていた彼女が優しく、泣きじゃくる子供をあやす様に抱きしめながら頭を撫でてくれた。
そうして俺は前世のあの日以降、流していなかった涙を流した。
────────
「落ち着いた?」
「お、おう」
さっきまで泣いていたのが急に恥ずかしくなり、目を合わせられない。
「ほ?何であたしと目を合わせられないのかなぁ〜?」
「喧しい!何でもないわ!」
ニヤニヤ〜っとしながら言う葉月に強めに言う。
それでも笑顔を崩さない流石と言うべきだろうか。
「それよりもここは?俺斬月に斬られそうだった筈だけど」
「んーここはまぁあたしの世界?かな。もっと簡単に言えばあたしの精神世界?かな」
「はぁ?」
よく解らぬ。まず大前提に何で葉月が俺の精神世界にいるのか。次に何で光から構成されたのか。
「あ、それは神様にお願いしたの。翔がもし過去の事を憶えてて今でもそれに苦しんでるなら助けたいって」
「…人の心を読むな。それよりもその確率はものすごく低い気がするが?」
「……ラッキー!!」
「お前ってやつは…」
舌を出していうこいつに少し呆れる。それよりも……
「お前ってホントにお節介だな」
「な!?これでも翔のこと想ってお願いしたんだよ!!あたしが死んでから周囲が翔にどんな反応だったのも知ってる!!翔の事だからあたしが死んだのも自分のせいだった思い込んでる!!」
「な!?それは違う!!あれは俺が悪いんだ!!助けられ「それを言ってるの!?」っ!?」
葉月は俯きながら呟いた。
「そうやって自分を追い詰めて……他人のやった事まで背負って…そんな翔が心配だったの!!今もそうでしょ!?あたしの事引きづって新しい家族にも信用できてないじゃん!!」
「……葉月」
「だからもう自分のこと許してあげていんだよ?あたしは翔が想ってくれてるだけで嬉しんだから」
「…そうか。もう許していいのか…」
そうだよと笑顔を浮かべる葉月。そして微かにだが葉月の体が光に包まれている。
「…もう時間かな。翔、負けちゃダメだよ?さっきの白いカケルも今目の前にいる翔も同じ翔なんだから。だから勝ってね」
「ああ、わかってるよ。ホントにありがとな葉月」
俺の言葉を聞き、光に包まれていく葉月は笑顔を浮かべた。そんな笑顔を見て俺はまだ伝えてなかった事を、あの時になるまで伝えられなかった事を伝えよう。
「葉月!!俺、お前のことが好きだ!!ずっとずっと好きだ!!」
「ありがとう、それ出来れば生きてる時に聞きたかったな〜。でもね、それは私に言うことじゃないよ?」
「おまっ…何言って…」
言おうとした瞬間、葉月は俺に抱きついてきた。もう体も消えかけてる。だから…本当にこれが最後だ。
「私も大好きだよ。私のこと憶えててくれてありがとう。翔は翔らしく真っ直ぐ、自分の信じた道を歩いて。…あぁ最後くらい笑顔でいきたかったのになぁ。涙が止まんないよ……」
そんな彼女の頭を撫でる。胸に顔を埋め、必死に笑顔をつくろうとする彼女に、名前を呼んで顔を上げてもらう。
そして彼女の唇に自分の唇を当てる。そんな行動をした俺が意外だったのかポケって顔をしてるもすぐに顔を赤くして嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「ありがと葉月」
そんな俺の言葉は彼女に届いたかはわからない。でも確かに聞こえた。彼女が光になり、俺の身を包んでいた光が段々と薄くなっていく。
『私の方こそありがと』
そんな彼女の言葉が聞こえると同時に俺は摩天楼の連なる精神世界へと戻ってきた。
そして目の前にいるのは不機嫌にこちらを見る斬月。
「待たせたな斬月」
「お前何した?!この世界でオレが立ち入れない世界なんてありゃあしね!!何したんだ!?」
「助けてもらっただけだよ。お前がバカにして言う『幼馴染』にな」
それを聞き、更に不機嫌に叫ぶ。
「そんなわけあるか!!この世界はオレとお前の世界だ!!そこに他人が入ってくる余地なんてねぇ!……だがまぁいい。光の中で何があったのか知らねぇがお前はオレには勝てねぇんだからな!!」
叫びながら接近してくる。確かに俺は勝てないさ。
俺は自分を貫こうとするオレの斬月を
「……やっと気づいたか」
「ああ、あいつに言われなくちゃ気づかなかったさ。お前は斬魄刀であり、鬼って前に言ったな。ならさっきの『オレとお前の世界』ってのは鬼としてはおかしい。お前は俺の体を狙うはずだ。なのにそれをしない。今までのは俺が負けて自動的にお前に主導権が移ってるだけだったんだ。
それに俺もお前も同じ翔だ。それにお前はいつも俺の危機には助けてくれてただろ?」
「っチ!……まぁだが前よりはマシな面になったじゃねぇか。だけど忘れんなよ?てめぇがオレの王に相応しくねぇと思った時には覚悟しとけ。本当にオレの力を支配したけりゃ、次に俺が現れるまで…せいぜい死なねえよう気をつけな!!!」
その言葉を聞くと同時に俺の視界は暗転した。
────────
目を開くと俺が始めた頃のように夜だった。そして俺の顔を覗くように五人が見ている。
「迷惑かけて悪かった。今戻ったよ」
「「うわぁぁぁ!!」」
優と与一が一気に抱きついてくる。
「心配したんだぞ!?」
「良かった!翔くん戻ってきた!!」
「ははっ大袈裟だなお前ら」
そう言い、二人にどいてもらい立ち上がり、三人の方を向く。
「迷惑かけたな」
「……ホントだよ。お前抑えんのきつかった」
「ったく!あたし達をあんまり困らせるなよ!」
「おかえりなさい翔さん」
三人が労いの言葉をかけてくれる。
‴葉月、俺頑張ってくよ。だから見守っててくれ‴
そう空を見て大事な幼馴染へと向けて思った。
評価・感想の方お待ちしてます
カケルの勝利条件を満たしてなくねと思った方、今回のはカケルの精神的なものを殺した、今まで翔自身が助けてもらっていたことに気づいていなかった。
だけど葉月のおかげでそれを知った。だから勝てた
こんな感じです。ご不安があったりしたら是非お願いします