終わりのセラフ~斬月持って異世界ライフ~   作:沢田空

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これは俺の罪だ

目を背け続けた罰だ──


28話~過去~~

前世の俺は不満ことなんて無かった。家族に恵まれ、信頼がおけ不満の言い合える幼馴染がいて。

俺はそんな生活に満足していた。これ以上ないくらいに。

でも不幸ってのは突然やってくる。そう、唐突に──

 

 

 

まだ俺が中学生の時だ。両親が離婚をした。原因は父の浮気だった。相手は会社の後輩だった。そこを知人に見られ、あまつさえ写真まで取られたそうだ。

その次の日から母は俺を一人で育ててくれた。仕事と家事を両立して。そんな母を見て、高校には行かず、働くと言った。

だけど返ってきたのは怒号ではなく謝罪と笑顔だった。

 

「ごめんね、あなたにこんな思いをさせて。だけど心配はしないで高校に行きなさい。お母さんは大丈夫だから」

 

そんな母の想いを聞き、近くの高校を選んだ。葉月も俺と一緒にそこに通うと言い出した。その高校は偏差値もあまり高く無く、頭の良かった葉月には釣り合わないと思った。

だけど俺の言うこと何も聞かす、同じ高校に入学した。

幸いなことにクラスも同じだった。

俺たちはいつも一緒にいた。だから、噂も色々とあった。

 

葉月の容姿は美少女のそれだ。だから男子からの嫉妬の視線が多かった。

それに比べ、俺は目つきが悪かった。そのせいか寄ってくる人は少なかった。

男子はまだ話しかけてくるやつはいた。

少なからず友と呼べる人達もいた。

 

俺はこんな生活に満足していた。母だけに負担をかけさせないようにとバイトをかけ持ちした。

毎日お隣さんである幼馴染と登下校を共にし。

学校に行けばバカをし合える友がいて。

 

これのどこに不満があるのか。このままこの生活が続けばいいと本気で思った。

 

だけど入学してから一年後──俺達が高校二年の夏だった。

そんな時に人生で最悪、いや人として最低のことをしてしまったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は珍しくバイトがどちらもなく、久しぶりにゆっくりしようと思った。まぁ当然のようにその一時は消えるのだが。

 

「ねぇ翔、今日ご飯食べいくね?」

 

「はぁ?なんだよ急に───」

 

「おばさんが食べに来なって」

 

「…あぁそういうこと」

 

母さん。俺に一言あってもいんじゃないかい?

そんな事を思いながら帰路についた。

 

じゃあまた後で。と小走りで帰っていく葉月を見届け、家に入る。

そこで違和感に気づいた。いつもは鍵がかかっているのに掛かっていなかったのだ。

違和感を抱きつつ、ただいまと言い入る。

だが返事がない。おかしい。いつもなら夜遅くても起きてて、何かしていても、途中で手を止め俺に抱きついてくる位なのに今日はそれがない。

そこである()の怒号が聞こえた。

 

「隠れてないで出てこい!!お前らのせいで俺がどんな目にあったか!!目に物見せてやるよ!?」

 

なんで、何であいつの声が…!?

俺は急いでリビングの扉を開けた。

いつもは整理され、綺麗なリビングがいろいろな物がグチャグチャになり散らかされていた。

 

「母さん!!」

 

その声に反応して男がこちらを振り向いた。

その顔は以前見た時よりも痩せ細っていて、目は血走っていた。

 

「何しに来たんだお前!!」

 

「おいおい、久しぶりに会うのにそれは無いだろ?ここは俺の家なんだから」

 

「ここはテメェの家なんかじゃねぇよ!!クソ親父(・・)!!」

 

「まだ俺のことを親として見てくれるのか。嬉しい限りだな。…まぁ殺すことに変わりはないんだけどな!!」

 

そいつの手にはナイフが握られていた。

それを見て、一歩一歩とと思わず下がってしまった。それを見てニタァッと笑い近づいてくる。

 

「怖いよな?怖いよな!?あぁやっとこの手でお前らを殺せる。俺をドン底まで堕としたお前らにな!!まずはお前からだ、翔!!」

 

ナイフを振りかぶり俺へ突き立ててくる。それを間一髪で躱すも尻餅をついてしまう。

逃げなきゃ!逃げなきゃ殺される!!

そう思うのに体が動かない。

恐怖のせいで思うように動いてくれない。

 

「避けるなよ、翔。せめて苦しまずに殺しやるからよ」

 

恐怖の中、這いずるようにして廊下へと続く扉まで来た。

あいつとの距離はもう手の届く距離まで近づいてる。

何とかしてドアを開けようもするも、腹を蹴られ扉を壊して廊下へと出される。

 

そこで家の扉が開く音がした。

そちらを見ると葉月がいた。

葉月は俺を見るや即やに駆け寄ってきた。

 

「翔、大丈夫!?」

 

「いい、から!早く逃げろ!」

 

「何言って──」

 

そこで葉月は見てしまったのだ。変わり果てた親父の姿を。

 

「おじ、さん…?」

 

「あぁ?誰だこの女。お前の女か翔?お前も隅に置けないなぁ」

 

ニタァっと笑い言い放つ。

このままじゃ、葉月まで殺される…!それだけはダメだ、と言葉を発しようとした時──

 

「まぁいいか。俺はお前らが幸せにいること自体に虫唾が走る。とりあえず死んでくれ」

 

「やめろ、やめてくれ!葉月は関係ないだろ!!」

 

「テメェは黙ってろ!!」

 

思いっきり頭を蹴飛ばされる。そうしてあいつは葉月に向かい、葉月の体にナイフを突き立てた。

それを見て、頭が真っ白になった。

 

「は、づき…。おい、うそ、だろ?なぁ、なぁ!!」

 

俺の目から大粒の涙か零れる。それを見てあいつは大声を上げて笑った。

 

「そうだよ!それだ!その顔だ!!俺はお前らのそんな顔が見たかったんだよ!!その絶望した顔をな!!安心しろ、すぐにお前もこの女と一緒になれんだからよ!!」

 

「うわぁぁぁぁああ!!」

 

気づいたらあいつの事を殴り飛ばしていた。その際にナイフを落とし、俺の足元にナイフが転がってくる。

それを拾った。

 

「お前は俺が殺す。何があってもだ」

 

「お、おい。やめろ、やめてくれ。俺が悪かった。だから殺すのだけは──」

 

「知るかよそんなの。人を刺しといて自分はそれか」

 

倒れているあいつへと一歩、一歩と近づいていく。

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。

 

そこには明確な殺意があった。

そんな時、足を掴まれた。

 

「だめ、だよ…。ここで、ころしちゃっ、たら、そのひと、と同じに、なっ、ちゃう、よ…」

 

それを聞いて我に返った。

確かにそうだ。ここで殺したらこいつと同類になってしまう。

 

「ありがとう…。すぐに救急車呼ぶから待ってろ!!」

 

携帯を取り、急いで電話をかけようとする。

 

「おおぉぉぉぁぁ!!」

 

ダイアルしたところであいつが飛びかかってき、そのまま取っ組み合いになる。

 

「てめぇもこの女もここで死ぬんだ!!死ねよ!!死ね!!」

 

何度も何度も殴られる。そこであいつは俺が落としたナイフを見つけ手にした。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「グッ…!!」

 

俺の心臓目掛けて振り下ろされたナイフを手ごと掴み、寸のところで止めた。

 

「こん、な所で、殺されて、たまるか!」

 

ゴロンと回り、俺が上にマウントを取る。その時、親父の手にはナイフがある。それを俺が俺を受け止めている。

そんな時に回ったらどうなるか。結果は────

 

「ガッ…!!」

 

親父の心臓にナイフがあった。回った時に刺さったのだろう。

いや、違う。あれは、俺がやった…。

力が抜ける瞬間に俺が刺したんだ。

手を見れば、赤い液体が。手だけじゃない。服にも顔にも飛んでいる。

 

「…これで、てめぇも…おれ、と…どう…るい、だ」

 

そう言い残し、息を引き取った。

俺が、ころ、した…?あ、いつと、どう、るい?

 

「か…ける」

 

葉月の声を聞いて、我に返り駆け寄る。

 

「ごめんね…また約束…やぶっ…ちゃった…」

 

「もういい!!喋んな!その先は後で聞くから!頼む!」

 

あいつと同じが俺が後でなんてない。だけど…だけど!!ここで死ぬのは違うだろ!!だから──!!

 

「ううん…あのね…私ずっと…ね、君のことが…大好き…だっ…よ…。」

 

「…ああ、分かってるよ!そんなの…俺もなんだから!だから頼む…!!死ぬな!!」

 

「…それだけ聞ければ…私は…十分だよ…。だから…幸せに生きてね…」

 

「…おい。おい!ふざけんなよ…!頼むから…!お前の我が儘でも全部何でもするから…!頼む!死なないでくれ!俺を…置いていかないでくれ…!!」

 

俺の願いも虚しく、葉月は静かに息を引き取った。

 

その後、今日仕事が休みで買い物から帰った母さんが警察に連絡したそうだ。

そこの記憶は曖昧で俺は到着した警察に言った一言が

 

「俺があいつを殺しました」

 

それを聞いた警察の人は事情を聴くと署の方に動向をと言ってきたらしい。

母さんも同伴したみたいだか、俺の口からは

 

「俺が殺しました」

 

何を聞かれてもこれだけだった。

警察は俺のした事を正当防衛だと決定した。

だか、かなり俺の処遇を討論したらしい。

 

正当防衛と言っても殺してしまったら過剰防衛だ!

彼は被害者だ!それに彼には殺意はなかった。と色々とあった中、俺のした行為は正当防衛に収まった。

 

そこからの日々も地獄だった。学校に行けば

 

「この人殺しが!!」

 

「お前のせいで高木さんが死んだんだ!」

 

「お前が死ねばよかったんだ!!」

 

これ以上のことも言われただろう。だけどもう覚えてない。覚えてない位言われたのだろう。

 

先生達は俺に転校を勧めてきた。だけど俺はそれに首を振った。理由を聞かれたら

 

「ここには葉月との思い出があります。こんなことに言う権利もありません。だけど…これは俺への罰なんです。人を殺してしまった俺に。周りの反応は当たり前の事なんです」

 

 

葉月の両親にも殴られた。

 

「娘を返せ!!君さえいなければ娘は生きていたんだ!!返せ、娘を返してくれ…!!」

 

それから俺は通い続け、就職をした。

勤務地は東京を選んだ。選んだのも逃げるためだったと思う。口では大層なことを言っても俺は自分の罪から逃げ続けたんだ。

だから東京に逃げた。

 

東京では俺の事を知る人はいなかった。地方から行けばそれもそうだ。

それから五年働いた。毎年、墓参りにも行った。あいつが好きだった向日葵を持って。

 

そんな時、俺は子供を守って死んだ。

その時、俺は思った。

 

「(やっと、やっとお前のところに行ける。いや、やっぱり行けないな。俺はお前と違って汚い人間だ。当然地獄に行くだろうな。はは、死んでも会えないのか)」

 

心で思い、目を開けばそこは真っ白の空間。

今思えば、神様はあんなこと言って、本当はこれは罰だったんだ。

お前は罪を背負いながら生きろって。

 

それがお前のした愚かな行いだって

 

 

 

 





これを聞いてお前らは俺と一緒にいたいか?
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